旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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あー、なんか真面目にストーリーっぽいことしてるなー。

次も、その次もストーリー(?)が進む、と言うか、何と言うか。真面目な話は嫌いなんだがなぁ?


46話 パルパルパルパル妬まスィ

……「Admiral、ユー、日本語、上手くなった?……本当?嬉しい!」

 

……「あら、提督、今日は和食なの?……このニクジャガ、とか言うの、中々美味しいわね」

 

……「Admiral?お酒?そうね、今日はスロー・ジンが飲みたいわ……。うん、美味しいわね、やっぱり。Admiralもどうかしら?」

 

……「おお、Admiralどうした?私に何か用か?……ふむ、今日の昼食か。……ハンバーグはどうだろうか。うむ、そうか。……その、良ければ、クラップフェンを作ってもらえるか?そ、そうか、ありがとう」

 

 

 

「ぜぇえりゃあ!!!!」

 

「うおっと!……今日は一段と気合いが入っているでありますな、長門殿!!」

 

「……む、すまない、怪我でもしたか?」

 

ここは、鎮守府の体育館に併設された道場。目の前に立つのは、組手に付き合ってくれているあきつ丸だ。今はミットを持ってくれている。

 

「はは、大丈夫でありますよ。……ですが、何か悩み事があるご様子。……話くらいなら聞くでありますよ、長門殿」

 

「……うむ、それがな……」

 

 

 

「……はあ、要は、海外艦達が提督と近過ぎる、と?」

 

「まあ、そうだな」

 

組手を切り上げた私とあきつ丸は、シャワーを浴び、休憩室の和室でくつろぎながら、言葉を交わす。

 

「その、それは、なんというか……」

 

難しそうな顔をするあきつ丸。

 

「はは、嫉妬だな。笑ってくれて構わん」

 

「い、いえ、笑うなどと……。自分自身は、あまり気にしていませんが、普通ならば気になるでしょうね、あれは」

 

……そう、最近の提督は、海外艦達に付きっ切りなのだ。いつも、足が不自由なウォースパイトと、日本語が苦手なドイツの艦娘達と共にいる。

 

「む、あきつ丸はあまり気にならないのか?」

 

「ええ、自分は、あのお方に仕えられればそれで充分でありますから」

 

「そうなのか?……あきつ丸は、私と違って可愛らしいだろう?提督から寵愛を受けようとは思わんのか?」

 

すると、あきつ丸は、白い頬を赤らめ、こう言った。

 

「……その、それは、この鎮守府の艦娘ならば誰でも思うことでありましょう。それよりも、何故こんな事を?色恋の話など、らしくないでありますな」

 

「いや、それはな。……同室の、陸奥がなぁ……」

 

「……あー、成る程」

 

……そう、陸奥は嫉妬深いのだ。この私でも、若干の嫉妬を覚えるくらいのことだ。陸奥がどうなるか、簡単に想像がつく。

 

「陸奥殿、出撃の度に返り血塗れでありますからなぁ……。敵の屍に執拗に拳を振るったのでありましょう。きっと、今日も血塗れで帰って来るのでありましょうなー」

 

陸奥は、私と違い、長門型としての腕力だけでなく、技巧を持ち合わせている。普段は、その技巧を以って、深海棲艦を華麗に討ち亡ぼすが、今はただ、怒りのままに暴れているような印象だ。

 

だが、幸いというかなんというか、私達はそこらの深海棲艦にやられる程弱くはない。力任せに殴るだけでも充分すぎる戦力だ。……だからこそ、前までとは打って変わって、凄惨な戦いをする陸奥に文句は言えない。

 

「……陸奥殿だけでなく、最近、艦隊の一部がとても不機嫌なのも、やはり?」

 

「だろうなぁ……」

 

夕立は、金の髪が血色に染まるまで戦い、深海棲艦の腹に手を突っ込み、臓腑を引き摺り出して殺す。その相棒の時雨もまた、酷く惨憺たる殺し方をする。あれではまるで、戦いではなく狩りだ。

 

大井は、自慢の魚雷を使わずに、いたぶるかのように深海棲艦を蹴り殺し、愛宕は、巨大な大槌で頭をかち割って殺し、榛名は、全身の関節を外し、骨を折り、捩じ切って殺す……。

 

「だが、ああしてガス抜きをしなければ、おかしくなってしまうからな……」

 

「もう(おかしく)なってると思うでありますが……?(名推理)」

 

「……そう、だな。うむ、提督に具申してみるか……」

 

「お伴するでありますよ、長門殿」

 

 

 

×××××××××××××××

 

「……と、言う訳でだな、この国に慣れない海外艦達のことは分かるが、他の艦娘のことも気にかけてもらえないだろうか……」

 

あー、やっぱり?ま、知ってたけどね?そりゃあ、あの子ら、あんなに血の匂いをぷんぷんさせておいて「何でもない」とか言うし。尋常じゃないですわ。

 

「うーん、分かってるよ?あの子らにも無理はしないように言ってあるから、大丈夫だとは思うんだけど……。やっぱり、辛そう?」

 

「……まあ、そうだな」

 

そっかー、キツイかー。……まあ、付きっ切りなのは今日までの予定だし、問題は無いな。

 

ビスマルクさんも段々歩み寄ってくれて、マックスちゃんも話しかけてくるようになって、グラーフさんは胃袋を掴んだし。

 

後は、戦場で大暴れするあの子らのご機嫌とりですかね?

 

と、その前に。

 

えい。

 

「……この手は何だ?提督?」

 

「いや、寂しがってたらしいから、撫でてる」

 

「……その、私のような女を撫でても楽しくはないだろう?」

 

はっはっは、何を仰る。

 

「長門、君はね、君が思っているよりずっと良い女だよ。……少なくとも、俺は長門のことが、好きだよ」

 

「………………そう、か」

 

確かに長門は、普通の女性よりはるかに筋肉が付いているが、それはそれでアリなんだよなぁ。カッコいい系の美女だよ?全然アリ。

 

あきつ丸ちゃんは、あんまり寂しがってないみたいだけど、一応。

 

「あきつ丸ちゃんも、ほら」

 

「い、いやその、自分は……、畏れ多いでありま……、あう…………、これは、その、病みつきに…………!!」

 

あきつ丸ちゃん。おっぱい。巨乳丸。いや、口には出さないけど、かなり大きめ。日本人は小さめだと思ってたんだがなぁ。

 

「じゃ、俺、あの子らを迎えに行くわ……。そろそろ帰投するみたいだしさ」

 

呆けている二人を置いて、窓から飛び降り、沖に向かう。

 

 

 

「……やっぱり、あの人は凄いな。私が一番欲しい言葉をくれた……。つまらん嫉妬など、吹き飛んでしまったよ」

 

「……はは、自分も、惚れ直してしまったであります」

 

 

 

よせやい、照れるぜ。

 

 

 

 

 

「はーい、おかえり!返り血拭いて、お風呂入ってきな!あ、あと、今夜はカレーだよ!」

 

「「「「………………え?」」」」

 

え?じゃないが?

 

「提督、どうして、ここに?」

 

「海外の子達は、良いの?」

 

「ん?段々ここにも慣れてきたみたいだし、そろそろ良いかなーって」

 

「…………ふふふふふふ、そう、そうなの、じゃあ、やっと私のことを見てくれるのね?」

 

おや、陸奥ったら、血塗れのまま笑うと怖いよ?それにね、

 

「陸奥はこの一週間で戦艦を十八体沈めたんだってな?弾薬の消費も少ないし。……ちゃんと知ってるよ、見てなかった訳じゃないさ。でも、不安にさせてごめんな?」

 

こう言う時はね、謝るんだよ。例え自分が悪くなくても、取り敢えず謝っときゃ良いのよ。特に女の子にはね。

 

「……ううん、良いのよ!悪いのは、勝手にいじけてた私だもの!!」

 

あー、良かった、いつもの笑顔だ。

 

「皆んなも、良いかな?今回は、いきなり海外からあの子達を連れてきた俺が悪いんだ。だから、できたら、あの子達とは仲良くしてくれないかな?」

 

「はい!もちろんです!」

 

「まあ、同じ艦娘だし……」

 

だよなぁ、この子ら、ちゃんと思いやりがあるもの。自分と同じような境遇の艦娘達を見捨てられる訳がない。……だからこそ、どうにもならなくてイライラしてたんだろうけど。

 

でも、まあ、これにて一件落着ってことで。

 

 

 

「じゃあ、僕達は、お風呂に入って来るね……」

 

あ、嫌な予感。逃げよう。

 

「そうだ、提督も一緒に……、チッ、逃げられちゃったか……」

 

「もう、駄目よ?時雨ちゃん」

 

「陸奥さん……」

 

 

 

「次は、隙を見せた瞬間に全員で抱きついて拘束、そのままお風呂にブチ込むわよ。……良いわね」

 

 

 

 




長門
脳筋。黒井鎮守府ステゴロ最強。

あきつ丸
可愛い丸。趣味が鍛錬なので、大体は道場にいる。長物の達人。

陸奥
高い筋力と技量を持って、華麗に、踊るように戦う。

夕立、時雨
この黒井鎮守府の駆逐艦最強と言われる二人。血に彩られた酸鼻な戦いは狩りに例えられ、彼女達もまた優秀な狩人に例えられる。……かねて血を恐れ給え。

大井
蹴り技が魅力。北上と共にガイナ立ちで現れる。

愛宕
★大地の大槌装備。並の戦艦以上のパワータイプ。

榛名
戦艦にしては珍しい技量特化。投げ技と関節技のプロフェッショナル。

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