旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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クソ小説を見つけてしまい、内臓が焼け落ちた。


519話 幸子をプロデュース!

「……ですので、再び、この346プロにお力を貸していただけたら、と思います」

 

黒井鎮守府、応接室にて。

 

黒スーツの大男が俺に頭を下げた。

 

「っつってもねえ、武内君……」

 

俺が相対しているのは、俺がかつて働いていた芸能プロダクションの『346プロダクション』のアイドルプロデューサー、武内君だった。

 

「今更、どのツラ下げて戻れって言うのよ?」

 

「美城常務ももうお怒りではありませんから……」

 

「俺はね、一時の感情に任せて、あの女に無礼を働いた。まあ、それは良いさ。だが問題は、それによって担当アイドルを裏切ってしまったことだ」

 

「そんなことはありません!新台さんは、担当から下された後も、陰日向にアイドルの皆さんを守ってきたではないですか!!!」

 

「そうだとしても、もう俺はプロデューサーをやる資格なんて……」

 

「お願いします……、もう一度だけ……!」

 

おいおい……。

 

「武内君、男がそんなに簡単に何度も頭を下げちゃ駄目だろ……」

 

だが……。

 

「とは言え、どんなに頼まれても、俺は今プロデュースしている女の子達の面倒を見るのでいっぱいいっぱいだ」

 

艦娘ってんだけどね。

 

「だからどうだろう、うちと合同で、何かしらの企画をやっていく、と言うのは?」

 

「もちろん、それで充分です……!ありがとうございます……!」

 

 

 

「と言う訳だ。分かったか幸子」

 

「えっ?あっ、えっ?」

 

「おいおい、撮影は既に始まってるぞ?気合入れろ!えいえいおー!」

 

「お、おぉー?」

 

「じゃあ、行こうか。パスポート持ってきたか?」

 

「あ、はい」

 

「飛行機のチケットは取ってあるからな!それで、今回の護衛役に、艦娘の潮を連れてきた。挨拶しな」

 

「はい、えっと、潮さん?」

 

「はい、綾波型十番艦の潮です。幸子ちゃん、よろしくね」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

うんうん、女の子が仲良しだと嬉しいね。

 

「じゃあ、タイトルコール、行くぞー!」

 

「はーい!」

 

「イギリス、ロンドンでのライブ!&一週間のロンドン旅行記!」

 

幸子が言った。

 

「アフリカ、秘境ンゴロンの地に棲む怪人民族ヤポポイ族の前でサバイバルライブ!」

 

俺が言った。

 

「え?」

 

幸子が、虚空そのものと化した目でこちらを見ている。

 

「だまして悪いが、仕事なんでな」

 

俺はニチャァ……とした邪悪な笑顔で告げた。

 

「い、い、い、いやですぅうううううううううう!!!!!」

 

 

 

「さあやってまいりましたアフリカ!これから、野の獣を捕らえて喰らいつつ、一路北へ!さあ、幸子。文明圏の空気を今のうちにたっぷり吸っておけよ」

 

「おうちにかえして……」

 

真っ白になった幸子を抱えつつ、俺は北へ向かって全力前進だ。

 

「とりあえず、秘境ンゴロンを探すか!」

 

「そもそもどこにあるか分からない土地を目指してるんですか????」

 

「だーいじょーぶ!まーかせて!」

 

「うー……、でも、元プロデューサーさんがそう言って、結局、ボクが怪我したこととかは一度もありませんし、何故か最終的にはうまくいくんですよねえ……。なんでなんだろう……?」

 

「大丈夫、大丈夫。さあ、行こうか!とりあえず、アマゾンまではこの旅人号一号で行きますよー、行く行く!」

 

 

 

「さて、早速食事にしましょうか!」

 

俺は弓矢を取り出す。

 

「えっ、何するんですか?」

 

「二キロ先にガゼルの群れがいるから、狩るよ」

 

「思考回路が現代人のそれじゃないんですよねぇ……」

 

「ガゼルは美味いぞー」

 

「知ってますよ、昔、ゲテモノ料理店で食べさせられましたから」

 

「ああ、そうだったね」

 

「ええ、嫌だと言っているのに、カブトムシの幼虫とか食べさせられましたからねぇ……!!!」

 

「まあまあ、人生は経験だよ♡」

 

「そんな経験いらないんですよねぇ?!!」

 

「そこぉっ!!!」

 

『キュイイッ!!!』

 

よし、仕留めたな。

 

そして、ガゼルのもも肉をステーキにして、パンに挟んでステーキサンドにしていただきます!

 

「うわ……、相変わらず、旅人さんってお料理が上手ですね……」

 

「いや、材料が良いのよ。新鮮な肉は塩かけるだけでも美味いのよね」

 

さあ、今日はここでキャンプだ。

 

「あ、あの、一人で寝るのは怖いので、隣で寝てもらえますか?」

 

「いやー、流石にアイドルと同衾はやべーわ。潮を隣で寝せとくからそれで」

 

「あ、はい」

 

俺は見張り、と。

 

「あの、潮さん」

 

「はい、何ですか?」

 

「潮さんは艦娘さんなんですよね?色々、お話を聞いても良いですか?」

 

「もちろんですよ」

 

ユウジョウ!

 

 

 

次の日の朝。

 

「幸子ー、起きろー」

 

「むにゃ……、はい……」

 

「起きなきゃ死ぬぞ」

 

「………………え?」

 

「ほら、外を見ろ」

 

「「「「うぼ!うぼ!うぼ!うぼ!」」」」

 

血塗れの斧を持った矮躯の黒人が集まってきた。

 

「な、なな、何ですかあれ?!」

 

「この辺に棲んでいる首狩り族のヂボバ族だ。交渉は不可能、突っ切るしかない。早く車に乗れ!」

 

「ひ、ひいっ!わかりましたっ!」

 

「「「「んぼばばばーーー!!!!」」」」

 

「突っ込むぞ!!!掴まれッ!!!」

 

「ひぎゃあああああああっ!!!!」

 

 

 

「全く、朝から災難だったな」

 

「く、車の後ろ側に、投げ槍がガンガンって!」

 

「ん?旅人号一号の装甲をぶち抜くなら、対艦砲くらいじゃなきゃ無理だぞ」

 

「怖かったです……、本当に」

 

「仕方ないな、『魔除け』の儀式をするか」

 

「そんなんできるんなら最初っからやってもらえませんかね?!!!」

 

よし、じゃあ……。

 

『偉大なるオニャンコポンよ、我らに加護を与えたまえ』

 

そう言って、生贄に適当なガゼルを一匹捧げた。

 

「よし!」

 

「何したんですか?」

 

「この辺りの神様に生贄を捧げて、代わりに一時的な加護をもらったの」

 

「ほへー、すごいですね。効くんですか?」

 

「そりゃ効くともさ」

 

 

 

「そして、ここが秘境ンゴロンだ!」

 

「ここに来るまで色んなことがありましたね……」

 

「じゃあ後は俺が四人に分身してギター、ドラム、キーボード、ベースをやるから、幸子は歌ってくれ」

 

「はい!」

 

 

 

「ヤバい!シャンゴ神が荒ぶっている!このままだとアフリカ一帯が吹き飛ぶぞッ!!!」

 

「はい?!!!」

 

「俺はちょっと命がけでシャンゴ神を調伏してくるから、幸子は潮と逃げろッ!!!」

 

「えっ、えええええ?!!!」

 

「提督、ご武運を!」

 

「おうッ!!!行くぞおおおおおっ!!!!」

 

 

 

 

 

「で?武内君。数字はとれた?」

 

「バッチリです……!特に、輿水さんが、怒れる神を歌で鎮めた辺りが大好評でした……!」

 

「それなら良かった。いやー、俺が遠出すると、何故か事件が起きちゃうんだよねえ」

 

「はい……、ですが、輿水さんには怪我一つなく……」

 

「まあ、良かったか」

 




輿水幸子
元旅人の担当アイドルの一人。エベレスト山頂からマリアナ海溝の底まで、幅広いところでライブをした経験がある。


概ねまともなので、こう言った護衛任務にはよくついてきてくれる。

旅人
担当アイドルを抱えながら、陸海空どこへでも行ってどこでもライブさせる悪魔。担当アイドルは問答無用でイ〇トみたいなことをやらされるが、視聴率は馬鹿みたいに高くなる。

346プロ
神プロダクション★★
億単位のファンがいる芸能事務所。日本は当然ながら、有能な武内Pや、気狂いじみた営業をした旅人元Pのせいで、アフリカの秘境の地から宇宙の果てまでにファンがいる。マクロスかな?って感じ。

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