神に気に入られし人間   作:新城真宵

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前回のあらすじ「幽々子、死す。幽々子、復活(幽霊)」

今回は戦争ですね。
一応、各々の目的を書いて置きます。

芽衣→誰も死なせずに終戦
紫→月の技術を貰う(本当の目的は……)
参加している妖怪達→本文で



第一次幻想郷大戦

 

戦争当日、芽衣の拠点

 

「う~ん」

「どうされましたか?お嬢様」

 

戦争が始まる前に芽衣は少し考え事をしていた。

 

「いやね、紫がどうも真正面から戦うとは思わないんだよね」

「………近辺に敵兵を潜ませているかどうかですか?」

「いや、そういうんじゃなくて……もっと…こう、そもそもが違う様な戦い方を…」

「芽衣様!偵察部隊が帰って参りました!」

 

…まぁ、いっか。紫が何かを仕掛けて来たら私もその時に対処すればいいし。

 

「申し上げます!我ら偵察部隊、芽衣様から渡された映像と声を録音できる機械で隅済みまで撮影して参りました!」

「うん、ありがと、それとこれはデジカメって言うんだよ」

「はっ!頭に叩き込みます!」

 

何となくで作って見たけど結構出来は良いんだよね。これ。

 

「さて指示通りならば最初は味方の面々を撮影し次に敵部隊を遠くから撮影したものが映ると思います」

「じゃあちょっと見てみようか」

 

そうして私はデジカメの撮影された映像を見てみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?何か言えですか?ええっとぉ……紅美鈴です。キシさんに呼ばれて来ましたが……これ私が居なくても勝てるんじゃないでしょうか?でも一日、貸し出されちゃったのでちゃんと戦いいます!」

 

 

え?キシ何で美鈴と知り合いなの?というか参加してるんだ……。

 

 

「ん?儂に?そうじゃのう……儂が加勢するまでもないが紫の奴に昔ちょっかい出されたからのう。少しお返しをさせて貰おうと来た訳じゃ」

 

 

マミゾウさんも居るし、ちょっと大変な事になってない?主に規模が。

 

「とまぁ、味方のは大体が見終わりましたね。次は敵の映像です」

「敵かぁ……どんな妖怪達が参加してるんだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、これは良いスクープが書けそうですね!」

「何をしてるのだ?お前は」

「え?て、ててて天魔様ぁああ!?」

「なんだ、騒がしい……」

「い、いえ、てっきりこの戦争に参加していないのかと」

「鬼神が認めた相手がどれほどなのか見に来ただけだ」

「そ、そうですか」

 

 

あ、あややだ。それに……天魔?確か萃香達が天狗の長だとか行っていたような……。

 

 

「よし!今度こそ芽衣達にリベンジだ!」

「私も四天王としてやらなきゃね!」

「儂も少し暴れたいからのう……芽衣にリベンジついでに暴れるかの」

 

 

噂をすれば何とやら萃香に勇義に鬼神の叶も……豪華だなー…。

 

 

「ふふふ、もう一度、貴方に挑むわ。今度こそ貴方を越えるために……」

 

 

ゆうかりん……何か声に出てるしというか戦争って形じゃなくても再戦ならするのに。

 

 

「芽衣姉……私の実力を……私の今の力を見せに行く!!」

 

 

……頑張れ…妹紅……私は本陣で待ってるよ。

 

「と、これで以上ですお嬢様。気になるのはやはり鬼の四天王や鬼神、それに天狗の長と言った所ですね」

「ん、そうだね。偵察部隊の皆は休んでて良いよ」

「はっ!」

 

思いの他、皆に何か色々と言われてた様な気がするけどいいか。

 

 

 

 

 

 

そして程なくして全軍が集まったと知らせが届いた。

 

「さてと、これで全員集まったかな?」

「はい、今回この戦争で集まった妖精,人間,妖怪達です。全勢力の三分の一という所でしょう」

 

其処にはおびただしい数の妖怪と人間が集まっていた。

だが人間は妖怪よりも少し少ないようだ。

 

「そういえばあれは?」

「はい、既にお嬢様の台本を渡した幹部が言い始めるでしょう」

「台本っていうより注意事項をまとめた紙みたいなものだけどね」

 

少し高い丘にキシの幹部らしき人物が立った。というか私達の前なんだけどね。

此処は丘の上に拠点を作ったからね。

そして妖怪と人間たちは丘に立った人物を見る。

 

『これから注意点を話す!よく聞け!

 まず第一!相手を殺すな!

いいか決して殺傷は禁止だぞ!どうしても殺したいというならキシ様が直々に相手してくれるそうだ!

 そして第二!自分の命が危なくなったら構わず逃げろ!

一応、芽衣様が誰も死なないように何かをしてくれるそうだが万が一の事もある!

以上だ、芽衣様……何かありますか?』

 

「そうだね、じゃあ少し気合が入る歌を……」

『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』』』

 

そして気合が入る歌が歌い終わり開戦準備。

軍団のみんなにはいつも以上に力が出るような歌を歌ったし、それに死なないようにも半分不死化の歌をかけておいた。まぁ、一日が限度の超薄い不死化だけど。

 

 

 

 

 

「ふう………疲れた。さてと戦争が始まるね」

「お疲れ様ですお嬢様。お嬢様の成果もあり軍団のやる気は十分の様です」

 

そう言いながら冷たいタオルと水を渡してくれる。

なんかライブ終わりの様な感じがするけどここからが本番。

 

「タオルありがと」

「いえ、これが私の役目ですから」

 

さてと、後は開戦を待つだけってあれは……?

 

「こいしちゃん?」

「……?お姉ちゃん私が認識できるの?私は無意識だから声をかけても気づかれない時があるのに……」

「まぁね、普通に分かるよ」

「嬉しい!ね、ね、お姉ちゃんの名前は?」

「芽衣だよ、星羅芽衣」

「私はね、古明地こいしって……あれ?芽衣お姉ちゃんさっき私の事名前で呼んでなかった?」

「呼んだよ、私はそういう能力を持ってるんだ」

 

普通に知ってただけだけど。

 

「へぇー、あ、さっきからお姉ちゃんって呼んでるけど別に良い?」

「別に良いよ、慣れてるし」

「ありがとー、芽衣お姉ちゃん」

 

とこいしちゃんを膝に乗せてふわふわお喋りしてた時。

ドーン!と太鼓の様な音がなり開戦が告げられる。

 

「始まりましたね、お嬢様……その妖怪は?」

「ああ、この子?こいしちゃん。なんかふらふらしてたから声かけた」

「えっ?お兄さんも私の事が認識出来るの?」

「?……何がだ?」

「まぁ、キシぐらいなら普通に気づくよね」

 

そうして戦争は開戦された。

高台から見てみると完全にこっちが押している。

というか紫側が何か凄い勢いで倒されてるんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争が始まって数分、見事に紫陣営の妖怪達は次々に倒されていく。

 

『力がみなぎるううううううううう!!』

『たぎる!!力がたぎるぞぉ!!』

『体が軽い…。こんな気持ちで戦うなんて初めてだ!!』

 

芽衣陣営の殆どはありあまる力を発揮して相手を死なせないように進軍する。

この統率の高さは芽衣の下だからこそ発揮することである。

 

 

 

 

 

 

 

 

その中で一人、フラワーマスターである風見幽香はある一人の人間と対峙していた。

 

「さてと………最初はあなたから倒して行こうかしら?」

「………」

 

幽香の近くに一人……見た目、30代後半の男性だ。

 

「運が無いわね貴方」

 

幽香はその男に向かって傘で殴りつけた。

が、

 

 

ズ……

バシイイイン!!

 

 

幽香の攻撃はその男に当たるが当たった感触は程なくしてその殴りつけた場所から自分と同じ力で殴りつけられる様な感触が返ってくる。

その力に幽香は一旦下がる。

 

「……貴方……何者?」

「………私は…伊縁……伊縁惰弐(いえん だに)だ……」

「ふ~ん、中々の力を持っているのね、人間の癖に。芽衣の側近の一人かしら?」

「……芽衣様の近くにおられる方はキシ様……詩音様……パウ様ぐらいしか居ない……私など到底及ばない……」

「……まぁ、芽衣の様な人間も居るし……油断はしないわよ」

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

幽香は接近戦は分が悪いと感じたのか少し離れ魔砲を撃ってきた。

昔、芽衣に放ったやつより速く、そして大きかった。

 

「これならどう?」

「……」

 

伊縁は、幽香が放った魔砲から逃げようとしなかった。

何故なら……

 

「……」

 

伊縁に魔砲が当たる瞬間、幽香の放った魔砲は何かに吸い込まれたかの様に消えた。そして……

 

ズ………

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

 

消えた魔砲は伊縁から幽香に放たれた。

 

「くっ!……」

 

だが幽香もそういう事は芽衣の時に経験済みだ。それに油断もしていない。

その魔砲は余裕を持ち回避する。

 

「貴方……さっきのもそうだけど………能力持ちなのね?」

「……その通りだ……別に言う必要も無いが……一応…言っておこう。私の能力は『返す程度の能力』だ。来た物を……来た方向に……来たスピードで……返すだけだ」

「という事はつまり……」

「………お前の攻撃は私に届かない」

「面白いじゃない!!こんなのが一兵士なんて、心が躍るわ!!」

「………」

 

見よ!戦闘狂は今日も赤く燃えている!!

 

 

 

 

 

 

 

 

そして藤原妹紅は、前線のぶつかる所ではなく大回りをして芽衣の本陣を目指していた。

だがそれには森の中を通る必要があった。

 

「(速く……芽衣姉の所へ……)」

 

妹紅は一人……森を駆ける。芽衣に会って自分の成長を見せる為に……

 

「あれ?貴方は確か……」

「!……芽衣姉の所の巫女……」

「えーと、白い髪に赤い目……思い出した!母上が言っていた妹って貴方だったのね、えーと……名前…何だっけ…」

「すまないが急いでいるから……」

「ちょ……ちょっと待って下さい!母上の所に行きたいなら私を倒してから行って下さい!!こう見えて地獄の様な修行を耐え抜いたんですよ!」

「……(こいつを倒したら芽衣姉も認めてくれるのか……?)分かった、相手になってやる」

「ふふふ、貴方の弱点は分かってますよ……不老不死で体が再生するなら精神を削ってやります!!」

「精神を削る?」

「母上が何かそう言ってました。SAN値だとか何とか……まぁよく分かりませんでしたが……まぁ、という事で『食屍鬼』さん!『夜鬼』さん!『ムーン=ビースト』さん!『ミ=ゴ』さん!『イゴーロナク』さん!お願いします!!」

 

詩音がその名を呼ぶと、木々の中からそれぞれが姿を見せる。

最初の奴は一見、人間に見えたがすぐに違うと分かった。そいつはゴムの様な弾力のある皮膚をしており犬に似た顔、鋭いかぎ爪をしている。

次に現れた奴は無格好な黒い生き物で、油っぽく滑らかなクジラの様な皮膚、不快な角、羽ばたいても音のしない翼、酷い手、トゲの付いた尾、顔は有るべき所には空白があるだけである。

次に現れたのはピンク色の短い震える触手があり、目の無いヒキガエルに似ていた。

次はピンクがかかった色の生き物で甲殻類の様な胴体、背中には翼が付いていた。

最後に体が白熱していて、頭が無くて、裸で、巨大で、両手の平に濡れた口が開いた化け物。

 

「な………なんだ……こいつら……」

 

妹紅は幾度となく妖怪を見てきたが妹紅は直感でこう感じ取った。

こいつらは妖怪なんかではない。理解してはいけない奴らなのだと。

 

「(こいつらは普通の妖怪なんかじゃない……)こ、こいつらは……な、何なんだ?」

 

妹紅は吐き気を我慢しながら詩音に尋ねる。

だが尋ねた所で良い答えなど返ってくる筈は無いという事は本人も分かっていた。

 

「私に聞かれましても……母上が呼び方を教えてくれて呼んだだけですしそれに……意外に可愛いですし♪」

「………」

 

妹紅は瞬間、意識を持っていかれそうになり下を見る、だがそれを耐えて何とか詩音の方を見ようとする。

だがこの時に気絶をしていれば良かったと妹紅は思うであろう。

詩音がいた場所には臓器が露出して半分ほど溶けていた人の様なナニカが蠢いていた。

 

「うわああああああああああああ!!!」

「へ?あ、あの、どうしたんですか?」

 

詩音は妹紅に近寄る。それが止めを刺す事になる。

 

「来るな!こっちに来るなああああ………ぁ…!!」

 

バサッ!

 

そして地面に倒れる。

妹紅は幻覚を見ていた。

詩音は別段、臓器を露出をしていないし溶けてもいない。

妹紅が見たナニカは幻覚だったのだ。

 

「あれ、気絶しちゃった。これが精神を削るってやつなのかな?心配だから母上の所に連れて行こう。あ、皆は其処ら辺で遊んでていいよ。いきなり呼んだけど来てくれてありがとね!」

 

神話生物達は詩音に従い適当に遊ぶ玩具(敵)を探す。

詩音は芽衣の所に妹紅を背負って走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良しっ!やるよ、萃香!」

「どっちが多く倒すか競争でもする?」

「良いねぇ!その話乗った!」

 

その鬼達の前に若い男性が現れる。

その男は一見普通の人間のようだ。

 

「おっ、獲物発見!勇義!あいつは私が貰うよ!」

「なっ……好きにしな!」

「へっへーん、私の名前は伊吹萃香。お兄さん運が無かったね!お兄さんの名前は?」

「俺は運賀那智(うんが なち)だ。貴様は芽衣様に仇名す敵か?」

「敵と言えば敵かな…って危なっ!!いきなりかい!」

 

那智は芽衣の敵だと言った瞬間に戦闘態勢に入る。

 

「敵は倒すまでだ、大丈夫だ殺しはしない」

「舐めない事だね……後悔するよ?」

 

先制したのは那智。腕を使い巧みに動かし攻撃をしてくる。

一方、萃香も自分の腕を巧みに動かして攻撃を防ぎ攻撃のタイミングを伺う。

 

「中々、やるじゃないか。だけど攻撃が甘いよ!」

 

萃香は那智の腕を掻い潜り腹に一発喰らわせようとするがその拳は完全に止められる。

 

「なっ……腕が……四本!?」

「攻撃が甘いのはお前の方だったな」

 

ズシッ!

 

もう一つの右腕は萃香の腹に深く突き刺さる。

 

「ガっ……ぐっ……」

「終わりだっ…」

 

そのまま萃香を投げ飛ばし戦闘不能にさせる。

その瞬間、

 

バンっ!

 

「ちっ、止めたかい」

 

勇義の渾身の一撃も素手で受け止める。

そして両方の腕で力の押し合いになる。

 

「あんた妖怪かい?その腕の数。それに鬼である私と萃香の拳を止めるなんてね」

「俺は人間だ。それも芽衣様の部下で最弱の部類のな」

「冗談だろ」

「鬼に嘘はつかないさ、それにしても弱いなこの程度か、鬼は」

「何だと?」

 

那智は勇義の手首を掴みそのまま上にあげる。

 

「ほらこれで動けない」

「はっ、まだ足が…」

 

ガシっ!バシっ!

 

勇義の足ももう一つの両腕で掴む。

 

「これでもか?」

「はっ!あんたもそれだと攻撃出来ないじゃないか」

「いや、まだ腕はある」

 

ニュっともう一つの両腕が出てくる。これで合わせて腕は六本だ。

 

「何だい、まだ腕を隠してたのかい」

「腕が四本なんて俺は言ってないからな」

 

そして出てきた新しい腕で勇義は殴られる。

数十発を過ぎた辺りで勇義の表情が険しくなる。

 

「まだ、まだっ!!」

 

ガっ!

 

勇義は那智に対して渾身の頭突きを喰らわせる。

突然の攻撃によろけた那智は勇義の拘束していた腕を緩ませる。

 

「オラっ!」

「ぐっ!」

 

そのまま拘束を抜けると同時に那智の顎に蹴りを喰らわせ少し浮いた所でもう一度蹴りを喰らわせ那智を蹴り飛ばす。

その方向には…

 

「へっ、ナイスパスだよ!!勇義!」

 

其処にはさっき腹を刺されて投げられていた萃香が巨大化して待ち構えていた。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

萃香は全身全霊を込めて那智に拳を振り下ろす。

 

「…………」

「やっと……倒せた………」

「良いパンチじゃないか萃香」

「今回の功労者は勇義だよ、私が起きるまでこいつの拳を受け続けるなんて尋常じゃないよ。私は腹刺されて投げられただけで気絶してたってのに」

「まぁ、何はともあれ……ようやく一人!これはあたしの逃げ切りかな」

「あっ!やっぱりさっきの私にもプラス1ね!」

「まぁどっちでもいいさ。さぁ、次に行こう」

「休まなくていいの?」

「まだ喧嘩は始まったばっかりだよ、ほら相手も来たしさ。次はあんたかい?」

 

両方とも完全に満身創痍だが二人は次の人物と戦う。

それは鬼だからかどうかは二人にも分からない。

 





色々とカオスな事になっていますが気にしないで下さい(笑)
偵察部隊の皆さんは特殊な訓練を受けています。

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