旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

140 / 593
ランキング見たら三位だった。わーい。応援ありがとー。

明日の更新は無理そうなんで前倒し。


140話 地中海奪還作戦 鉄血開戦編

「こう言う時はあれか、頬を赤らめて「来ちゃった……❤︎」とかだろうか。ポイント高いのでは?」

 

『『『『カエレ!!!』』』』

 

オッハー(激寒)。

 

さあやって参りましたエーゲ海。近隣の陸地に爆撃と言うやたら過激な方法で呼び寄せて下さった深海棲艦の皆様には、感謝の意を込めてこの「どう考えても乳輪と下の毛が隠せないマイクロビキニ」を着せて差し上げよう。

 

……冬だし、結構キツイと思う。

 

 

 

いやあ、びっくりしたよ。今朝、エーゲ海付近の国に深海棲艦の爆撃があったって言うからさ。誘き寄せたいのは分かるけど、もうちょっと穏便に呼べないのかね。メールとか。電話とか。

 

「と言う訳で何かあればここに連絡をくれるかい?」

 

空間湾曲。集積地棲姫だったか。間近で見るとやっぱりかわいい。遠くから見てもかわいいけども。

 

『………………ト、捕エタ!!!!』

 

は?何?

 

何で掴まれてんの俺?

 

『コイツサエ殺セバ……!!!』

 

あっ、殺気。

 

成る程、かわいい顔して俺を間合いに呼び寄せ倒すつもりだったのか。策士だ。こんなにもかわいいと、ついつい連絡先を交換したくなってしまう俺の習性を利用するとは。やはり天才か。

 

だが、ただではやられん。

 

「5メガネ!!!!!」

 

『?!!!!』

 

「からの明太子だ!!!!」

 

『?!!!!!』

 

どうだ!!

 

『………………イヤ、何ダソレハ?!!何ノ意味ガアル?!!!』

 

くっ、ハジケが通じなかったか。

 

ツボはここじゃなかったみたいだ。

 

「くっ、すまない皆んな!!俺はここで終わりみたいだ……!!頼む、意志を継いでくれ!!!」

 

すまない。本当にすまない。

 

『クタバレ!!!』

 

「おっと」

 

危ねえな、髪が動くのか。集積地棲姫の、太く編んだ髪の先端の牙に齧られそうになったわ。

 

「にしてもさ、君ら容赦無いねぇ。空を覆い尽くさんばかりの艦載機に砲弾だもんな。ざっと見て千体以上の深海棲艦か。しかも、量産型鬼クラスまで……」

 

酷いなあ、さっきから物凄い戦いだ。

 

『何ヲ言ッテイル……!!タッタノ数十体デソレニ拮抗シテイル、貴様ノ艦隊ハ……!!!』

 

拮抗?はは、まさか。

 

 

 

「打ち勝つよ、黒井鎮守府は」

 

 

 

言うや否や、弾き飛ばされる集積地棲姫。

 

『グッ?!!』

 

「いけませんね……。人の旦那様を奪っては……」

 

「大和!」

 

大和型一番艦。超弩級戦艦。大和だ。

 

両腕の巨大な手甲で思い切り集積地棲姫を殴ったのだ。巨大な質量を強大な力でぶつける、シンプルな攻撃。

 

『貴様!!!』

 

そして始まる殴り合い。巨大な手甲同士がぶつかり合う。ヒェッ、怖っ。

 

俺が守ろうにも、

 

『沈メェーーー!!!!』

 

「無駄です」

 

大和には電磁バリア付いてるし……。

 

大体、これくらいのレベルの強さなら、下手に手出ししなくても大丈夫か。

 

一応、辺りを見回す。

 

集積地棲姫は大和が抑えるとして……。

 

三日月が中間棲姫を、長門型がレ級とネ級を、ポーラ達が飛行場姫を担当、か。

 

その他の艦娘は近くの深海棲艦を叩いている。

 

空母や秋月型が対空、一部駆逐艦が対潜、他は艦種ごと、姉妹艦単位で得意とする戦法で思い思いに戦っているみたい。

 

相手も深海棲艦とは思えないくらいに組織立って動いているみたいだけど、どうにかなってる。なっちゃってる。

 

……俺、要らないよねぇ。指示するまでもなく動けるんだもの。

 

うーん、強いて言えば駆逐艦か。一番装甲が薄いし。……行くか。

 

「大和、ここは任せた」

 

「はい!いってらっしゃいませ、旦那様❤︎」

 

「はいはい、いってきますよ、と」

 

っと、キスしなきゃ機嫌悪くなるからな、大和は。……新婚みたい?やめてくれ、まだ結婚はしたくない。

 

戦争終わったら結婚確定?やややややめてくれ。考えないようにしてるんだから。

 

 

 

×××××××××××××××

 

……『作戦?いつも通り、俺が囮やって、同じ様に個人個人が出来ることやれば良いんじゃない?もうこのレベルになると作戦とか要らないと思うわ』

 

……『え?命令されたい?お、おう。別に良いけど……。マゾなの?違う?あ、そう』

 

 

 

……『それじゃ、頼んだぞ、三日月!頑張れよ!』

 

 

 

「……はい、司令官」

 

『クッ、チョコマカト……!!』

 

司令官の命令だ。命令してもらった。

 

司令官の命令があれば、私は死ぬまで、死んでも戦える。

 

中間棲姫、だったか。それなりの敵だ。腰から下、背中の大きな球体の艤装に火砲を満載、艦載機もある。硬いし、それなりに当ててくる。

 

『危ナッ……!!流石ニ当タッテアゲナイワヨ、ワタシハ!!』

 

「チッ」

 

面倒ですね。

 

小回りが利く太刀を使うべきか。いや……、

 

『……ッ?!爪……!!格闘戦ヲ挑ムト言ウノ?!!』

 

これで良い、ですね。

 

『舐メルナ……。如何ニ素早ク、力強クアッテモ駆逐艦!ワタシト殴リ合イガ出来ルトデモ?!!』

 

大きな艤装を削って行きましょう。

 

馬鹿ですね、こんなに大きい艤装を背負ってると、死角が大きくなるでしょうに。たこ焼きみたいな艦載機には注意が必要ですが……。

 

『飛ン……ッ!!!』

 

本体は、大したことありません。

 

……艤装を壊して無力化。出来るだけ殺すな、と言う命令。

 

果たしますよ、司令官。

 

さあ、頭上を取りました。

 

メイスを振り下ろして、

 

「終わりです」

 

『ーーーーーッ!!!』

 

 

 

 

 

…………いや、違う。

 

全身の筋肉が悲鳴を上げるが、それに構わず、身体を捻る。必殺の攻撃から無理矢理に回避に転じるのだから、身体がおかしくなるのは当然。

 

骨が軋んで、肉が裂け、筋が伸びた。

 

そして、その時。

 

『死ネェ!!!!』

 

無理矢理ずらした頭の横を、「足」が通り過ぎる。

 

少し、掠めた。

 

ギリギリで反応できた。当たれば頭蓋が砕かれてたかもしれない。

 

 

 

でも、甘い。

 

今、私が不意を突かれたのは事実。でも、不意を突いたからって油断しましたね。確実に殺したと、思い込みましたね。

 

ネイルで顔を狙う。視覚を奪えば……!

 

「……チィッ?!!」

 

『ヒッ?!!』

 

……浅い、か。斬り裂けたのは髪の一部だけ。

 

こう言う時、この小さな女の身体が嫌になる。

 

『……人ノ髪ヲ、ヨクモ』

 

赤く輝く瞳でこちらを睨み付ける深海棲艦。……足、あったんですね。

 

痛む身体を再稼働させ、メイスを構える。

 

『暴走サレルト面倒ナノヨ。一瞬デ死ンデ頂戴』

 

嫌です。心の中で答えて、回避。狙ってくるのは頭、首、心臓。言葉通り一撃で殺したいらしい。

 

姫クラスだから筋力は中々、火力も艦載機も健在。

 

でも下手です。力を活かしきれていない。振り回しているだけ。

 

砲撃は、単に「今いる位置」に適当にばら撒いているだけ。未来位置の予測射撃も、回避予定の地点に対する射撃による行動の制限も出来ていない。

 

『当タレ!!コノ!!』

 

本命であろう艦載機も、ふわふわと浮かぶ特徴的な機動以外は既知の行動。他の深海棲艦で見た。黒井鎮守府の空母の様に、常識外れの機動、いや、奇動をする訳じゃない。

 

『艦載機ヨ!!!……何故当タラナイ?!!』

 

本体もパワーだけだ。出力は比叡さんくらいだろうか。その癖、自分よりも格下の相手としか戦ってこなかった者の動きだ。虚を突かれない限り、まず当たらない。

 

『チィ、動クナァ!!!』

 

……うん、慣れてきました。

 

私の尻尾、テイルブレードを伸ばして、宙に浮かぶ艦載機を貫く。

 

『ッ?!ソンナ馬鹿ナ?!!』

 

跳躍。艦載機を踏みつけ、踵部の射出杭……、ヒールバンカーを使用。破壊する。その反動と共に空中で前進。身体を一回転させ、深海棲艦の背部へ移動。その最中に腕部に仕込んだ主砲で深海棲艦の艤装の火砲を射撃。

 

『グッ、アアッ?!!』

 

着地と同時に主兵装である超大型メイスを振り下ろす。

 

『ック、ウウ!!!』

 

……当たらないことは織り込み済みです。メイス先端に仕込んだパイルバンカーを射出。深海棲艦の艤装の外殻部を削る。

 

『グアアアア!!!!』

 

殺しきれない、ですね。

 

チマチマやればどうにかなりますけど……、あまり時間をかけて、面倒事を増やすのは良くありません。

 

耳元の通信機をオン、司令官に連絡。

 

 

 

「司令官、アレを使います。許可を」

 

 

 

『……駄目だよ。暴走モードは。止まらないじゃないか、三日月は』

 

司令官、私の身を案じて……。口答えはしたくないけど、戦闘を長引かせること即ち司令官の身に何かある確率が高くなるということ。だから……、

 

「……早く終わらせないと、被害が出るかもしれません。万が一の確率であっても防ぎたいんです」

 

『……一分だけだぞ、ミカ』

 

「……三十秒で終わらせます……!!」

 

許可を頂いた。

 

じゃあ、

 

「行きます……!!」

 

出力の制限を、解放する……!!!

 

すると、世界が赤く、赤く染まる……!!!!

 

 

 

……私は元々、不出来な艦娘だ。

 

何せ、「出力に肉体が追い付かない」のだから。

 

体内に溢れるエネルギーの奔流に、私の器が耐えられない。出力端子である肉体は、エネルギーの使用によっていとも容易く焼かれてしまう。

 

だから、普段は半分以下のエネルギー量しか使えない。否、使わないんです。戦闘行動で利用するエネルギーの反動から身を守る為、多くのエネルギーをカウンターウェイトとして浪費する訳ですから。

 

それを、今は全部、戦闘用として利用する。この状態では、エネルギー量に耐えきれず肉体は徐々に焼き切れるが、その代わりに大きく戦闘能力が向上します。

 

『赤イ、瞳……?!!暴走ダト?!!』

 

何を驚いているんでしょう。普段は使わないだけで、いつでも任意で使えるのに。

 

『……来イ、量産型共!!』

 

撤退する気ですか?殿に量産型を展開して来ました。

 

……意味ありませんよ、そんなもの。

 

私の前に、司令官の前に立った時点で、タダじゃおかない。

 

「逃す訳、ないでしょう」

 

海面を踏みしめ、背部からエネルギーを噴射。ロケットの様に加速。当然、背部は焼き付くが、関係ない。

 

テイルブレードは、絶えず深海棲艦を貫く。

 

一体、二体、三四五体纏めて、六体……。

 

全身の武装を駆使し、壁役の深海棲艦を殺しながら前進。

 

『ア、アアアアア!!!』

 

いました。

 

「……そこだ」

 

今なら、大振りのメイスも当てられる。跳ね上がった出力でなら、大きな動きでも無理矢理に速くできるから。

 

『オ、オ前、楽シンデルダロ?!戦イヲーーー!!!!』

 

……?、何を言っているんですか?

 

「……まあ、良いか。こいつは壊して良い深海棲艦だし」

 

エネルギーで腕を動かし、フルスイングのメイスを叩きつける。

 

『グ、エッ』

 

ああ、吹っ飛ばしちゃいました。

 

……原型は留めていますし、死んではいないでしょう。

 

 

 

時間も、宣言通り三十秒。

 

 

 

命令、終了しました、司令官。

 




大和
メガデウス型。超強力な電磁バリアを持つ。

三日月ルプスレクス
異常な出力を持つ駆逐艦。莫大なエネルギーと圧倒的な戦闘センスによる丁重なゴリ押しが得意。暴走モードへの移行は任意で可能。この後、反動で両足と片腕と片目が麻痺するが、ドック入りで治る。

中間棲姫
大破。

旅人
ハジケリストでもある。明太子は旅人の晩ご飯になった。この後、戦闘終了後にぶっ倒れた三日月を運ぶ仕事がある。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。