旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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冒険者ギルド物語2、進まねえ!!!


457話 義体

「フゥーッ……!!リングフィットアドベンチャー一人RTA42時間54分31.44秒ォォん……」

 

俺は、普通に暇だったので、最近話題のゲームを購入して運動していた。

 

「ヤバイな……、マッチョになっちゃう……」

 

「……それ以上マッチョになってどうするつもりなんですかねえ?」

 

おや、明石。

 

「何用かね?」

 

俺の私室まで来るとは。

 

「はい、ボランティアのお誘いです」

 

「ボランティア?」

 

「献血のようなものですね」

 

ああ、また何かの実験かな?

 

「ほい」

 

即座に手首を切り落とす。

 

「あっ、ストップです、ストップ」

 

「ほい」

 

手首をくっつける。

 

「提督、そのですね」

 

「何かな?」

 

「身体、くれませんか?」

 

身体?

 

うーん?

 

「どこまでの範囲で?」

 

「ここから……」

 

明石が俺の頭を触る。

 

「……ここまでですね」

 

明石が俺のつま先を触る。

 

「……全部じゃん?」

 

「はい、あ、脳は置いていくんで……」

 

んー……。

 

「まあいいよ、魂は弄らないでね、そこまでやられるとちょっと困るから。脳は適当に培養液に入れといて、あとはこっちで勝手に再生するから」

 

「……常識的に考えて頭おかしいですよね、提督って」

 

「いや、君みたいな可愛い子にくれって言われると何でもあげたくなっちゃうんだよなあ」

 

 

 

 

 

次の日。

 

『ん……?』

 

あれ?俺は寝ている間に脳味噌をぶっこぬかれて、昔会ったハワード・ロックウッドさんみたいにされてると思ったんだが?

 

いや、あそこまで脳がデカイわけじゃないが。どちらかというとマブラヴオルタ的なアレかもしれない。俺の武君はどこ……?ここ……?

 

『あー?あー、あー?』

 

アッレぇ?なんか声出るな?肉体ないはずなのにな?しかも電子音だ。初音ミクかな?

 

『瞳』で見てみると……。

 

『あー、そう来る?』

 

肉体は、黒井鎮守府製義体に置き換わっていた。

 

そうなんです、黒井鎮守府、戦闘用含めてサイボーグのボディを売ってるんです。

 

『サイボーグボディ、ハイエンドモデルか……。義体を使った経験はあんまりないからなあ……』

 

一部の拡張《エクステンド》はたまにしたりするけど、全身総入れ替えは殆ど未経験だな。

 

俺的には、鍛えればサイボーグ並の肉体にできるんだし、わざわざ整備性が低い義体にする必要なくね?みたいに考えてるし、何より……。

 

『エッチは生身の方が気持ちいいんだよ!!!』

 

ってことだな。

 

義体だと、脳内物質の抑制が入るし、抑制装置外して快楽物質ぶち込むと快楽が『ジャンキー』過ぎるんだよな。

 

やっぱり性行為はジャンクフードとは違うからね。オナニーならそれでいいのかもしれないけど、俺にとっては、セックスはコミュニケーションだと思ってるからあんまりそこに電子制御をぶち込むのは……。

 

ま、良いか。

 

折角俺用に義体を用意してくれたみたいだし、しばらくはこれを使おう。

 

さーて、動くかな?

 

『オッ、オオ』

 

駄目だな、レスポンスが遅い。

 

多分、三時間も使えば慣れるんだろうけど、これはちょっとやり辛いな。

 

知り合いのサイボーグにコツでも聞こうかな?十三とか少佐とか、雷電とか00ナンバーズの人達とか、クロちゃんとか……。

 

え?人達?

 

サイボーグは人だろ。

 

旅人カウントでは心があれば人と同様に扱うから。

 

その辺りの線引きで悩むのめんどくさくない?

 

お前も人!で良いじゃん?

 

『さて……』

 

立ち上がる。

 

パワーアシストめちゃくちゃ強いな、素の俺の十倍はあるぞ。

 

えーと、見た目は……、生体パーツ少量。

 

デュアルアイの下にエネルギーラインを通してある四角い頭に、手首の下に衝撃砲内蔵、背中にスラスター、腕には変形機構付きで、高周波ブレードになる。全体的にマッシブな出来だな。

 

この質実剛健な作りは明石だな?

 

夕張の作ったものは、もっと神経質なほどに精密で超高性能だ。

 

明石がスレッジハンマーなら夕張は日本刀。

 

明石がロケットランチャーなら夕張は対物ライフル。

 

明石がスーパーロボットなら夕張はリアルロボット。

 

あの二人は同類ながら思想は正反対だ。

 

『ん?』

 

《新作ボディの試用お願いします❤︎》

 

明石の手紙だ。

 

『試用っつってもなあ……』

 

機能の盛り過ぎで頭がガンガン言ってるし、神経チャンネルが多過ぎて上手く動かせない。

 

このレベルの義体を動かすとなると、数年レベルでの義体戦闘経験者とかじゃないと無理だろうなあ……。

 

難易度的には、複雑骨折した人体を筋肉だけで動かす感じかな?

 

両手で箸を持って爪楊枝を挟んで、その爪楊枝ではんだごてを持って精密ハンダ付けする感じ?

 

即ちまあ、常人には扱いきれないやつだね。

 

乗用車と飛行機くらい違う。

 

しかしまあ、俺も旅人。

 

旅人に不可能はあんまりない!

 

『えーと……、あ、このチャンネルか?えい!』

 

《転移システム、起動》

 

『っと、ォ!空間転移できた!』

 

ウィザードリィ的なことにはならなかった!

 

危なかったな!

 

でも、精度がアレだな、三五センチ上空に転移しちまった。

 

いや……、これは俺が使いこなせていないだけだろうな。

 

『加速装置!』

 

《加速装置、起動》

 

ふむふむ……。

 

『衝撃砲!』

 

《衝撃砲、起動》

 

こんなもんかな?

 

ちょっと慣れてきた。

 

 

 

義体の使い方は大体分かった。

 

さて……、ん?

 

「お?」

 

『ああ?』

 

あ、加古だ。

 

「あ、提督ー、今暇ー?」

 

『んー……、まあ、暇かな?』

 

試用は大体終わったしな。

 

……ん?

 

『待てよ、何で義体の姿の俺を見て提督だと分かったんだ?』

 

「匂いで分かるよ!」

 

『……そっか!』

 

肉体総入れ替えしたのに匂い……?詳しく考えちゃいけないやつかこれは。

 

 

 

因みに。

 

『やあ、睦月』

 

「あ、提督!なんだか凄いことになってますね!」

 

『何で俺だと分かったの?』

 

「え?雰囲気とかですかね?」

 

 

 

『やあ、赤城』

 

「あら、提督。美味しくなさそうな姿ですね」

 

『何で俺だと分かったの?』

 

「え?ああ……、仕草とか雰囲気とかですかね?」

 

 

 

『やあ、白露』

 

「こんにちは、提督」

 

『何で俺だと分かったの?』

 

「魂が提督のものなので」

 

 

 

艦娘は、俺が義体のまま話しかけても、なんとなく俺だと見抜いてくる。

 

表面上の変化は無意味ってことか。

 

 

 

『あと、一応聞いておきたいんだけど、俺の肉体で何をするつもりなんだ?』

 

「高性能ラブドールにします」

 

『やめて下さる????』

 




加古
匂いでわかるヤンデレの鑑。

旅人
三日後に生身の肉体に再生した。

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