elonaの口上で良いのが見つからないんで、いっそ自分で書くか。
ただいま。
いやー、サバンナ。
力強く生きる動物達の生命の息吹を感じたな。アフリカ特有の動物達の、弱肉強食や食物連鎖から見られる命の円環は、厳しいが、この星の絶対の法則であるように思ったね。だけど、それ故に、これからも強く生きて行こうと思えたね。広い草原をジープで駆け抜けながら見る大自然は、本当に素晴らしかった。
コスタリカも良かった。
多数の固有種が存在する熱帯林は、近年の環境保全活動により拡大し、その美しさを取り戻しつつあった。人類は愚かで、自然を食い荒らすものだが、その自然を元に戻せるのもまた人類なんだな、と。夜の静かな熱帯林からは、確かな命の力を感じたよ。掛け値無しに美しいところだった。
さて、艦娘達の社会進出、だったな。
まあ、大丈夫だろうよ。皆んな本当に良い子だ。少なくとも見た目が良いのはかなりのアドバンテージだし……、頭も悪くない。体力もある。
一応、一般常識と基礎学力の確認くらいはしておくか。
「よーし!!艦娘皆んなに一般常識のテストをさせるぞ!!さあ!会議室へGO!!」
まあ、余裕っしょ。特に問題がある子はいないね。
「まあ、余裕っしょ」……、そう考えていた時期が、俺にもありました……。
「オイオイオイ」
死ぬわオレ。
えっ?なにこれは。
一般常識テストの平均点、30点?これ、満点は100点だよね?え?
30点?全国平均の半分くらい?
嘘だろ?
「どうしよ……、これ。え?いや、本当に、どうすんのこれ?」
「その、大丈夫ですか、提督?」
休憩室でテストの結果を抱えて、ついでに頭も抱える俺を心配する鹿島。鹿島は、両方のテストでほぼ満点を取ってくれていた。少なくとも、中高生くらいの学力はあるし、マナーもバッチリ。やはり、社会経験があるからだろうか。
「いや、だってさ、どうすんのこれ?基礎学力の方はまだしも、一般常識の方!!いかんでしょ!!」
そう、基礎学力の方は、大体平均5、60点くらいだったんだが、問題は一般常識!!
どうなってんだこれは!!
……傾向を見ると、どうやら、国語力はある程度大丈夫みたいなんだが……、問題は社会と時事!!英語も駄目な子が多いし、文化とかも駄目っぽい!!理数分野は、まあ、そこそこ、か。
「うわー、完全に予想外だ。まさかここまでとは……」
「……うわぁ、本当だ……。その、かなり、点数が……」
かーなーり、酷い。総理大臣の名前を知らないとかザラだからね?
「失礼します、司令官。睦月型の答案を受け取りに来ました」
ミカァ……。
「三日月、今の総理大臣は誰だか分かるか?」
「すみません、存じ上げません」
即答である。
「剣桃太郎さんだよ、覚えておこうな……」
「はい」
そうなんだよ、この子達、現代にあまり興味がないんだよ。
あそこでスマホを弄ってる鈴谷とか、ゴロ寝しながら2ちゃんに入り浸る漣とかは少数派。
皆んな、世の中の動向にまるで興味がない……。
現代に溶け込もうともまるで思っていない。
今幸せだから満足だ、と言うがね、明日も幸せかどうかは誰にも分からないんだ。色んなことを知って、真っ当に生きて欲しいな。明日も幸せに生きる為にさ。
「なあ、長門よぉ!」
「む、総理大臣は変わったのか?私の記憶だと、東條英機殿だった筈だが」
「へぇ、素敵な方ね。でも、ちょっとおじさんねぇ。私は、提督の方が良いわね」
長門、と陸奥!!
……東條英機て。戦時の総理大臣じゃねーか。常識が昭和かよ。
「知っとこうよ、そこは……」
「あー、すまん。興味が無くてな……」
「私も、ファッション誌くらいしか読まないし……。大体、社会がどうとか、今まで考えたことも無かったわ」
でもまあ、しょうがないのかもな。この子達は、自分のことを兵器だと思ってるし。俺に使われれば、俺の言うことを聞けば万事安泰、みたいな。
うーん、聞き分けがいいのは嬉しいけど、やっぱり俺は自分でものを考えられる、自立した人が好きかなぁ。
「まー、長門はバイトしてるし、社会に出れるかどうかっつったら大丈夫なんだろうけど……。最低限の常識は身につけた方が良いよ?」
「むぅ、すまん」
「うーん、私も、何かやってみようかしら?」
そうなんですよ、うちの長門はバイトやってるんだよ。近くの工事現場で。たまたま、知り合いの土木作業員に会ったから、その伝手で。
いやー、代わりに性的な意味で襲われそうになったけど、まあ、一命を取りとめたわ。
ありがとうタカさん。
え?戸籍がない艦娘が働けるか、だって?ははは、何のために会社作って利益あげたと思ってんの?
偉い人の頬を札束でビンタして接待って言い張れば、戸籍の一つや二つ、合法的に作れるもんだよ。
因みに、バイクが趣味の霧島とかは、かなり喜んでた。公道を走れるからって。
「聞いたところによると、鹿島と、霧島もバイトやってるとか?」
うちの艦娘は大学生並みに時間的余裕があるからな。バイトなんてやろうと思えば(いくらでも)。
「はい!私は近くのローソンでアルバイトをさせていただいています!あ、も、もちろん、黒井鎮守府からお給料は十分以上にいただいてますけど!その、社会経験を積んでみようと思いまして……」
「すごいなー、憧れちゃうなー」
鹿島、偉い子。
「ふふふ、ありがとうございます!……私、提督には私のヒモになっていただきたいんです!提督に沢山甘えてもらって、一生面倒を見ていたいな、と思ってます❤︎」
んんー?
「暴力を振るっていただいても、無理矢理犯していただいても構いません!私の全ては、提督の為にあるんですから❤︎」
んんんんんんー?
「き、霧島は?霧島は何のバイトを……」
改二になって背が伸びた霧島は、真面目でしっかり者。ちゃんと一般常識のテストも高得点を取っていたし、大丈夫だな。
「あら?ご存知無いのですか?真島さんはしっかりと伝えておいたと言っていましたが……」
……真島?まさか、真島のアニキ?
「私は今、東城会直系真島組で働いています。主に、賭博場の警備などを担当していて、最近は賽の河原などが多いですね」
「あ、あのさ、違法行為は」
「大丈夫ですよ、ガサ入れがあれば、身元を押さえられる前にサツを半殺しにしますから。それくらいの腕はあります」
何言ってんのこの子?!!
「い、いや、ほら!艦娘は護国の為にって、いつも言ってたじゃん?!」
「存じ上げませんね」
良いのかそれで!!!
「私は、この国に仕えているのではなく、司令に仕えているのです。司令の為ならば、この命、惜しくはありません」
そ、それは、その、ね?
「な、なあ!長門もさ、護国の為に戦うのが艦娘だって……」
「……私も、そう思っていたんだがな。かつて、護国の為に散った英霊達のことも、私達艦のことも、今は誰も知らないし、何とも思っていないじゃないか……」
「そりゃあ、そうだが……」
現代人なんて、そんなもんだ。戦争と言う所謂痛ましい記憶は、なるべく思い出したくないんだろう。
「きっと、この、人の形で生まれてきたのは、貴方に仕える為なんだと思っているよ。……もちろん、この国も護ってみせるさ。大分変ってしまったとはいえ、私達の愛した日本だからな。でも、一番は貴方だ……❤︎」
んあー、そっか。
変ったもんな、日本。
人の心は荒み、モノに溢れ、自然を破壊し……。艦娘の目には、今の日本がどう見えてるのかね。
でも、今の日本も捨てたもんじゃないって、ちゃんと教えたはずだ。
テロだとか、そういうことは考えてないみたいだし、良いだろう。
護国の為に、っていう考え方にとらわれずに、自分のやりたいことをやってほしいなー。
「では、恒例の大本営攻略会議ですが……」
「はい!青葉ちゃんの調査の結果、ここと、ここの警備が薄いですね!」
「大将はコイツか……、コイツの首をへし折れば、提督に安寧がもたらされるんだな……?」
……まあ、ヘイトの大半は大本営に行ってるみたいだし、大丈夫か。
自業自得だね、うん。
長門
最近はより筋肉が付いた。
霧島
違法カジノでの警備員をやっている。見た目もスタイルも良く、警備員としての仕事もバッチリな為、重宝されている。
鹿島
奉仕型のヤンデレ。その上マゾ。DVされたいとか思っているタイプ。
総理大臣
心眼や氣功を極めた武人。旅人の頭が上がらない人の一人。
真島のアニキ
関東最大の暴力団組織、東城会の誇るトリックスター。
タカさん
土方。物凄いマッチョでイケメンな、女性。
旅人
精神性までもが旅人で、自分の言うことを何でも聞く人より、自分と共に何処かへ行ってくれたり、逆に何処かへ連れて行ってくれるような、自立した人が好き。自分の世界が広がるのが楽しい。自立してない子はしてない子で可愛がるのであまり意味はないが。