神に気に入られし人間   作:新城真宵

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前回のあらすじ「圧倒的じゃないか!我が軍は!」

前回の続きです。といってもタイトル通り終戦です。
さぁ、紫の狙いは!?


終戦

 

「………おかしいですね」

 

美鈴は戦争の最前線で戦っており敵を捕捉しては倒す事を繰り返し行っている。

だが敵を倒して行くと同時に明らかに普通の妖怪とは何かが違う妖怪も確認していた。

 

「………気が感じられない。この妖怪は本当に生きていたのでしょうか?」

 

美鈴の能力は『気を使う程度の能力』で相手の気なども分かるのだ。それが感じられないという事は生きていなかったという事だ。この事には他も気づいており芽衣にその事が報告されるのも時間の問題だろう。

美鈴はその事を考えながらも次の相手を探す。

 

「……次はあんたが相手かい?」

 

すると前方から金髪ロングで頭には赤い角が一本生えている鬼と、

 

「……はっきり言ってもう勘弁して欲しいけどね」

 

薄い茶色のロングヘアーを先っぽのほうで一つにまとめている頭の左右から身長と不釣り合いに長くねじれた角が二本生えている鬼が歩いて来た。

星熊勇義に伊吹萃香だ。

 

「………鬼ですか。戦いを挑むのは良いですが、それにしてもボロボロですね?」

「ふん、これぐらい大した事は無い。さっき二人がかりでやっとこさ一人倒したんだ」

「ああ、卑怯も何も言ってられないぐらい強かったからね」

「………(こちらの人達は強いなとは思っていましたが……そんなに一人一人強いんですか?この軍勢は…鬼二人相手で此処までボロボロになんて凄いってもんじゃないですよ…)」

「さて、悪いが二人がかりで行かせて貰うぞ」

「いいでしょう。そこまでハンデを背負っているんです。二人でも三人でもかかって来て下さい」

「いい根性してるね。私は鬼の四天王、伊吹萃香!」

「私は鬼の四天王、星熊勇儀!負けても勝っても恨みっこ無しだ!」

「私の名前は紅美鈴!本気で行かせて貰います!!」

 

鬼の四天王と門番がぶつかり合う。

先にしかけるのは鬼の四天王。

 

「行くよ!『ミッシングパープルパワー』!!」

 

すると萃香はいきなり巨大化した。

 

「……」

「驚いたかい?急に巨大化して?それがあいつの能力さっ!!」

 

ブンッ!

 

「っ!」

「ほう?あたしの拳を受け流すのかい。良い判断だ。防御してたら腕が使えなかっただろうからねぇ……でもあたしばかり構っていたら……」

 

ヒュウウウ……

 

「なっ!」

 

ドガンッ!!

 

萃香は巨大化した体で飛び上がり美鈴に向けて着地した。

美鈴はそれを紙一重で避ける。

 

「(一人ならまだしも二人は厄介ですね。それなら……)巨大化した方から沈める!!」

「させるかっ!!」

 

美鈴は勇義の妨害を躱しながら萃香の片方の足を殴りバランスを崩させる、そして崩れて倒れる。その時、美鈴は萃香の腹に潜り倒れて来た所を殴る。すると……

 

「っ!あァ!!」

「萃香ぁ!」

 

萃香は痛みを伴いながら巨大化が解けており地面に倒れている。

だがまだ戦う気はあるようだ。

 

「ふぅ……貴方達が誰かと戦った後で良かった。疲れがあり気が乱れた所がありました。そこを中心に叩いたんですが……どうやら正解みたいでしたね」

 

美鈴はあの一瞬で萃香の気が乱れている場所を見つけ其処に瞬時に移動して殴ったのだ。

萃香は前の戦いで腹を怪我しておりそこを狙われたのだ。

 

「さて、一対一ですね。下手な小細工は通用しませんよ?」

「……鬼に向かって小細工をするなとか……いい度胸してんね!!」

「萃香!もう一頑張りだ!」

「っ……あいよっ!」

「……なら、私もそれに応えるとしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほっほっほ、いや、中々強いのう」

 

マミゾウはある人物達と戦っていた。

 

「ぐっ……」

「………流石、狸の頂点と言われる訳だ。一筋縄ではいかんか」

 

其処には鬼神と天魔の二人が膝を突いていた。

 

「いやいや、おぬし達も中々強かったぞい。一瞬、やられるかと思ったぐらいじゃ。それに何だか今日はすこぶる調子が良いしのぅ……」

「よく、言いますよ。私達二人を相手に余裕かましてるんですから………」

「全くだ………だが」

 

グググ……

 

「まだ負けを認めた訳じゃあない」

「その通りです。私達も天狗と鬼の頂点なんですから……」

「ほう?あれほど痛めつけたのに起き上れるとはのう」

「「ふっ、我らの根性……しかと目に焼き付けて置け!!」」

「面白い、しかと見届けてやろう!天魔に鬼神!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争が始まってから数十分……

 

「芽衣様、爆撃部隊の準備が完了しました」

「え?そんなのいたっけ?」

「はい、あちらにございます」

 

そう言われ行ってみると其処には物凄い数のペンギンがいた。

 

「(あれ?どっかで見た事あるような………)」

「彼らはプリニーと言う鳥妖怪だそうです。なんでも投げると爆発するそうです。ですが直ぐに復活するんで問題は無いと思われます。実質的に言えば不死だそうです」

「……キシ……このプリニー達、どっから連れて来たの?」

「いえ、最初は数匹だったんですが急に数十、数百と数を上げていったんです。路頭に迷ってました」

 

少しプリニー達に耳を傾けてみると……

 

『キシさんの所は給料がいいッス!』

『一週間、イワシ一匹なんて凄いッス!』

『前は1日20時間労働で年中無休制で年2回の特別ボーナスがイワシ1匹の時とは全然違うッス』

 

本当にプリニーだね………

 

「それで、キシ。プリニーをどうするの?嫌な予感しかしないけど………」

「はい、戦場に投げます」

「ですよね~」

「投擲器、用意!!」

 

すると他のプリニー達が投擲器らしき物を持って来た。

そしてどんどんプリニー達は発射されていく。

 

『死なば諸共ッス!!』

『玉砕覚悟ッス!!』

『派手に爆発するッス!!』

 

そんな事を言いながら散っていく。

だが……

 

『復活したッス!』

『ただいま帰還したッス!』

『もう一回行くッス!』

 

爆発したと思われるプリニーはすぐさま復活し投擲器の前に並ぶ。

すると其処に……

 

「芽衣様!キシ様!怪我人と敵を運んできた人仲間が大量です!」

「ん~今行く!」

「了解しました!」

 

伝言役は伝える事を伝えると一瞬で消えた。

 

「さてと治療タイムだね。キシは此処で指揮を出しててよ」

「分かりました」

 

 

 

 

~少女移動中~

 

 

 

 

「うわっ!これはひどい……」

 

其処には死屍累々した妖怪達がいた。

そしてその中に………

 

「母上~」

「詩音!何処行ってたの?」

「いえ、少し森の中で母上に教えて貰った術を試していました」

「へ~、それで…………ああ、うん。分かった。練習してたら妹紅が出て来て妹紅がSAN値直葬したんだね。見て分かるよ」

「あっこの子の名前、妹紅って言うんでしたね。すっかり忘れたました」

「うん、ちゃんと覚えようね。それより早く妹紅を……」

「あ、はい!」

 

芽衣は妹紅の頭に光る自分の手を当てるそして数分後……

 

「ふぅ~治った治った。これなら明日ぐらいに気を取り戻してるかな。詩音は妹紅を見てて」

「は~い」

「なら次は此処にいるみんなを直さないとね」

 

それにしても天狗と鬼が多いなぁ……というかそれしかいなくない?

 

「芽衣様!報告が…」

「どうしたの?」

「それが………相手の鬼、天狗以外の妖怪達の様子がおかしいのです」

「おかしい?何が?」

「はい、倒れても声をあげず血も出ない、まるで偽物の様です!」

「あー」

「芽衣様?どうされましたか?」

「いや、何でもない。それとキシの幹部のあの子達……姉妹を呼んできて」

「分かりました!」

「はぁ~……やっぱりか~……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリニー達が発射されてから各地では爆発の煙が上がり始める。

 

「あやややや、どうしたんでしょうか!?いきなり各地で爆発が……」

 

戦争が始まってから文は誰とも戦わず逃げに徹して上から戦況をみて回る。

するとその上から……

 

『特攻ッス!!』

「え?」

 

ドゴーン!ピチューン!

 

空を飛んでいた射命丸はプリニーの特攻に合い敢え無く撃沈した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~月~

 

「……やっぱりか~」

 

芽衣はスキマを使い月に来ている。

其処には紫の妖怪達がいた。幸い月と戦争はまだ始まっていない、だが時間の問題だろう。なので芽衣はある人物の能力を使いこれを回避させようとする。

 

 

 

 

 

~五分前~

 

 

 

 

「芽衣様、お呼びですか?」

「私はちゃんと働いてるよー!」

「あ、来たね嘉永姉妹。頼みがあるんだ」

「はぁ、私達に頼み……ですか」

 

この子は嘉永瑞樹(かえいみずき)キシ曰く真面目な姉だそうだ。

能力『電を司る程度の能力』

 

「何々?面白い事~?」

 

この子は嘉永英里(かえいえいり)キシ曰く気分屋な妹だそうだ。

能力『反転させる程度の能力』

 

「ん~?まぁ、多分面白い事だよ」

「本当に!?じゃあ、私がやる!私が!」

「まぁ、元々、英里にやって貰うつもりだったんだよね」

「それで何をするの!」

「う~ん、見て貰った方が早いかな着いて来て」

「は~い」

「私も一緒に行こっと」

 

芽衣は英里とこいしを連れて隙間の中に入って行った。

 

「……わ、私が来た理由は?」

 

一人、放置される瑞樹だった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、芽衣は英里を連れて月に来ている。

 

「それでそれで、何をするの?」

「あそこにいる妖怪達と地球にいる鬼と天狗を抜いた相手の妖怪全部を反転出来る?」

 

多分、地上の皆は誰一人殺していないと思うし偽物の体とあそこにいる妖怪を全部逆に出来ると思うんだよね。まぁこれは紫に対しての信頼だけど。

あそこにいる妖怪と同じ数の妖怪の偽物を紫は作っていると思うし。

 

「……それで何が面白いの?」

「あの妖怪達が慌てふためく姿が面白いと思うよ」

「それは面白いそうだね!」

 

 

 

 

 

~作戦実行中~

 

 

 

 

「………お、終わったああぁぁ!!」

「良く出来たね、偉い偉い」

「えへへ~、もっと撫でて撫でて!」

「慌てふためく妖怪達を見に行かなくていいの?」

「撫でて貰う方が良いの~」

「そ、そう……」

 

本当に気分屋でまるで猫みたいだな~。

 

「あ、私も撫でて欲しい!」

「うん、良いよ」

「わーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、紫の方では……

 

「さて、そろそろ月に送った本物の妖怪達が月人達と戦う時間ね。まぁ、月人を倒せれば儲けられて邪魔者を少しでも排除ができる。月人に一切勝てなくても邪魔者が全員死ぬ。この勝負……どっちにしろ私の勝ちだわ!!」

 

まぁ、でも少し月の様子でも見に行こうかしら………

 

「……え?どういう事なの!?これは私が作った偽物じゃない!まさか……芽衣が……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「芽衣!!」

「ああ、紫ね。驚かさないでよ、何の用?」

「用も何も………貴方!何をしたの!?」

「何をしたのって……偽物と本物を『反転』して貰っただけだよ、この子に」

「「zzz」」

 

芽衣は自分の膝の上で寝ている英里を撫でながら言う。後、こいしも一応撫でている。

 

「……反転?」

「そう、反転。正確に言えば位置を逆にしたって事かな。今頃、地球では本物が暴れ回っているんじゃないのかな?」

「くっ……これは私の負け……ね。まいったわ、芽衣」

「そう?じゃあ………キシ~ある程度、敵が居なくなってきたら撤収指示出しといて~」

 

そう言いながら私は英里ちゃんとこいしちゃんを背負いながらスキマから出る。

 

「撤収というと………その点に関してはもう大丈夫です。現状はもう制圧済みで残りはプライベートで戦っているフラワーマスターと私達の部下一人だけなのでもうほぼ撤収済みです」

「早いね~流石キシ。じゃあ、私と英里は家で寝てるよ」

「畏まりました(嘉永………貴様は今度、地獄の訓練を提供してやろう……)」

 

こいしちゃんは一度、家に帰るらしく月から帰って来たら帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~次の日~

 

「それで……もう懲りた?紫」

「………ええ、懲りたわよ。貴方と戦うのは……」

「そういえば紫の目的って本当に月の技術なの?」

「まぁ、それは手に入ればの話よ。本当は邪魔者を排除出来ればそれで十分だったんだけど」

「じゃあ、鬼や天狗は邪魔者って訳じゃないんだ」

「あれはいいのよ、統率が取れてるし。統率が取れてなくて少し力がある妖怪が邪魔だったのよ」

「ふ~ん」

「まぁ、それはそれとして月へのリベンジはいつかするとするわ」

「まぁ……頑張って」

 

ゆっかり~んは今度また月にちゃんと攻め込む様です。

 

 

 

「それではキシさん。私は帰りますね」

「ええ、ご苦労様でした。当主にもお礼を伝えて置いて下さい」

 

紫と縁側で談話してると玄関の方からキシと誰かの声が聞えた。

気になったので見に行く事にした。

 

「キシ、誰と話してるの?」

「これはお嬢様。こちら紅魔館の美鈴さんが戦争に参加して頂いたんでお礼を渡していた所です」

「あ、どーもです」

「へ~って、あ、美鈴」

「何処かでお会いしましたっけ?」

「いや、してないけど」

「そうですか、それではこの辺で」

 

そう言うと美鈴は去って行った。

 

「キシ……」

「どうされましたか?お嬢様?」

「美鈴の行き場所は?」

「ここからとても遠い所にある紅魔館という所です」

「へー………ちょっと紅魔館に行って来るね!」

「分かりました。詩音達にも伝えて置きます。今回も長くなりそうですか?」

「うん、それなりにね。じゃ、行って来ま~す」

「いってらっしゃませ、お嬢様」

 





美鈴、働きすぎ(笑)
次回は投稿が遅れるかも知れません。ご了承下さい。

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