旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ときメモでよく見るガイジみたいな選択肢って何なんでしょうね。


166話 黒井鎮守府ギャルゲ化計画

春。

 

新しい出会いと別れの季節。

 

寒い冬を越え、ひと段落ついた頃。

 

学生なら丁度、進学や卒業の時期。

 

始まりの季節の優しい春風に吹かれるこの黒井鎮守府にも、変化が起きていた……。

 

「……何これ」

 

眼前に、ゲージ、ステータス、年月日……。

 

「……ギャルゲかな?」

 

と、その時、鳴り響く携帯電話。

 

おっと、出よう。

 

『正解です!』

 

「え?」

 

『この鎮守府が単一のネットワークシステムによって制御されているのはご存知でしょう……。私はそのシステムを利用して、鎮守府内でVRギャルゲシステムを構築したのです!』

 

「毎回思ってるけど電子制御系増やし過ぎじゃない?」

 

クラッキングされたら困るんじゃ?

 

『うちのシステムにクラッキングできる集団なんて限られてますよ。直接鎮守府のサーバールームに侵入してバッグドアを仕掛けられたりしない限りは問題ありません』

 

まあ、明石が大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。

 

「分かった、それで?」

 

『はい、それで……、このシステムは、提督の視界をギャルゲっぽくするだけでなく、近隣の艦娘の好感度の変化や、提督自身のスキルなどを表示することが可能です』

 

成る程、スキルか。

 

「どれどれ……」

 

早速、視界の端っこにあるスキルの項をタッチしてみる。

 

すると、視界一杯に文字が広がった。

 

「……多くない?」

 

MMORPGのカンストキャラみたいだ。

 

『だって提督、できないこと無いじゃないですか』

 

「そんなこと無いぞ、俺にもできないことくらいある」

 

『またまた、ご冗談を』

 

本当なんだがなぁ……。

 

『それはさておき!折角ですから艦娘に会ってみて下さい!頑張って完成させた好感度システムを使って欲しいのです!さあ!』

 

「うん、まあ、やってみるよ。じゃあね」

 

携帯を切る。

 

好感度システム、ねぇ。前に同じようなことをやって、好感度がオーバーロードして爆発したからなぁ。鎮守府が爆発しないことを祈ろう。

 

 

 

「さて、何処へ行こうか」

 

と、考えると、目の前に選択肢が浮かんでくる。

 

うーん、じゃあ、取り敢えず部屋を出ようか。

 

ふむ、「廊下へ移動」だな。

 

そして、ドアを開けると……。

 

「あ、提督!おはようございます!」

 

おっ、榛名だ。

 

好感度は、と。

 

《❤︎9999/100》

 

んっんー、早速ぶっ壊れてますねえ。予想通り過ぎて何も言えん。

 

さて、ここでまた選択肢。

 

1.ああ、おはよう。

2.今日も綺麗だね。

3.おっぱい揉んでいい?

 

うむ。

 

……毎回思うんだけど、ギャルゲの選択肢って一つだけ明らかにヤバいの混ざってること多いよな。頭おかしい選択肢を用意する理由は何なんだ。

 

はい、3。

 

え?いやいや、好感度下げようかなーって。

 

決して、揉みたいだけとかじゃなく。

 

さあ、聞いてみようじゃないか。

 

「おっぱい揉んでいい?」

 

「はい!喜んで!」

 

《好感度アップ!》

 

ちょっと待って、このシステムおかしい。壊れてる。今の選択肢は好感度が下がるやつだったろ!

 

「いや、その、今のは……」

 

「?、遠慮は要りませんよ?榛名の全ては提督のものです」

 

マジか。ならいいや。揉んでしまえ!

 

「ん……、あ……、提督、もっと……❤︎」

 

《好感度アップ!》

 

なんでや!!

 

どう言うことなんだ一体。

 

明石に聞いてみよう。

 

携帯電話を取り出して、と。

 

「もしもし明石?このシステム狂ってない?」

 

『正常です!』

 

ウッソだろ。どの辺が?

 

『好感度システムにはバイアスをかけて、オーバーロードを防いでいます。今モニターしている限りでは、問題ありません』

 

「いや、そうじゃなくって。明らかにハズレの選択肢で好感度が上がってしまう不具合」

 

『うーん、好感度システムは、モニターした艦娘の表情や心音などで好感度の変化を測定してますから。好感度アップの表示が出てるなら実際に好感度が上がってると思いますよ』

 

あ、そっかあ……。

 

やっぱり、何やっても好感度が上がってしまうってことか。ある意味クソゲーだな。

 

「どうかしましたか、提督?何か、気に障ることでも?」

 

「いや、何でもないよ。朝から良い思いできて嬉しいくらいさ」

 

おっぱい揉んで好感度が上がってしまうとなると、もう打つ手はないのではないだろうか。

 

どうする?

 

1.謝る

2.褒める

3.スカートを捲る

 

はい、3。

 

「よっと」

 

「あ……」

 

うむ、白、と。

 

飾りっ気は最小限ながらも、可愛らしさとセクシーさが同居する綺麗なショーツだ。

 

「そ、その……、提督は、榛名のパンツに興味が?」

 

まあ、ないと言えば嘘になるが。

 

「多少はね?」

 

「そうですか……❤︎」

 

《好感度アップ!》

 

いよいよもって分からん。パンツを見て好感度が上がる?こんなのアトリームじゃ考えられない……。

 

何とも言えない空気の中、時計の音だけが響く。

 

そして。

 

「……そ、そのっ!」

 

榛名が口を開く。

 

「……パンツも、脱いだ方がよろしいでしょうか……?」

 

「それ以上いけない」

 

いかんな、いかんいかん。

 

ギャルゲにパンツを脱がせると言う選択肢はない。そもそも、ちゃんと良い子にしている榛名を脱がせるなんて酷いこと、できないな。

 

1.脱がせる

2.脱がせる

3.脱がせる

 

「ガッデム」

 

なんてことだ……。選択肢が脱がせる以外にない……。どうあっても俺はこの手を汚さなくてはならないのか……。

 

「仕方ない、榛名!後ろを向いてくれ!」

 

「は、はい!」

 

お尻の方から脱がせればOKかもしれない。要は前を見なけりゃいいんだ。

 

「脱がせる!が同時に着せる!!」

 

そして脱がせると同時に別の下着を着せる。これでR-18展開は阻止できたはずだ。

 

「あれ?え?私、脱がされて……、あれ?」

 

榛名は混乱しているが。

 

「楽しかったよ榛名。ありがとう」

 

「は、はい……?」

 

有耶無耶にして逃げてしまおう。

 

……にしても、手元に残った榛名の下着、どうしようか。

 

 

 

榛名の下着は、後で洗濯して返そう。

 

それより、今俺が気にするべきは、目の前のこの子。

 

「……何よ」

 

大井っちだ。

 

「何でもないよ。ただ、大井は今日も綺麗だなって思ってさ。少し見惚れていたよ」

 

「ふ、ふんっ!嘘よ、そんなの」

 

《好感度アップ!》

 

成る程、ツンデレにも効果あり、と。

 

どれどれ、好感度は……?

 

《❤︎9999/100》

 

よーし、ぶっ壊れてんな。知ってた。

 

さて、どうするか。一応、好感度を下げてみようか。

 

1.世間話

2.料理の話

3.Hな話

 

3だ。

 

「いやー、にしても、大井って……、良い身体してるよな!」

 

「きゅ、急に何よ」

 

《好感度アップ!》

 

はい、駄目。だが諦めないぞ。

 

「引き締まった下半身に軽巡にしては大きい胸、ふんわりとした髪……。どれを取っても最高だよ」

 

「……ふん」

 

《好感度アップ!》

 

さあ、ここでたたみかける!

 

「いや本当に。顔も可愛くってさ、性格だって好みだ」

 

《好感度アップ!》

 

「面と向かって俺に意見を言ってくれる子は少ないから、助かってるよ」

 

《好感度アップ!》

 

「北上の面倒を見るだけじゃなく、自分のノルマもこなすんだから偉いね」

 

《好感度アップ!》

 

よし、こんなもんか。

 

ん?大井の顔が赤いぞ?照れてるのか?

 

「………………❤︎」

 

どうしようか?

 

1.抱きつく

2.放っておく

3.からかう

 

折角だから、俺は1の選択肢を選ぶぜ!

 

「えい」

 

「わひゃあ!な、ななな、何をするの提督!!!」

 

《好感度アップ!》

 

「いやあ、可愛かったから、つい」

 

「つい、じゃない!セクハラよ!」

 

《好感度アップ!》

 

「嫌ならやめるけど……」

 

「やめてなんて一言も言ってないでしょ!何勝手にやめようとしてんのよ!!!」

 

セクハラをやめちゃならないのか。もうこれわかんねぇな。

 

「全く、変態よ、変態!こんなこと、私にしかしちゃ駄目なんだから……❤︎」

 

ごめん、さっき榛名にも同じようなことやった。

 

「も、もう良いかな?」

 

さて、そろそろ離れようか?

 

「ま、まだ駄目」

 

と、なんだかんだと甘えられて、解放されたのは十分後のことだった。

 

 

 

「朝からおかしい目に遭ったぞ……」

 

まあ、美味しい目でもあったが。

 

「どうかした?司令官?」

 

雷か。

 

「んー、今日も朝から愉快な展開で面白いって話」

 

「司令官が満足なら、私も嬉しいわ!」

 

よし、良い子だな。花マルをあげよう。

 

どれどれ好感度は?

 

《❤︎9999/100》

 

よーし、案の定バグってるな。

 

さて、好感度を下げてみたいところだが……。

 

「でも、困ったことがあれば何でも言ってね!私が司令官のことを助けてあげるから!好きなだけ私に頼って良いのよ!」

 

どうする?

 

1.愚痴を言う

2.抱っこする

3.撫でる

 

ここは、2だな。子供扱いすれば多少は好感度が下がるかもしれない。

 

「そーれ」

 

「きゃ、司令官?」

 

わあ、軽ぅい!

 

「……司令官、楽しい?」

 

「うーん、概ね?」

 

「……じゃあ、私も楽しいわ!」

 

《好感度アップ!》

 

駄目か……。

 

これは怒られそうだなーって選択肢を選んでるだけで、無理に好感度を下げようとは思わないが。

 

にしても、雷は子供扱いしても喜んでくれるのか。

 

じゃあ、逆に大人扱いしてみるか。

 

1.政治の話題を振る

2.経済の話題を振る

3.キスしてみる

 

3だ。政治や経済の話は知らないって返されると思うし。

 

「雷?」

 

「なあに、しれいか、んっ?!」

 

ああ、俺は何と言う悪党なんだろう。雷のような小さい子にキスするだなんて。ロリババアでもない純朴な少女に何てことを……。後で自害しよう。

 

もう良いだろ、口を離し……?

 

「んっ❤︎まだ、だーめ❤︎」

 

あっ、違う。これは、そう、捕食だ。

 

「んーっ❤︎❤︎❤︎」

 

「待っ、ん、雷、待って」

 

開いた口にねじ込むように舌を入れてくる。唾液を啜られ、歯を舌で撫でられる。

 

間違いない、俺がヤられる側だ。

 

「は、放し」

 

「ちゅう❤︎れる、れろ……❤︎」

 

《好感度アップ!》

 

「俺が悪かっ」

 

「あむ❤︎ちゅー❤︎」

 

《好感度アップ!》

 

「ごめんなさ」

 

「はむ……❤︎ちゅ❤︎ちゅ❤︎」

 

《好感度アップ!》

 

ま、不味い。

 

こんなところ、誰かに見られたら……。

 

「司令官!おはようなの、で、す……?!」

 

「おはよう司令官。良い朝だ、ね……?!!」

 

「私は大人のレディだから、挨拶だってちゃんとでき……、る……?!!!」

 

あ。

 

「終わった」

 

「「「あああああああーーー!!!!」」」

 

次回、旅人死す!デュエルスタンバイ!

 

 




榛名
天真爛漫。

大井
ツンデレ。


捕食者。

旅人
キチガイみたいな選択肢を選んだはずが、好感度が上がってしまった。

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