神に気に入られし人間   作:新城真宵

9 / 31

前回のあらすじ「偶然という名の必然」

ちょっと詰め込み過ぎの様な気がしますけど気のせいです。


鬼退治

 

時は竹取物語。芽衣が月から帰り200年は経っていた。

芽衣は日本の隅から隅まで歩き見て回った。それに200年を費やした。

能力の応用も芽衣は殆どを完成させた。

芽衣に出来ない事は無いと言っても過言ではない。まぁ、出来ない事は出来ないが。

そして芽衣は現在、遷都する前の平城京の団子屋に居る。

 

「(もぐもぐ)何か最近変わった事無いですか?」

「いや~最近は面白い話が無いね~」

「………そうなんですか、ごちそう様。御代は置いとくね」

「はい!まいど!またいらして下さい」

「そうするよ」

 

さて、まだ輝夜は月から追放されてないみたいだね。

まだ時代で言えば飛鳥時代かな?というかこの時代に団子屋がある事に驚きだけどね。

まぁ、京になる所に家を建てて退魔士として働いてみようかな。面白そうだし。

 

 

 

 

 

 

~30年後~

 

 

 

 

 

 

え?何?時が流れるのが早いって?

仕方ないでしょ、特に何も無かったんだから。

あったと言えば、最近私の家に妹紅ちゃんが遊びに来てくれています。

転んでいた所を魔法の様に傷を治したら懐かれました。

その時はまだ妹紅ちゃんだって事が分からなかったけどね(笑)

まだ、5歳だけど。親は此処に来ている事知っているみたい。

妹紅ちゃんが生まれてるということは、そろそろ来るね。(輝夜ちゃんが)

それと今は奈良時代、この町がようやく平城京になりました。

今日は朝廷からの依頼で鬼退治に行って欲しいんだって。

人気者は忙しいんだよ。流石に30年以上も退魔師として働いているからね。

 

「さて、出発するかな」

 

ピーピー

 

「ん?ああ、今日は危ないからお留守番。分かった?」

 

ピー

 

「良し良し、それじゃ、行って来るね」

 

ピー

 

そう言えば最近、一匹の小鳥に懐かれました。

私が縁側で歌っていたらいつの間にかこの小鳥が私のリズムに合わせて囀っていました。

可愛いから飼う事にしたけど毎日、餌をあげてるだけで放し飼いなんだけどね。

てことでさっさと鬼退治に行きましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山の目の前

 

 

「此処に鬼が住んでいるという事で来たんだけど………」

 

聞く人……いや、聞く妖怪間違えたか?

私は今、天狗とお話中。鬼が居る場所に案内して欲しいんだよね。

多分、というか頂上に居ると思うけどね。

 

「はっ?人間が鬼退治?無理無理、天狗の私たちでも鬼には頭が上がらないのに」

 

それにしても、此処って妖怪の山だよね、絶対に。

鬼って言うのも嫌な予感……というか鬼の四天王ですよね分かります。

 

「いいから、通してください」

「まぁ、いいだろう。鬼という奴がどういう奴か人間に知らしめるのも悪くない。良し通れ。鬼はこの山の頂上にいる」

「ありがとうございます!」

 

案外、あっさり通してくれた。ラッキー♪

さてと、後はこの山をハイキングするだけだね。

見た感じ歩いて登ると時間が掛かりそうだけど……別にいいよね。ゆっくりしたって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山,山頂

 

「ほう、人間が私たちを退治しに来たのか!久々の鬼退治って事か!」

「はい!今、現在こちらに向かっているという事………」

「いいだろう!アタシが相手になってやろう!」

「なっ………勇儀様、自らですかっ!?」

「ああ、その肝が据わった度胸ある人間と闘いたくてな」

 

 

『すいませ~ん』

 

 

「!……人間が来た様です」

「良し!じゃあ、行って来る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと、山の山頂にまで歩いて来た………それにしても……大きい洞窟だな~。

あ!洞窟の前でお酒を飲んでる鬼………というか、あれ萃香かな?

 

「すいませ~ん」

「おや?人間かい?こんな所まで何しに来たんだい?」

「いえ、少し鬼退治を」

「……………あっはっはっは!!一人で鬼退治?それは無謀って奴だよ。私は伊吹萃香!鬼の四天王だよ!」

「(うん、知ってた)私は星羅芽衣。何処からどう見ても普通の人間です」

 

私の自己紹介が終わると、洞窟の中から一人の鬼が出てきた。

 

「良く来た!人間!私は四天王、星熊勇儀!私達、鬼を退治しに来たのかい?」

「そうですね」

「………ふむ、ただし!条件がある!」

「…どういう条件ですか?」

「五対五で勝負を受けよう、人間に鬼の圧倒的な力を目にしたいからね!」

 

五対五……キシ達を集めるとするなら……詩音にパウ…一人足りない……まぁ、キシが何とかしてくれるかな。

 

「じゃあ、三十分待ってください」

「いいだろう」

 

急いで呼びに行かないと……隙間を開いて行こうっと。

 

 

 

 

「ほう?…あの人間、能力持ちか………」

「おい!そこの鬼!」

「はい!」

「闘技場に観客を入れとけ、久しぶりに楽しい戦いができそうだ………萃香も油断していると負けるかも知れんぞ?」

「酔っ払っていても私に勝てる人間なんてそうそう居ないよ……」

「ふん、どうかな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~音妖神社~

 

「ふぅ、今日も肩が凝るな……」

「キシは働きすぎなんだよ~」

「黙れ、大飯食い。少しは食料調達でもしてこい」

「まぁまぁ、落ち着いて、キシさん」

 

居間で寛いでいる三人、其処に、

 

「久しぶり~皆~」

「お嬢様………何処から出てるんですか?」

「あ、芽衣だ!久しぶり!」

「母上!?何処から出てるんですか!?」

 

私が家の居間の上から登場すると暑い歓迎を受けた。

いつも通り平和そうで安心したかな。

 

「まぁ、ちょっと説明するから、実はあれから________みたいな事があって人手が欲しいの」

 

まぁ、私が退魔師の仕事としてなんやかんやしている事を説明した。

 

「分かりました。もう一人は私が呼んで来ます、少々お待ちを」

 

そう言って、キシが部屋を出ていってから十分。

 

「お待たせしました、こいつは、アヤと言います。お嬢様の師団の一人です。実力は相当な物だと私が保証します」

「どうも!よろしくお願いします!芽衣様!」

 

…………私の師団?まぁ、今はいいや。

 

「じゃあ、皆、この中に入って」

 

そうして皆が私の隙間に入り妖怪の山に移動する、丁度三十分だ。

 

「おや、来たか。人間、準備は済んだのか?」

「ええ、大丈夫ですよ」

「それじゃあ、闘技場に移動するか」

「闘技場?」

「ちゃんとした決闘場と観客は居た方が盛り上がるだろう?」

 

こうして、絶望(鬼側)の戦いが開幕された。

 

 

 

 

 

 

 

 

闘技場

 

「ほら、さっさと弱い順に戦いな。先に5勝した方が勝ちだよ!まずは一回戦!」

 

あえて、5勝の所は突っ込まないで置こう……。

 

 

 

一回戦 鬼1 VS 詩音

 

 

 

「頑張って~詩音~」

「お前の事だから負ける事は無いだろうが油断はするな」

「私の出番はまだか!」

「ちょっと落ち着いて下さい、パウ様!?」

 

パウがさっきから戦いたがってアヤちゃんに止められてる……パウってこんなに好戦的だっけ…?

 

「はい!頑張ります!」

「おいおい、お嬢ちゃんが相手か、でも勇義さんの命令だ。手加減は出来ないよ?」

「望むところです!」

「それでは、一回戦!スタートッ!」

 

まずは、一回戦が始まりの合図は勇儀が行った。相手は強いかどうかは分からない。

でも、詩音は伊達や酔狂でニャルさんの教育を受けた訳ではない。

 

「え~っと、確か……ニャルさんが教えてくれた合言葉は………

『ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!クトゥグア!』出てきて下さい!」

 

「………呼ばれて来た」

 

………まんま、ニャル子さんのクー子が来ちゃったよ。

 

「あの鬼さんを死なない程度に倒して下さい!」

「………了解」

 

「ごちゃ、ごちゃ、何をやってるか知らんが一人二人増えた処で相手にならないぞ!」

 

すると、鬼1から火炎弾の様な物を吐き出しそれを拳に乗せクー子と詩音に殴りかかる。

クー子に炎って……相性悪すぎでしょ。鬼1の方の。

 

「………そんな生ぬるい炎効かない」

 

鬼1の炎は完全に消えクー子は拳を片手で押さえていた。

 

「どういう事だ………?」

「………お返し、本当の炎を見せてあげる。わたしの宇宙CQC百式」

 

ぽつりと呟くクー子の周囲を、10個の小さな燐光が飛び交っていた。

それを見て、クー子自身も驚いている様だ、詩音に召喚された人は皆ステータスが上がるからね。

そして、予備動作なしで熱線が走る。

 

「くっ!」

 

その熱戦を数発避けようとした瞬間、別の熱戦が足を貫く。

 

「ぐあっ!」

 

両手両足に一本ずつ熱戦が貫通し鬼1はその場に沈む。

 

「………気絶しただけ、また呼んでね」

「は、はい!ありがとうございました!」

 

 

 

一回戦終了

 

 

 

「ふっ、中々やるでは無いか、早く次の試合を始めよう」

 

そういえば、妖怪が殆どだけどいいのかな?このチーム。

 

 

 

 

二開戦 鬼2 VS アヤ

 

 

 

「頑張って~アヤちゃ~ん」

「師団の力をお嬢様に見せるんだ」

「直ぐに終わらせて私の出番を!は・や・く!は・や・く!」

 

パウは待ちきれないのか何かのコールをしている。

って、あれ?詩音が居ない……。

 

「分かりました!」

「何か嫌な予感がする………」

「それではぁ、二開戦っ!スタァートッ!!」

 

って、詩音……居ないと思ったら何処に……勇儀のマイク奪って来てる……ま、楽しそうだしいいかな。

さて、アヤちゃんはどんな能力を持っているのかな?

 

「まぁいい!先手は貰うぜっ!おらっ!鬼の力にひれ伏せ!」

 

鬼2はアヤちゃんに向かって力のある限り拳を振り下ろす。スピードもかなりある。が、

 

「トロイんだよ、ゴミが」

 

アヤ……ちゃん?はその鬼2が攻撃をしている時、まるで世界の時間が遅くなったかの様に避けた。

 

「は?」

「終わりだ、抵抗してみろよカス」

 

アヤちゃん?は鬼2の頭上に飛び上がり鬼2の後ろに回り込むと鬼2の頭に数十という数の蹴りを与え鬼2を昏倒させた。

 

「凄い……一発の蹴りで鬼を沈めちゃった」

 

あれ、詩音。いつの間に戻ってきたんだろ。

 

「詩音、それは違うよ、アヤは数十の蹴りを一瞬で行ったんだ。それに見た所、アヤちゃんの能力は……短い時間を長い時間に変える能力とかだと思うよ。超スピードなら髪がなびく筈だけどなびいて無かった。………それと途中、アヤちゃんの性格が変わってた様な気がするんだけど…」

「その通りでございます。お嬢様。あの一瞬で其処まで見抜くとは恐れ入ります。お嬢様が仰った通り、アヤの能力は『一秒を十秒に変える能力』です。この時にアヤの攻撃力は約四倍になります。私の攻撃力の四分の一程度でしょうか。性格は能力を使うとああ、なるそうです」

「ほえ~凄いですね~」

 

あの鬼大丈夫なのかな?キシの四分の一の力を頭にって………

 

 

 

二開戦終了

 

 

 

「ふむ、何故妖怪が人間と闘っているのか知らんが、人間達を少し舐めすぎたようだ。萃香!」

「分かったよ、次は私だね。相手は?」

「パウ、待ちに待った出番だよ」

「やっと来たー!」

「ふん、妖精如きじゃあ、相手にならないけどいいのかい?」

 

萃香……それはさっきまでの試合を見て言ってるの…?更にそれフラグだよ……。

 

「……むか……芽衣!芽衣!少し本気出していい?」

「……死なせない程度なら良いよ」

「やったー!!久しぶりに少し本気出す!ぶっ倒す!!」

 

……パウが少し本気出しても大丈夫かな?この山。

 

「さぁ!さぁ!さぁ!第三回戦!開始ぃぃ!!」

 

ノリノリの詩音の合図と共に両者がお互いに向かい駆け出した。

 

「そういえばさ、キシ。パウって何の妖精だったっけ?」

「聞かなかったにですか?パウは元素の妖精。つまり、全ての妖精その物です。後、新しい能力にも目覚めてましたよ」

「え?『化ける程度の能力』じゃないの?」

「それもパウの能力ですが、それは、パウ自信の能力です。もう一つの能力は妖精が為の能力です。能力名は『元素を操る程度の能力』だそうです」

「………全ての元素を操るって、強すぎるでしょ………」

「お嬢様がそれを言いますか(苦笑)」

 

全ての妖精その物……パウって本当に妖精のリーダー何だなって改めて思い出すね。

 

「あれ?何処行った?あの鬼、それと何?この霧」

「ふふふ、私は此処だよ」

 

試合の方を見ると萃香が能力使ったのかな。辺り一面に萃香の霧が待っている。

すると、一瞬、パウの視角を狙い手だけが具現化してパウを殴り飛ばす。

 

ドゴォッ!

 

パウは数メートル吹き飛ばされるが空中で踏ん張る。

 

「いった~い………もう許さない!神に祈っても芽衣に祈ってももう終わりだ!!」

 

何で其処に私が入るのか後でゆっくりパウとお話でもしよう。

 

「(本気で殴ったはずなのにどうして痛いで済むんだ!?)何をどう許さないって?」

 

すると、またパウの視角から攻撃をする。だが、

 

ガシッ!

 

「つ~か~ま~え~た~」

「しまった………(それに何なんだ、この妖力は………私の数十倍はあるぞ!!)」

「元素よ集まれ、そして害なす敵を倒せ『元素爆弾(エレメンツボム)!!』」

「がはっ………!!」

 

………クレータ程度で済んだね、一応、力は抑えてるみたいだけど……。

まぁ、それでも重症だね。

 

 

 

三回戦終了

 

 

 

「………次はアタシだね、相手は誰だい?」

「私だな、手加減はしてやる」

「そんな事言い鬼を舐めると………死ぬよ」

「はい、それでは四回戦開始です!」

 

いつも通り、司会は詩音。

 

「お嬢様」

「どうしたの?」

「力を3割程、解放してもよろしいですか?」

「まぁ、死なせないなら……」

「おや、遺言は済んだか?」

 

………キシは別に1割でも勝てると思うのにな~。慢心と油断を絶対にしないのがキシだしね。

そういう事をする時は相手にわざと攻撃させたりだとか油断を見せるとかそんなんだし。

 

「それでは………鬼に絶望を見せてやろう………」

「なっ、何なんだい!その妖力はっ!それで3割だって!?ふざけんじゃないよ!!」

「これが本当の絶望だ。その体、全身で覚えろ………」

 

キシは一瞬で勇儀の後ろに回り込み普通に殴った。さっきのアヤちゃんの速さの比ではない。

それを、勇儀は腕で受け止めて数十メートル吹っ飛ばされ壁に叩きつけられる。

 

「………くっ、強いねぇ………腕が一本折れちまったじゃないか」

「ふん、まだ終わりではないぞ………」

 

そう言いながら、キシは勇儀に近づく。その時、

 

「油断したな!この範囲は私の間合いだ!!一で溜め、二で近づき、三で放つ!四天王奥義!『三歩必殺!!』」

 

どごおおおおおおおおおおん!!!!

 

その一撃はこの洞窟が揺れる程に凄まじい。流石は鬼の四天王と呼ばれるだけはあるという事だ。

だが、キシは避けれる筈の攻撃を防御しないで受けた。それはどういう事か?

一方、勇儀は勝ち誇った顔をしている。

 

「私のかt____「まだ勝負は終わっていないぞ?」!?」

「終わりだ、潰れろ『重圧』」

 

キシは吹っ飛ばされた所から一瞬で回り込み、勇儀の足を持ち地面に叩きつけた。

勇儀はキシの『重圧』により、数十メートル下に減り込んでいる事が分かる。

クレーターが新しく一つ増えた。

キシが敢えて攻撃を喰らった理由、それは自分の最大の攻撃が相手に対して何の意味を成さなかった時、自分の無力が分かり絶望するからだ。キシはそれを行った。………というかやり過ぎだよ…。

キシが出す重圧+キシの叩きつける力=これはひどい。

 

「………パウ、拾ってきて」

「りょうか~い」

 

パウが拾ってくるとボロ雑巾より酷い事になっている勇儀が穴から出てきた。

 

「じゃあ、キシも手伝って、さっきの鬼達を集めてきて」

「分かりました」

 

そして、殆どがボロボロで意識が無くなっている鬼達が集まった。

私は全員の傷を操り治した。

すると、ボロボロだった鬼達は傷一つなく先程までの怪我が嘘の様に回復した。

けれど、暫くは起きないだろう。

 

 

 

四回戦終了

 

 

 

「さぁ!四回も勝ち続けてきた母上チーム!五回戦の相手は誰だあぁ!!?」

 

それにしても、この詩音。ノリノリである。

 

「次は儂じゃ」

 

鬼の群れの中から一人の鬼が現れる。……その登場に周りの鬼達のざわめきが大きくなる。

……見るからに数千年は生きてると感じる。キシに次ぐ最古の妖怪の様だ。

 

「貴方は?」

「儂は鬼子母神。この鬼達をまとめる頭って所じゃ」

「それじゃあ、私の相手は貴方ですか?」

「そうじゃ、だから………本気を出せよ?音神!!」

 

そう言うと、躊躇無く芽衣の腹を殴ろうと拳が迫る。が、

 

バギィィィィッッン!!

 

「!?」

 

芽衣は事前に音壁を自分に付けていたが、鬼の頭が本気で殴っても一発で割れる程、柔ではない。

という事は、

 

「能力ですか……」

「ふっ、驚いたのう。まさか儂の拳の威力まで無くすほど耐えるなんてのう」

「私の能力は『音を司る程度の能力』この能力で音を纏っていたんですよ」

「儂の能力は『能力を無効化する程度の能力』じゃ。勿論、儂に触れたもの全てを無効化できる」

「という事はさっき……」

「そうじゃ、何かを纏っていたのは見えたからのう。能力で『無効化』してそのまま、攻撃を当てれたと思ったのじゃが……いや、通らなかった」

「それじゃあ、『無効化』する物が無かったらどうします?」

「はっ、何を言うかと思えば……っ!?」

 

芽衣が霊力を全て解放する。妖力と神力は強すぎるので開放はしない。

霊力だけで十分と芽衣は宣言している様なものだ。鬼子母神の怒りを買うには丁度良い。

だが、芽衣はそんな気は無い。芽衣もこれで相手を考えながらの全力。

芽衣の全力は星月(ゼウス)と戦ってようやく五分という程のものだからだ。

 

「舐めた真似を……確かにその霊力は凄いが神力を出さんとは……後悔させてやろう!!」

 

鬼子母神は全ての力を解放する。自分の全ての力をだ。そのオーラだけで地面を揺れる。

そのオーラから避難するかの様に殆どの鬼が退散する。残っているのは萃香達ぐらいだろう。

そして、此処から鬼子母神と芽衣の肉弾戦が始まる。

 

時は流れ数十分間、殴り合う。

そして芽衣が動く。

 

「鬼子母神さん!これを避けきれますか?」

 

芽衣は自身の身体能力を全力の半分ほど使い、キシでもやっと視えるほどにスピードを出している。

他の奴から視れば、残像が残り本物がどれか分からなくなる。

今の鬼子母神の体力は三分の一が有るか無いか程度だ。圧倒的に芽衣が有利の状況。

 

「っ……難しい問題出してくれるわ……」

 

長いほど生きていると、見ているものではなく自分の感を頼りにする者が多くなる。

何故なら長年、生き抜いてきた体だ。感が物語ってくる。

 

「(この一撃で終わらせて見せるっ!)」

 

そして、芽衣は鬼子母神に対して真正面から攻撃をする。鬼子母神も感で真正面に技を放つ。

 

「砲鬼剛天翔ッ!!」

「はぁっ!!」

 

そして、轟音が響く。

音が止んでと立っていたのは、

 

「いや~痛かった。流石、鬼子母神。鬼の頭だね」

 

芽衣である。

 

「五回戦目!!勝者ッ!母上!!!」

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』

 

その瞬間、いつの間にか帰って来た鬼達の声で溢れた。

 

「………お嬢様、手に傷が……」

「いいよ、久しぶりに怪我したからね。自然治癒に任せるよってほら、治った」

「あ!母上、お疲れ様です!鬼達が宴会に誘いたいって言ってましたよ」

「いや、私は遠慮しとくよ。それよりも詩音、さっき言った物、持ってきた?」

「はい!鬼さん達に言ったらくれました!」

「それじゃあ、私は帰るね。キシ達は宴会に行っておいでよ日々の疲れを発散すると良いよ」

「それでは、お言葉に甘えて」

「は~い」

「言われなくても!」

「ありがとうございます!」

 

私は、平城京に帰って報告しなきゃね。

 





いやぁ……人間は強敵でしたね…。
………あれ?誰が人間だっけ?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。