俺は頭がいい。
自分でもそう思う。なぜかというと、俺は総武高校の国際教養科に通っているからだ。
俺らが通う総武高校。結構な人数を占める巨大な進学校だ。
その中でも、2年J組というのは女子が大半を占め、男子なんて「え?いるの?」という感じに少ない。
そのJ組の数少ない男子の一人がこの俺、芥川 宗佑だ。
「おい、聞いてるのか芥川」
「ふぁっ!?なんの話ですか?」
その俺は今、絶賛叱られ中です。
理由は簡単。授業中寝てた。それだけ。
「ったく、君は才能はあると思うんだけどな……」
「急に俺を褒めてどうしたんです?」
「わかってるくせにわかってないようなことを言うな」
「いてっ」
軽く脇腹を小突かれる。
「ったく、なんだね君は。いつも授業中寝てばかりではないか」
「いやー、徹夜が続きまして」
「それはなぜだ?」
「深夜アニメを見て」
いやー、深夜アニメの誘惑がね?俺を誘うわけですよ。まんまと俺はそれに引っかかってしまってね?
だから俺は悪くない。と思う。
「ったく、だから君は友達ができないんだ」
「どこをとればそうなる」
「ついてきたまえ。君には更生が必要だ」
「いえ、行きません」
「…………こい」
「………はい」
あんな目で睨まれたら断れないですよ。コワイ。
そして俺が連れてこられたのは特別棟。いや、なんでここに?と疑問に思っていると、平塚先生が立ち止まる。
「雪ノ下、邪魔するぞ」
「先生、ノックを」
雪ノ下?
「ったく。今度はなんですか」
「また更生が必要なやつを連れてきた」
「またですか……。この男だけでも大変だと言うのに」
「まあ、悪いがやってくれ。私の手を煩わせるのもな」
殴る気なのかよ。
「おら、なにをしている。きたまえ」
「あーい」
「…………芥川くん」
「おう。雪ノ下」
雪ノ下 雪乃。俺と同じクラス。万年一位を取り続けているやつ。
俺も昔は血気盛んだったから争ってたんだけど最近は平穏に暮らしたいからやめた。こいつとはたまに話している仲だ。
「そう。更生が必要だったのは芥川くんだったのね」
「まあな。ふあーあ……」
「頼めるか?」
「ええ。彼はあまり手間取らないと思いますし」
そうそう。俺はやれと言われたらやる男よ。授業中は寝るけど。
「そうか。ならよかった。では私は行くからな」
そして平塚先生は去って行く。
「…………まあ、その、なんだ。何をすりゃいいの」
「とりあえず授業中寝るのをやめたらいいと思うわ」
「ええ……」
「なに?」
「わかりました」
ここで返すと争いが生まれる。俺は面倒だから嫌いなんだよ。
あと、昔のことを思い出すから嫌だ。
「なあ」
「わっ」
びっくりしたー。
声がした方を見ると目が明らかに腐敗した男子がいる。
「こいつ誰」
「私と同じクラスの芥川くんよ」
「っす。で、あんたは」
「俺は比企谷 八幡」
「ん」
「芥川くん。座ったらどうかしら」
「ん」
言われるがまま椅子を後ろから持ってきて後ろに座る。
後ろで置物みたいに静かにしてれば誰も俺に突っかかってこないだろ。無関心を装い無関係を貫く。誰とも関わらなければ誰とも戦わなくて済むだろ。
というか、今さらだがここは何部なんだろうか。
ま、わかんなくても問題はないか。