旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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499話 青葉のインタビュー! その5

ワレアオバ!

 

はい、と言う訳でしてね!

 

外部組織のヤタガラスにインタビューをします。

 

前回は、修験道系の退魔組織である猛士にインタビューしましたね。

 

今回は、陰陽道系の退魔組織であり、かつて日本を裏から操っていた、とも言われるほどの組織、ヤタガラスに潜入インタビューです!

 

ヤタガラス……。

 

平安時代に作られた陰陽寮を祖とする組織ですね。

 

あの安倍晴明を頂点として結成され、日本という国に害をなす悪魔や、悪魔を操る組織を陰ながら始末して、日本の霊的な秩序を守ってきた組織です。

 

明治ごろまでは、敵対国家の政府高官の呪殺なども請け負っており、国家の中枢まで食い込んでいた巨大組織だったのですが、十年くらい前の政権交代の事業仕分けにより予算を百パーセントカットされ、見るも無残に弱体化しました。

 

それが最近、歴代最高の総理大臣と名高い剣桃太郎総理の手により、再び予算を配分され、再建しつつあるそうです。

 

しかしそれでも、規模や戦力は全盛期の五分の一から三分の一とも言われるほど小さくなっており、依然として油断はできない状態だとか。

 

私も、何かとデビルサマナーなどの裏事情と絡むことが多いので、基礎的な知識はあります。

 

多分、このインタビューの読者も、基礎的な知識はあるでしょう。

 

ですから、もっと突っ込んだ、裏事情とかを聞きたいですね!

 

しーかーもー!

 

インタビューに答えてくれる相手は、な、な、なんと!

 

あの、伝説の、葛葉ライドウさんですよ!

 

十六代目葛葉ライドウさんです!

 

ライドウと言えば、ヤタガラスの言わば核兵器です!

 

刀一本でマクロスくらい大きい邪神を三枚におろす化け物ですね!

 

当然、私レベルじゃ勝てませんね。

 

多分、黒井鎮守府でも、艦娘の中でも最高戦力と呼ばれるトップテンくらいしか相手にできないと思います。

 

ライドウさんの強さは、魔界に存在している神の本体にも届きうるそうですからね。

 

そんなライドウさんにインタビューできるなんて光栄ですね!

 

さあ、行くよガサ!

 

 

 

では、よろしくお願いします。

 

「よろしく」

 

黒猫を連れた黒マントの美男子……。裏社会の人間にしては目立ちませんかね?

 

「そうですね」

 

何故マントを?

 

「これは、退魔の力を込められた布でできているので、丈夫なのです。大砲でも破れません」

 

なるほど、防具ってことですね。さて……、では、最近のヤタガラスについてお話ししてもらいましょうか。弱体化しているとのことですが?

 

「明治ごろまでは、日本にはガイアーズやメシアンは殆どいなかった。それが、今では様々な組織が入り乱れている。ヤタガラスがどう弱体化したのかは、組織の一員として詳しくは話せないが、少なくとも、規模が収縮したのは確かだ」

 

ですが、最近は持ち直してきたとか?

 

「やはり、剣首相の尽力によるものだと思われる。予算がないのはあまりにも……」

 

前政権はそれほど良くなかった?

 

「前政権のありとあらゆる行動が、日本の弱体化に繋がった。もう二度とこのようなことがないようにしてもらいたいと思う」

 

私の勝手な印象なんですが、国を守るという使命に燃えた人なら、無給でも働けるんじゃないですかね?

 

「デビルサマナーも人間だ。霞を食って生きている訳ではない。皆、食っていくため、家族を食わせていくため、どんどん他所へ行ってしまった……」

 

予算がもらえるようになっても、減った人員は戻らないってことですね?

 

「ああ……、葛葉四天王も、私とゲイリン殿を残して皆散っていった。それだけで、ヤタガラスの戦力は半減したと言えるだろう」

 

なるほど……。では、ライドウさんとしては、今後の展望はどうするべきか、とか考えていますか?

 

「今後の展望か……。問題は全て、時間に解決してもらう他ないと思う。剣首相が総理の席に座って、予算を配分してもらえているうちに、ヤタガラスそのものが金策の手段を得るべきだろう」

 

なるほど。

 

「幸い、戦力そのものは、黒井鎮守府隷下のデビルサマナーに任務を委託すれば確保できる。難敵が相手でも、かなり高額とは言え、艦娘を雇えば、葛葉四天王並の成果が期待できる。問題は本当に、時間をかけて足場を固めることだけだと思っている」

 

よく分かりました。今は耐える時な訳ですね。ですが、そんなことを外部の人員である私に言っても良かったんでしょうか?

 

「構わない。ヤタガラスの……、いや、デビルサマナー業界全ての試算では、少なくともあと十年ほどは大きな戦いはないと思われている」

 

それは何故でしょうか?

 

「実は……、二十年ほど前、そちらの旅人と、先代たる十五代目葛葉ライドウが協力して、最終戦争の勃発を防いでいてだな……」

 

………………はい?

 

「本来なら、二十年前に世界は一度滅んでいるはずだったんだが、その運命を旅人がねじ曲げてしまったのだ」

 

………………え?な、何やってるんですか提督は。

 

「自衛隊の五島なる人物がクーデターを起こして政府を転覆し、アメリカ大使トールマンに化けた魔神:トールが激突し、日本にICBMが降り注ぎ滅亡する予定だった、だが……」

 

だが?

 

「旅人がクーデター中の五島に対して徹底的な妨害工作を行い、結果、クーデター軍は内部分裂により崩壊。トールマンは罠に嵌めて足止めしたところを、先代ライドウと共に封印し、ICBM発射装置を奪取。逆にICBM発射基地に対してクラッキングを行い、基地機能を損失させた」

 

うわあ。

 

「五島は、クーデター軍が崩壊したことによる混乱の最中に、乱闘に巻き込まれて死亡。トールは封印された後に先代ライドウの悪魔合体材料にされたそうだ」

 

な、なるほど……。

 

「因みに、当時の旅人は高校生だったらしい」

 

さ、流石は提督……。

 

「本来であれば、運命に選ばれし三人が解決すべきであった事件、これから来たるべし戦乱の世。全てをぶっちぎり、ことの元凶を抹殺した手練れ。まったくもって天晴れだと、私は称賛する」

 

ええと……、それで、起きるはずだった戦争が起きなくて、どうなったんですか?

 

「起きるはずだった大戦争が起きなくなることにより、マッカ、マグネタイトの相場は大暴落し、来るべき日のために揃えた悪魔は、維持できなくなり持て余し……。結果として、あらゆる組織が大打撃を受けた」

 

なるほど……。

 

「ガイアーズ、メシアン、ヤタガラス、全ての組織が破綻して、人が離れていった。戦争のために蓄えた力が維持できなくなった訳だ。故に、どこの組織もとにかく人が少ない。回復には三十年はかかるという試算だった」

 

ふむふむ、つまり、あと十年もすればまた戦争が?

 

「いや……、戦争は無理だろう。今は、ガイアーズ、メシアン、ヤタガラスの三組織を全て合わせたものよりも更に戦力も勢力も大きい組織が台頭しているからな」

 

それは、やはり……?

 

「ああ、黒井鎮守府だ」

 

そうですか……。うちってそんなに強いんですかね?提督はいつも、大きな組織から睨まれたらすぐにやられてしまう零細企業だと言っていますけど。

 

「それは旅人お得意の、異常なまでに過ぎた謙遜……、いや、臆病さから来るものだろう。旅人は、あれで、自分のことをちっぽけなただの人間であると思い込んでいる」

 

ああ……、分かります……。

 

「断言しよう、旅人は、ヤタガラスの全てを敵に回しても平気で生き延びるだろう、と。あれは異常だ」

 

そうですよね。

 

「絶対に死なない、囚われない、呪いも効かない、その上であらゆる能力が高水準にまとまった超人。それが、葛葉四天王クラスの部下数百人を指揮している。悪夢としか言いようがない」

 

でも、流石に、それだけじゃあ……。

 

「配下のデビルサマナーはおよそ五百万人。下部組織の人数は三千万人を超えて、八十兆円もの資産を持つ組織に対抗できる組織がどこにあるのか、こちらが聞きたいのだがな」

 

はえー、黒井鎮守府ってそんなことになってたんですか。凄いですね。

 

「何故他人事のように……?」

 

え?いや、だって、私には関係ありませんからねえ。正直、私達艦娘は、同じ艦娘と提督以外は仲間と思っていませんから。下部組織への依存度合いが低いってことですね。

 

「……成る程。やはり、恐ろしいな、黒井鎮守府は……」

 

 

 

と言う訳で、ライドウさんにインタビューしてきましたよ!

 

今回も結構売れました!

 

それで、最近聞いて知ったんですけど、この黒井鎮守府新聞って、下部組織に無料提供されてるみたいですね。

 

そもそも、黒井鎮守府に下部組織とかあったんですねえ。

 

提督が、深海棲艦騒ぎで職を失った海運業者や漁師の人達を雇ったって話は聞いてましたけど、まさか世界規模でやっているとは思いませんでした。

 




十六代目
二十代くらい。もみあげ鋭い。男。テライケメン。

青葉
ポジション的にはサウンドウェーブ。

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