旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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慢性的に金がないんで金持ちの気持ちは分からないです。


251話 金の使い所

ある日。

 

昼下がり。

 

休憩室にてだらける俺、と加古。

 

「加古ー」

 

「んー?」

 

「俺、思ったんだけどさー」

 

「んー」

 

「君ら、何に金使ってんの?」

 

そう、そうなのだ。

 

俺こと旅人提督は、ブラック鎮守府絶対潰すマン、ホワイト企業の申し子である。

 

そんな俺は、艦娘達にちゃんと給料を渡しているのだ。

 

しかし、艦娘達の給料の使い道は謎。

 

もしも、FXなどに手を出して、負債を抱えるようなことになったら、目も当てられない。

 

だから俺は、今、思った。

 

そうだ、調査しよう、と。

 

「んー、バイク」

 

加古の給料の使い道は、バイクだそうだ。

 

「バイクの維持費とか……、ライダースーツとかヘルメットとか」

 

ほーん、成る程。

 

「後はカスタマイズにも結構かけてるねー」

 

成る程成る程。

 

「残りは貯金」

 

「良い子だ」

 

「因みに、古鷹はガーデニングが趣味だから、植物の種の代金分くらいしか使ってないらしいよ」

 

「ふーん。服とかは?」

 

「あたしも古鷹も適当なの買ってるよ。ってか、頻繁に提督が買ったり作ったりしてくれるじゃん」

 

しょうがないだろ、可愛い子には良い服を着せたくなるんだよ。

 

「酒も安いのなら鳳翔さんとこで飲み放題だし。つっても、安いのって言っても何万円もする酒も置いてあるしねぇ」

 

そうだね、ビールくらいなら飲み放題だね。

 

「食べ物だって嗜好品含めて幾らでも食べられるし」

 

そうだね、食堂行けば大抵は何かしら置いてあるね。

 

「給料の使い道がない」

 

「そうかい。まあ、借金をこさえたりしてないなら、良いさ。さて、俺はこれから、艦娘達の給料の使い道を調査してくる」

 

「あーい、行ってらっしゃいー」

 

「行ってくる、じゃ」

 

 

 

ターゲット1:鳳翔

 

「鳳翔」

 

「はい?」

 

「給料、何に使ってる?」

 

「ええと、殆ど貯金してますけど」

 

偉い。

 

「あ、でも、そうですね、新しい調理器具とかあると、つい買っちゃうこともあります」

 

「そういうのは経費で落としてくれて構わんよ」

 

「いえ、これも趣味で買っているものなので」

 

そうか。

 

 

 

ターゲット2:千歳

 

「旅人さん、いつも言ってるんですが」

 

「何?」

 

「こんな額、どう使えば良いのか分かりませんよ」

 

大した額でもねえだろ。

 

「俺なら一晩で溶かせる額だよ?」

 

酒と風俗とギャンブルで。

 

「えぇ……」

 

「まあ、借金とかこさえてないなら、何したって構わないよ。あ、でも、クスリとかはやめような」

 

「やりませんよ、そんなこと」

 

 

 

ターゲット3:熊野

 

「熊野、熊野は、黒井鎮守府から出てる給料をどう使っているんだ?」

 

「ええと、エステと、服と、お酒をちょっとくらいですわ」

 

「そうか、それだけじゃ使い切れないんじゃないか?」

 

「そもそも、もらったお給料を使い切らなきゃならないなんて決まりはありませんし……」

 

そうか。

 

俺は手元に金があると何かと使っちまうからなー。

 

「いや、偉いよ。俺なんて生まれてこの方貯金なんてしたことない」

 

「今までどうやって生活してきたんですの」

 

「その日暮らしとか、借金とか、ギャンブルで増やしたりとか」

 

「まとまったお金が必要な時とかは……」

 

「ラスベガスってところにカジノって言う魔法の施設があってな。そこでお金を増やせるんだよ」

 

「はぁ……」

 

よく分かっていない様子の熊野。

 

「他にも色んなところにあるからな、カジノは。パチンコはレートが低いからやらない」

 

「?」

 

ギャンブルの話とかは分からないらしい。流石はお嬢様だな、熊野。

 

 

 

ターゲット4:金剛

 

「……と言う訳なんだが、金剛はどんな風に給料を使ってる?」

 

「ンー、お洋服と、お化粧と、紅茶ぐらいデース」

 

へえ、そんなもんか。

 

「でも、殆ど余りマスネー」

 

「宝石とかブランドものとかは?」

 

「持ってマース」

 

うんうん、良いぞ。女の子は着飾るのが一番だ。

 

「ってか、提督が普段から何かとプレゼントしてくれマース。これなんて四十万円もしたのに……」

 

ダイヤの指輪を見せる金剛。

 

「金剛の為なら安いもんよー、幾らでも買ってあげちゃう!」

 

金剛はその名の通りダイヤが似合うんだ。明るくエレガントな美女だもんよ。

 

「甘やかし過ぎは、ノー!ですからネー!」

 

甘やかしてるつもりはないんだが。

 

 

 

ターゲット5:プリンツ・オイゲン

 

「もごもごもごご?」

 

「……あの、提督?話すときは、私の胸に顔を埋めるのをやめたらどうかな?」

 

はっ?!

 

「すまない」

 

ついつい、プリンツの胸に顔を埋めてしまっていた。

 

「それで、給料の使い道だったっけ?」

 

「ああ、そうだ」

 

「それなんだけど、私は殆ど使ってないかな。一番大きな買い物と言ったら……、最近車を買ったことくらいかな?」

 

ほー。

 

「因みにメーカーはフォルクスワーゲン!ドイツの歴史あるメーカーよ!」

 

あー、車庫にあった新車のポロ、君のか。

 

「けど、うちの車庫は何なのかしら?数千万クラスの高級車ばかり。芸能人じゃないんだから……」

 

殆ど俺のだ。しゃーない、高級車はカッコいい。カッコいいからつい買っちゃう。

 

Sクラスのメルセデスとかかなり高かったが、買った。欲しかったんだもん。

 

 

 

ターゲット6:漣

 

「漣、給料の使い道は?」

 

「んー、PCとか?」

 

何に使ってる?と言う問いに対して答える漣。

 

「あとはほら、フィギュアとか漫画とか」

 

ふむふむ。

 

「タペストリーとかクリアファイルとか!」

 

所謂、オタクグッズだな。

 

「ってか給料多過ぎィ!GTX1080Ti買ったからね私もう!PUBGが捗るぅ!!」

 

そいつは良かった。

 

 

 

ターゲット7:海風

 

「海風、給料の使い道は?」

 

「そうねえ、稀覯本である魔道書を買い集めたり、骨董品であるアーティファクトを買い集めたりしてるわ」

 

うーん冒涜的。

 

「服や小物は?」

 

「最低限のものを個人的に」

 

「駄目だよ、海風は可愛いんだから!もっとお洒落しなさい!」

 

「?、はい?」

 

「はいこれ、今年のトレンドの服。あとアクセサリー」

 

「あらあら、ありがとうございます?」

 

 

 

ターゲット8:龍驤

 

「給料の使い道ぃ?」

 

「そうだ」

 

「そんなもん、酒とツマミに決まっとるやん!」

 

そうか。

 

「最近やっと、この、あまぞん、ちゅーのが分かってきたで!」

 

「偉いぞ龍驤」

 

「テングってところのビーフジャーキーが美味いんよ」

 

あっ、定期購買してる。

 

 

 

うん、うんうん。

 

特に問題ねえな。

 

流石はうちの艦娘達だ。

 

皆んなとっても良い子だよ。

 

霧島とかは株とかやってるみたいだけど、大きな損害は出さないようにちゃんと調節してやってるみたいだしね。

 

だが、殆どの艦娘は、金の使い道がないって言ってたなあ。

 

そうだ、今度鎮守府内に購買部でも設置するか。

 

艦娘達の消費を増やしてやろう。

 

艦娘達は欲望が足りない。

 

人間、欲に塗れている程度で丁度いいのだ。

 

その欲望、解放しろ!

 

なんてな。

 

 

 

 

 

「じゃあ逆に、司令官はどんな風にお給料を使っているんですか?青葉に取材させて下さい」

 

「良いだろう」

 

見ておけ、これが金を使うと言うことだ!!

 

「先ずは賽の河原に行きます」

 

「賽の河原?あの、死んだ子供が行く?」

 

いや、本物じゃねー方。

 

電車に乗って数十分後、到着したのは神室町。

 

「あっ、ここのトイレ、入り口になってる!」

 

「ここが賽の河原だ」

 

地下にある、裏カジノ、地下闘技場、風俗。

 

裏の大人のプレイスポットだ。

 

「うわー、こう言うの、本当にあるんですね。法律的に大丈夫なんですか?」

 

「はっはっは」

 

「え?駄目ですよね」

 

「はっはっは」

 

「あの、ちょっと」

 

「はっはっは」

 

さあ、行こうか。

 

まず、給料を全額チップに変えてと。

 

ルーレットか、今日はルーレットの気分だ。

 

「赤の3に全額ベットだ」

 

騒つく周りを他所に、俺は百万相当の金を一点に賭ける。賭ケグルイ。

 

「ええっ!大丈夫なんですか?!」

 

「ああ、大丈夫だ、まあ見てな」

 

脳内の瞳をフル稼働、そもそもの動体視力、目星<80>、その他諸々を総動員して……。

 

「あ、赤の3です」

 

ジャックポット、ってな。

 

36倍だから、三、四千万にはなったかな?

 

「さて、この調子で億単位まで増やすぞー」

 

「えぇ……」

 

 

 

一時間後、キャッシュケース一杯の金が数個。

 

「あんまり勝ち過ぎると怖いお兄さんに怒られるからなー、撤収だ撤収」

 

「は、はい」

 

さーて、この増やした金を使って高級ソープ……、いや、青葉が居たんだったな、そりゃ無理だ。

 

「さて、新しい車かバイク買うか、艦娘達にプレゼントでも送るか……」

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!折角そんなに稼いだのに、湯水のように使っちゃって良いんですか?!」

 

んー?

 

「良いの良いの。金は天下の回り物ってね。あ、そうだ、今日は麻雀の気分かなー」

 

 

 

「御無礼」

 

「ぐわああああ!!!」

 

「あンた、背中が煤けてるぜ」

 

「ぐわああああ!!!」

 

「倍プッシュだ……!」

 

「ぐわああああ!!!」

 

 

 

結果:消し飛んだ

 

「は、はは、い、一億円が、数時間で、パァ……」

 

「いやー、つっええな、あいつら!!負けた負けた」

 

「負けた負けたじゃないですよ!!!一億円が消し飛んだんですよ?!!」

 

「それが?あぶく銭が消えるのは道理だろ」

 

「は?」

 

俺が稼いだ金なんてあぶく銭みたいなもんだ。基本的に、手元にある金は使ってしまう。

 

「んー、次はどうすっかな、まだ手元に三、四百万残ってるし……」

 

「とっといて下さい!貯金して下さい!」

 

「あ、そうだ、馬主になってみたいんだよね俺。馬でも買うか。確か数千万くらいだっけかなー」

 

「貯金して下さぁぁぁい!!!」

 

「じゃあカメラでも買うかな。青葉にも買ってあげちゃう」

 

「そんなことしなくて良いですから!司令官は旅人なのに、お金の使い方はアレですよね!!」

 

アレとは何だアレとは。

 

「兎に角!貯金して下さい!!」

 

「わ、分かったよ」

 

「はぁ……、『司令官のお金の使い方は豪快!お嫁さんである青葉は苦労します!』と」

 

そうかな。

 

一応は、鎮守府の運営資金には手出ししてないし、節度を持って使っているつもりだ。

 

「良い加減な浪費は控えて下さいね?子供にも悪影響ですから」

 

「俺に子供はいないし、作る予定もない」

 

「なーに言ってるんですか、青葉と子作りするでしょう!」

 

しねーよ。

 

「兎に角!ちゃんと貯金すること!良いですね!!」

 

「はーい」

 

まあ、幾ら貯金すると明言はしてないから、一ヶ月に五百円くらい貯金すれば良いだろ。

 

 

 

去っていく青葉を尻目に、俺は残った金でフランスに高級ワインを買いに行った。

 

いつものことである。

 




艦娘
給料の使い道はほとんどない。

旅人
金を湯水のように使う。割とブルジョワなことする。

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