ゲート・サイヤ人来れり   作:野菜人

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2話 帝国軍再び!見よ、これがサイヤ人の挨拶だ!!

名誉族長となった俺は暇を持て余していた。

俺が何か手伝いをしようとすると、彼女達は決まって……。

 

「いいよいいよ、それよりもテューレ達と子供でも作ってくださいな。

それとも私とします?」

 

みたいな感じで、誘惑される。

畜生、なんてエロい種族なんだ。

オラ、ムラムラすっぞ!

って、いかんぞ俺。ムラムラしている場合ではない。

何かしないと暇で死んでしまう。

正直、冒険や旅に出てこの世界の娯楽を楽しみたいのだが、常識や通貨のない俺には到底無理だ。

故に常識を嫁(仮)達に学んでいて旅に出たくても出られないのだ。

もういっその事、家出しようかな……。

そんなことを考えていると、村では珍しい少年が家にやって来た。

彼はテューレの弟テオ。

彼は俺の前に現れると頭を下げて言った。

 

「義兄さん、僕を鍛えて下さい!!」

 

頭を下げる彼を見て、はじめはメンドクセェと思ったが、他にやることのない俺には丁度いい暇つぶしと思って彼を俺の弟子にした。

理由は今の族長の息子として、一族の為に何かしたいらしい。

 

「とりあえず、これを手足に巻き付けろ」

 

「石…ですか?」

 

「そうだ、石を黙って巻き付けろ」

 

適当な大きさの石を彼に渡し、布で巻き付けさせる。

まあ、これからやる修業は悟空やピッコロがやっていた修業のパクリである。

偉大なZ戦士に感謝しつつ、石を装備したテオを確認した俺はテオに単純な修業を命じた。

 

「村を20周してこい」

 

「は、はい!」

 

ぎこちない動きで、ゆっくりと走り出すテオ。

真面目な少年のようだし、これからがどうなるか楽しみだ。

こうして、ゼノン・ブートキャンプが幕を開け……。

 

いつしか、現役の女戦士達も参加する大所帯になってしまった。

 

戦闘民族であるテオは日本人とは比べ物にならない速度で体が鍛えられた。

もともと一族の為に何かしたいと考えるほどの真面目な性格の彼は、今時の若者のようにサボるという事をしなかった。

故に彼は自主的に重りの石をさらに重くし、村を走り、一日中重りを付けて過ごしていた。

そして、彼の地道な努力が実り、重しを取り除いた彼の足は歴戦の戦士に匹敵した。

村でも弱い存在であった彼の成長に焦りを感じた村の戦士達が、テオの修業を狩りの時以外は見よう見まねで始めたのだ。

つまり、村に筋トレブームがやって来たのである。

 

ついこの間までは、虐殺されそうだった村とは思えない平和な日々。

 

だが、平和とは簡単に消えるものだと俺は知ることとなった。

筋トレブームが半年に到達し、俺がこの世界の常識を覚えた頃。

帝国軍が無駄に肥え太った誇りを取り戻す為に進軍を開始したのである。

 

 

☆☆☆

 

 

ある日、訪れていた行商人達がガラリと来なくなった。

なんでも帝国軍が再びこの村に殲滅を目的としてやってくるらしい。

商売人は情報が命とはよく言ったものだ。

戦闘準備を整えるのに忙しい村人たちを眺めながら俺は帝国について考える。

あれだけ殺したのにまた攻めてくる帝国の奴らは何を考えているんだ?

もしかして俺を殺せる存在でもいるのだろうか?

 

それとも俺と同じプレイヤーがこの世界で帝国に居る?

 

悩んでいても仕方がない。

俺のやるべきことはたった、一つ。

この村に帝国が二度と攻めてこないように絶対的な恐怖を与え、徹底的にボコるだけだ。

 

よし!じゃあ、行くとしますか!!

 

自分の頬を両手でバチン!と叩いて、気合を入れた俺は散歩にでも行ってくると言って、家を飛び出し帝国へと飛んで行った。

 

 

30分後

 

 

話で聞いた帝国の方向へ飛んでいると、以前に見た沢山の鎧を着た歩兵と騎馬と空を飛ぶ人を乗せたワイバーンの群れ。

そして、今回は以前にはいなかった異形の化け物が居た。

ゴブリンとオークである。

話には聞いていたがファンタジー系のRPGで見た姿と酷似している。

そしてなによりも、彼らは盗賊や傭兵を生業とする種族で破壊と凌辱を好むケダモノらしい。

残虐に殺してもまったく心の痛まない存在なので帝国兵をビビらす見せしめにはもってこいである。

 

さて……こいつらの戦闘力はどれくらいかな?

 

俺の傍の空間に穴が開き、躊躇することなく穴に手を伸ばす。

空間からスカウターを取り出した俺は右耳に装着し兵隊達の戦闘能力を計測する。

 

これはアイテムボックス。

ゲームで入手したアイテムや装備品などを収納するもので数か月前にそろそろ他の服が欲しいと思った頃、アイテムボックスの存在を思い出し、試しに物を取り出そうとしたらゲーム時代と同じように出現した。

 

ピピピピピピピと独特の機械音がなるとスカウターの緑のディスプレイにどんどん戦闘力が表示されていく。

 

兵隊…戦闘力6

 

ゴブリン…戦闘力7

 

オーク……戦闘力8

 

ワイバーン……戦闘力10

 

巨大な戦闘力を持つ人間はなし……。

 

「なるほど、兵士は農家のおっさんより1強いだけか…。楽勝だな」

 

スカウターを外して空間に現れたアイテムボックスに収納する。

 

「さて、始めようか」

 

 

………。

 

 

帝国軍の前に降り立った、ゼノン。

前線に捨て駒として配置されていたゴブリンとオークが、ゼノンの存在に気づき小さく唸る。

人間よりも、どの亜人種よりも、過酷な環境にいて最も野生に近い彼らは本能でゼノンを危険なものと判断し、警戒する。

しかし、しょせんは彼らはケダモノ。

警戒するだけでこの場から逃げようとは考えない。

 

何をしてくるか分からないが、しょせん相手は一人と思っている。

 

故に、彼らはこの戦場で一番目の犠牲となった。

 

ゼノンが手のひらをオーク達に向けてエネルギー弾のラッシュを浴びせたのだ。

即死したオークは運がいい。

可哀想なのはエネルギー弾の余波でケガをしただけで、死ななかった者だ。

 

腕が消滅した者。

 

死んだ味方の武器が体に刺さって動けなくなった者。

 

即死できなかった事で地獄の苦しみを味わってじっくりと死を体感しながら死んでいくのだ。

オークとゴブリンの兵が半数以下に落ちたところでラッシュは止んだ。

あの魔法は打ち止めか?

俺たちは助かるのか?

淡い希望を持った彼らだったが、そんなものはすぐに消えた。

 

男が腕から巨大な光の剣を発生させて、こちらにやってくるのだ。

 

逃げなければ死ぬ。

 

逃げ惑うオークとゴブリン達であったが、悉く体をバラバラにされた彼らは、自分たちの血を大地に染め上げた。

 

そして、オーク達が地獄を見ている時、帝国軍も恐怖した。

オーク達とは天と地ほどの防具などの装備の差があれど、あの雨のように降った光の玉や今もオークとゴブリンを無差別に切り裂く光の剣を防ぐ事は出来ないのでは?

もし出来なければ、地面に染みを作り続ける彼らのようにバラバラにされる。

 

目の前の地獄を見ている帝国軍はみんな切り裂かれたオークが、ゴブリンが自分の姿に見えた気がした。

 

自分の未来を見た気がした彼らは恐怖で足が止まった。

後ろの指揮官が『突撃』だの『進まないと厳罰』だの言っているが冗談じゃない。

国の為に死んでたまるか!!

 

そう思った彼らは、自分が持っている重い槍と盾をその場に投げ捨て、逃亡した。

一人が逃げれば後を追うようにどんどん戦線を離脱していく。

敵前逃亡は死刑だと上官が何人か持っていた剣で首を飛ばしたが、オーク達の後ろに控えていた彼らは気にも留めず走った。

 

そして、オーク達の惨劇を見た兵士が逃亡したことで何が起きているのか分からない後方の兵は何故に前線の兵が逃げたのか理解できず混乱が起きた。

誰も理解が出来ず、わけもわけも分からぬまま、事態は加速する。

なんと彼らの前に戦場の覇者は味方の兵を一直線に薙ぎ倒しながら突っ込んできたのだ。

男の進路に居た哀れな兵は味方を巻き込んで空を飛んで行った。

 

初めて男の姿を視認した兵は驚愕した。

なんという怪力、なんという速さ、まさに化け物。

災害のように扱われている炎龍が可愛く見える。

この男は地上に存在していい存在ではない。

 

兵士の誰もが同じ感想を抱いた時。

男はニヤリと嗤い、彼らに言った。

 

「どれ、軟弱な人種に挨拶をしてやろう」

 

男は二本の指を拳から突き出し、クイっと上にあげた。

そんな、ただの何気ない男の動作が、彼らが人生最後に見た光景になった。

 

 




評価、感想などをお待ちしております。

感想にありましたがオリ主はゲームボディなので惑星を破壊できる攻撃は出来ません。
ドラゴンボールスパーキングか、ゼノバースの必殺技や超必殺技レベルの威力とお考え下さい。

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