旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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まあ、読んで無いんですけど。


241話 建造もて王サーガ

「お花見するから建造するぞ」

 

「は?」

 

え?俺何か変なこと言ったか、大淀。

 

「いや、ちょっと、意味が分からないです」

 

だからさ。

 

「これからお花見しまくるじゃん?」

 

「はあ、まあ、黒井鎮守府なら、そうでしょうねえ」

 

「それなのに、お花見の後に艦娘を建造したら、お花見に参加できないだろ?」

 

それはかわいそうだろ。

 

「あ、あー、成る程?戦力増強とかではなく?」

 

「戦力は十分足りてるじゃん?でも、いっぱい仲間がいた方が楽しいだろ」

 

俺、一人で月見酒とかも悪くないと思うけど、皆んなでワイワイ宴会する方が好きなんだよね。

 

「それは、そう、ですね」

 

理由なんてそんなもんで十分では?

 

「はい、それじゃ、建造建造」

 

建造用の素材を用意していく俺。

 

「提督、これは?」

 

「ストライカーユニット」

 

「こちらは?」

 

「STG神威」

 

「では、こちらは?」

 

「純米大吟醸秋津」

 

バッチリ揃えた。

 

「うーん、この」

 

「大丈夫、大丈夫」

 

某所で会ったオレンジのツナギの運び屋の口癖だったか。大丈夫、大丈夫ってな。

 

「それとまた五つくらい触媒を用意して、と」

 

スイッチオン、同時に叫ぶ。

 

「計八つのモノを使ってシンクロ召喚!!!」

 

「(シンクロ召喚?)」

 

頭に疑問符を浮かべる大淀を他所に、開いたドックから次々と艦娘が現れる。

 

「そう……、私が大鳳」

 

「給油艦、神威と申します」

 

「水上機母艦、秋津洲よ!」

 

そして、

 

「長良です」

 

「名取と言います」

 

「由良です」

 

「鬼怒、いよいよ到着しましたよ!」

 

「阿武隈ですぅ」

 

残る五人も。

 

「やあやあやあやあ、よく来てくれた嬉しいよ。俺は新台真央、提督だ。名前で呼ばれるのはあまり好きじゃないから、提督、司令官とでも呼んでくれ」

 

実は、名前で呼ばれるのはあまり好きじゃない。女の子みたいだろ、真央って。真央が男の名で何が悪いっ!俺は男だよー!!!

 

「「「「はいっ!」」」」

 

んっんー、いいお返事。花丸ついでに二重丸あげちゃう。

 

「時に、諸君らが何故この時期に建造されたから、分かるかね?」

 

「「「「………………」」」」

 

「Ms.大鳳」

 

「はっ、大規模作戦、でしょうか」

 

NOだ。

 

「違うな。神威さんはどう思う?」

 

畜生、何だその艤装。脇っ!巨乳っ!ウコチャヌプコロしてえ。

 

「戦力増強の為、でしょうか」

 

「nein、そうじゃない。秋津洲ちゃんは?」

 

「えっと、うんと、思いつかない、かも」

 

「そうか。では、答えよう」

 

俺は無駄に溜めを作って、答える。

 

「……お花見だ」

 

「「「「………………は?」」」」

 

「我らが黒井鎮守府は、これから、鎮守府内の桜がなんかこういい感じになり次第、連日お花見週間を決行するッ!!!」

 

満開から散り始めまでの数日間、ずっと馬鹿騒ぎします!

 

「れ、連日?」

 

「お、お花見?」

 

長良型の諸君は、正に、開いた口が塞がらない、と言った表情。

 

「そうだ、お花見だ」

 

恐る恐る、と言った表情で、神威が聞いてくる。

 

「ま、まさか、提督は、お花見の為に私達を建造したのですか?」

 

「そうだ」

 

概ね合ってる。

 

「わ、私達は、深海棲艦から、海を取り戻す為に……」

 

「それなんだが、君達はこの世界についてどれだけの知識があるんだ?サーヴァントのように現代の知識を貰ってから召喚されている訳じゃないんだろう?」

 

疑問だった。

 

「ええと、そうですね。私は……、船体に魚雷が突き刺さって爆発、海の底に沈んだところ、までは記憶にあるのですが。深海棲艦については、何となく、そう言うものに襲われていると言う朧げな知識だけです。姿形も知りません」

 

大鳳が答える。

 

「成る程ね」

 

艦娘を創りたもうた神様は随分と適当らしい。

 

「ですが、日本の、いえ、人類の危機なんですよね?」

 

「まあ、そうだね」

 

「ですから、召喚に応じたんですが」

 

んー?

 

なんだそりゃ。

 

英霊における座のようなもんか?

 

「君の意思でここに?」

 

「いえ、分かり、ません」

 

分からないんかい。

 

「何と言えば良いのでしょうか、その、集合意識?のようなところから、引っ張られる、ような感触がありまして。それに抵抗せずにいたら……、ここに」

 

分かんねえなー。

 

抑止力的なものが働いてんのかな。

 

「でも、詳しい戦況は分かってないのね」

 

「はい。その、私達を追加で喚んだ、と言うことは、戦況は悪いんですよね?」

 

「いんや、別に?」

 

「えっ」

 

えっ、じゃねえよ?

 

「むしろ良い方じゃない?深海棲艦はどんどん強くなってるから、俺的には油断はしない方が良いと思うけど、こうして連日お花見できるくらいには安定してるよ」

 

「そう、なんですか。それは喜ばしいことですけど……」

 

けど、何だい。

 

「それじゃあ、私達は、何の為に喚ばれたのでしょうか……」

 

「ああ、いや、どの道戦っては貰うよ?訓練は厳しいし、戦場にも出すよ。君達がそれを望むならだけど」

 

「は、はい!もちろんです!戦わせて下さい!」

 

うーむ、分からんなあ。自分から戦いに行くのか(困惑)。

 

俺の価値観では、戦いはしないのが基本、嫌なことからは逃げに逃げる、だからな。

 

戦いなんてしないに越したことはない。何故自ら痛い思いをしに行くのか、気が知れないね。

 

「一応、言っておくけれど……、戦うことを強要してはいないんだ。君達の『前』の記憶がどうだったかは分からないけれど、今は人と大して変わらない女の子だ。好きに自分の幸せを探して貰っても……」

 

「いえ!私達は艦娘ですから!」

 

「お気持ちはありがたいですけれど……」

 

「私達艦娘は戦ってこそです」

 

「例え戦局が優勢でも、油断せずにお国の為に頑張りますよ!」

 

……誰かの為に、何かの為に。俺とは縁のない言葉だ。俺は、俺の快楽の為だけに生きているから。

 

だけど、そうか。

 

「……そうか。じゃあ俺は何も言わないよ。それが君達の意志ならば」

 

戦いたい人は好きに戦えば良いんじゃないかな。

 

「じゃあ、早速出撃かも?」

 

「いや、まずは訓練、の前にお花見だ、お花見しよう」

 

「え、ええー?」

 

嫌だって言ってもするんだよお花見を……。

 

「おっと、その前にロック装置を渡しておこう」

 

「ロック装置?」

 

そう、ロック装置。

 

「正式な名前は、魂魄移転及び艤装適合率上昇装置、とかだったかな」

 

「はあ」

 

「艦娘、と言うのは神霊、言わば幽霊だ。実体を持った魂魄、霊体なんだ。そして、その霊核は艤装にある。このロック装置ってのは、その霊核を肉体側に徐々に移し替え、艦娘を個体として、生命として確立して、人間に近付けるんだ」

 

「よく分かんないかもー!」

 

うん?そんなに難しい話じゃねーよ?

 

「要は、生まれたばかりの艦娘ってのは、実体はあるけど幽霊みたいにフワフワした存在なんだよ。でも、これを付けて生活すれば、徐々に肉体の方をしっかりとさせて、かつ、肉体の方に魂を移し替えることができるってこと」

 

すると、大鳳が尋ねる。

 

「それに何の意味が?戦う者として、肉体に魂を移し替えてしまうのは都合が悪いのでは?」

 

ふむ、ソウルジェムみたいに、外部に魂があった方が良いと言うのも、意見としては分かる。だが。

 

「いや、一概にそうとは言えない。肉体の方に魂を移し替えることで、その分、艤装に拡張性ができるからだ」

 

「拡張性?」

 

大鳳が聞き返す。

 

「そうだ」

 

工廠のプロジェクターを起動、黒井鎮守府の艦娘達の画像、映像を出力する。

 

「これは……!」

 

「艤装の改造……、艦娘は、練度の上昇に応じた分だけの、艤装の拡張性を得る。そして、練度99にして、艤装から肉体への完全移行が完了、その時艦娘は……」

 

プロジェクターの艦娘達が素手で深海棲艦を引き千切る。

 

「……超人を超えた、現人神になる」

 

つまりは、艤装を完全に制御下に置くのだ。

 

艤装のエネルギーを肉体から出力する……、それ即ち、拳は砲撃に、蹴りは雷撃に。真の意味で『艦』『娘』になるのだ。

 

「成る程……。この装置には、そんな力が……」

 

戦慄した様子の大鳳達。

 

「しかし、一つ質問があります」

 

「何かな」

 

「これは、その、桃色で、ハート型のエンブレムがついた首輪型なのには、どのような理由が?」

 

それは、聞かないでくれ……。

 

俺の趣味じゃない、工廠組のせいなんだ……。

 




建造組
恐らくは抑止力的なものから召喚された。

旅人
好き勝手やってるが、そんなに強く無いので抑止力にスルーされる。

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