神に気に入られし人間   作:新城真宵

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前回のあらすじ「最強の巫女VS最凶の巫女」

ああ、神社……倒壊するんだっけ?
そんな事はさせぬぅううう!
今回は急ピッチで仕上げました!なのでこんな遅い投稿時間になりましたが、どうかお許しを!
流石に一ヶ月も投稿無しはアレだと思いましたので!
前回に引き続いて今回は霊夢対詩音です。
本編、どうぞ!



霊夢の在るべき姿

 

「さーて始まりましたー!幻想郷最強と言われる巫女と神様が最強と言われる巫女!どちらが勝つんでしょうかね!?実況はたまたま通りかかった私、射命丸文がお送りします!」

「何で天狗が…」

「まぁまぁ、気にしない気にしない」

 

霊夢ちゃんと詩音が戦おうとした時に偶然に通りかかった文に私が実況を頼んだ。

まぁ、頼まなくてもやろうとしてたけどね。

それと霊夢ちゃんと詩音は現在、睨み合って硬直状態。

 

「二人共全然動きませんねーなら先に芽衣さんにこの結界の説明をして貰いますね。どうぞ芽衣さん!」

「え?ああ、この結界は私の『完全結界』だよ。多分博麗大結界より数段上の強度を誇るんじゃないかな?」

「さらっと凄い事言ってますねーいつも通りと言えばいつも通りですが」

「やっぱり芽衣さんは人間じゃないぜ……」

 

今その結界は霊夢ちゃんと詩音を取り囲んで外に被害が出ない様にしている。

色々と心配だからね、特に詩音が。

それと魔理沙ちゃん、私は普通の人間だよ。

 

「………行くわよっ!」

 

「おおっと!霊夢さんが先に動きました!対する詩音さんは動きません!」

「……いやーこれもう決着したんじゃない?」

「どういう事ですか?」

「詩音は召喚が専門だから時間与えるとぽんぽん呼び出すんだよ」

 

霊夢ちゃんが詩音に向かって走りながら札と針を投げる。

対する詩音は……

 

「……準備万端です!さぁさぁさぁ!!出てきて下さい!皆さん!」

 

そう叫んだ瞬間に詩音の目の前に膨大な霊力が集中し始めた。

その一つ一つは人の形を形作ろうとしていた。

飛んでいた札と針は霊力に遮られ詩音に届かず全て地面に落ちた。

 

「なっ…なっ…何なんですかあれっ!?」

「だから言ったじゃん?詩音は召喚の専門だって……それにしてもあれは…」

 

そして霊力は人に変わる。其処にいたのは……

 

「これは……やばいわね。私の感が全力で逃げろと言っているわ……」

「良く来てくれました!陰陽師の皆さん達!」

 

其処には平安時代の有名な陰陽師を代表とした数十名の人間が立っていた。

私はこの中で会った事が在る人が多いから良く覚えている。紫や幽香でも一人を相手にして勝てるかどうか怪しい人達だ。

 

「す、凄い霊力ですね……一人一人が霊夢さんの比じゃありませんよ……それも数十人。それにあの四人なんて桁違いですし…あんな人がまだ外の世界にいたんですね……」

「末恐ろしいぜ」

「何言っているの二人共?あの人達はもう死んでるよ?昔の凄い人達なんだよ」

「えっ?死んでいるのに呼び出せるんですか?」

「そうだね、簡単に説明すると詩音が此処、現世にあの世から魂を召喚する。これだけでも数日かかる儀式とか生贄とか色々必要なんだけど詩音はそれを一瞬でそれも生贄無しで行っているね。でも魂だけを召喚しても意味は無い。器が必要なんだよ」

「器?器って何ですか?」

「人間の場合は生前生きていた程の霊力が必要だね」

「!?……ならあの人達全員が出している霊力は全部元々…」

「そう、全部詩音がこの現世に留まれる様に提供した霊力だね」

「貴方の所にいる人達はやっぱり色々とぶっ飛んでいますね」

 

本当につくづく凄いと思うよ。まぁ、詩音が世界を簡単に滅ぼせる様なのを出さなくて内心ホッとしてるけど。

 

「……けど私は…負けられないのよ!」

 

霊夢ちゃんはそう断言すると詩音が呼んだ陰陽師達に向かってスペルを幾つも発動しながら突撃した。

 

「う~ん……負けられない…ねぇ…魔理沙ちゃんは何か知ってる?」

「えーと………あ!確かあいつに負けた時だぜ!多分!」

「あいつって?」

「名前は知らないけど執事みたいだったぜ!」

(キシの事だろうな……)

 

てことは霊夢ちゃんはキシに負けたから負けられないって言ってるのかな?

なら理由は…博麗の巫女だから負けられない?それともただ単に負けず嫌い?

……負けず嫌いの方が可能性が高そうだな~。

だとすると霊夢ちゃんが力をつけたがっているのも納得がいくかな。

 

 

「このっ!…ああっ小賢しいっ!!」

 

 

霊夢ちゃんは四方八方に分かれた陰陽師達の攻撃を全て躱しながら詩音だけを重点的に攻撃している。

勿論、詩音の周りに居る陰陽師がその攻撃を許しはしない。

おそらく術者(詩音)を倒せば陰陽師達が消えると判断したんだろう。

だが、その時…

 

バチィ!

 

「!?…何なのよっ!これっ!」

 

「あーっとぉ!霊夢さん、一枚の札に当たってしまったぁああ!」

「天狗が煩いぜ…」

 

今まで四方八方から飛んでくる札を全て避けてきた霊夢ちゃんが一枚の札に当たってしまった。

注意力が足りなかった?ただ単に見落としてた?

いや、違う。霊夢ちゃんに限ってそんな事は無い。

だとしたら残るは……

 

「「隠密(ステルス)系の札」」

 

私と霊夢ちゃんの声が重なる。霊夢ちゃんも気づいたのだろう。

 

「けど、こんな札効きもしない…わ…よ…?」

 

徐々に霊夢ちゃんの動きが遅くなっていく。

どうやらあの札は動きを封じる札の様だ。

刹那、散らばっていた陰陽師、全てが印を組み始めた。

霊夢ちゃんもそれを止めようと体を必死に動かし札と針を投げるが…

 

「…」

 

陰陽師に遮られる。

そして霊夢ちゃんの動きが止まったのを見届けると陰陽師達が印を組み始める。

印が組み終わると最後だと言わんばかりに霊夢ちゃんに幾つもの札を投げる。

 

「この……程度っ!……夢想…転生!」

 

霊夢ちゃんの『夢想転生』は魔理沙ちゃん曰く、霊夢ちゃんはありとあらゆるものから宙に浮き無敵となって触れなくなり、不透明な透明人間になるだそうだ。

だが見る限り霊夢ちゃんの夢想転生は発動しておらず飛んできた札も全て当たってしまう。

 

「なん…でっ……ぐっ!」

 

札に当たった霊夢ちゃんは重力が増したかの様に地面に突っ伏す。

キシの重力増加の時と類似している為、限りなく近いそんな札を貼られたのだろう。

 

「へぇ~これが『能力封印の札』なんですか~。え?妖怪退治の時に重宝する?あ~」

 

詩音は召喚した陰陽師と話していて、会話の内容が聞こえる。

なるほど、だから霊夢ちゃんの技が発動出来なかったんだ。

というかそんな札なんて有ったんだ。知らなかった。

 

「さてと、これで私の勝ちですよね」

「ま……だよっ……」

「そんな弱々しい声で言われても説得力無いですよ?なんなら私が再起不能まで叩き潰しても…」

 

詩音の目は本気で霊夢ちゃんを再起不能にすると語っている。

これは私が止めないと…

私は結界を解除して二人に近寄る。

 

「ちょっと詩音?もうそれぐらいで「まだ、私は負けていないっ!」!」

 

霊夢ちゃんは霊力を開放して知ってか知らずか札の効果を一時的に無効化して立っていた。

 

「まだよ、まだ終わっていないわ。来なさい!」

「分かりました、行きま「待ちなさい」…何ですか母上?」

 

二人がまた戦いそうだったので制止させる。

 

「芽衣さん。何で止めるんですか?私はまだ戦えます」

「何処が。霊夢ちゃん、立ってるだけでも精一杯なのに?更にそんな無理に霊力を開放して身体への負担が大きすぎる。今すぐやめた方が良いよ」

「で、でも……」

「それは本当か霊夢!?そんなの直ぐにやめるんだぜ!!」

 

魔理沙ちゃんの一言、ただそれだけで霊夢は霊力の開放を止める。

勿論、霊夢ちゃんは地面に倒れる。

 

「霊夢っ!?」

 

そう言って魔理沙ちゃんが霊夢ちゃんの傍に近寄る。

 

「詩音、札の効果を解いて」

「あ、はいっ!」

 

詩音が陰陽師達に話すと霊夢ちゃんに貼られていた札が解かれる。

そして詩音はそのまま陰陽師達を帰らせる。

私は霊夢ちゃんの身体への負担を完全に消す。それと目に見える傷も治す。

 

「芽衣さん……霊夢は…」

 

心配そうな眼で魔理沙ちゃんが私を見てくる。

 

「大丈夫だよ、直ぐにでも目を覚ます。ほら」

「う…う~ん…。あれ?私…」

「霊夢!良かった~」

「魔理沙…」

 

さて、霊夢ちゃんが目を覚ました所で……本題に入ろう。

 

「霊夢ちゃん、聞かせてくれる?何で其処まで負けられないのか」

「……はい」

 

霊夢ちゃんは言った。

博麗の巫女が異変首謀者に負けてはいけないとだから修行をしたと。

負けるのが嫌だという事も言っていた。やはり負けず嫌いな面もあるのだろう。

だから私は優しくこう言った。

 

「まぁ、修行する事は大事だね。負けず嫌いな所も悪くない。でも…」

「でも?」

「霊夢ちゃんらしくない、かな?」

「私…らしくない?」

「そう。霊夢ちゃんはいつも陽気に見えるけど直感や第六感が凄いじゃない?だけどさっきの戦いでは札を避けられなかったでしょ?」

「あ、あれは気配が感じなかったから…」

「でもいつもの霊夢ちゃんなら勘で避けられたんじゃない?」

「!」

「要するに思い詰めないで考え過ぎだって事。だから霊夢ちゃんらしくない」

「そうだぜ、考え過ぎだぜ!一度や二度負けたぐらいで!」

「……そうね、私らしく無かった。芽衣さん。ありがとうございました」

「お礼なんて……まぁ、自分の身体は大事にしなよ?」

「はい!」

 

私は霊夢ちゃんと魔理沙ちゃんに見送られて博麗神社を後にする。

何故か文が付いて来たが丁度良い。

 

「文、今日の事は秘密にしてくれる?」

「え?……芽衣さんがそう言うなら…分かりました」

 

少し残念そうな顔をするが今日の事は私達の秘密にしときたいからね。

でも、それじゃ文が可愛そうかな?それなら…

 

「ありがと、お礼に良いネタを教えてあげるね」

「本当ですか!?」

 

残念そうな顔は一瞬にして喜びの顔に変わる。

 

「それはね、太陽の畑に住んでいる妖怪の事。彼女の話は面白いと思うよ」

「太陽の畑……それってあの向日葵が多く咲いている所ですか?」

「そうそう」

「ありがとうございます!それじゃあ、早速行ってきますね!」

「あ、文!くれぐれも戦わない様にってもう行っちゃったか…」

「母上~早く団子買って家に帰りましょうよ~お腹空きました~」

「そうだね、早く買って帰ろうか」

 

私と詩音は人里に行って団子、200本と2本を買って帰った。2本は私と詩音に。

そして後日、記者が怪我を負ったとか何とかで文々。新聞は配られ無かった。

幽香と戦ったのかな?今度、謝って置こう。

 





え?文?……良い奴だったよ。
※無事、生還しました。その後、芽衣のお陰で少し遅れましたが新聞を配ったそうです。
 内容は太陽の畑の大妖怪についてだそうです。
遅くなってしまい申し訳ありません。手直し終わりました!
これから少しずつ投稿したいです!

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