どこを見ても人、人、人。やっぱり来るんじゃなかった。
「お待たせー、比企谷くん」
「おう。なんでわざわざこんな出来立てほやほやのショッピングモールにしたの?」
「セールやってるからさ。まぁでも、こんなに人がいるなんて思わなかったな」
「はぁ...まぁいいや。行きたい店どこだ?」
「結構あるんだよね」
「じゃあこの地図に全部マークしてくれ」
「うん」
「はい。これどうするの?」
「昔も妹とショッピング来た時に今日みたいな状況があってな。その時はもう地獄だったからな。2度と同じ過ちをしないようにルートを決めてから行くことにしてる」
「へぇ〜。というか比企谷くんって妹いたんだね」
「あぁ。世界一可愛い」
「シスコン?」
「違う。よしできた。これなら一番楽に回れる」
「じゃ、いこっか」
俺は加藤が買っている間に外で待機中。その間に店の混雑情報をチェック。こんなに人多いのにうろちょろしてたらマジて吐きそうになるからな。さすが俺。
「終わったよ」
「よし、次で最後だな」
「うん」
最後の店への道のりが一番大変だな。まぁ昼時だから仕方ないんだけどさ。
「くっ....マジで人多すぎ」
「ほんとだね....きゃっ」
その時、加藤がつまづきそうになったので、俺は加藤の手を掴んだ。
「おっと。大丈夫か?」
「うん。ありがと」
「もうちょいだ。頑張れ」
俺は加藤の手を引いて全力で突き進む。その間俺と加藤の手はずっと繋ぎっぱなしだった。
「ついた....」
「やったね」
「おう.....ってすまん。ずっと手掴んでたな」
「別に大丈夫だよ?最後のお店は比企谷くんにも来てほしいんだけど歩けそう?」
「あー、先見といてくれ。少し休憩したらいくから」
休憩も終わり店の中に入る。ここはメガネ屋?
「加藤?お前目悪いのか?」
「....うん。これかな。比企谷くん、ちょっとこっち向いて?」
「なんだよ?」スチャ
加藤の方へ顔を向けると、加藤は俺にメガネをかけてきた
「うん、すごく似合ってるよ」ニコッ
「っ」
危ない。見惚れそうになってしまった。普段結構加藤って無表情だからいきなり笑顔とかになられると困る。
加藤って普通に可愛いし。
「?どうしたの?」
「い、いやなんでもない。なんで俺に?」
「今日のお礼。付き合ってくれたから」
「別にいいぞ?そんなことしなくても。別にそういうことして欲しくて今日付き合ったわけじゃないし」
「いいの。私がしたいだけだから。だめ?」
「いや.....わかったよ」
「うん。じゃあこれにしよっか」
帰り道
「比企谷くん、今日は楽しかったよ。ありがとね」
「いや、店回っただけじゃん」
「あはは、まぁそうなんだけどね」
「....俺もメガネサンキューな。明日から使わせてもらうわ」
「うん。その目も良くなるからモテるかもよ?」
「そうかもな。俺は友達がいないことと彼女がいないこととこの目を除けば基本高スペックだからな」
「あはは、自分で言うんだ。今日はほんとにありがとね。私こっちだから」
「おう、そうか。じゃあまたな」
「うん」
今日の加藤はいつも通りだった。でも最後だけ、最後だけは....
「.....加藤!」
「なに?」
「最後のメガネ屋でのはちょっとヒロインっぽかったぞ!」
「.....ふふっ。ありがと!」
続く