ゲート・サイヤ人来れり   作:野菜人

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1話 ブチ切れ

 

沢山の村へと向かう軍隊。

村には自分たちはヴォーリアバニーと言っていたアマゾネス達。

全裸で牢屋に入れられたが、ご飯もくれたし、見張りをしていたデリラはそこそこ仲良くなった。

 

空から村を窺っていると、彼女たちも平原に現れた軍隊に気が付いたのか戦闘準備をしている。

どうやら戦争……いや虐殺が起こるようだ。

 

彼女たちの装備は鎧と弓と剣。

敵の軍隊は鎧と盾と剣、さらにはドラゴンやら馬やら乗っており歩兵、騎馬、ドラゴンと数と戦力が彼女たちを大きく上回っている。

 

もし、俺が物語の主人公であったのなら、迷うことなく彼女たちを救うことができるだろう。

だが、ここにいるのはサイヤ人の力を手にしただけのモヤシボーイ。

 

ゲームの中でならサイヤ人もナメック星人もフリーザ一族も魔人も破壊神も打倒した。

しかし、現実はどうだ?

モヤシでケンカもしたことのない俺が軍隊と戦えるのか?

 

ちらりと、アマゾネス達の村の様子が頭によぎる。

たくましいが女ばかりで子供もたくさんいて、誰もが平和に暮らしていた。

それが踏みにじられる。

 

彼女たちが積み上げてきたものが破壊される。

もちろん戦闘民族と言っていた彼女たちも抵抗するだろう。

 

これから彼女たちに訪れる絶望を思うと罪悪感で胸がいたい。

しかし、どんな戦いになるか想像すると同時に体を熱くさせ、興奮している自分が居た。

 

これから起こる戦いと闘争。

具体的な想像をすると、どんどん体が熱くなる。

刃物を向けられ、敵意を向けられた時も似たような感覚があったがその比ではない。

 

おそらくサイヤ人の本能が戦いたいと言っているのだろう。

ドラゴンボールに出てくるサイヤ人達はみんなこんな感じなのだろうか?

 

サイヤ人の本能を感じつつ、戦場となる平原を見る。

 

村からは鎧を着た戦士たちが二手に分かれて挟撃をしようと軍隊に接近。

軍隊は弓とドラゴンで応戦しようと動き出す。

 

変わる状況といまだに感覚がなれないサイヤ人の体。

頭がグルグル回る。

 

何故、俺がこんな目に遭わなければならない?

 

本来ならば連休最終日でゲーム三昧する予定だったのだ。

 

なのにアマゾネス?軍隊?戦争?

 

…………。

 

ぷ…ちん。

 

悩みに悩んだ末に…俺の中で何かが切れる音がした。

そして、体の熱と共に激しい怒りが俺に灯った。

まあ、簡単に言うとブチ切れたのである。

 

「もう、知るか…ボケェーーーーーー!!!」

 

両手にエネルギーを集めてファイナルフラッシュのようにビームを打ち出す。

俺から解き放たれたビームは空中に居るドラゴン達を蒸発させながら。

前線に居る軍隊に直撃。

 

着弾したエネルギー波はドームのように拡大し、地面と兵隊たちを焼き払う。

そして、後に残ったのは巨大なクレーターと中心部からモクモクとのぼる、煙だけだった。

 

普通ならあまりの威力にドン引きするところだが……。

 

「全部、お前らが攻めてくるのが悪いんじゃーーーー!!」

 

絶賛ブチ切れ、八つ当たりモードの状態の俺は被害なんて気にすることなく軍隊へと突っ込んだ。

 

 

 

突然の大きな爆発に恐れ戦く、帝国軍とヴォーリアバニーの戦士達。

そんな彼らの間に一人の男が現れた。

 

見知った顔が下りてきて混乱するヴォーリアバニーと神の所業だと思われた謎の光の後に舞い降りてきた男に混沌とする軍隊。

そんな混乱の中、男は獰猛な笑みを浮かべ手のひらを軍隊に向けた。

 

「くたばりやがれーーーーーー!!!」

 

男の叫びと共に、軍隊の半数がこの一撃で塵となった。

 

 

 

 

まさに悪夢。

 

 

 

 

彼らは常に勝者であった。

この戦も皇子の道楽と自分たちの欲望を満たす為の物であった。

しかし、現実は違った。

皇子に便乗し、甘い汁を吸おうとしていた兵士と貴族たちは恐怖した。

 

黒い髪と黒い瞳を持ち、尻尾の生えた一人の亜人。

 

彼が手をかざせば光に飲まれ。

 

彼が手足を振るえば致命傷となり、人が空を飛ぶ。

 

その姿は、まさに荒ぶる神のごとく。

 

そして、戦場の覇者とも言えるその背を見た女戦士達は畏怖と情欲に支配されていた。

彼女たちは生まれながらの戦闘民族。

強い雄と番になりたいという欲求がエルフやホビットなどの他種族の女よりも強い傾向にある。

 

故に彼女たちは一人残らず男の背中に夢中になった。

 

一方で兵の半数を消し炭にされた軍は恐怖に支配され、自分の国へと撤退した。

無事に生き残り、帰国した彼らの行動は周りを騒然とさせた。

 

家に閉じこもる者。

 

太陽の光を浴びて奇声を上げる者。

 

植物に話しかける者

 

中には貴族の子弟も含まれていた。

 

貴族の子弟が含まれていた事により、今回の被害を及ぼしたヴォーリアバニーを殲滅する事が議会で既決。

貴族が家族の復讐の為に兵を募った。

 

しかし……彼らは愚かな事に男の事は信じなかった。

軍が多大な被害を受けた事は信じたが、化け物のような男の事は誰も信じてはいなかった。

 

男は、彼らが見た幻覚だと。

 

その男は君にしか見えない男なのだと。

 

精神系の魔法攻撃を受けたのだと。

 

そして、何より軍を率いていた皇子が男を認めなかった。

あれは現実ではない。

ヴォーリアバニーたちの卑怯な策略だったと。

 

彼は自分の失敗を認めなかったのだ。

 

 

☆☆☆

 

 

 

軍隊が撤退した後、ヴォーリアバニーの英雄となり色々とスッキリした俺はサイヤ人としての人生を歩む事を決意した。

まあ、なるようになれ!

みたいな感じで開き直った、だけかもしれないが……。

 

そして英雄となった俺を彼女たちは歓迎し、名誉族長の位と家に嫁さんをくれた。

サイヤ人である俺との同盟の証らしい。

処女である族長のテューレという白ウサギさんと俺を木製の檻に連行したデリラ、パルナ、マミーナが嫁になった。

いきなりの重婚である、ハーレムである。

正直、意味が分からない。

 

ちなみに族長はテューレの母である前族長が務めるらしいから遠慮なく子供を作って欲しいと言われ、嫁だけで足りないようだったら村の女を適当につまみ食いしてもよいと言われた。

サイヤ人として生きると決めたばかりなのに、心が折れそうです。

ちなみにデリラ達の家族も反対はなく、むしろガンガン行こうぜ!という感じに娘たちを送り出した。

 

そして現在……。

帝国と呼ばれる国の軍隊が残した、ドラゴン?ワイバーンと食料で宴会が終了。

俺に用意された家で嫁(仮)の4人が寝室にいた。

ちなみにベッドは草を敷いて布をかぶせた物だ、座ると少しだけチクチクする。

 

「わたしが一番で」

 

「テューレ様……いや、テューレ。ここは旦那と一番親しいあたいが一番にきまってる」

 

「いやいや、デリラ私こそが……」

 

「決まらないなら私が……」

 

全裸の美女達が俺の前で口を使ったバトルが繰り広げています。

いやぁ、皆さんいい体していますね。

動くたびに張りのよいおっぱいが揺れてますよ。

眼福眼福。

ジョニーもハッスルしたがってますよ?

 

でも俺ってば、まだ重婚する気はないんだよね……。

いや、ハーレムは目指しているけどね?

彼女たちの事何も知らないんだよ。

見た目だけしか、知らない女と結婚したって上手く行くとは思えないんだよ。

俺はラブでライトでコメディなハーレムを築きたいのであって、ドロドロで悲惨なハーレムは嫌なのです。

という事で。

 

彼女たちの説得を開始した。

しかし、全裸で抱かれる気満々の彼女たちはもちろん納得しなかった。

故に、サイヤ人は愛がないと女と結婚できないだの何だのそれっぽい説得を試みた。

結果は大成功だったが、時々言われる「不能なの?」「同性愛者なのかい?」「童貞なの?」「大丈夫、私たちも初めてだから」

などの言葉の暴力により心が傷ついて、彼女たちの放つ女性特有のフェロモンにクラクラしながらも眠りについた。

 

そして、この翌日を境に俺の名前はサイヤ人ゼノンの名前は帝国の話を聞いて村に訪れた亜人の行商人達によって広がった。

曰く、黒き暗黒の髪と瞳を持つ、悪鬼羅刹。

曰く、帝国軍を一人で退けた最強の戦士。

曰く、新しい亜神である。

曰く、女に弱い。

 

ヴォーリアバニー達の視点ではあるが、戦場となった平原を見た行商人たちは彼女たちの話を半分信じてこの話を旅先で友人に取引先に流す程度に話をした。

この話を聞いて、ヴォーリアバニー達の言葉が真実か確かめる為にサイヤ人を探る者。

亜人のウソだと決めつける者。

なんかの利益にならないかと探るものと様々な人間や亜人たちが動き出す事となった。

 

 




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