旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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活字本全く読まないんで文章力がお察し。

ssはかなり読みましたけど、活字本はラノベすら読みません。

官能小説は読みます。


301話 読書の秋

「はあ?読書感想文?」

 

「そうだ」

 

呆れる望月を前に、俺は提案した。

 

「既に鎮守府中に掲示しといたけど、君らに読書感想文を書いて欲しいのよね」

 

「なんでまた……」

 

「君ら学校行きたくないって言うから、せめても学校っぽいことやろうと思って」

 

「別にやらなくて良いよ?」

 

「そーうはいかないぜぇ、学力も大事超大事。それに大切なのは情動よ、情動」

 

「司令官が絡まない話だと結構皆んな無反応じゃん」

 

「それがいかんのよ。感情表現が豊かな方がよろしいだルルォ?」

 

高度に情報化する社会だからこそ、情動的な面を持って欲しいよなあ?

 

「まあ、司令官の命令ならなんでも聞くけどさ」

 

「じゃあ原稿用紙三枚は書けよ!では、サラダバー!」

 

 

 

一週間後、律儀に読書感想文を書いた艦娘達から原稿用紙を受け取り、それを読んだ。

 

こう言う、生徒が頑張って書いたものを評価するってのは教師の醍醐味だよな。ああ、俺、教員免許持ってるんよ。

 

さて?

 

望月。

 

『とある魔術の禁書目録を読んで』

 

んー。

 

あのさ、読書感想文でライトノベルは……。

 

まあ、いいか。

 

内容は、と。

 

『インデックスが相手の使っている魔法に割り込んで妨害してたけど、あれ、できんの?』

 

あー、あれね。

 

「できるよ、相当難しいけど、と」

 

他には?

 

『あと、クローンの話なんだけどさ、黒井鎮守府の技術力では、クローンの生成は可能らしいのよ。でも、司令官のクローンを作ろうとしたら、受精卵の時点で暴走、触腕や羽根が生えた人型の狼の様な化物になったらしいよ。何で?』

 

なーにやってんだ工廠。

 

「そりゃ俺のコピーなんて作ろうとしたらおかしくなるに決まってるでしょ、と」

 

『それとさ、私も睦月型ってことで多少武装については知ってるんだけど、あれ、レールガンじゃないよね?』

 

そうだね。

 

「ラノベだから突っ込むのはやめて差し上げろ、と」

 

こんなもんか。

 

次。

 

漣。

 

『ポプテピピックを読んで』

 

せめて活字本にしない?

 

『クソマンガですわ!』

 

でしょうねえ。

 

次、海風。

 

『家畜人ヤプーを読んで』

 

チョイス!!!

 

『中々に興味深いお話でした。人間を家畜として飼い殺しにする、面白い発想です』

 

やめよう、やめよう、本当に危ない話はやめよう?

 

『人体の改造を普遍的に受け入れられる世界はさぞ生きやすいでしょう。私は、人間という種が進化したいのであれば、人為的に肉体に手を加えるしかないと思うのです』

 

ひゃー。

 

海風ったら過激ィ。

 

『ああ、因みに、内容的には、私のマゾヒズムは刺激されませんでした。私は提督に陵辱されてこそマゾヒズム的な快楽を感じるのです。また、提督の肉を食している時には更に大きな快楽が……』

 

俺が食べられてるのはどうでも良いが。

 

『特にEHSが女性主権と言うのは面白い設定ですね。しかし、私達艦娘は基本的に、提督に導いてもらわなければ何もできない、愚かで矮小な存在です』

 

そんなことないよ!

 

『ですがまあ、提督以外の人間が世界を支配したとして、それが良いことだとは思いませんが。それに、提督は例え何があっても、世界がひっくり返ろうと、誰にも従わない方です。ペットとして連れ歩くなどとてもとても。逆なら良いんですが』

 

まあ、支配はするのもされるのも嫌いだ。

 

ってか、君達はペットじゃないってあれほど言ったよね。

 

「もうちょいまともな本読んで、と」

 

ハイ次。

 

村雨。

 

『ドグラ・マグラを読んで』

 

春雨。

 

『黒死館殺人事件を読んで』

 

夕立。

 

『虚無への供物を読んで』

 

山風。

 

『匣の中の失楽を読んで』

 

「やめろや!!!」

 

日本三大奇書やぞ!!!

 

だからチョイス!!!

 

『『『『面白かったです』』』』

 

しかも面白かったんかい!!!

 

時雨。

 

『ヴォイニッチ手稿を読んで』

 

だから!!!

 

チョイス!!!

 

そのチョイスをなんとかして!!!

 

『◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎、◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎?◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎、◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎』

 

原稿用紙、ではなく羊皮紙に、紙いっぱいの魔術的な解釈、考察が書かれている。

 

「誰が自由研究しろって言った、読書感想文だよ読書感想文、と」

 

もー、俺、君らが分かんないよ。

 

次、青葉。

 

『銀河ヒッチハイクガイドを読んで』

 

おお、あれは良いぞ、面白い本だ。有名だし。

 

ただな?

 

『42』

 

横着して原稿用紙いっぱいに生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えを書くのはやめような。

 

「横着するんじゃないよ、と」

 

次、那智。

 

『ファウストを読んで』

 

あー、あの子洋書好きだったもんね。

 

『何故罪を犯した人間が愛によって救われるのだ?やはりキリスト教的な観点だろうか。私はファウストが救われるべきではないと思った。メフィストフェレスは大損じゃないか。悪魔は神に敵わないということか』

 

あー……。

 

まあ、ほら、そういうもんだしなあ。

 

「こういう本は悪魔が負けないと色々不味いのよ、と」

 

次、羽黒。

 

『マルドロールの歌を読んで』

 

あのさぁ……。

 

そういうチョイスはやめよう、な?

 

『何となく、分かりました』

 

しかも分かっちゃったの?

 

シュルレアリスムよ?

 

『ミシンとコウモリ傘の、手術台の上での出会いと言う暗喩は……』

 

えーと。

 

「シュルレアリスムって読んでると、ん?ってなるけど、自己解釈で自分を納得させて読み進めるもんだから良いんじゃない?と」

 

じゃあ次、鹿島。

 

『ソドム百二十日を読んで』

 

「君達はっ!普通の本を読むことができないのかっ!!!」

 

『色々なプレイが書いてあって、中々参考になりました!工廠の技術で私が性別を変えたりして提督とエッチするのも良いかもしれませんね!』

 

「性別を変えたりとかはしないでね、マジで。と」

 

次、グラーフ。

 

あ、グラーフとか海外艦にはレポート用紙を渡した。流石に日本の作文はやりづらいだろうと思って。あ、まあ、でも、本人達の日本語力なら普通に書けるだろうけど。

 

さて、ドイツ語で書いてあるな、何々?

 

『我が闘争を読んで』

 

「だからナチスとかの話はやめなさいってば!!!」

 

『やはり総統閣下のお考えは素晴らしい。今からでも民族浄化をすべきじゃないか?』

 

「やめろーーー!!!」

 

怒られる!!!

 

『実際に要らない人種とかいるだろう』

 

「やめろーーー!!!」

 

『北の方の朝せ』

 

「やめろーーー!!!」

 

いかん、いかんぞ。

 

さあ次だ。

 

赤城。

 

『雲隠を読んで』

 

雲隠……?

 

ああ、源氏物語か。

 

『何であるんですかこの本?』

 

「拾った、と」

 

『存在しない本のはずなんですが……。まあ、良いでしょう。提督ですし。内容は非常に興味深く……』

 

うんうん、まともまとも。

 

おっと、次はウォースパイトか。

 

『フィネガンズ・ウェイクを読んで』

 

えっ、あれ全部読んだの?

 

よく読めたね、俺でも結構難しいのに。要求される知識量がね。

 

ユリシーズの方がまだマシじゃない?

 

『難解だったけど、中々に面白い部分もあり、最後の回帰の部分が……』

 

偉いな、レポート用紙数十枚分書いてある。

 

……ひょっとして暇なのか、こんなもん読んじゃうってことは。

 

次、大淀は。

 

『ファニー・ヒルを読んで』

 

「はい終了ー!!!」

 

 

 

まあ、こんなもんか。

 

……何でうちの子達は、普通の本を読んでくれないのかねぇ。

 

君の名は、とか、ブレイブストーリーとか、そう言う本を読んだ子は一切いない。

 

一部のライトノベルや漫画を読んできちゃった層を除けば、難解な本、お堅い本、エログロな本ばかりだった。

 

艦娘諸君には心のゆとりが足りない……。

 

学校の図書館みたいに、今時の本を「オススメの本!」としてどこかに置いておくべきか。

 

うーむ。

 




旅人
特に読書家ではないが、有名どころと話題の本には目を通している。

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