旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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貞操逆転もの結構好きなんですけど、例え貞操逆転しても、自分の身くらいは自分で守りたいですよね。

あー、俺も突然貞操逆転世界に放り込まれないかなー!!!!


315話 謎の義務感により正月っぽいことをやらされる悲しい男

「ふむ、そうだな。新年明けまして……、書き初めでもするか」

 

新年っつったら書き初めでしょー!宿題で出たよね!俺も日本にいた時は書き初めの宿題出されたぞー。

 

まあ、宿題をやったことは一度もないが。

 

勉強ってのは自分の意思でやるから身につくものであって、他人に強制されたり、一日何時間とか決めたりするのは良くないな。

 

まあ、それで……、あれだよ。

 

ここ、黒井鎮守府では、艦娘の情操教育も頑張っていきたいと思っている。

 

日本文化に触れることで、和の心を学ぶことが狙いだ。

 

「あら、良いですね」

 

と、鳳翔。

 

「俺も書こう……、どうだ!」

 

「世界征服……、素敵ですよ」

 

行書で「世界征服」と一枚。

 

「へー、書き初めですか。小、中学生の頃やったなあ」

 

と、守子ちゃん。

 

「守子ちゃんもなんか書いたら?」

 

「んー、そうですね、それじゃあ……、むむむ……、よし!」

 

世界平和と四文字。楷書で。

 

うむ、守子ちゃんは字が上手いな。

 

教養を感じる。

 

いやあ、字が綺麗な人はそれだけで良いよね。字には性格が出るだとか何だとか言うが、強ち間違ってもいない。

 

その証拠にほら、鳳翔の字なんてとっても綺麗だ。鳳翔も綺麗だ。

 

一日一善、と。

 

うんうん、良い文字を書く。

 

もう鳳翔は可愛いから生きてるだけで善行みたいなところあるのに、これ以上徳を積むのか。仏にでもなる気かな?

 

折角だから、艦娘達にどんどん書き初めをさせる。

 

基本的にフリースタイル極めてる黒井鎮守府、海外艦は母国語で書き初めを。

 

長い半紙を横向きに、筆記体でさらさらと。

 

「The best luck of all is the luck you make for yourself.っと」

 

「おお、アイオワ。あー、マッカーサーか」

 

意味は、まあ、運は自分の手で引き寄せるもの、みたいなニュアンスかなあ。

 

「そうよ、この言葉は常に胸の中にあるの。運は自分の手で引き寄せてこそ、よ」

 

成る程なあ。

 

一方ドイツ艦は……、これは、ニーチェか。

 

「悪とは何か?弱さから生じるすべてのものである」

 

ふむ……、まあ、その、多分な、ニーチェは、心の弱さとか、そう言うのを伝えたかったんじゃないかな?

 

「そう、そうよ、弱いものが悪いの」

 

君のそれは選民思想だぞ、ビスマルク。

 

「Ph’nglui mglw’nafh Cthulhu R’lyeh wgah’nagl fhtagn」

 

「こら時雨」

 

「?、何だい?」

 

こーれはいかんでしょ。

 

「いかんでしょ?」

 

「どうせ白露型以外は読めないよ」

 

「ルルイエ語は危ないだろうに」

 

「取り扱いさえ間違えなければ、何も危なくはないさ」

 

んもー。

 

ポーラは?「vino」。

 

隼鷹は?「酒」。

 

欲しいものを書くんじゃないよ?分かってる?

 

さて、あと一月っぽいことは?

 

餅でもつくか。

 

「よいしょー!」

 

「はい」

 

「よいしょー!」

 

「はい」

 

「よいしょー!」

 

「はい」

 

鳳翔とペアで餅つき。

 

「わー!やりたいやりたい!」

 

やりたいと駄々をこねたアイオワにやらせる。

 

「壊すなよー?」

 

「OK!I can do it!」

 

まあ、流石に、力加減はできるようで、杵を破壊せずに、覚束ない手元の動きで餅をついていた。

 

そして、できた餅を加工する。

 

「お雑煮にしたんで食べてねー」

 

「「「「わーい!」」」」

 

生憎、うちの子のPVなら餅が喉に詰まっても死なない。

 

でも、ゆっくりよく噛んで食べろー。

 

……ん?

 

「もぐ、もぐ……」

 

あっるぇー?

 

アイツがいる。

 

いつの間にかいる。

 

正直、正月くらいはお前のような物騒なのに関わりたくないんだがー?

 

鳳翔から手渡されたお雑煮を食べ終えると片手を懐に入れるアイツ。

 

「ほらよ」

 

「お、おお、ありがとね」

 

お年玉貰った……。

 

開けてみると、★ヘルメスの血が。

 

折角なので飲む。

 

……速度が上がった。

 

まあ、こいつとは結構長い間一緒にいたしな。

 

魂の友って感じ。

 

「じゃあ、これは俺からのお年玉」

 

「……酒か」

 

こいつと俺の仲が割と良い理由として、まず、味覚が近しいというところ。

 

味の好みが似ているから、俺が好きなものを贈れば喜んでくれる。

 

「樽ごと持ってけ」

 

「助かる」

 

そう言って、アイツは、冒険に戻った。

 

あー羨ましい、俺も旅したい。

 

そう、それで、餅だが。

 

お雑煮、お汁粉にして消費。

 

海外艦に人気。

 

「食べたことない食感ね……」

 

「とてもユニーク……」

 

「伸びる……」

 

大福とか人気だった。

 

優しい甘さが良い、らしい。

 

「きな粉美味いけど何でできてんのか分からん」

 

「私も」

 

「善哉とお汁粉の違いも分からない……」

 

と、望月達。

 

「きな粉の原材料は大豆、善哉はつぶあんでお汁粉はこしあん(諸説あり)なんだよ」

 

「おおー、物知り」

 

拍手された。

 

 

 

さて、そうだな、あとは、新年も明けたことだし、お年玉でも渡すか。

 

「ほい、守子ちゃん、お年玉」

 

「……え?はぇ?い、いやいや!受け取れないですよ!もうそんな歳じゃありませんし!」

 

「まあまあ、遠慮せずに。ほんの気持ち程度しか入ってないからさ」

 

「そんなこと言われましても……」

 

「受け取ってくれなきゃ守子ちゃんの実家に彼氏ヅラして乗り込むよ?」

 

「悪質ッ?!!」

 

守子ちゃんに受け取らせる。なあに、ほんの十万円程だ。

 

艦娘にも渡す。

 

額は十万円程。

 

あんまりたくさん渡しても恐縮されるからな。

 

まあ、艦娘の月給の何分の一って額だ、受け取ってくれるだろう。

 

「秋月、お年玉だ」

 

「え、ええっ!く、下さるんですか?!」

 

「おう、あげちゃう」

 

「そ、そんな、あんなにお給金をもらっておいて、その上お年玉まで?!」

 

「おー、くれちゃう」

 

「で、ですが、断るのも失礼!つ、謹んで頂戴します!!」

 

秋月は、何度も頭を下げて、礼を言って去って行った。

 

次は鈴谷。

 

「……えっ、と?」

 

最初、一瞬、万札を渡してコンドームも渡し土下座するというドッキリを思い浮かべたが、あまりに最低な行為なので控えた。

 

鈴谷は見た目はギャルだが、貞淑な子だ。

 

その見た目に釣られて、売春行為を申し込んでくる中年もいると聞いたが、全部毅然とした態度で追い返しているらしい。

 

立派だな。

 

「はい、鈴谷。お年玉」

 

「え?マジ?ありがと!」

 

遠慮なく受け取る鈴谷。

 

「あ、十万も入ってるじゃん!」

 

「こらこら、目の前で開けるのは失礼だぞ」

 

「ごめんごめん。でもでも〜?十万ももらったら、お返ししなきゃな〜?」

 

お返し?

 

「気にしないで良いとも」

 

「だーめ!お返しは〜、そうだ!鈴谷の処女でどう?」

 

「こらっ、初めては好きな人としなさい!お金で、とかは良くないよ」

 

「えー?私の好きな人は提督だよー?」

 

「俺も鈴谷が大好きだけど、このお金は本当に、単純にお年玉だから」

 

「そうなの?……でも、お年玉をもらう歳かな、私達」

 

「まあほら、俺は君らを娘みたいに思ってるから」

 

「むー」

 

「はいはい、むくれないの」

 

さて、他の子にも渡して行こうか。

 

「曙、はい、お年玉」

 

「な、何よ。お金なんて別にいらないわよ」

 

「良いからもらっておいて、ホラホラホラホラ」

 

「ま、まあ、もらっておくわ。……ありがと」

 

ヨシ!

 

次、陸奥。

 

「お金なんかより、貴方が欲しいわ」

 

ヨシ!

 

次、羽黒。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

ヨシ!

 

ヨシ!

 

ヨシ!

 

ヨシ!

 

………………

 

…………

 

……

 

「大体正月っぽいことはやったか」

 

「そう、ですね?」

 

守子ちゃん、なんで疑問形?

 

「あとはこの新年CMをテレビで流させる」

 

「新年CMって……、会社じゃあるまいし……」

 

「あと最後に言いたいんだけど」

 

「はい?」

 

「謎の義務感に駆られて色々やったけど、正月の楽しみ方は個人の自由なんで、うちを参考にしなくても良いよ」

 

「は、はあ」

 

完!

 




旅人
お年玉を配った。気分的にはおじさん。

ノースティリスのアイツ
最近はまたムーンゲートで新たな世界に行っている。

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