旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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5話 ジョブチェンジ

「いやー、桃さんの息子かー!大きくなったなー!!」

 

「押忍!ご無沙汰しております、新台さん」

 

「うん、久しぶりー。前にアメリカで会ったときはまだまだ子供だったのになぁ。今じゃ親父さんにそっくりの男前だ」

 

「はは、ありがとうございます。前に会ってからもう何年も経ちましたからね」

 

榛名ちゃん達を鎮守府に送り届けた次の日、俺は日本で知り合いへの挨拶回りを続けていた。

 

まあ、一応追われる身らしいので、そろそろ海外に飛ぼうかな、とは思ってる。

 

でも、あの調子じゃまだ大丈夫だろ。追っ手も来ないし、ゆっくり挨拶して回ろう。

 

「いたぞ!!」

 

「動くな!新台真央!!」

 

「お前は完全に包囲されている!!」

 

 

 

あっれー?追っ手が来ちゃったなー?

まだ大丈夫と思ったんだけどなー?

 

 

 

「……今度は何をしたんですか、新台さん」

 

「失礼な。人がいつも何かしでかしてるみたいに。うーん、海軍の提督とかいう奴に気功を放っただけなんだけどなー」

 

「……艦娘を指揮する提督のことですね?不味いですね、それは」

 

「そうなの?」

 

「ええ、提督は先天的な適合率がないものにはなれませんから。現在、深海棲艦に対抗出来るのは艦娘、そしてそれを指揮する者を提督と言います。言わば提督は要人の類です」

 

「……へぇ、要人なら無抵抗な女を殴っても許されるのか」

 

「……成る程、そう言う事ですか」

 

そう言って、息子さんは背中のダンビラを構えた。

 

「新台さんが見たのは、所謂ブラック鎮守府と言うものでしょう。聞けば、女子供である艦娘達に酷い扱いをしているとか。そんな奴らには、日の本の男児を名乗る資格はありません。……加勢します、新台さん。逃げて下さい」

 

やだ、カッコイイ。女だったら惚れてる。

 

 

 

だが俺は、今にも憲兵に飛びかからんとしている息子さんのダンビラを押さえる。

 

「やめなよ、桃さんに迷惑がかかっちまう」

 

「しかし……!」

 

「なーに、マジでヤバくなりゃ尻尾巻いて逃げるさ。それに、これ以上桃さんに借りは作れねえよ」

 

俺は両手を上げ、憲兵に言う。

 

「おーい、降参だ、降参。捕まってやるよー。あ、この青年は関係ないよ、道を聞いてただけだ」

 

「……良いだろう。オイ!早く拘束しろ!!」

 

すると、あっという間にまるで凶悪犯か何かみたいにぐるぐる巻きにされ、ごっつい護送車にぶち込まれた。

 

 

 

「……俺と親父だって、貴方に借りがあるんですよ、新台さん……!」

 

 

 

最後に聞いたのは、息子さんの悔しそうな呟きだった。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「…………きろ」

 

「……起きろ!」

 

「オイ!起きろ!!」

 

 

 

「んあー!!なーんだよもー!!うるせーな!!」

 

「貴様ぁ、どういう神経をしている?!どうしてこの状況で居眠りなんてできるんだ?!!」

 

「俺くらいの一流の旅人なら、いついかなるところでも寝れるんだよ」

 

因みに、今の俺は拘束服を着せられて、その上から黒革のベルトでしっかりと椅子に固定されている。そして、頭には麻袋を被せられている。拘束服って厚手であったかいから眠くなるんだよね。

 

「訳の分からんことを……!」

 

「まあ、このくらいなら稀によくあるよ。モスクワの刑務所よりは悪いが、グルジアとベネズエラよりかはマシだな。待遇が」

 

いやー、グルジアとベネズエラはキツかった。誤認逮捕だったせいか、一月くらいで出れたけど。モスクワではスパイの知り合いに会ったっけ。

 

「減らず口を!!」

 

そのとき、急に偉そうな声が響いた。

 

「……もういい、退がれ」

 

「はっ!」

 

喧しい方が退がると、偉そうな方が俺に話かけてきた。意識を集中すると、自分が広い部屋の中にいて、複数人に囲まれていることが分かった。

 

「……こんにちは、新台真央君。さて、君は自発的に逮捕された様だが、勿論、逮捕された理由は分かっているね?」

 

「あ、お茶くれない?」

 

「貴様!恐れ多くも元帥閣下の前で!!」

 

「よい、退がれ。二度は言わん」

 

「は、はっ!申し訳ございません!!」

 

「はっはっは、中々に肝が据わった男だな、君は」

 

「まあ、肝が据わっていなければ、あれだけのことは出来ますまい」

 

「或いは、ただ考える頭のない愚か者か、ですな」

 

オイオイオイ、偉そうな声が増えたわ。

 

「どちらにせよ、結果は変わらん。君は、現在、国防の要である艦娘を唯一制御できる存在、提督を一人再起不能にした。この罪の重さは分かるだろう?」

 

「そして君が暴行した提督は、この海軍の幹部の一人、阿志岐大将の一人息子だ」

 

「つまり、君は、」

 

その時、俺のポケットに入っている携帯電話が震えた。きっと知り合いだろう、電話先の相手を待たせるのは悪いので、少々お行儀がよろしくないが、拘束服と拘束具を引き裂いて、ポケットから電話を取り出した。あと、話辛いので、頭の麻袋も取った。

 

「ごめん、ちょっと待って、電話かかってきた……。あー、もしもし、息子さん?どうしたの?え?大丈夫かって?いや、お茶頼んだのに一向に出てこないなーってくらいで。何?うん、はいはい、あー、悪いね、なんか。いやー、また借りが出来ちゃったなー。うんうん、はい、ありがとねー、じゃ、また。……あっ、ごめんごめん、続きどうぞ?」

 

 

 

「……う、撃てい!!」

 

 

 

なんか撃たれた。怖っ。当たっても死にはしないが、つい癖で迫る銃弾をブロッキング、威力を完全に殺す。

 

「オイオイオイ、危ねえな」

 

「馬鹿な!!」

 

「防いだだと?!!」

 

「ありえん!あの報告は本当だったと言うのか?!!」

 

何をそんなに驚いているのか理解不能状態。ただの銃弾なんてその気になればいくらでも防げるじゃん。

 

その時、部屋の片隅にある、黒電話が鳴り響く。

 

「…………」

 

が、誰も出ない。

 

「誰か出てやれよ」

 

が、誰も出ない。

 

「……化け物め……!!」

 

などと、シリアスな雰囲気を出しているが、電話に出ない。

 

もうしょうがないので、俺が出ることにした。拘束具?ああ、スクラップになったよ。

 

「はい、もしもし」

 

『……遅い!!』

 

「ゲェーーーッ!!!そ、その声は!!も、桃さん!!」

 

『ん?新台か?何故お前が出たんだ?ここは海軍本部ではないのか?』

 

「さ、さぁ、俺はここに連れてこられただけなもんでして。何の説明もされてません、何も知りません、悪いことしてません」

 

『ほう、ではこの提督に暴行をした男、新台真央を逮捕、と言う報告は虚偽だと?』

 

「…………いや、し、知らない系のやつです、はい」

 

『……はぁ、直ぐにバレる嘘を吐くな。詳しくは獅子丸から聞いている。さあ、元帥殿と代わってくれ』

 

「は、はーい、分かりましたー!オイゴラァ!元帥殿とか言うやつ!!電話代われ!!」

 

「なっ、何を、」

 

「早くしろ!死ぬぞ!!(俺が)」

 

「お、脅すつもりか?!」

 

「どうなっても知らんぞー!!」

 

桃さんは怖い。それはもう怖い。桃さんの友人も怖い。何が怖いって、馬鹿みたいに強いのだ。特に、気功の扱いは俺の何枚どころか何十枚も上手なんじゃないかな?そして、軍国時代並の根性論で不可能を可能にするから始末に負えない。

 

「わ、分かった、代わろう、代わるからやめてくれ!……も、もしもし、私だ」

 

『もしもし、元帥殿か?私だ』

 

「あ、貴方は、剣総理!な、何の御用でしょうかな?」

 

『端的に言おう、その男の処遇についてだ。処刑は許さん。まず、提督の適性検査を行え。その結果を見てから、今後の処遇を決めろ』

 

「きゅ、急に何を仰る?貴方の命令にはいつも根拠がない!第一、何の権限があって、」

 

『防衛庁長官からの要請もある』

 

「な、何ですと?!この男は一体何者なのですか?!」

 

『……知り合いだ。兎に角、検査を行え、いいな』

 

桃さんってば、一方的に電話を切ったみたいだ。あの人、歳をとる毎に塾長に似てきてないか?

 

「……適性検査装置を」

 

「はっ?」

 

「適性検査装置を持ってこい!!命令だ!!」

 

「は、はっ、了解しました!」

 

「あ、ついでにお茶お願い」

 

「わ、分かった、分かったから暴れないでくれ」

 

何だよ、人をB.O.W.みたいに。

 

×××××××××××××××

 

こいつ、爽健美茶買ってきやがった、信じられねぇ!急須で出せや!!せめて伊右衛門にしろや!!!

 

まあ、予め言っておかなかった俺が悪いか。次からは急須で淹れてもらおう。

 

そんなこんなで、俺は今、ガイガーカウンターみたいな機械で何かを計られてる。俺から放射能は出てないと思うぞ?

 

が、機械は、けたたましい音を上げると、小さな爆発音と共にスクラップになった。

 

「えっ、嘘、放射能出てたの?!」

 

「適合率測定不能だと?!!」

 

「ありえん!!何かの間違いだ!!」

 

大騒ぎである。

 

お偉いさん達は難しい話をし始めるし、もう俺要らないんじゃないかな?帰りたいんだけど。

 

「いや、先程銃弾を防いだのも、妖精さんの力では?」

 

「これ程の適合率なら有り得るかもしれん、まだ仮定だが」

 

「しかし、危険過ぎる!」

 

「総理子飼いの者だろう、少なくとも損はしない!!」

 

「制御しきれるか?」

 

「いつもの手を使え!それにマスコミやネットは掌握済だ、最悪、大衆を利用すれば良い!」

 

白熱する議論、眠くなる俺。

 

俺の眠気が限界ラインに差し掛かる前に、元帥殿とか言う奴が俺に言った。

 

「では、明日から、君は特務大佐として、黒井鎮守府の提督になってもらう!!」

 

「えー」

 

「ふっ、新台君、確か君には妹がいたね?命令に従わないのは自由だが、その場合、妹さんの身の安全は保障できないな」

 

あっ、何だろうこれ、人質とかそう言うのだ。しかし、妹にどうこう出来るほどの力がこの連中にあるのだろうか?あの子はラップトップ一つで原子力空母を掌握するような、桃さん達とは別ベクトルの化け物だぞ?まあ、身体能力は小学生並みだし、万が一って事もあるだろうから、言う事聞いておくか。

 

「はーい」

 

「くっくっくっ、よろしい。我が国の為に全力で働いてくれ給えよ」

 

ん?あれ?俺、もしかして、就職先決まった?

 

 

 

 

 

 




桃さん
総理大臣。
最近は息子と宇宙に行って宇宙人とインファイトしてるらしい。

息子さん
桃さんの息子。
親父譲りのハチマキと眉毛、ダンビラがトレードマーク。

防衛庁長官
桃さんの友人。
昔は10mくらいあったけど、最終的に2、3mで落ち着いた。

元帥殿
器が小さい。

偉い人達
器が小さい。

旅人の妹
技術チート。

旅人
人脈チート。
東に行けばSCPに出会い、西に行けば次元震に巻き込まれる。
そのため、常人とは常識が大幅にズレている。

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