旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

529 / 593
モンブランうめー。


529話 友人との電話

冬の昼下がり。

 

全国的に寒いとはいえ、このK県はまあそこそこに暖かかった。

 

俺は全く平気なのだが、うちは女の子がたくさんいるので、なるべく暖かくしてあげたい。

 

なので、暖房を入れている。

 

ほら、女の子が身体を冷やすのは良くないからね。

 

ここでジェンダーバイアスがーとか言う人はどうかと思います。

 

さて、執務室……。

 

執務と言っても、敏腕秘書の大淀の手によってまとめられた資料に軽く目を通して、数枚の書類にサインするだけ。

 

それくらいで、俺の仕事は終わりだ。

 

逆に言えば、それだけの執務を大淀が采配してるってことで。

 

うんまあ、そうね。

 

黒井鎮守府の実質的なボスは大淀だよね。

 

俺なんてお飾りみたいなもんだよ。

 

無能な怠け者はお飾りの司令官やってろって言うじゃん。ゼークトが言ってた(実際には言ってない)。

 

さて、そんな冬のある日。

 

「モルカー、流行ってるじゃん」

 

と俺が呟いてみた。

 

いや本当に、単なる話題作りってか、無意識な一言ってかさ。

 

ただ言ってみただけなのね?

 

すると、おもむろに、隣に座っていた時雨が席を立った。

 

こ、これは……!

 

数多の屍を築き上げて、その上に『作られた生命』をちょんと置く、白露型のいつもの蛮行の匂いだ!

 

「どこへ行こうと言うのかね?」

 

背後から時雨に抱きつく。

 

「待っててくれるかい、提督。君の望むものをすぐに用意するからね」

 

まるで、子を慈しむ親のような視線を俺に向けて、頭を撫でてくる時雨。

 

ペロッ!これはバブ味!

 

「いやいやいや、マジで不味いからそれは本当に」

 

「何故かな?死ぬのは単なるモルモットだよ?」

 

「命の価値は平等!とか、変なことを言う訳じゃないけどね、殺さなくてもいい命を、悪戯に奪っちゃならないんだよ」

 

「ネズミ風情の命にそんな価値があるとは思えないけれど、君がそう言うのならやめておくよ」

 

うん、まあ、聞き分けはいいんだよねえ……。

 

良い子なのよ、良い子なんだけどね……。

 

「で、でもアレだね!アニマルセラピー的なのは良いよね!」

 

話を逸らそう。

 

闇と病みを深掘りしてはいけない(戒め)。

 

「僕は君の犬だよ」

 

と、すり寄ってくる時雨。

 

おーおーおー。なんだかんだ言って、結局甘えたいだけか。

 

命の冒涜も全ては俺に褒めてもらうためなんだよな。

 

可愛い子だなー。

 

「……提督さーん!」

 

ん?

 

窓を開ける。

 

うわ……。

 

「提督さーん!見て見てー!提督さんの為に、いーっぱい屍を積み上げたっぽいー!」

 

夕立だ。

 

鎮守府前の港に、深海棲艦の死体が山のように積んである。

 

「ありがとー!愛してるよー!」

 

「あはっ♡あはははははははは♡愛してるって!愛してるって言ってもらっちゃった!あはははははは!!!夕立、もっと頑張るっぽいー!!!!」

 

あ、また出撃して行った。

 

今週のMVPも夕立で決まりかな。

 

さて……。

 

時雨がぴったりくっついているが、気にせず移動。

 

いやもう、仕事ないんで。

 

俺の可愛いわんこであるしぐわんを抱えながら移動する。

 

「ぺろ……、ちゅ……、ぺろ……」

 

なんかめっっっちゃ襟とか首をべろべろ舐められてるが気にしない。

 

今朝も、俺が愛用しているペンが何者か(艦娘)の自慰行為に使われていたらしく、ぬるぬるだったが、俺はそういうのあんまり気にしないようになってきたので、ハンカチでペンを拭いてからそのペンを使って執務していた。

 

大淀がそれを見て、鼻血を流しながら大喜びしてたんで、多分犯人は大淀やろなあ……。

 

 

 

自室に入る。

 

今日はゲームでもやろうかな。

 

デスクの上にある、艦娘のエロ自撮りを片付けてから……、うむ、これは鹿島だな。片付けてから、パソコンの電源をつける。

 

すると、インストールした覚えのないエロゲがあった。

 

「ふむ」

 

ロリ系、か。

 

となると駆逐艦の仕業だな。

 

駆逐艦は、俺をロリコンにしようと、ありとあらゆる手段で悪の道へと誘おうとしてくる。

 

「ロリもの……、幼児退行した茶髪ロングの妹にエッチなイタズラ……。望月だな」

 

望月の仕業だな。

 

望月はね、あの子はね、俺の前で思いっきり幼児退行してオギャるのが性癖だからね。

 

まあ、折角だしプレイするか。

 

 

 

結構面白かった。

 

声優さんの迫真の演技がね。

 

声優さんって大変だよな、どんなキャラでも演じなきゃならないんだから。僕にはとてもできない。

 

おや、もうこんな時間だ。

 

ひとっ風呂浴びてこようか。

 

風呂に行く。

 

ナチュラルに女湯に入っているが、この鎮守府は女湯しかないのだ。

 

ちょっと前に、色々あって鎮守府が全壊したことがあるのだが、その時から、俺の部屋のシャワールームも廃止され、女湯に入ることを強制されるようになったのだった。

 

まあ別になんにも困らないから良いんだけど。

 

身体を洗おうか。

 

「はーい、提督は私が洗いますねー」

 

「あたしも洗うねー」

 

古鷹と加古に捕まった。

 

そう、俺はもう、自分で身体を洗うことすら許されていないんだ。

 

腕を古鷹のおっぱいに挟まれて、加古に頭を洗われて、丸洗いされてしまう。

 

自由なんてものはない。

 

その後、古鷹と加古に挟まれながら湯に浸かる。

 

 

 

そして、それから、料理をして飯を食うのだが、一人で食事するのは許されていない。

 

いやまあ、別に一人で食事してもなんも言われないけど、艦娘が寂しがるから、実質的には強制だ。

 

更に、酒を飲むのも一人じゃダメ。

 

寝るのも一人じゃダメ。

 

 

 

「とまあ、こんな感じで、俺には自由が一切ないんだよ!!!可哀想だろ?!そう思わないかジャギ!!!」

 

『死ね』

 

ガチャン!

 

ツー、ツー、ツー……。

 




友人
ある意味、一番の被害者。こんなクソどうでも良い電話がかかってくるのだから。

旅人
こいつもある意味で被害者?


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。