旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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寒いよー、寒いよー。


522話 深海棲艦、鮮やかな仕事

「で?たっちゃん、困り事とは?」

 

困ったことがあったら何でも言ってくれたまえ!君達は大切な嫁なんだからね!

 

「イエソノ、デモ……、アマリ、提督ノ手ヲ煩ワセルノハ……」

 

(胸が)い、いてえよ〜!

 

「そんなこと、気にしないで良いんだよ!困ったことがあるなら何でも言ってね!」

 

「ソ、ソノ……、実ハ……」

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

ふむ……。

 

深海棲艦達の困り事とは何か?

 

簡単にまとめると、仕事が忙しい!ってことだった。

 

鹵獲して味方になってもらったここの深海棲艦達には、艦娘達にお願いできないようなブラックオプス……、つまりは、非道な仕事を担当してもらっている。

 

当然だが、市民の虐殺などを命令する訳ではない。

 

それに、ブラックオプス的なことなら、艦娘もやっているじゃないか!まともなのは僕だけか?!と、お思いかもしれない。

 

それは確かに事実だ。

 

妙高型は、なんだかんだ色々あって、俺の伝手で『アサシン教団』に助力し、『テンプル騎士団』と戦っている。

 

まあ、その辺の話は別の機会に……、具体的には、次話に妙高型の過去編でもしようかなと思う。

 

とは言え、妙高型は、エデンの果実を悪用し、世界の支配を試みるテンプル騎士団を排除するのみで、無秩序な殺戮や、金で暗殺することもない。

 

他には……、白露型。

 

白露型も、非合法的な魔法に関する仕事をする。

 

だがしかし、それは、社会に存在している霊媒師、蟲師、デビルサマナー、魔術師などを支援して、世界秩序を守るためのことだ。

 

加えて言えば、敵対者以外は殺さない。堅気の人間や、手を出して来ない人間には手を出さないのだ。

 

では、深海棲艦組は?

 

深海棲艦組はね、こちらから攻撃するんだ。

 

麻薬や人身売買、臓器密売などのグループに、こちら側から直接攻撃する。

 

半分堅気のような人間も、場合によっては殺す。

 

そんな組織なんだよね。

 

基本的な仕事は、非合法的な麻薬や人身売買などの密輸船を轟沈させ、場合によっては、その組織を破壊すること……、それが仕事だ。

 

船を轟沈させる場合なんかは、半分堅気の船の乗組員も巻き込んで殺してしまうことがあるが……、まあ、その辺は、堅気であろうと悪党に手を貸した時点で残念ながら……ってことで。

 

で、その、仕事が多いってのは、密輸船が多いってことだ。

 

基本的には、日本海側で、アジアからの密輸船を轟沈させるのがいつもの仕事なのだが、最近は、太平洋側から、南米からの密輸船団が多数現れているらしい。

 

よって、部隊を二つに分ける必要があり、単純に仕事量は倍!ってことらしい。

 

ふむ、なるほど……。

 

「これって、俺達のせいじゃん」

 

そう、俺達、黒井鎮守府のせいなのだ。

 

最近は、太平洋側の航路が安定してきて、そのせいで、雨後の筍のようにぽこじゃかと密輸船団が増えてるんだね。

 

うーん……。

 

よし!

 

「メキシコのマフィア組織、潰しちゃおっか!」

 

そういうことになった。

 

 

 

……とは言え、マフィア組織なんて、放っておけばぽこじゃか増える。

 

ちょっと潰したくらいで根絶はできない。

 

マフィア組織はそもそも、貧困やら政府への不信やら、そういうものがある限り何度でも蘇る悪の魔王みたいな存在だ。

 

この世に悪がある限り、我は何度でも蘇るぞォー!!!みたいな。

 

社会の癌を切除しても、癌細胞そのものを根絶させることはできないだろ?

 

だから、対処療法にしかならないんだけどね、今回はごっそり切除してやろうと思います!

 

とは言え、俺は殺人とかやりたくない。

 

いや、綺麗事だけで世の中が回るとは思ってはいないさ。

 

世の中には、死ぬべき奴が、死以外では止まらない奴がいる。

 

どうしようもない時はそりゃ俺も殺すね。

 

さて……、行こうか。

 

『おい、てめえ!止まれ!がっ……?』

 

門番のチンピラを軽く捻って片付ける。

 

流石に、俺もただの人間に負けるほど寝ぼけちゃいないよ。

 

そして、鉄の門を飛び越えて、ドアをピッキング。

 

解錠……、と。

 

「たっちゃん、ついて来て」

 

「エエ」

 

内部のチンピラを片付けて、ボスの執務室まで到着。

 

『ああ?お前は誰……、ぐあっ!』

 

俺は、片腕を触手に変えて、ボスを壁に叩きつける。これは、『エーブリエタースの先触れ』という、某所で得た秘儀である。

 

触手でボスを拘束し、俺はボスに訊ねた。

 

『金庫の暗証番号は?』

 

『こ、答える訳ねぇだろ!!!』

 

残念、俺は相手の心を読める。

 

さとり妖怪ほど詳しくは読めないが、こうして質問すると、大抵の人間は心の中で答えを言ってくれる。

 

『なるほど、623380……』

 

『な、何だとっ?!!!』

 

そして、金庫の中の金塊を徴収。

 

「ほへー、金持ってんなあ。やっぱり麻薬は儲かるんですねえ」

 

紙幣は燃やしちゃお。

 

どこぞかから奪い取って来た各種権利書も焼いちゃいましょうねー。

 

もう二度とボスできないねえ。

 

『テメェ!殺してやる!殺してやるっ!!!』

 

『それは怖いな』

 

さて……。

 

「たっちゃん、やっちゃって」

 

「エエ、イクワヨ!」

 

たっちゃんが主砲をぶっ放す。

 

マフィア組織の本部は物理的に潰れた。

 

そして……。

 

『モシモシ?提督?』

 

「ちーちゃん、どうだった?」

 

別働隊のちーちゃんからの連絡を受ける。

 

『麻薬畑ト麻薬工場ハ焼イタヨ!』

 

「OK、ぐっじょぶだよー」

 

よし、と。

 

まあ、こんなもんだろう。

 

「はい、撤収!帰るよー!」

 

 

 

その後の話。

 

南米で一番大きな麻薬組織が壊滅した。

 

そのせいで、盛大な内ゲバが始まり、新たなナンバーワン組織を決めるための天下一武道会が始まった。

 

ワクワクすっぞ。

 

そんな訳で、しばらくは内ゲバに勤しんで、麻薬の密輸やら何やらはしないであろう、という見通しだ。

 

とは言え、奴らはピッコロ大魔王並みの再生力も持っているので油断はできないが。

 

まあ……、これで、深海棲艦組は、通常シフトに戻れた。

 

良かった良かった。

 




たっちゃん
陸で主砲が撃たないとは言ってないよなあ?

ちーちゃん
別働隊。破壊工作が得意。

旅人
今回は相手が一般人だったので殺さなかったが、余裕がないくらい強い相手だと殺すこともあり得る。殺すかどうかの基準はエアアニメ版のルパンみたいな感じ。

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