旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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焼肉行きたいけど一人だと店に入りづらい……。

寿司も同じ。

それにコスパも悪いし。

だがもう業務スーパーの安い肉を食う生活は嫌だ……。

ちょっと遠い良いスーパーに行くしかぬぇ!


348話 異世界テンプレファンタジー その4

東の街に向かう。

 

東には、風のベルドンナとか言う四天王がいるらしい。

 

その前に、中央の王都を経由するから、ついでに王都に寄った。

 

「んー、その辺の串焼き肉とか買ってみたけど……、なんて言うか大味だね」

 

「私達のグルメ基準が高いのって司令官の仕業だよね」

 

「司令官の料理が美味し過ぎて、外で食べる意味があんまりない」

 

と、現地で飲み食いしつつ、街を歩く。

 

ん?

 

「おい、聞いたかよ、あの噂!」

 

「あれか、『暗殺教団』か?」

 

「ああ、少し前、白昼堂々、ワリーゼ卿が暗殺された事件があるだろ?ありゃあ、暗殺教団の仕業だって話だ」

 

「そうだ、ワリーゼ卿とその私兵だけを隠し剣で殺して、そのまま、まんまと逃げちまったってんだろ?ひゃあ、おっかねえなあ」

 

「本当だな、そんな恐ろしい連中が世の中にいるもんだと思うと夜も眠れないぜ」

 

と、噂話が。

 

………………。

 

違うよね?

 

 

 

「あら、望月じゃない」

 

「あ……、足柄さん。足柄さんはこっちの世界で何やってるの?」

 

「暇だったから暗殺教団を立ち上げて、悪人を殺して回ってるわ」

 

「また身内かーーー!!!」

 

まただよ。

 

また身内が変なことやってるよ!

 

なんでなの?ファンタジーで何でこんなことを?

 

「足柄さん、分かってる?ファンタジー世界で何でそんなことするの」

 

「望月、活人剣って知ってるかしら」

 

「……一人を殺して沢山の人を助ける、みたいなアレ?」

 

「そうよ。一人の悪人を殺して万人を活かす剣。柳生宗矩の言葉ね」

 

「つまり、この異世界でそれをやろうと?」

 

「そうよ。提督は異世界で好きにやれと言ったわ。だから、私は私にできることをやろうと思ったの」

 

自分にできることで真っ先に思い浮かぶのが暗殺教団の設立ってこの人の頭は大丈夫なのだろうか?

 

「因みに妙高型全員でやってるわ」

 

おやおやー?

 

頭がやばいのは一人じゃないとは。

 

「ファンタジー世界なんだからさあ」

 

「いいじゃない、別に。最近は凄いのよ?王から直接依頼されることもあるんだから」

 

中枢に食い込むのやめて。

 

「何十人かは、暗殺者としてある程度使える程度には仕込んだし、私達がいなくなっても安心ね」

 

何が?

 

何が安心?

 

 

 

さて、足柄さんのステータスを見せてもらう。

 

『アシガラ 24歳 女 艦娘族

職業:暗殺者

 

生命力:38541

精神力:37412

筋力:4833

魔力:678

耐久:2969

器用:2587

技量:2540

感覚:5820

敏捷:1741

 

スキル

艤装召喚5

暗殺術5

剣術4

短剣術4

槍術4

弓術4

精密射撃3

投擲4

爆薬生成5

罠生成4

奇襲5

格闘4

歩法4

騎乗3

運転3

感知5

隠密4

演技2

変装4

料理3

サバイバル3

鷹の目5

外国語5

異世界言語理解5』

 

「……何でこんなに無駄に多才なの?」

 

「暗殺するには、何か一つができればいい訳じゃないのよ。敵を見つける鷹の目と、逃走するための運転技術、私は苦手だけど、演技して周囲に溶け込むとか、そう言う技術も必要ね。それと、武器も色々使うし」

 

「ははあ」

 

暗殺者にも色々あるんだなあ。

 

「望月もやる?楽しいわよ、暗殺」

 

「そんなトランプやる?みたいなノリで誘われても……」

 

「え?じゃあ、何してるのかしら?」

 

「一応、魔王を倒そうかなーって」

 

「うーん、そうなの?私達は、この世界の人々の問題はこの世界の人々に解決させようと思ったのよね」

 

「いやー、無理じゃない?」

 

「あらゆる国の人々が一致団結すればできるんじゃないかしら?」

 

「それを無理って言うんだと思うよ」

 

「そうかしら?人々が一致団結する助けになれば良いなと、世の中にとって邪魔な人間を始末してるのよ」

 

「まあ、確かに、例によって、魔王に寝返った裏切り者とか、情勢が見えずに好き勝手する馬鹿とか、いっぱいいるみたいだけど」

 

「そうよ、そう言うのは消すべきでしょ?」

 

うーん、その辺は本当に難しいよね。

 

「私は、私達が魔王を退治した後は、この世界からいなくなろうと思ってるよ」

 

「それで、魔王を倒した後、魔王より強いものとして、世界に恐れられるのを防ぐ、と?」

 

「そうだね」

 

「うーん、そういう見方もある、わよねえ」

 

顎に手をやり、首をかしげる足柄さん。

 

「でも、暗殺教団は必要なのよ。この世界、私達の世界ほど倫理観がある訳じゃないし、消さなきゃならない人間はかなり多いわ。自浄作用って必要でしょ?ほら、水槽の中に小エビ入れとくと水が綺麗になる、みたいな」

 

「暗殺教団を水の中の小エビと表現する足柄さんにびっくりなんだけど。でもまあ、言ってることは割と正しいかもね。でも、さ、その暗殺教団は腐敗しないの?」

 

「うーん、投票で選ばれた、任期が決まった幹部複数が協議制で指示を出すことにしてるけど。その辺は分からないわね」

 

「協議制かあ。意思決定が遅くならない?」

 

「そうねぇ、この世界の悪党って、分かりやすいのが多いじゃない?例えば盗賊とか、悪徳商人とか。私達の世界みたいに、裏金とか密輸とか、分かりづらい悪事は少ないのよね。だから、下調べが少なくて済むから何とかなってるわ」

 

ふーん。

 

 

 

「で、良ければ、風の四天王倒すの、手伝ってもらえませんか?」

 

「うーん、まあ、良いわよ。妙高姉さん達を呼んでくるわ」

 

と、何だかんだで手伝ってもらえることに。

 

正直、助けはいらないかもだけど、皆んなで冒険したいし、折角だし。

 

「風のベルドンナはこの古城にいるらしいよ」

 

「そうなの、じゃあ行ってくるわね」

 

「え?」

 

〜5分後〜

 

「はい」

 

「……何ですかこれ」

 

「生首」

 

………………。

 

「え?まさか暗殺したんですか?!!」

 

「?ええ、悪いかしら?」

 

えええー。

 

ちょっと、それは、どうなの?

 

「何で馬鹿正直に戦う必要があるのかしら」

 

まあ、うん……、まあ、うん。

 

もう、良いや。

 

もうね、もう、良いよ。

 

「じゃあ、この首、王都に持って帰りましょうか」

 

と妙高さん。

 

王様に見せるそうだ。

 

まあ、良いや。

 

そうだよね、妙高型の基本の戦闘スタイルは暗殺。

 

戦闘になる前に殺すのが基本。

 

ロマンとか、そういうのはない。

 

 

 

「聞いたか、風のベルドンナも倒されたらしいぞー!!」

 

「本当か?!」

 

「やったぞ!!」

 

街では噂になっている。

 

「それだけじゃねえぞ!水のローナンテもこの前に倒されたらしい!!」

 

「何だと?!じゃあ、後一体、火のボルケインだけじゃねえか!!」

 

「人類の勝利は目前だ!!」

 

え?

 

「あ、あのう、水の四天王、倒されたんですか?」

 

「ん?ああ、何でも、北の海で泳ぐ変な女達が倒したらしいぜ」

 

「……その、変な女達って?」

 

「よく分からねえけど……、『売られた喧嘩は買うでち』とか言ってたらしい」

 

ゴーヤか!!!!

 

また身内!!!!

 

はぁ……、まあ、良いよ、もう、良いよ。

 

とっとと、火のボルケインを倒しに、南に行こう。

 

もう本当に、これ以上ファンタジー雰囲気を壊されない内に。

 




望月
ドン引き。

妙高型
異世界で暗殺教団を設立した。

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