旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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バンディット・ザ・ガンマン編は次で一旦切って別の書こう。



370話 バンディット・ザ・ガンマン その3

「ねえ、サラ?貴女、このゲームのストーリーを書くのを手伝ったのよね?これ、ビリーが勝ったらどうなるの?」

 

「あら、アイオワ、そんな無粋なことを聞くの?先を知ったらつまらないでしょう?」

 

「それもそうね。いやー、最近は深海棲艦も大人しくなって暇だし、暑いし、家でゲームする方が良いわねー」

 

そう言ってアイオワはゲームを始めた。

 

さて、私もやりましょうか。

 

 

 

×××××××××××××××

 

ゲーム的な話だと、ビリー・ザ・キッドはタンストールの牧場でカウボーイとして働く少年としてスタートする。

 

そして、一番最初の大規模イベントとして、タンストール一派対ローゼンタール一派の戦いがある。

 

このイベントは史実の通り、周囲の町をお金で支配するローゼンタールという資産家に、タンストールが逆らったが故に、ローゼンタールが攻め込んできた、という内容。

 

史実では、タンストール側が多勢に無勢で敗れ、ビリーも敗走するけど……。

 

「第二陣!来るわよー!全員、撃ちまくりなさい!」

 

このバンディット・ザ・ガンマンの世界では違うかもしれないわね。

 

 

 

アイオワが陣頭指揮を執りながら、ライフルをぶっ放して叫ぶ。

 

「kill them all!!!」

 

アイオワも割と殺し合いとか好きよね。

 

「そこぉ!頭出すんじゃないの!塹壕に隠れなさい!」

 

指示しながら、飛来するライフル弾を弾く。

 

「サラ、一応、館の方を見てきて。前線はここだけど、裏側から攻めて暗殺してくるかもしれないから」

 

「ええ」

 

館の方には……、確か、ベイがいたわね。

 

 

 

「いやあ、それでビリー君と旅人君は仲が良くってね」

 

「そうなんですか〜」

 

………………。

 

ベイがタンストールとコーヒーを飲みながら歓談しているわね。

 

「あ、サラ。お疲れ」

 

「お疲れ、じゃないわよ。何くつろいでるのよ」

 

「えっ、そ、それはほら、私、喧嘩とか得意じゃないし、商人だし、MMOでは基本的にヒーラーか生産職やるし」

 

「まあ、それは良いけど……、敵は来なかった?」

 

「来てないし……、来たらわかる、と思う……、けどミョウコウ型レベルのが来たらお手上げかな」

 

まあ、それはそうでしょう、あれはプロの暗殺者よ。

 

「じゃあ、ここの警備は任せるわよ。引き続きよろしくね」

 

「はい!」

 

まあ、ベイは大丈夫ね。

 

パニックになりやすい欠点があるけど、指示には従えるし、頭の回転も悪くないもの。

 

それじゃあ、この辺りをぐるっと見回りして、前線に戻りましょうか。

 

 

 

「クソが、見つかった!」

 

「落ち着け、相手は女一人だ」

 

「殺しちまえ」

 

あら。

 

暗殺チーム、いたわね。

 

「死ぬのは貴方達よ」

 

背中のポンプアクション式ショットガンを抜く。

 

「てめえっ!」

 

銃を抜いた男達に、姿勢を低くしたまま突撃。

 

一人を膝蹴りで頭蓋骨を叩き割って、同時にショットガンでもう一人の頭を吹き飛ばす。

 

「あ、あ……?」

 

呆然としている最後の一人をショットガンで撃ち抜く。

 

「がっ」

 

ふう。

 

「アイオワに連絡しなくちゃ。暗殺部隊が少しいるってね」

 

 

 

アイオワに伝えたところ、裏側にイントレピッド率いる対暗殺部隊チームが巡回することに。

 

イントレピッドは頭が良くて抜け目がないわ。任せて大丈夫ね。

 

私はアイオワの補佐をしながら動き回る。

 

提督とビリーは戦場のど真ん中で大暴れしている。

 

「旅人君、弾切れだ!」

 

「そうか、一旦退くぞ!」

 

あ、戻ってきたわね。

 

「「ただいま」」

 

「お帰りなさい」

 

「ナイフと矢は?」

 

「こっちよ」

 

「弾薬と……、食べ物と飲み物あるかい?」

 

「奥よ、ついてきて」

 

防衛ラインの奥へ案内して、補給させる。

 

このゲームには、渇きや空腹度のようなパラメータも存在するから、食事も必須だ。

 

提督とビリーは、作り置きされたシチューを食べて、ロールパンを齧り、コーヒーを飲んだ。

 

「「よし!」」

 

そして、提督は新しい弓と矢、そしてナイフと火炎瓶を持っていき、ビリーは弾薬の詰まったベルトを巻いて、また戦場へ戻っていった。

 

ゲーム時間で30分ほどしか休憩していないみたいだけど……。

 

あ、因みに、このゲームでは24時間で四日くらい経つみたい。

 

ゲーム内時間と現実の時間のギャップは、工廠の謎技術で上手くまとまってるわ。

 

凄いわよね、向こうで半日過ごした筈なのに、現実世界では3時間しか経ってないんだもの。

 

それと、食事の味の再現もかなりのハイレベルだわ。

 

味覚が鋭い人は、少し違和感を感じるかもしれないけれど、普通の人間ならまず気付かないくらいに、違和感がないの。

 

まあ、あまり美味しくはないんだけど……、それは、当時の料理の味を忠実に再現しているからなの。

 

単に鉄砲を撃つだけのゲームじゃなくて、当時のアメリカの文化を様々な視点から体験できる素晴らしいシミュレータね。

 

やっぱり、当時のコーヒーとか、そんなに美味しくないのよねえ。

 

それと、コンピュータキャラの受け答えも凄いのよ。

 

凄まじいAIの出来で、本物の人間と変わらないくらいの知能があるわ。

 

本当に、工廠の技術は凄いわね。

 

 

 

《ローゼンタール第二陣、撤退》

 

《次回、最終陣》

 

「次を乗り越えれば勝ちよ!次も遅れないように参戦して!」

 

「「「「おおおおお!!!!」」」」

 

「ガ、ガンビア商会ですぅ、戦勝祝いにビールはいかがですか〜?」

 

「くれ!」

 

「もらうわ!」

 

「一本くれ!」

 

「えへへぇ、儲かってますぅ」

 

ベイがビールを売り捌いて、取り敢えずの戦勝を祝う。

 

このビール、って言うよりアルコールも凄いわよね。味もさることながら、飲むとちゃんと酔えるのよ。

 

でも、ゲームをやめて現実に戻ると、酔いはなかったことになるの。

 

どういう仕組みなのかしら……?

 

まあ、良いわ。

 

決戦は現実の時間で明日の夜。

 

頑張りましょうね。

 




サラトガ
アイオワの相棒的ポジション。アイオワとは正反対の性格だが、仲は良い。

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