旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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またそろそろクリスマスか。


209話 jingle,jingle,jingle 前編

「Jingle Bells、Jingle Bells……」

 

鈴が鳴る、と。

 

クリスマスの季節だ。

 

何だかんだでお祭りごと大好きなうちの子達は皆んな、クリスマスの準備に入っている。

 

そんな中、クリスマスの料理に、お菓子作り、ツリーの飾り付け、プレゼントの用意と、俺のやる事は多い。

 

でもこんな風に平和な忙しさってのも悪くは……、

 

「いやぁ、俺は旅人だしなぁ」

 

悪くはないと思いたいのは山々だが、俺としてはもっと旅要素が欲しい。まるで一般家庭のような様相。柄じゃないんだよね、こんなの。

 

ああ、旅に出たい。何処か遠くへ行ってしまいたい。

 

「司令官、食堂の飾り付け、終わったのです!」

 

「よしよし、偉いぞ電」

 

今じゃ一端のパパさんだよ。

 

「どうかしましたか、司令官?」

 

「俺も父親がすっかり板についてきたなって」

 

「は?(威圧)司令官は電の旦那様なのです」

 

「そ、そうだね、ははは」

 

ははははは、はぁ……。

 

まあ、取り敢えずは、良いか。まずは目先のこと。

 

そう、クリスマスプレゼントだ。

 

うちの子達が大喜びするような、何かプレゼントが必要だ。

 

そして、クリスマスプレゼントが自分の欲しいものと違った、などと言う悲劇を起こさないためにも、俺はあらかじめの調査に赴くのであった……!!

 

 

 

「と、言う訳で、暁。何か欲しいものはないか?」

 

「何言ってるのよ司令官!私知ってるわ!サンタなんていないんだから!」

 

いやいや、それはどうかな?

 

「いるぞ?」

 

「え?」

 

「サンタいるよ。昔会った」

 

「ほ、本当?!司令官ならあり得るかも……!!」

 

まあ、うちには来ないんだが。サンタカウント的には、艦娘は子供じゃないらしい。でも、昔サンタの手伝いをしてたこともあったし、俺がサンタの代わりをしても大丈夫だろ。

 

俺が、俺達が、サンタだ!!

 

「だから、クリスマスプレゼントは何が欲しい?」

 

「そ、それじゃあ、えっとね……、美味しいお菓子!」

 

「それは、クリスマスパーティーの時に沢山作るからね」

 

「え、そう?じゃあどうしようかしら。……そうだ!暁は大人のレディだから、化粧品が欲しいわ!」

 

うーん、まだちょっと早い気がするが……、まあ良いか。

 

「分かった、化粧品だな」

 

メモメモ、と。

 

軽くなら、化粧も良いだろう。許可ェ!!色気ついても良い頃だろうしな。

 

「暁は分かった。他の皆んなはどうだ?何が欲しい?」

 

雷、電、響にも聞いてみる。

 

「はいはーい!司令官との子供が欲しいわ!」

 

「欲しいもの、ですか?司令官なのです!」

 

「欲しいもの?司令官かな」

 

んーんん。

 

なのですかー。

 

なのですですかー。

 

「駄目です(ヤーマン)」

 

駄目なんだよなぁ。なんで皆んな俺の身柄を欲しがるのか。子供らしくおもちゃの一つでも強請ってくれよ。あと子供はいらないとあれほど言ったよね。

 

「えー!何で駄目なの?」

 

「駄目なものは駄目!諦めて!」

 

「やーだー!!」

 

雷が駄々をこねる。

 

「駄々をこねたって無駄ですー!……ぬいぐるみで良いかい?」

 

「……司令官の手編みなら」

 

「OK」

 

ぬいぐるみ、ぬいぐるみと。

 

余談だが、昔、動き回るテディベアに酷い目に遭わされてな。keterクラスだったよ。

 

「で、電は?」

 

「だ、だから、司令官が」

 

「以外で」

 

「えー、じゃあ、特に無いのです」

 

そうかい?じゃあ適当な服でも送るか。

 

「響は?」

 

「司令官とSMプレイ」

 

「以外で」

 

「じゃあウォッカくらいかな」

 

ウォッカなんていつも飲んでるだろ?しょうがない、適当なアクセサリーでも送るか。

 

「よし、大体分かった。呼び止めてごめんよ、行っていいよ」

 

「「「「はーい」」」」

 

うーん、うちの子達は欲がないなあ。欲しいものが特にないなんて。俺なんて世界が欲しいくらいなのに。

 

欲望は大事だぞ。あり過ぎても困るが。……人間、欲に塗れてる程度で丁度良いんだがね。

 

まあ、それで、人の欲望から生まれた怪物、ヤミーが大暴れして大変なことになったこともあったが、その辺はご愛嬌ってやつ?

 

兎に角、欲を持つことは大切だ。

 

「と言う訳で蒼龍、欲しいものは何だ?」

 

今度は、窓の外を見てボーッとしている蒼龍に話しかける。

 

「え?特に無いけど」

 

ほーれ無欲。

 

「なんかあるだろ、ほら……、なんか」

 

「無いよー。私は提督の命令があれば、何にもいらないよ!」

 

これ、マジで言ってるからなあ……。

 

俺の命令一つで命すらくれるのが蒼龍だ。

 

「命令なんていつもしてるでしょ」

 

一応、君の上司だからね俺。

 

「もっと命令して欲しいの!もっと、もっと、提督の役に立ちたいな!」

 

十分なんだが。

 

「命令は、ないよ。クリスマスプレゼントは服とかで良い?」

 

「提督にもらえるものならなんだって嬉しいよ!」

 

本当に喜んでくれるからなぁ。そこらに落ちてる石ころだって、渡せば喜ぶだろうぜ。それくらいの好感度、いや、信仰度と言っても差し支えない、アレだ。

 

そんな蒼龍には白のブラウスと黒のスカートをプレゼントすることにした。髪を下ろして女子大生っぽい服を着せればほら、提督さんちのエロドラゴンだ。

 

「楽しみに待っているが良い、蒼龍!」

 

「はーい!」

 

手を振る蒼龍と別れ、俺は更なる調査へ。俺は昔探偵やってたこともあるからな、調査はお手の物よ。まあ、身体は子供、頭脳は大人な名探偵に美味しいとこ全部持ってかれて、解決した事件なんてあんまりないが。

 

大して人の役に立ってないが、浮気調査とか逃げたペット探しとかはよくやったし。さあ、その辺にいた皐月を捕まえて調査術でダイスロールだ。

 

「皐月が欲しいものをズバリ言い当ててみせよう!!」

 

「おっ、何だい急に!新しい遊びかい?良いとも!僕が遊んであげるよ!」

 

「よーし、まずはヒントをくれ!」

 

「ヒント?えーっとね、僕が欲しいものはね、綺麗に光るアレだよ!」

 

綺麗に光る……?

 

「空を駆けるアレか?」

 

「そうそう!それそれ!」

 

「羽の付いたアレだな!」

 

「そうそれ!!」

 

せーの!

 

「「VTFミサイル!!!」」

 

わーい!近接信管式ミサイルだー!!!

 

クリスマスプレゼントにミサイルを欲しがる珍妙な事態。ツッコミは受け付けない。

 

「ミサイル、可愛いよね!」

 

可愛いか?

 

「そ、そうだな!」

 

ちょっとセンスが斜め上だが、そこもまたチャームポイントっすよ!

 

とか思ってると、そこに、

 

「ただいまー、提督!」

 

「おー、おかえり天龍」

 

スキー板を抱えた天龍が。

 

「楽しんできたか?」

 

「ああ、最高だったぜ!」

 

アウトドア型軽巡洋艦、天龍のエントリーだ。

 

天龍の趣味はアウトドア。暇な時は外で遊んでるか、駆逐艦の面倒をみているかの二択。

 

俺のことも頻繁に誘ってくれるから、暇しなくて良い。俺もアウトドア派だから相性は抜群なのだ。

 

そんな天龍には、うーんと、どうすっかな……。

 

「そうだ、天龍、まだスノボはやってないんだよな?」

 

「ん?ああ、今年からやるぜ」

 

「板、まだ買ってないよね?」

 

「おう」

 

「良かった、クリスマスプレゼントにスノボあげるね」

 

「ああ、そっか、そんな時期か……。俺もプレゼントを用意しないとな」

 

天龍のことだ、駆逐艦に何か買ってやるんだろう。ちょっとしたお菓子とかだろうが、プレゼントと言うのは、もらえるだけで嬉しいものだ。

 

……と、これで解決だな。一通りの調査は終わった。後は、クリスマス当日に備える!

 

俺はこれ以上この世界にジョナサンのようなやつを産みたくはない!

 

待ってろクリスマス!

 

休暇もプレゼントも、バッチリ用意してやるぜ!!

 




六駆
仲良し。

蒼龍
今日も命令待ち。

皐月
可愛いなぁ。

天龍
アウトドア派。

旅人
サンタカッコカリ。

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