やはり俺が轢かれないのはまちがっている。   作:なゃ。

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やはり真夜中にアニメを見るのは体に悪い。

 翌日に嫌な予定があって、ついつい夜更かししてしまう--身に覚えのある人は少なく無いであろう。かく言う俺もその1人である。

 妹の小町はもうとっくに寝ているだろう。もう深夜の3時半だ。あれ、もう予定があるのって当日じゃね?

  ......認めたくないので「『今日』は起きてから眠るまで」とかいう、シスコン廃人ゲーマーの理論を採用させてもらう。シスコンに悪い人はいないので、きっと許してくれるだろう。

 翌日には入学式を控えている。入学式に参加するということは、すなわち春休みの終わりを意味する。

 春休みが終わる。学校が始まる。

 一般的な、或いは模範的な解答として入学式前日に眠れない理由を答えるのならば、それは高校への期待、もしくは緊張だろう。俺だって恐らくひと月も前であればそう答えたし、国語の設問で類似した状況における主人公の気持ちを聞かれれば、今でもそう答える。

 合格通知を貰ったあの日、俺は高校に入れば何かが変わるのではないかと、そう期待していた。

 しかし、今からちょうど1週間前、その希望は我が最愛のマイスウィートエンジェル小町によって打ち砕かれることとなる。所有格が2重になっているところが八幡的にポイント高い。進学校の生徒的にはポイント低い。

 高校デビューについて指南して貰おうと小町に相談したら

 

「とりあえずー」

 

 小町は痛いものを見るような目で、続けた。

 

「中学生に意見を求めるごみいちゃんは、期待しすぎるのやめたらー?」

 

 小町の指摘により我に返った。てか、中学生の妹に高校デビューの指南を求めるとか、完全に黒歴史じゃん。小町も痛いものを見るような目、というか、痛い兄を見る目になるだろう。

 その後、小町は洋服がどうとか、目がどうとか、今の小町的にポイント高いとか言ってた気がする。何だかんだで真剣に考えてくれる小町マジ天使。だが、直前に受けたショックがデカすぎてよく覚えてない。

 それ以来、俺は高校生活に夢を抱かなくなった。中学時代の教訓を思い出したのだ。そして、現実を見るようになった。

 現実を見て、その上で逃避を試みた結果、夜の3時半からアニメを見始めた。

 見たいアニメも見終わり、ふと時計を見る。気がついたらもう5時になってしまってた。......あれ? マジで?

 ここで選択肢は2つある。

 ひとつ目は、このまま徹夜することだ。オールナイト八幡。徹夜のテンション楽しい。

 もうひとつは、すぐさま寝ることだ。人間の睡眠サイクルは1時間半で1周期らしいから、今から寝てもひとサイクルできる。8万サイクルしたい。八幡だけに。だめだ、もはや訳が分からん。頭が回ってない。深夜のテンションいくない。

 俺は寝ぼけた頭で考え、ひとつ思い出した。

 春休みで生活リズムが狂ってる俺に対して、小町が苦言を呈したのだ。

 いわく、眼がいつも以上に腐っていると。

 原因は明らかだ。睡眠時間が確実に足りない。1日4時間半しか寝てない。徹夜明けのプログラマーとかに言ったらブチ切れられそうな発言だけど、本来若者の方が睡眠を必要とするらしい。体力があって、どうにかなっても、やはり寝た方が体にはいいそうだ。

 以上の事と、小町のゴミを見る目(ここ重要)を思い出したため、今更ながら寝ることに決めた。

 決めてからは早く、寝るまでに10分も要さなかったと思う。

 朝は小町が起こしてくれたお陰で、ギリギリではあるが無事に、入学式に間に合った。

 そう。

 無事、怪我もなく、車に轢かれることもなく。

 入学式に、間に合ったのだ。

 




ということで、初投稿です。
週2くらいで投稿できたら嬉しいです。
まぁ、そこは実生活との兼ね合いということで、温かい目で見てやってください。

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