「オッラーン!禁止だ禁止だ!」
「……何やってるのよ、司令官」
む、叢雲か。
「風紀校正をちょっとな」
「風紀校正?」
俺は口頭で、この黒井鎮守府の風紀が乱れていること、それを止めるために風紀委員と化したことを伝えた。
「……ふーん」
「ふーんじゃないよこの子は」
「はっ?!一瞬で服が可愛いフリフリのワンピースに……?!」
そんなスリット、認められません。何ですかその胸のスリットは。授乳スリットですかな?
「よし、これで風紀は守られた」
「……そんなことより!」
俺が一人で納得していると、叢雲は俺を睨みつけ、スマホを突き付けてきた。
「……ねえ、これ、どういうこと?」
「ん?」
見せられたスマホの画面には、『司令官、バジリスクタイム突入』の文字と共に、艦娘にセクハラする俺の動画が。動画編集されるまでが早いなあ。流石青葉。覚えてろ畜生め。
「いやあの、クォレハ……」
と、俺が口ごもっていると、叢雲は、目に見えてイライラし始めた。怖い。
「何、って聞いてるのよ」
「違うんすよこれは。その、児童ポルノ的なアレではなくてですね」
おおう、動画で見せられると辛いな。おっさんが幼女のケツ揉んでるんだもんな。やべぇよ、やべぇよ……。
どうしようか。土下座でもするか?俺の頭はヘリウムより軽いぞ!
「……この、変態」
「うぐぐぐぐ……」
痛いですね……、これは痛い(心が)。
カリスマイケメン旅人のイメージこわれる。
これは自己弁護だな。
信用でダイスロールですわ。
「これは何かの間違いだ、悪の組織の陰謀だ!」
「何が間違いよ!それに、ウチが悪の組織じゃない!」
流れるように失敗。
知ってた。
やったぜ(やってない)。
落ち着け俺、俺のバトルフェイズはまだ終了してないぜ。
「ほら、アレだ。あー、いつものことじゃん?駄目だった?」
ここは開き直ってみるのも良いんじゃないの?
「何よ!今度は開き直るの?!この変態!変態!」
アッ駄目かァ!
「島風にリベッチオみたいな小さい子にこんな事して、恥ずかしくないの?!」
「あぐぐぐぐ……」
(心の)傷は深いぞ、がっかりしろ。
あーもう分かってますよ、セクハラしろってことでしょ?そうであろう?
「叢雲」
「……何よ、変態ロリコン司令官」
「セクハラするから許してくれ」
「………………は、はぁ?!あんた何言ってんの?!」
いやもう、分かってんだよ。今一瞬、叢雲の目に期待の色が見えたぞ。恐ろしく早い邪念……、俺でなきゃ見逃しちゃうね。まあ、結果は見えてるんだよね。オチは皆んな知ってる。
叢雲の乳首を弄ってthe endだ。
あの授乳スリットからして、叢雲は乳首が弱点であるのは自明の理と言えるだろう。
やって良いのか、と言う恐れは勿論ある。乳首は不味いのではないか、と。しかし、BASTARD!!と言う偉大な前例があるが故、少年誌レベルの話でも乳首位なら許されると俺は確信しているのだ。
「良いぜ、てめえが何でも思い通りにできるってなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
「ちょ、な、んにゃああああ❤︎❤︎❤︎」
勝ったッ!第三部完!
叢雲は、セクハラされると、生まれたての子鹿のように両足を震わせながら嬉しそうな顔をして帰って行った。やっぱりセクハラがパーフェクトコミュニケーションじゃねーかふざけやがって。
この鎮守府でまともなのは俺だけだな。
「この鎮守府を……、変えたいッ!!」
と、俺が静かに闘志を燃やしていると、
「あら?どうしたんですか提督、学ランなんて着込んで」
黒井鎮守府のやべーやつ、サイコパスメガネ、マジキチなどと名高い、大淀が現れた。
「うーん、学ランの提督も素敵ですねパンツ下さい」
「うん、あげない」
「私のパンツとトレードでどうでしょう」
「どうでしょう?じゃないんだが」
「あっ、すいません。今パンツ穿いてませんでした」
この人頭おかしい……。
「大丈夫か大淀、ヤクとかキメてないよな?取り敢えずパンツ穿いてくれ」
強制ストリップ真拳の応用で手持ちのパンツを穿かせる。脱がせる事が出来るんだ、穿かせる事も容易。パンツはその場で作った。
相変わらずぶっ飛んでるな大淀は。
「あっ、ところで提督。私、髪を編んでみたんですよ」
「おっ、良いじゃん。似合ってるよ」
「さっきラインでイメチェンするとセクハラしてもらえるって聞いたんですけど」
「誤報だ」
「セクハラしてもらえるって聞いたんですけど」
「いやあの」
「セクハラしてもらえるって聞いたんですけど」
このわざとらしいゴリ押し!
うーん、セクハラとセクハラでセクハラがカブってしまった。
なるほど、この鎮守府はセクハラで十分なんだな。
まあ良いや。
セクハラさせてくれるんならやろう。
大淀と言ったらまずここ。スカートのスケベスリットだ。何なんだろうねこれ。利点無くない?
ここに手を突っ込んで、と。
「ああっ❤︎❤︎❤︎」
気の所為だろうか、先程から俺自身が積極的にこの鎮守府の風紀を乱しているような気がする。
……いや、そんなはずはない。
道行く艦娘にちゃんとした服を着せて行ってるし、確実に良い方向に進んでいるはずだ。
俺は悪くねぇ!
さて、風紀校正風紀校正。
「司令官❤︎」
「如月ィ……」
出たな、処女ビッチめ……。
……嫌な予感がする。ふと、思い立って如月のスカートを捲ってやる。
……紐パンだ。
やっぱりな。
これは駄目だ、風紀を乱している。
「如月、紐パンはやめなさい」
「あら?どうしてかしら?」
くっ、悪びれずに……!!確信犯だな!!
「えっちなのはいけないとおもいます!」
「司令官、こう言うの嫌い?」
少し困ったような顔で首を傾げる如月。かわいい。
「すき」
「じゃあ良いじゃない」
はっ?!いかんいかん、ほぼ反射で答えてしまっていた。違うんだよ、俺の好みとかはどうでも良いんだ。風紀の問題よ。
「良くないの!風紀が乱れちゃうでしょ!」
「そんなのどうだって良いわ。私は司令官に愛される格好をするの。貴方に愛してもらえるなら、どんな格好にでもなるんだから❤︎」
チッ、カッコいいこと言いやがる……。
「じゃあ、着替えてくれるかな」
「あらあら?ここで服を脱げって言うのかしら?司令官のえっち❤︎」
あ、ふーん?そう?
そう言う態度?この俺を手玉に取ろうと?処女なのに?ふーん?
はい、壁ドン。
「ああ、脱げよ」
「………………えっ?」
「脱げって言ったんだよ、如月」
「ま、またまた、冗談よね?」
いや、脱がせる。
無言で紐パンの紐を解く。
「やっ、ちょ、ちょっと」
すると如月は、少し焦った様子でパンツを押さえる。
「俺の望んだ格好になってくれるんだろ?」
腰に手を回しながら抱き寄せ、もう片方の紐も解く。さあ、どうだ?
「……わ、私、初めてだから……、優しく、して……?」
おっと、潤んだ瞳、上気した肌。完全にスイッチが入っているな。良いじゃんそそるわー。
だがな!
「目を閉じろ、如月」
「う、うん……❤︎」
如月の心音が大きく、早くなったその時!
即座にパンツを穿かせてテレポートするッ!!!
「うえへへははは。やってやったやってやったやってやったぜー」
みたいな。
「あばばばば。あばばばばばばば」
みたいな。
「……と、言う訳なんだよ」
「「どー言う訳ですか……」」
所変わってここは工廠。
明石と夕張の城だ。
「って言うか君達、その服装は何よ?」
明石はヨレヨレのTシャツに短いジャージ、透けブラ。パンツも見えている。
夕張はキャミソールに安物のハーフパンツ。勿論、パンツが見えている。
これは許されざるよ。
「下着が見えてるんだよォ……」
「え?良いですよ別に」
「見られても減るもんじゃないですし」
君らが良くてもなぁ、風紀的には良くないんだよ!
「はい禁止」
「「はっ?!いつの間にか服がカジュアルなパンツスタイルに?!」」
よしよし、似合うぞ二人共。
「うわ、こんなちゃんとした服、勿体無くて着られないんですけど」
「ですねぇ」
しかし、するりと服を脱ぎ始める二人。何で?
「何脱いでんだよー」
「いやだから、勿体無くて」
「デート用に仕舞っておきます」
えぇ……。
「基本的に服は安物しか着ませんよ私達」
「機械油とかで汚しますから……」
「なるほど?でもせめて、ジャージでも良いからちゃんとした服着よう?」
「はーい」
「善処します」
本当かなぁ……(疑心暗鬼)。
「……と言うか提督?気付いてない訳じゃないですよね?」
そんな中、明石は、露骨にこちらを見つめてきた。
「ほら提督、ツインテですよ!夕張の貴重なツインテですよ!!」
夕張必死のアピール。
……二人共、いつもと違う髪型だ。
「気付いてない振りしてた事に気付いて欲しかったな」
はー、しろってか。セクハラしろってか。
「で、どうして欲しいの?」
「あの意味不明なスケベスリット、何で存在すると思います?」
「私の艤装が無駄にヘソを出してる理由を考えた事は?」
ああ、もう。
しょうがねえなあ(悟空)。
観念した俺は、大人しく二人の身体に手を伸ばした。
叢雲
むらむら。
大淀
やばい。
如月
処女。
工廠組
女子力低。
旅人
セクハラしてるのが世にバレたらどうしようと恐れている。