旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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行き詰まる。

ネタを下さいネタを。


190話 星に願いを その6

「デート、デート、提督ーとデート!」

 

おーおー、楽しそうだな、榛名。

 

榛名が楽しそうで何よりだよ。

 

……可愛い可愛い榛名ちゃんに「何か願いはないか?」と聞いたところ、速攻で「デートしたいです!」と返ってきた。故に今は、街へと繰り出し、デートしている。

 

こうして街を歩いてるぶんには普通の女の子だよなぁ。

 

あ、どこの街って言われると、神室町なんだけども。やっぱ遊ぶならこの辺だよな!

 

「えへへ、こうして提督とデートできるなんて、榛名は幸せ者です……❤︎」

 

これでもうちょっと大らかなだったらなあ……。ちょっとでも他の子に粉かけようもんなら一瞬で怒るから……。

 

まあ、地雷さえ踏み抜かなきゃただの美人さんだ。問題ないな、何も問題ない。

 

格好もほら、白の薄手のコートに黒のワンピースでさ、清楚な感じで可愛いじゃん。相変わらずの童貞殺しファッション、百戦錬磨の俺じゃなきゃ死んでたね。

 

「提督、次はどこに行きますか?」

 

「ホストクラブにでも行くか?スターダストってとこに知り合いが」

 

「は?(威圧)」

 

「ごめん何でもない」

 

うう、冗談が通じないよぅ……。

 

「そ、そろそろお昼だし、何か食べようか?俺のおすすめは寿司なんだけど」

 

他にも焼肉とかラーメンもおすすめなんだが、デートで行くのはなぁ。

 

「はい!榛名はそれで構いません」

 

「じゃ、決まりだ。寿司吟は昭和通りだから……、すぐそこだな」

 

 

 

寿司屋。

 

寿司吟はかなり美味い。世界を旅した俺が知る寿司屋の中でも中々に美味いところだ。

 

「榛名、遠慮せずに頼めよ、俺の奢りだ」

 

「い、いえ!良いんですよ!お給料貰ってますし!」

 

馬鹿言うな、男が、上司が奢らなくてどうする。古い考えかもしれないが、レディーファースト女性優先、全額奢るに決まっておるだろうが!!

 

むしろ払う気だったのか榛名。良い子だな、オイ。

 

しかし、榛名は、遠慮して注文する気配がない。ならばどうするか。

 

「大将、今日のおすすめは?」

 

「へい、カジキと、いくらですかね。鯖もありますよ」

 

「榛名、光り物大丈夫?」

 

「え?はい」

 

「じゃあ、おすすめを。二貫ずつ下さい。彼女にも」

 

「へい」

 

勝手に頼んじゃう。……おすすめは苦手なものでもない限り、頼んだ方がいい。旬の魚は美味いからな。その時一番美味いものを食べるのが真の食通ではないのかね。

 

そんな調子で、勧められるがままに食べていき、二時間後。

 

俺達大飯食らい勢からすれば少量の、一般的に見れば数人前の食事を済ませ、お会計。

 

榛名は最後まで払うと言っていたが、それを無視して全額払った。安心して欲しい、今の俺はかなり金がある。食事代くらいいくらでも出すとも。

 

さあて、次はどこに行くか。

 

艦娘とのデートって難しいよな、大抵のプレイスポットが駄目になるから。

 

バッティングセンター……、艦娘の動体視力と筋力を以ってすれば、ホームランが量産される。

 

ダーツにボーリング……、艦娘の精密動作性からすれば余裕。

 

んー、どうするか。

 

「榛名、次、どこか行きたいところあるか?」

 

「そう、ですね、カラオケなんてどうでしょう?」

 

うー?うん、名案だ。

 

カラオケなら、艦娘の超人的身体能力が仇となることはないよな。

 

んじゃ、カラオケ行くか!

 

 

 

「よー、おにーさん?可愛い子連れてんじゃーん?」

 

「取り敢えず出すもん出して、女置いて消えろや」

 

「ヤベェ、マジパネェ、この子アイドルとか?」

 

知ってた。

 

神室町だもんな。治安悪いもん、この辺。

 

こう言う手合いが湧いちゃうのも仕方ないよな。

 

仕方ないことなんだよ。

 

だから、

 

「榛名ァァァ!!!手を出すなァァァ!!!!」

 

だから殺すなよ榛名ァァァ!!!

 

 

 

「……邪魔を、しました」

 

 

 

「は?何言ってんの?」

 

「……私と、提督の、デートを、邪魔しました」

 

「提督?よく分かんないけどさ、こんな奴より俺達とデートしようよ」

 

やばい、不味い、死人が出る!!

 

「は、榛名!行こう!カラオケ行くんだろ?!こんな奴ら放っておいて行こうぜ?!なっ?!」

 

くっ、榛名が手を出す前にこいつらを倒、

 

「消えて下さい」

 

「ぎぃっ?!あ、あ、ぎぃいやぁぁぁあああ?!!!!」

 

お、遅かったか……!!

 

チンピラの腕を千切りやがった!!!

 

「榛名!やめろ!!!」

 

「はい!やめます!!」

 

もぎ取った片腕をその辺に投げる榛名。叫び、逃げ惑うギャラリー。

 

「い、一般人に暴力を振るうなって、イワナ、書かなかった?」

 

「はい!ごめんなさい!」

 

ピッカピカの笑顔で告げられるごめんなさいには、一片の罪悪感も見られない。

 

「榛名、良いかい榛名。駄目なんだ、こんな怪我をさせちゃあ、いけないんだ」

 

ああ、畜生、榛名はそうだ。

 

微塵も悪いと思っていない。むしろ、こうやって、人一人壊したことによってお説教して貰えると、会話ができると思っていやがる。

 

人の腕をもぎ取っておいて、「俺とのコミュニケーションの一因になる」くらいにしか思っちゃいないんだ!

 

「良いか榛名、腕をもぎ取るのはやり過ぎだ。そして、俺に構って欲しいなら口で言ってくれ」

 

「はい!分かってます!」

 

「……分かってて、やったの?」

 

「はい、つい、カッとなっちゃって……。駄目な榛名に、お説教して下さい❤︎」

 

うっとりと、瞳の中にハートマークを写した榛名が、そう言って俺にしなだれかかる。

 

「……分かった。するよ、説教する。だからさ、頼むから、行き過ぎた暴力を振るわないでくれ……」

 

「はい!提督の言うことなら、なんでも聞きます!」

 

聞いて、ないんだよなぁ……。

 

 

 

 

暴走列車榛名をどうにか窘めた俺。榛名が常識を理解してくれるのは、一体いつになるんだろうか。

 

私は、悲しい……(ポロロン)。

 

そんなheartache No.1な俺の元に現れたのは……、

 

「あら、提督?項垂れて、どうかした?」

 

ゲルマン美女ビスマルクだった。

 

「聞いてくれビスマルク、榛名がおかしいんだ」

 

「?、知ってるわよ。ハルナがおかしいことくらい」

 

周知の事実であったか。おかしいと思われてんのね、榛名。

 

「そんなことより、提督?」

 

「何だい、ビスマルク」

 

 

 

「私とセッ◯ス?をしてくれないかしら」

 

 

 

ん"ん"っ?

 

ビスマルク、急にどうした?そんなこと言う子じゃなかっただろ?

 

「んえあ、ちょっと急に……、い、いけませんねぇ(語彙喪失)」

 

「ネットで調べたの。子供を作るには、キスじゃ駄目で、その、セッ◯ス?って言うのをすれば良いらしいのよ。よく分からないけど」

 

「そう、ですねぇ、そりゃあねぇ」

 

ビスマルクめ、見た目大人なのに、何でこんな色々と無知なんだよ。無知シチュかな?でかい暁の名は伊達じゃねーな。

 

「んーんん、ほら、あれだ、まだビスマルクには早いんじゃないかな?」

 

「そんなことないわ!私、ちゃんと生理?って言うのも来てるのよ!」

 

え?大丈夫?ちゃんと生理用品使ってる?使えてる?

 

「その、大丈夫?ちゃんと処理できてる?」

 

「よく分からないけど……、生理の日はお股から血が出るのよ……。びっくりしたわ……。タンポンってやつは挿れるのが怖かったから、ナプキンを使ってるわ」

 

だから、駆逐艦並みの感想やめろ。何だよびっくりしたって。何か、こう、えもいわれぬ罪悪感が湧くだろうが!!

 

……にしても、ビスマルクはナプキン派か……。うちの鎮守府はどちらかと言うとナプキン派が少ないんだけどな。

 

何で知ってるのかって?いやあ、スカートめくりは日課でして。パンツの上からでも、ナプキンかタンポンかぐらいは分かるのよ。

 

因みに、アグレッシブに格闘戦などで動く艦とか、潜水艦はタンポン派だ。逆に体術を使わない空母なんかはナプキン派。

 

……まあ、良い。

 

そんなことはどうでも良い。それよりも、だ。

 

「それで、ああ、えっと、子供が欲しい、だったか?……ビスマルク、ペットを飼うんじゃないんだぞ。もうちょっとよく考えろ」

 

頼むから、考え直してくれ。

 

軽はずみな気持ちで子供が欲しいなんて言うもんじゃない。

 

「考えたわよ!ちゃんと考えた上で、私は、貴方との子供が欲しいの!」

 

苛烈な告白である。

 

貴方との子供が欲しい、と来たか。

 

男冥利に尽きると喜べば良いのか、これは。

 

「ほら……、あれだ、出産は痛いぞ」

 

「私は艦娘よ?痛い思いには慣れてるわ。……って言うか、子供はシュバシコウが運んで来てくれるのよ?何も痛いことはないわよ?」

 

……ドイツでは、「赤ちゃんはどこから来るの?」と言う問いに対して「シュバシコウって鳥が運んで来るのさ!」と答えるらしい。

 

「えーと、あれだ、子育て大変だぞ」

 

「前の鎮守府での仕事と比べたら、どんなことでも楽ちんよ!」

 

んーもう、ああ言えばこう言うんだから!

 

「と、兎に角、そう言うのはまだ良いだろ?」

 

「いつなら良いの?」

 

純粋な、実に純粋無垢な目を向け、俺に尋ねるビスマルク。

 

「あー、うー……、せ、戦争が終わったらな!」

 

戦争が終わったら?また旅に出るつもりだがな!!

 

「……分かったわ!でも約束よ!戦争が終わったら、私と子供を作ること!指切りげんまん、よ!」

 

「おう考えてやるよ(やるとは言ってない)」

 

子作り、かぁ……。

 

俺もそろそろ、年貢の納め時か?

 

もう◼︎◼︎歳だから?

 

良い加減家庭を持てと?

 

けっ、冗談じゃねえよ。俺は死ぬまで、いや、死んでも旅を続けるんだ。

 

ちょっとのお金と明日のパンツがあれば生きていけるんだ。

 

嫌だからな、俺は。孫に囲まれて老衰とか、そう言う人並みの幸せは求めちゃいない。隠居なんてしないからな。

 

 

 

……絶対嫌だからな!!!

 




榛名
旅人に構ってもらうためなら何でもする。

ビスマルク
でかい暁。性知識ゼロ。

旅人
根っからの旅人。

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