女の子はタバコを吸わないみたいな幻想をお持ちの方は見ない方が良いです。
因みに作者は電子タバコしか吸ったことないです。
白露型から、この前遊んでくれたお礼に、とタバコをもらった。
よく買えたね、と言ったが、返答は意外にも、「作った」であった。
はて、うちの農業担当の首輪付きはタバコなんて作っていたかな、と思いながら、そう言えば黒井鎮守府の中には喫煙所がないなと思いつき、急遽設置した。
俺は普段は吸わないが、別に吸えない訳でもないし、折角ワンカートンももらったんだし、吸おうと思った。
暫くは喫煙所に通おうと思う。
一日目。
「あら、旅人さん?」
扶桑がいた。
そうか、扶桑は吸うのか。
そうだったな。
「扶桑は何を?」
「銘柄ですか?」
「ああ」
「ピースです」
………………。
「なんか、嫌なことでもあったのか?愚痴なら聞くよ?」
「?、いえ、特には」
いやだってピースって。しかもフィルターついてないやつ。
「これまた重いの吸うねえ。体調とか崩れない?」
「艦娘ですし……。たかがニコチン程度でどうこうなったりはしませんよ」
まあ、そうか。
「タバコは、まあ、吸い過ぎなければ良いよ。けど、麻薬はやらないようにね」
大麻マリファナくらいならギリ許すけど。覚せい剤とか合成麻薬はダメゼッタイ。
「ええ、それはもちろん」
さて、俺も吸うか。
怪しい紙巻タバコに魔法で火を点ける。
………………。
「………………麻薬だこれ」
「どうしました?」
「いや、なんでもない」
白露型ー?
よくもまあ、こんなものを。
常人なら一本吸えば廃人コースの高濃度麻薬だ。
こんだけの濃度なら、俺にもちょっと効くな。
ああ、ふわっとする、良い気持ちだ。
……けど、快楽目的なら、女の子とああしてこうしてする方が好きだね、個人的には。
まあ、折角作ってもらった訳だし、ワンカートン分は吸っちまうか。
「旅人さんは何ですか?」
「銘柄?」
「はい」
「あー、付き合いで吸ったりはするけど、こだわりはないね。強いて言えばハイライトかなあ、ラム酒っぽくて美味い」
「そうなんですか」
「でもね、そもそも、タバコを吸うと料理に臭いが移るし、最近の女の子はタバコの匂い好きじゃないって子が多いし」
「そうですねぇ、タバコの匂いが好きな女の子は少数派でしょうね」
「だから吸った後はちゃんと匂いを消さないと……、ってそれに、口も臭くなるし。扶桑、吸った後に歯を磨くんだぞ」
タバコは歯が黄色くなるからな。
「はい、それはもちろん。歯磨きはいつもしていますよ」
ほんとかな?
「あーんしてみな」
「あーん」
「あら綺麗。喫煙者とは思えない白い歯」
「ですから、艦娘ですからね。タバコくらいでどうこうなりませんし。もし、何かあっても、修復材か入渠でどうとでもなりますしね」
「便利だなあ」
「頭が吹き飛んでも再生する旅人さんと比べたら、艦娘も不便ですけどね」
二日目。
日向がいた。
「君が喫煙とは、珍しいな」
「そうね、自覚はあるよ」
日向は、タバコを吸いながら、文庫本を読んでいた。
しかし、本に栞を挟んで畳むと、懐に仕舞ってしまった。
「?、俺に気を使わなくても良いよ?別に、好きに過ごしてくれて構わない」
「いや、そうじゃなくてな」
なんなんだか。
「本を読むより、君と話す方が楽しいからな」
「……そっか」
軽く微笑んだ日向の顔に、少し、見惚れた。
「ところで、君のそれは何だ?煙の匂いを嗅いでいるとくらくらするぞ」
「これ?白露型謹製麻薬タバコ」
「……また危なっかしいものを。君も、怒るときは怒った方が良いんじゃないか」
「いやあ、あれでも、俺のことを愛してくれてる訳だしさ。強くは言えないよ」
「君はとことん女に甘いな」
よく言われる。
「あ、日向、銘柄は?」
「普通に赤マルだが」
そうか。
三日目。
霧島がいた。
「よー」
「あら、司令」
霧島は、外でよく吸っているのを見るな。
銘柄はセブンスターか。
まあ、らしいっちゃらしいな。
「あ、今、セブンスターが似合うなって思いましたね?」
「うん」
「やっぱりですか……。うーん、そんなヤンキー臭いですかね、私」
あ、悩んでたんだ。
「趣味は?」
「バイクと酒とタバコです」
あらら。
「まあほら、他人の趣味に口出しはしないけどさ、そういう趣味だとヤンキーっぽいって思われるよね」
「まあ、その辺は自覚してますけど。むむむ……」
そんなことで悩むとは、可愛いじゃないか。
「霧島可愛い」
「え?ふふふ、そういうのは、お姉様に言ってあげてください」
「いやー、霧島も可愛いよ、本当に」
「そ、そうですか?」
「ああ、本当本当。それに、いつも頑張ってるしな。偉いぞー」
「うふふ、そうですか、司令はいつも私のことを見てくれているんですね」
四日目。
妙高型がいた。
「えっ羽黒吸うの?」
「は、はい、こういうのは、付き合いですし」
そっか、意外だな。
「と言うより、好き嫌いはあるけれど、タバコを吸えない艦娘はいません。吸うこと自体は出来ます」
「マジで?」
びっくり。
「基本的に、船に乗る人って、喫煙者が多いじゃないですか。だから、私達艦娘も吸おうと思えば……」
あー、はいはい、成る程ね。
「足柄は外で吸ってんのよく見かけたな」
「そうねえ、今までは外で吸わなきゃならなかったけど、喫煙所ができて助かるわ」
そっか。
「それに、タバコは、潜入活動の時にも役立つんですよ」
と妙高。
「どういうこと?」
「ただ突っ立っているより、タバコを吸って談笑していた方が自然に群衆に紛れ込めるということだ」
と那智。
因みに、全員メビウス。
あ、羽黒はメビウスオプションだった。
五日目。
海外艦がいた。
「ガングートじゃーん」
「おう、私だ」
キセルか。
カッコいいな。
「何?アンホーラ?」
「ああ」
「紙巻タバコは吸わないの?」
「いや、吸わないこともないが、キセルの方が好きなんだ」
成る程。
「アイオワは?」
「Me?ラッキーストライクよ」
ふむ。
アメスピじゃねーんだ。
「サラは?」
「いつもはラッキーストライクだけど、今回はキューバ産の高級葉巻を取り寄せたわ」
あー、そういや、アメリカじゃキューバ産の葉巻は買えないんだったっけか。
「どう?」
「良いですね、これは。煙が美味しいです」
まあ、キューバのは美味いよなあ。
「グラーフは?」
「ウエストだ」
そっかー。
「イタリアは?」
「イタリアンアニスです」
ふーむ?
基本的に、それぞれの国のタバコを吸ってるみたいだな。
「何で自分の国のタバコを?」
「ほら、Me達、やっぱり、外国人だから。洋モクの方が口に合うのよね」
ふーん、そういうのあるんだ。
たださ、ガングートとサラはさ。
喫煙所に何時間居座る気なんだ?
まあ、暖房もクーラーあり、酒も置いてあるし椅子やテーブルもあるから、大人の休憩室として活用してもらう、か?
六日目。
今日は工廠組、龍田、武蔵がいた。
珍しい組み合わせだ。
「吸うんだ、君ら」
「普段は研究が上手くいかない時の気晴らしに吸ったりしてます」
「右に同じです」
と、明石と夕張。
銘柄はキャスター。
「龍田は?」
「私はたまに吸うくらいですかね〜」
ピアニッシモじゃん似合うわ。
「天龍は吸わねーの?」
「あー、何回か吸ってるところを見たことはあるんですけど〜、どうも駄目みたいで〜」
「ふーん、天龍は酒も駄目だしな。そう言うところ可愛いわな」
「ふふふ、本当ですね〜」
「でも龍田も美人さんで好きだぞ。大人の女って感じで」
「あらあら〜、照れてしまいます〜」
で、武蔵は?
うわ、しんせいだ。
七日目。
結構いた。
「若葉じゃん」
「む、旅人か」
銘柄は、と。
「……あのさ、それは何なの?シャレ?」
「皆んな言うが、これは好きで吸ってるんだぞ」
若葉は、わかばだった。
「いや、だって……、わかばは当たり外れあるじゃん」
「タバコなんて吸えれば良いだろう」
そうかな?
「赤城はぁああ?ブラックデビル?!まーた甘ったるいのを」
あーもう煙の匂いからして甘ったるい。
「提督、これ凄く甘いです!デザートみたい!けど、提督?タバコは太らないんですよ?」
何故かドヤ顔で告げる赤城。
まあ、キロ単位で飯をドカ食いするくらいなら、タバコの方がマシ、なのかなあ?
「ちょっとおいで?」
「はい?」
「ちゅっ」
「?!、んちゅ❤︎んん❤︎」
あー、やっぱ甘いわ。唇まで甘い。
響はー、っと。
ポールモール?やだ、渋い……。
ゴーヤは、クールか。
海風……、その匂いは大麻だな?やめなさいってば全くもう。
はてさて、予想以上に使われるようになった喫煙所。
元々、居酒屋鳳翔の喫煙席くらいしか、タバコが吸える場所はなかったからな。
タバコは身体には悪いが、ストレスの発散にはなる。
兵士である艦娘諸君は、ストレスのコントロールも立派な仕事だ。
好きに吸って良いぞ。どうせ身体も壊れないみたいだしな。別に、タバコを吸う女の子はやだとか言わないし。
喫煙艦娘
皆、吸おうと思えば吸える。単に苦手な子が多いだけ。喫煙量が一番多いのはガングート。龍驤、摩耶、あきつ丸辺りも割と吸う。定期的にタバコを嗜むのは鎮守府のうち二割から三割ほど。飲酒なら七割から八割。
旅人
普段は吸わないが、付き合いで吸うことも。水タバコや葉巻が好み。普通のタバコも吸える。