ネタを下さいネタを。
「デート、デート、提督ーとデート!」
おーおー、楽しそうだな、榛名。
榛名が楽しそうで何よりだよ。
……可愛い可愛い榛名ちゃんに「何か願いはないか?」と聞いたところ、速攻で「デートしたいです!」と返ってきた。故に今は、街へと繰り出し、デートしている。
こうして街を歩いてるぶんには普通の女の子だよなぁ。
あ、どこの街って言われると、神室町なんだけども。やっぱ遊ぶならこの辺だよな!
「えへへ、こうして提督とデートできるなんて、榛名は幸せ者です……❤︎」
これでもうちょっと大らかなだったらなあ……。ちょっとでも他の子に粉かけようもんなら一瞬で怒るから……。
まあ、地雷さえ踏み抜かなきゃただの美人さんだ。問題ないな、何も問題ない。
格好もほら、白の薄手のコートに黒のワンピースでさ、清楚な感じで可愛いじゃん。相変わらずの童貞殺しファッション、百戦錬磨の俺じゃなきゃ死んでたね。
「提督、次はどこに行きますか?」
「ホストクラブにでも行くか?スターダストってとこに知り合いが」
「は?(威圧)」
「ごめん何でもない」
うう、冗談が通じないよぅ……。
「そ、そろそろお昼だし、何か食べようか?俺のおすすめは寿司なんだけど」
他にも焼肉とかラーメンもおすすめなんだが、デートで行くのはなぁ。
「はい!榛名はそれで構いません」
「じゃ、決まりだ。寿司吟は昭和通りだから……、すぐそこだな」
寿司屋。
寿司吟はかなり美味い。世界を旅した俺が知る寿司屋の中でも中々に美味いところだ。
「榛名、遠慮せずに頼めよ、俺の奢りだ」
「い、いえ!良いんですよ!お給料貰ってますし!」
馬鹿言うな、男が、上司が奢らなくてどうする。古い考えかもしれないが、レディーファースト女性優先、全額奢るに決まっておるだろうが!!
むしろ払う気だったのか榛名。良い子だな、オイ。
しかし、榛名は、遠慮して注文する気配がない。ならばどうするか。
「大将、今日のおすすめは?」
「へい、カジキと、いくらですかね。鯖もありますよ」
「榛名、光り物大丈夫?」
「え?はい」
「じゃあ、おすすめを。二貫ずつ下さい。彼女にも」
「へい」
勝手に頼んじゃう。……おすすめは苦手なものでもない限り、頼んだ方がいい。旬の魚は美味いからな。その時一番美味いものを食べるのが真の食通ではないのかね。
そんな調子で、勧められるがままに食べていき、二時間後。
俺達大飯食らい勢からすれば少量の、一般的に見れば数人前の食事を済ませ、お会計。
榛名は最後まで払うと言っていたが、それを無視して全額払った。安心して欲しい、今の俺はかなり金がある。食事代くらいいくらでも出すとも。
さあて、次はどこに行くか。
艦娘とのデートって難しいよな、大抵のプレイスポットが駄目になるから。
バッティングセンター……、艦娘の動体視力と筋力を以ってすれば、ホームランが量産される。
ダーツにボーリング……、艦娘の精密動作性からすれば余裕。
んー、どうするか。
「榛名、次、どこか行きたいところあるか?」
「そう、ですね、カラオケなんてどうでしょう?」
うー?うん、名案だ。
カラオケなら、艦娘の超人的身体能力が仇となることはないよな。
んじゃ、カラオケ行くか!
「よー、おにーさん?可愛い子連れてんじゃーん?」
「取り敢えず出すもん出して、女置いて消えろや」
「ヤベェ、マジパネェ、この子アイドルとか?」
知ってた。
神室町だもんな。治安悪いもん、この辺。
こう言う手合いが湧いちゃうのも仕方ないよな。
仕方ないことなんだよ。
だから、
「榛名ァァァ!!!手を出すなァァァ!!!!」
だから殺すなよ榛名ァァァ!!!
「……邪魔を、しました」
「は?何言ってんの?」
「……私と、提督の、デートを、邪魔しました」
「提督?よく分かんないけどさ、こんな奴より俺達とデートしようよ」
やばい、不味い、死人が出る!!
「は、榛名!行こう!カラオケ行くんだろ?!こんな奴ら放っておいて行こうぜ?!なっ?!」
くっ、榛名が手を出す前にこいつらを倒、
「消えて下さい」
「ぎぃっ?!あ、あ、ぎぃいやぁぁぁあああ?!!!!」
お、遅かったか……!!
チンピラの腕を千切りやがった!!!
「榛名!やめろ!!!」
「はい!やめます!!」
もぎ取った片腕をその辺に投げる榛名。叫び、逃げ惑うギャラリー。
「い、一般人に暴力を振るうなって、イワナ、書かなかった?」
「はい!ごめんなさい!」
ピッカピカの笑顔で告げられるごめんなさいには、一片の罪悪感も見られない。
「榛名、良いかい榛名。駄目なんだ、こんな怪我をさせちゃあ、いけないんだ」
ああ、畜生、榛名はそうだ。
微塵も悪いと思っていない。むしろ、こうやって、人一人壊したことによってお説教して貰えると、会話ができると思っていやがる。
人の腕をもぎ取っておいて、「俺とのコミュニケーションの一因になる」くらいにしか思っちゃいないんだ!
「良いか榛名、腕をもぎ取るのはやり過ぎだ。そして、俺に構って欲しいなら口で言ってくれ」
「はい!分かってます!」
「……分かってて、やったの?」
「はい、つい、カッとなっちゃって……。駄目な榛名に、お説教して下さい❤︎」
うっとりと、瞳の中にハートマークを写した榛名が、そう言って俺にしなだれかかる。
「……分かった。するよ、説教する。だからさ、頼むから、行き過ぎた暴力を振るわないでくれ……」
「はい!提督の言うことなら、なんでも聞きます!」
聞いて、ないんだよなぁ……。
暴走列車榛名をどうにか窘めた俺。榛名が常識を理解してくれるのは、一体いつになるんだろうか。
私は、悲しい……(ポロロン)。
そんなheartache No.1な俺の元に現れたのは……、
「あら、提督?項垂れて、どうかした?」
ゲルマン美女ビスマルクだった。
「聞いてくれビスマルク、榛名がおかしいんだ」
「?、知ってるわよ。ハルナがおかしいことくらい」
周知の事実であったか。おかしいと思われてんのね、榛名。
「そんなことより、提督?」
「何だい、ビスマルク」
「私とセッ◯ス?をしてくれないかしら」
ん"ん"っ?
ビスマルク、急にどうした?そんなこと言う子じゃなかっただろ?
「んえあ、ちょっと急に……、い、いけませんねぇ(語彙喪失)」
「ネットで調べたの。子供を作るには、キスじゃ駄目で、その、セッ◯ス?って言うのをすれば良いらしいのよ。よく分からないけど」
「そう、ですねぇ、そりゃあねぇ」
ビスマルクめ、見た目大人なのに、何でこんな色々と無知なんだよ。無知シチュかな?でかい暁の名は伊達じゃねーな。
「んーんん、ほら、あれだ、まだビスマルクには早いんじゃないかな?」
「そんなことないわ!私、ちゃんと生理?って言うのも来てるのよ!」
え?大丈夫?ちゃんと生理用品使ってる?使えてる?
「その、大丈夫?ちゃんと処理できてる?」
「よく分からないけど……、生理の日はお股から血が出るのよ……。びっくりしたわ……。タンポンってやつは挿れるのが怖かったから、ナプキンを使ってるわ」
だから、駆逐艦並みの感想やめろ。何だよびっくりしたって。何か、こう、えもいわれぬ罪悪感が湧くだろうが!!
……にしても、ビスマルクはナプキン派か……。うちの鎮守府はどちらかと言うとナプキン派が少ないんだけどな。
何で知ってるのかって?いやあ、スカートめくりは日課でして。パンツの上からでも、ナプキンかタンポンかぐらいは分かるのよ。
因みに、アグレッシブに格闘戦などで動く艦とか、潜水艦はタンポン派だ。逆に体術を使わない空母なんかはナプキン派。
……まあ、良い。
そんなことはどうでも良い。それよりも、だ。
「それで、ああ、えっと、子供が欲しい、だったか?……ビスマルク、ペットを飼うんじゃないんだぞ。もうちょっとよく考えろ」
頼むから、考え直してくれ。
軽はずみな気持ちで子供が欲しいなんて言うもんじゃない。
「考えたわよ!ちゃんと考えた上で、私は、貴方との子供が欲しいの!」
苛烈な告白である。
貴方との子供が欲しい、と来たか。
男冥利に尽きると喜べば良いのか、これは。
「ほら……、あれだ、出産は痛いぞ」
「私は艦娘よ?痛い思いには慣れてるわ。……って言うか、子供はシュバシコウが運んで来てくれるのよ?何も痛いことはないわよ?」
……ドイツでは、「赤ちゃんはどこから来るの?」と言う問いに対して「シュバシコウって鳥が運んで来るのさ!」と答えるらしい。
「えーと、あれだ、子育て大変だぞ」
「前の鎮守府での仕事と比べたら、どんなことでも楽ちんよ!」
んーもう、ああ言えばこう言うんだから!
「と、兎に角、そう言うのはまだ良いだろ?」
「いつなら良いの?」
純粋な、実に純粋無垢な目を向け、俺に尋ねるビスマルク。
「あー、うー……、せ、戦争が終わったらな!」
戦争が終わったら?また旅に出るつもりだがな!!
「……分かったわ!でも約束よ!戦争が終わったら、私と子供を作ること!指切りげんまん、よ!」
「おう考えてやるよ(やるとは言ってない)」
子作り、かぁ……。
俺もそろそろ、年貢の納め時か?
もう◼︎◼︎歳だから?
良い加減家庭を持てと?
けっ、冗談じゃねえよ。俺は死ぬまで、いや、死んでも旅を続けるんだ。
ちょっとのお金と明日のパンツがあれば生きていけるんだ。
嫌だからな、俺は。孫に囲まれて老衰とか、そう言う人並みの幸せは求めちゃいない。隠居なんてしないからな。
……絶対嫌だからな!!!
榛名
旅人に構ってもらうためなら何でもする。
ビスマルク
でかい暁。性知識ゼロ。
旅人
根っからの旅人。