旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ワニワニパニック。


503話 一ヶ月1万円生活

旅人の一ヶ月1万円生活!

 

「えー、黒井鎮守府のYouTubeチャンネルに、面白い動画を投稿する為に、俺と艦娘の一ヶ月1万円生活をやろうと思う。まず、お手本がわりに俺が一ヶ月を1万円で生活してみせるから、よーく見ておけよ!」

 

「はい!」

 

 

 

一日目……。

 

『まず、増やすか』

 

そう言って、合法のカジノへ乗り込んで、1万円を100万円に増やした。

 

 

 

「え?ちょっ、ちょっと待ってください。増やすのってレギュレーション違反じゃありませんか?」

 

と青葉。

 

「そんなこと、どこにも書かれてないだろ?」

 

「いや、増やすのアリだと、霧島さんや白露型、夕雲型の一人勝ちになりますよ?」

 

ふーん?

 

「じゃあ、増やすのはナシってことで」

 

 

 

二日目。

 

「節約する為に森で暮らそう」

 

ロケ用のマンションのブレーカーを落として、肥沃な北海道の森を目指して歩き出した。

 

 

 

「い、いや、だから……、レギュレーション違反では?」

 

「でも、浜◯も魚とりに海行ってたじゃん」

 

「森はアウトでは?」

 

 

 

三日目、北海道の森へ到着。

 

「しゃあ!」

 

その辺の木々を切って成形し、家を建てる。

 

家と言っても、小さなあばら屋だ。

 

原始人レベル。

 

 

 

「えっ、これもう、プリミティブ◯クノロジーじゃないですか!原住民兄貴じゃないですか!」

 

「良いだろ?」

 

「ダメです」

 

「ああああああ」

 

 

 

四日目、狩り。

 

磨製石器を取り付けた投槍で鹿を仕留めて、黒曜石のナイフで解体。

 

鹿肉と野草を焼いて食べる。

 

余った鹿肉は、干し肉にする。

 

塩は、海水から魔法で抽出した。

 

 

 

「いや、魔法は駄目でしょう?!」

 

「え?そうかな?」

 

「魔法ありならヌルゲーになっちゃうじゃないですか!」

 

そうかな……?そうかも……。

 

 

 

五日目、魚とり。

 

『はあっ!』

 

勢いよく海に潜り、手製のモリで魚を集めた。

 

黒曜石のナイフで綺麗に魚をさばいて、一部を干して、一部を土器に入れて魚醤にした。

 

なお、魚醤は魔法で発酵させられて、一日でできる。

 

 

 

「人間社会での生活より、野生での生活の方が手慣れてるの、本気で怖いんですが……」

 

「いや……、そりゃあ、どちらかと言えば、社会より森で生きる方が楽だしなあ」

 

「現代人のセリフじゃないですよねそれ……」

 

 

 

飛んで八日目、熊との戦い。

 

『ガアアアアアアアッ!!!!!』

 

『うおおおおおおっ!!!!』

 

三十分に渡る死闘の末、熊を仕留める。

 

熊肉は、山芋と山菜と共に、昆布出汁と魚醤で煮込まれてスープにした。

 

余った肉や肝は乾燥させておく。

 

 

 

「おもむろにゴールデンカムイになるのやめてもらえます????」

 

「一時期、アイヌの里に厄介になってた時があるんだけどさ、アイヌって、子熊を育ててから、大人になったら殺して食うのよね。それをもらったことあるんだけど、アレは美味いぞ〜?家畜は、食べている餌で肉の質や味が変わるからな!しっかり育てられた熊は美味い!」

 

「提督、私は提督のことが本気で大好きで愛しているので、できればこんなこと言いたくないんですが……、貴方、頭おかしいですよね?」

 

 

 

十日目、森から出て、熊の肝や干し魚などを地元民に渡す。

 

それと交換で、野菜や調味料、卵などをもらう。

 

 

 

「森の民ロールプレイやめてもらえません????エルフか何かですか貴方は」

 

「こんなムキムキのエルフは嫌だなあ……」

 

「でも、やってることは完全に森の民ですよね」

 

「まあ多少はね?」

 

 

 

十二日目、木霊と触れ合いながら料理を作る。

 

狩ったウサギをさばいて細かく切り、米を土器で炊いて、卵と魚醤、玉ねぎを使って、親子丼もどきを作る。

 

木霊達にも、干し肉を分けてやる。

 

 

 

「えっ、えっ、ちょ、ちょっと待ってください……。アレ、何ですか?」

 

「ん?ああ、木霊だよ。古い森によくいる、妖精さんみたいなもんだよ」

 

「えっ、は?そんなのいるんですか?」

 

「いるよ」

 

「ま、まあ、それは良いとして、何で馴染んじゃってるんですか?」

 

「よくあるよくある」

 

「ええー……」

 

 

 

十三日目、森に現れた魔化魍から、木霊達を守る為に戦う。

 

『キシャアアアアッ!!!!!』

 

『うおおおおっ!!!!』

 

『『『『がんばえー!』』』』

 

一時間に渡る死闘の末、魔化魍を退治した。

 

しかし、傷は深く、丸一日の休息が必要になった。

 

 

 

「いや……、だから、突然に番組が変わるの、やめてもらえませんか????」

 

「よくあるよくある」

 

 

 

十五日目、魔化魍に壊された小屋の修復。

 

木霊達が手伝ってくれたおかげで、見事なツリーハウスになった。

 

 

 

「幻想的ですね」

 

「まれによく見る展開だな」

 

 

 

十八日目、森の守り神と邂逅。

 

『あなたがこの森の神か』

 

『………………』

 

『そうか……、わかった。あと十二回、陽が沈むまではこの森に滞在する予定だったが、そうとあれば力を貸そう』

 

『………………!』

 

『いや、礼はいらない。短い間とは言え、森に住ませてもらった礼だ』

 

守り神は、鹿の角を生やした、白い衣を纏う白髪の美女の姿だった。

 

 

 

「だから……、さっきから番組が乱気流のように変わってるんですよね?」

 

「これくらいよくあるだろ?森に住んでれば、守り神と会うだろ、普通は」

 

「普通の人間は森に住みませんし、守り神にも会わないんですよォ……!!!」

 

 

 

二十日目、とろろご飯を食べる。

 

二十一日目、味噌鍋を食べる。

 

二十二日目、山菜かゆと川魚を食べる。

 

二十三日目、木霊と一緒にポトフを食べる。

 

二十四日目、木霊と森の守り神と一緒に山菜うどんを食べる。

 

 

 

「何やってんですか」

 

「いや、来るべき決戦に備えて、体力をつけてるんだよ」

 

 

 

二十五日目、決戦に向けた準備を始める。

 

投槍、弓矢を用意して、人里から貰ってきた紙に、自らの血液を使って魔法陣を描く。

 

また、周辺に大量のトラップを仕掛ける。

 

 

 

「一体何が始まるんです?」

 

「第三次世界大戦だ」

 

 

 

二十七日目、狂える荒神との決戦。

 

『オ、オ、ロ、ロロロロロロロロロ……!!!!』

 

『うおおおおっ!!!!』

 

『………………!!!!』

 

『『『『がんばえー!』』』』

 

腐った鹿のような姿の荒神を、トラップと魔法で足止めして、身を挺して森の守り神の盾になり、力の限り戦った。

 

丸一日に及ぶ戦いの果てに、荒神を封印することができた。

 

 

 

「だから……、だから本当にもう、何やってんですか????」

 

「え?何って……、森の守り神と一緒に、荒神から森を守っただけだが?(なろう)」

 

「何ですかそれ?外出たらすぐトラブル起こすのやめてもらえません????」

 

 

 

三十日目、最終日。

 

森の守り神と、木霊達と共に戦勝を祝って宴会。

 

 

 

「何ですかね、これは」

 

「いや、しょうがないだろ?守り神様、美人だったし。森に住ませて貰った恩を返したかったし」

 

 

 

結論。

 

「お金を増やす、魔法を使うの二つはレギュレーション違反ですね」

 

「そうか……」

 

「でも、これはこれでめちゃくちゃ面白い映像なので、アップします」

 

「やったぜ」

 




森の守り神
旅人が男だったので、わざと女の姿になってお願いしてきた策士。

旅人
まんまと森の守り神の策にハマり……、という気持ちもあったが、森への恩返しがしたいという気持ちもあった。はりつめたーゆみをー。

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