Harry Potter Ultimatemode EXシナリオ   作:純白の翼

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時系列としては、再会と因縁の章『秘密の部屋』編の12話から18話です。ドラコの視点で描きます。


EX7 フォイの部屋

 1992年11月某日。グリフィンドール対スリザリン戦後の事である。

 

『クッソォ!ポッターに負けるなんて!』

 

 壁を叩くドラコ・マルフォイ。1年生の時、ハリーの力は見ていた。ニンバス2000を使っていたから、その後継機を使って勝とうと思ったのだ。

 

 しかし、ハリーはレッドスパークという曰くつきの箒で応戦した。そして、見事に乗りこなしたのだ。ブラッジャーの1つが、ハリーだけを徹底的に襲うというこちらにとって有り難いアクシデントがあるにもかかわらず、彼の捨て身の戦法の前に敗れてしまった。

 

「箒の性能さえあれば……!?」

 

 いや、例えハリーがニンバス2000で戦っていても自分は負けていたであろう。何しろ相手は、スペックも実戦における経験値も桁外れなのだ。今思えば、去年の飛行訓練の自分の行動を恨んでやりたくなった。ハリーを退学に出来るどころか、クィディッチにおけるスリザリンの最大の敵を作ってしまったからだ。

 

「しかも、リドルには10発殴られるし。」

 

 100点差で負けたので、本来ならば100発殴られるところだったのだ。しかし、他の選手に庇われたので10発だけに留まったのだ。とは言え、1発1発がグロッキー状態になるグラントの拳である。終わった後には危うく意識不明になりかけた。

 

 しかしどういうわけか、敵である筈のハリーの作った回復薬と応急処置である程度完治した。医務室に行っても、すぐに退院したのだから。その時の光景を思い出す。

 

『どうして僕を助ける?敵の筈なのに!』

 

 立ち去ろうとするハリーに対して、ドラコは質問した。顔だけドラコの方へ向くハリー。

 

『何故助けるかって?言った筈だぞ。俺は、俺なりに一線を構えていると。去年のホグワーツ特急でな。』

 

 いつもこうだ。本当に自分が危うい時は、助けてくれるのだ。

 

「もっと練習しないと……試合の度にアレじゃあ、いつか死ぬ。ポッターにも助けられてばかりで、情けなくなる。そして、魔法の腕も上げないと……そうだ!」

 

 後日、ドラコは地下牢にあるスネイプの部屋に入った。事前にアポは取っている。

 

「入りたまえ。ミスター・マルフォイ。」

 

「失礼します。」

 

 ガチャリ。ドラコが入って来た。

 

「どうしたのかな?」

 

「スネイプ先生。僕に……僕に上級生用の、もっと自分の身を守る為の役に立つ魔法を教えて下さい!お願いします!必要であれば、父上の推薦状も渡します!!」

 

「君はまだ2年生だ。その必要はないと思うのだが?」

 

「このままでは命に関わるんです。」必死に訴えるドラコ。

 

「フム……理由は、ハリー・ポッターとの確執かね?」

 

「いいえ。違います。あいつの事ではありません。それどころか、僕が本当に危うい時は助けるんです。自分なりに一線を構えているからって理由で。」

 

 それを聞いて、思わず驚いた表情になるスネイプ。何か考え事をしていたが、最終的にドラコにこう切り出した。

 

「君は優秀な生徒だ。週に1回、我輩直々に手ほどきをしよう。あまりにも高度な呪文はともかく、我輩が生み出した呪文を出来る限り教えよう。それを見事、ものに出来るかどうかは、君次第ではあるがね。」

 

「必ずやってみせます!」

 

 こうして、スネイプに師事する様になったドラコ。グラントに殴られるよりは、遥かにマシだった。警戒心と反射神経が鍛えられているのか、ある程度なら魔法を使わなくとも攻撃をやり過ごせる様になっていた。

 

 決闘クラブの日になった。ドラコの対戦相手は、エリナに決定した。審判は、スネイプがやる事に。

 

「1…2の…3!」

 

「「武器よ去れ(エクスペリアームス)!」」

 

ドラコのサンザシの杖、エリナの柊の杖から真紅の閃光が出た。互いの閃光とぶつかり合う。

 

妨害せよ(インペディメンタ)!」

 

 すかさず、次にドラコは妨害呪文を使う。エリナは、魔法を使わずに己の運動能力だけで回避をした。

 

「なっ!?」

 

「隙あり!魔塊球(ディアブマス・アービス)!」

 

エリナの杖から、白い光球が出て来た。見るからに弱そうではあるが、その油断がドラコと白い光球との接触を許してしまった。

 

「なっ!?これは……何ともないぞ。」

 

 光球に当たって光ったわけだが、何故かダメージが無かった。

 

「何をやったかは知らないけど、そんな役立たずの魔法で僕を倒せると思ってるのか?」

 

「役に立たないかどうかなんて、分からないかも知れないよ?武器よ去れ(エクスペリアームス)!」

 

 その瞬間、ドラコの身体が光った。正確には、触れた光球が強く武装解除呪文に呼応している。

 

「ま、まさか!」

 

 エリナが先程放った魔法の効果を悟ってしまったドラコ。もしこれが本当ならば、弱い攻撃呪文でも脅威になりかねないと思ってしまった。

 

「う、うわぁ!」

 

 武装解除呪文が直撃し、吹っ飛ばされるドラコ。これは、武装解除呪文の威力じゃない。白い光球はエリナ自身の魔力の極一部を凝縮させた塊だ。対象に当ててから攻撃呪文を唱えると、最大10倍ほどの威力となる。

 

「ハア……ハア……兄の方ならともかく、妹にも勝てないのか。僕は。まだまだだな。」

 

 舞台を降り、ギャラリーに戻るドラコ。その後、ハリーとイドゥンの決闘が程無くして始まったのだった。

 

*

 

 時間はある程度進み、年明けの授業。スネイプとの特訓をやっている。2日後にクィディッチの最終調整で、その翌日はハッフルパフとの試合がある。なので、今日がこの週の特訓の総仕上げとなる。

 

「良いかね?今回教えた錯乱の呪文を習得しておくように。」

 

「わ、分かりました。先生、僕はポッターやリドル、フィールドに勝てると思いますか?」

 

「……あの3人は、従来の魔法使いの常識が通用しない。躊躇いもなく、マグルの戦闘技術も使って来るからな。せめて、相手の方もそれ相応に身に付けておかないと、勝つどころか同じ土台で戦えないと言っておこう。これに関しては、我輩も専門外になる。フォルテならば、ある程度身に付けてはいるが。」

 

「そうですか。」

 

「今は土曜日の試合に向けて、休息を摂る様にする事だ。ハッフルパフは、別物レベルで強化されている。特に気を付けるべきは、ミス・ポッターだ。兄程ではないが、彼女も相当な選手だからな。」

 

「分かってます。リドルとルインは、練習の日じゃなくても個人で練習していますから。勿論、この僕も。」

 

「分かっているならばよろしい。さあ、もう就寝時間だ。行きたまえ。」

 

「……失礼致しました。」

 

 スネイプの部屋を出るドラコ。座学はともかく、実技の方はOWL試験でも通用する位にはなった。だが、それでも勝てない奴というのは必然的にいる。この世には1人や2人、敵わない奴もいるとは良く言ったものだ。

 

 そう考えながら談話室に向かっていると、何やら話し声が聞こえた。スリザリン・チームの上級生4人だ。

 

「どうする?エリナ・ポッターには、プラチナイーグルがあるぞ!」

 

「ハリー・ポッターのレッドスパークさえあればなぁ……」

 

「あいつから借りるのか?貸してくれって。」

 

「無理だ。全員揃って、良くて半殺しにされるのがオチだからな。」

 

「レイブンクローには勝てるが……今年のハッフルパフは強化されまくりだ!どうする!?」

 

 その時だ。誰か入って来た。髪が一部白い少年だ。名前は確か、レナルド・ホワイト。

 

「簡単ですよ。ハリー・ポッターの仲間思いな性格を利用すれば。」

 

「1年生か。聞いてたのか?」

 

「まあ、俺も目障りな奴がいましてね。そいつは、ポッターの奴と大変仲が良いですから。」

 

「何をすればいい?」

 

「血を裏切るエックス・ブラックを餌に、ポッターからレッドスパークを奪い取るんですよ。」

 

 そんな。それをやったら、イドゥンが黙っていない。だけど、話をしている5人は勝つ事にしか集中していない。やめようとは言えない。グリフィンドール戦では、完全に自分が悪いからだ。黙殺される。

 

 急いでその場を離れるドラコであった。事実を知りながら、誰にも明かせない苦痛を味わう事になったのであった。

 




凡そ1時間ほど経ってから、本編の投稿をします。

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