今回のは完全に思い付きで書いているので、文の質が恐ろしく低いですが、それでも良いという方はどうぞ読んでいってください。
誤字脱字等ありましたら報告願います。
※この小説は原作カンピオーネとは異なる部分が多々あると思いますので、いちを注意。
「ああ………貴様が、貴様こそが我を討つ相手として相応しい者であったか」
六法全書、いやそれ以上の厚さを誇る分厚い本を右手に持ち、人間の核である心臓のある位置を湾曲した短剣で貫かれて、血を滝のように傷口から流している男は目の前にいる、成人してるかしてないかくらいの青年に対して声を掛ける。
対して声を掛けられた青年は、最早原型を留めていない両腕をブラブラと揺らしながら、乱れた呼吸を続ける。
青年の顔面は恐怖で固まったようでありながらも、してやったと言わんばかりに口を歪ませていた。
「しかし、我も長年の積が祟ったか。貴様のような人の子に後れを取るとは……」
心臓を刺された男は、もう言うことはあるまいと刺さっていた短剣を引き抜き、先ほどより多く流れ出る血を気にせず、目の前に立つ青年の背に手を回して抱擁し、左手で頭を撫でる。
カラン、と短剣が地面に落ち軽い貴金属の音を立てるが、そんなことはお構いなしだ。
そしてそれを済ませると共に後ろへと倒れこみ、青年の数メートル奥の所に妖絶な笑みを浮かべながら椅子に座っている女性に話しかける。
「これも其方の思惑通りか、蠍女よ」
「………いえ、これに関しては私も驚きよ。まさか神殺しを成し得る人間がいるなんて思いもしなかったわ」
肩を竦めた後に、うふふと笑いながら足を組みなおす。その動きは実に美しく控えめな胸に、流れる清流の如く艶のある漆黒の髪をかき上げる仕草は、町中の男性なら十人中十人が目を向けるような魅力があった。
倒れた男は呆れたような顔をしながら血が流れ過ぎたのか、苦痛に歪む表情を浮かべる。
「やはり我の人間に対する考えは甘かったようだ。だがこれで我はもう甘さを捨てるであろう、感謝するぞ。人の子よ」
「まあまあ、エンリル様は随分と潔いのですね。人々の想像とは反対でいらっしゃるので?」
誰もが予想だにしなかった存在の出現。この殺伐とした空間に似つかわしくない可憐な声が響き渡る。
白く妖々しいドレスを身に纏った、金髪の十代ほどの少女が、体力の限界なのかもう倒れそうな顔色の少年の近くに現れ、エンリルと呼ばれた男に言葉を投げかける。
「ん……?おお、主こそが近頃騒がれている女神か。つまりお主が我の前に現れたということは、今からこの人の子に我の権能を与えるということか」
「与える、ではなく簒奪するという所を修正させてもらいますわね。私は神と人の間を司る者。このような子を見つけて黙っては居られませんよ」
「はははっ、自身の子と引き換えに冥府を抜け出してきた我とは全くもって正反対な考えの女よな!」
「貴方は私の初めての義息よ。エンリル様の神力が流れ込んで痛く思うだろうけど、それは貴方が来たるべき運命に耐えれるようになるモノよ」
ひどく甘く、それでいて心地よい声が青年の耳を、流れ込む灼熱から包むように通る。
青年が少し表情を緩めた事を見た、椅子に座っている女性は気に食わないのか、むっとした表情を浮かべる。
だがそれを一切気にしない少女は言葉を続ける。
「うふふ、さあ神々よ、祝福と憎悪をこの子に与えて頂戴!この世界で神殺しの運命を背負う子に、聖なる言霊を捧げて頂戴!!」
「うむ、良いだろう。……
最高神たるエンリル神の力を、祝福と憎悪と共に受けた大友の意識は遠のく。
いつの間にか元の腕に治っていていた腕が、またも力なくぶら下がりながら後ろへと身体が倒れてゆく。
そんな大友の身体を先ほどまで椅子に座って、女神と最高神のやり取りを見ていた女性はすっと立ち上がり、数メートルほどあった距離を一瞬で移動し、ふら付いて倒れかけた大友の身体を受け止める。
そして――――――――――――
「人類初の神殺しの魔王になったことを心から祝福するわ―――――――――――
――――――――――――――愛しの
カーテンで完全に締め切ってある部屋に、カーテンの僅かな隙間から差し込む一筋の光に顔を照らされ、俺「大友 葉鶴」の一日は始まりを迎える。意識が覚醒する前にベットから起き上がり、隣で寝ている彼女を起こさないようにベットから降り、箪笥の中から学生服取り出し、着替えを始める。
時期的にはあまり寒さを感じないが、やはり朝は別格だ。寝巻を脱いでゆくことで肌を少し刺すような寒さにぶるっと震え、鳥肌が立つが服を着てしまえばそれまでだ。
そして俺は徐に机の上に置いてあるライターと煙草の箱を手に取り、部屋から音を立てずに出て階段を下り、居間まで行ってから煙草にライターで火を点けて朝を一服を行う。
え?あんた学生なら喫煙ダメだろって?
ああ、そんなことは何の問題もない。いちを俺は学校を何年か留年しているから実際は成人している。
なんで留年してるかって言われたら、勉強がだるいから海外へ遊びに行っていたというのが留年の原因だ。
御かげでテストのリスニングや、英語合宿(強制参加)などではさながら無双状態だったが、ペーパーテストとかはまるっきりだめだ。
だから今年も俺は高校三年生を繰り返す事になったのだが、特に俺は何かと思うことはない。
金銭面では、正月以外では家に決して帰ってこない両親の仕事の御蔭か、困ることは何一つもないし、両親は両親で俺が留年しまくっている事に一切口を出してこない。
両親曰く「子供の人生に口は出さない」という事を家庭の掟として代々続けているんだと。
それは物凄くありがたい。これの御蔭で俺はのんびりと海外を旅できるんだからな。
しかし、それもつい最近の出来事で全て不可能となった。俺がやらかしたメソポタミア神話の最高神殺害だ。
これによって俺は人智を超えた力を手に入れ、この世界の裏に足を踏み入れてしまった。
あのエンリル神との戦いの後、倒れた俺は夢…なのか、そのよくわからん世界でパンドラという「養母」から、神殺しを成し遂げた俺がなった「カンピオーネ」なる存在がどれ程キ○ガイじみているかを聞かされた。
そしてこれから俺がどんなことに巻き込まれるのか。俺の未来については不確定多数の道があるからどうなるかはわからないと言っていたが、間違いなく面倒ごとに巻き込まれることは確定していると思った。
まあそれはそれでよいと思っている自分がいてしまうのはちょっとおかしいが、いい加減刺激を求めるのにも飽きてきたとも言える。
確かに、俺は人外の道に入るまでは様々なことで楽しめていたが、人外となってはどうなるか知ったこっちゃない。
唯一変わらないことと言えば、ついさっき俺が起こさないように配慮していた彼女への愛である。
ベットで俺と一緒に寝ていた女性は、俺が中東のパリと呼ばれたベイルートという街を訪れた時に会って、一目惚れした「セルケト」という名の美女である。
そう美女である。世界どこへ行っても振り向かない男性は見たことがない程の美しさを持つ彼女は、ベイルートのホテルに泊まるときに初めて言葉を交わした。
その後、連絡先を何とか手に入れて、暇さえあれば電話して話をした。恋人として成立したのは、今から大体一年前くらいにパリで告白した時だ。
それ以来彼女は俺と一緒に暮らすようになった。時々変な格好の男たちが彼女に集まってきたりしたが、彼女の超能力かなんか不思議な力で蹴散らされていた。
思えばそのことで何故俺は疑問を持たなかったのかは聞いてはいけない。単にうおー、スゲーと思っていたくらいだからな。
さて話を戻そう。
「セルケト」は俺の彼女で、今も同居している。彼女の出所が一切不明だが、美女に罪はないので気にしない。
彼女は学校へは通っておらず、いつもは家で家事全般を担当していて、俺がエンリル神と戦う理由を作った張本人とは思えないほどの良物件である。
……ああ、エンリル神と戦うことになったのは、彼女が面白い人がいるから見に行かないと誘われたのが原因だ。
そこで出会った片手にクッソ分厚い本を持った親父みたいな人がエンリル神とは露知らず、俺は戦いを挑んだ。
どうせ賭け事での勝負だろと軽はずみに了承したら、まさか命をベットすることになるとは思わなんだ。
結果として彼女が渡してくれたジャンビーヤっつう短剣があったから勝てた。
両腕が最高神の決定とか何とかで使えなくなったから、口に柄を加えて心臓にぶっ刺した。
これこそが数日前の戦いの簡単な様相だ。
「あらおはよう、今日は随分と早起きしてるわね。何か大事な用事でもあるのかしら」
「おはよう。いや、特にそういうものはない。人生4回目くらいの高校三年生が始まる日である以外はな」
そう言いながら、階段から降りてきたセルケトに挨拶をして、ふっーと煙を吐く。
今は少し目のやり場に困るのだ。主に彼女の服装の所為で。
下着の上にエプロンしただけで降りてくるとか破壊力が―――――――――
「うふふ、目を背けても無駄よ。あなたの立派なモノ立ってるじゃない」
Oh,マイサンよ。朝の生理現象とかそう言うものを無視して立ち上がるんじゃない。
「安心して。今日学校にいくなら手は出さないから」
凄く安心できない一言である。いやまあ、いつもはすっきりさせてもらってますが。
「ほら、朝から煙草なんて吸ってないで顔洗ってきなさい。ご飯支度はするから」
お前は俺のお母さんか。ん?待てよ。彼女の実年齢は不明だから年上の可能性が………
「ん?何か言ったかしら?」
イエ、ナンデモナイデスヨ。別にあなたが私より年寄りなんて言ってないですよ(棒)
「そう、ならいいわ」
斯くして俺の四度目くらいになる高校三年生が始まる。あっ、このくだりはいつも朝やってるので悪しからず。
メソポタミヤ神話の最高神であるエンリル神を殺害し、その風の嵐の権能を簒奪した「大友 葉鶴」
彼はこれから人類最初の「カンピオーネ」として恐れられる他に、古代エジプト神話の女神である「セルケト」といつも一緒にいるため「神の配偶者」と呼ばれるようになる。(大友自身はエンリル神との遭遇で始めて彼女が神だという事に気づいた)
これはそんな奇妙な物語を生きる男の話です。
ああ、今回も多分一話で更新止まるわ(確信)
ということでちょっと緩い感じのカンピオーネ交じりのD×Dです。
評価の際には、改善点と良かった点を挙げてもらえれば嬉しいです。
次回辺りに説明会的なものを入れるので、出てきた神などについては調べて見るといいかもです。