旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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パトレイバーおもしれー。


540話 いつもの犯人

もう本当に勘弁してくれないかな?

 

いや、もちろん、俺もできる限りは協力するよ?

 

でも俺って、基本的には、個人レベルじゃクソザコナメクジも良いとこなんだよね。

 

クソザコナメクジは言い過ぎだとしても、うーん、まあそうだね、秀才レベル?

 

俺は、G級ハンターでありデビルサマナーであり狩人であり、魔法使いであり格闘家でありプロレスラーであるけれど、そのどれもが「秀才」止まりなんだよ。

 

俺が今まで出会ってきた、綺羅星のような天稟持つ者達と比べれば、どこまでいっても「そこそこできる」程度の人間に過ぎないんだよ。

 

俺がしつこく、自分のことをただの人間だと言うのはそれだからだよ。

 

俺は、俺よりも遥かに優れた天才達をこの目で見てきた。

 

『主人公』達の活躍を、すぐ側で眺めてきた傍観者なんだ。

 

例えば、こんな人達がいた。

 

東京受胎。本格的な世界の終わりのその時。

 

世界を元に戻すために戦い抜いた青年がいた。

 

俺も、その青年の仲魔となって、壊れた東京を共に旅した。

 

確かに彼は、最初のうちは人間に毛が生えた程度の力量しかなかった。

 

けれど、どんどん悪魔を倒して、力だけでなく心も成長し、最後は魔王すら倒して見せた。

 

それと比べれば、俺なんて単なる人間だ。

 

こんな話もある。

 

とある旅人の話だ。あ、俺じゃないぞ。

 

その旅人は、二千の技を持つと言う、優しい心を持った青年だ。

 

だが、なんの因果か、超古代文明の力を手にしてしまった。

 

彼は、良い意味で変わらなかったよ。

 

超古代から蘇りし怪人、グロンギ。

 

奴らは、『ゲーム』と称して殺人の数を競う競技をしていた。

 

奴らの凶行を目にしてなお、その優しい心を失わずに、怒りと悲しみに飲まれなかった旅人は、最後に、グロンギの王と一騎討ちをして……。

 

その後は、遠くへ、また旅に行ったよ。

 

俺は、あんなに優しい心は持っていない。

 

彼の善性と比べれば、俺なんて単なる人間だ。

 

色々な人と出会った。

 

みんな、みんな、とても良い人達だった。

 

とても、凄い人達だった。

 

それと比べれば、俺は、本当に単なる人間だ。

 

 

 

……話を戻そう。

 

ここは、辺境。

 

地球の果てだ。

 

ここには、様々なモンスターが跳梁跋扈し、神秘についても、魔界並みに高くなっている。

 

この辺境では、モンスターハンターと呼ばれる人々が、襲いくるモンスターと戦っている。

 

確かに、俺がいつもいる日本では、毎日のように侵略者やら何やらが宇宙から降りてきて、それをスーパーロボットが撃退する……、みたいな状態だが、この辺境も負けてはいない。

 

天候を自由に操る龍や、破壊光線を撒き散らす牙獣。

 

火を吹き空を飛ぶ飛竜に、電を纏う狼竜。

 

こんな奴らが、毎日毎日どったんばったん大騒ぎしてる訳だからね。

 

いやぶっちゃけ、対処法がある分、悪魔とかの方がマシなまである。

 

悪魔ってのはね、明確な弱点やら対処法があるもんなのよ。

 

例えば、龍王:ヴィーグルという悪魔がいる。

 

この悪魔は、魔力の源が、額にあるガーネットなんだ。

 

このガーネットを奪えば、簡単に無力化できる。

 

英霊とかもそうだよね。

 

クー・フーリンなんて有名でしょ?

 

ゲッシュを破らせれば簡単に無力化できてしまう。

 

けど……、この辺境にいるモンスターは、そういう明確な弱点が一切ないんだよね!!!

 

いや、もちろん、弱い属性とかはあるよ?けど、こうすれば一発で完封できますー、みたいなお手頃な手段がないのよ。

 

だから、物理で殴り殺すしかない。

 

……殴り殺すんだよ?

 

トラックよりでかい竜を。馬鹿でかい刃物で。

 

「こんな修羅の国にいられるか!俺は国に帰らせてもらう!」と言って、多くの人がここから逃げ出した。

 

それでもまだ残っているこの辺境の人々は……。

 

総じてぶっ飛んでますねえ!!!

 

そんな、まともな人なら近寄らないこの辺境の地に、何故、アメリカの悪の組織である『ヒドラ』が来ているんだ……?

 

俺は、脳内にある『瞳』を使って、世界を俯瞰した。

 

すると……。

 

「ぎょへえええ?!!!」

 

思わず変な声出ちゃった!!!

 

いや、これ……、来ているのは『ヒドラ』だけじゃない!

 

『アンブレラ社』と『ブラックゴースト残党』、『Dr.ヘル一味』『ショッカー』『ギャラクター』辺りが手を組んでるううう?!!!

 

しかも、もう、サンプルにこの辺のモンスターを捕らえたりデータ取りしたりして撤退済み!

 

ど、どーしよ、これ。

 

まあ、大丈夫大丈夫。

 

旅人は狼狽ない。

 

とりあえず、ハンターズギルド本部に調査結果を報告だ。

 

 

 

「……ってなことがあってさ。大変だったよ」

 

「なるほど、分かりました。各組織へ注意事項を伝達しますね」

 

帰宅した俺は、大淀に、ハンターズギルドに提出した報告資料の写しを渡す。

 

こういうのって、放置すると大抵ろくでもないことになるからね。俺は詳しいんだ。

 

あらかじめ、各組織に注意喚起しておくだけでもだいぶ違うよ?

 

前に、日本でバイオハザードが起きたときも、俺達がいち早く動いていたから、被害は最小限で抑えられたでしょ?それとおんなじだよ。

 

とは言え……、仮に、こっちの社会で辺境のモンスターを放たれたら、管轄はどこになるのかな?

 

怪獣と見ればスーパーロボット、モンスターと見れば対魔忍やデビルサマナーが対処するだろうけど……。

 

ま、とりあえず、知り合いの全組織に情報を送っておけばいいかな。

 

 




旅人
オトモアイルー的なポジション。

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