18:30
今、ここに人生の岐路に立っている者が居る。
「じゃあ、ゲームで待ってるよ!」
「う、うん…。」
「こっちは気にしなくて良いです。皿洗いする時間くらいはあるですから。」
そう、僕です。
今頃、ゲームの上手な人(廃人)と呼ばれる人達は思い思いのレベル上げをしているであろう時間です。
「じゃあ、ゲームしてくる、からね?」
「おう!頑張ってこい!そして自立型植物人間予備軍から抜け出して来い!」
なにそれ怖い。
と言うか、そこは早く終わらせて勉強しろ、とかじゃないの?
そんなことを思いながら自分の部屋に戻る。
今思えば、二年前まで家族とろくに喋って無かったな…。忙しいのは知ってたつもりなんだけど。
まあ良いか。良いことなんだから。
VRマシンをすっぽり被り|仮想世界へダイブする。
「ログイン。」
一瞬の虚脱感、しかしすぐに機械の音声が耳に届く。
<ようこそ!Free choice onlineへ!!>
***
朝目覚めた様な感覚。
目が覚めると異世界でした。
部屋の窓からしか見なかった空、
見上げればまるで空を飛んでいるかの様。
見渡せば風に揺れる木々が乱立しています。
「………………………………スゴい。」
この時、僕はどんな顔をしていただろう。
人と会う恐怖に満ちた顔?
久しぶりの外のような場所への不安に満ちた顔?
きっと違う。
そんな感情は微塵も無かった。
この世界を見た瞬間に消し飛んだ。
一目惚れかなぁ?
一目惚れだねぇ。
さて、一通り眺めたところで。
「姉さん待っとかないと。」
この辺の地理には疎いからね。
視界の端にコンパスが見えるけど、さすがにこれだけじゃね。
今の服装とかどうなってるんだろう?
メニューを呼び出して見た。
***
Name.藍 ヨミ:アイ
Nature.男
Job 1st.ネクロマンサー Lv.1
2nd. ―
3rd. ―
Sjob 錬金術士 Lv.1
HP:22 MP:23
STR:7
VIT:5
INT:16
AGI:8
EXT:14
LUC:10
スキル
死霊魔法Lv.1 闇魔法Lv.1 毒魔法Lv.1 杖Lv.1 錬金術Lv.1 鑑定Lv.1 消費MP減少(微) MP回復速度上昇(微) 索敵Lv.1 統率Lv.1
初心者の杖 初心者のローブ アイテムボックス
ゾンビ
0/10 Lv×10
***
うん、分かってる。弱いに決まってるじゃないか。レベル1なんだから。βテスターでもないし。
服装は地味な色合いのローブ、杖は僕の肩辺りの長さ、ちょっと取り回しが辛い…かも。
「藍夜く~ん!待った~?」
「ううん、待ってない。ちょっとステータスの確認してた。」
「そっか、じゃあとりあえずフレンドになろうか~。あ、私のステータス見る?参考になるか分かんないけど。」
「うん、ありがとう。」
姉さんのステータスか。きっと強いでしょう。
***
Name.赤火 ヨミ:アカヒ
Nature.女
Job 1st. ソルジャー Lv.1
2nd. 狩人 Lv.1 β版引き継ぎ
3rd. ―
Sjob マジシャン Lv.1
HP:25 MP:21
STR:14
VIT:13
INT:9
AGI:11
EXT:14
LUC:9
スキル
剣Lv.1 盾Lv.1 身体強化Lv.1 耐久走Lv.1 マジックLv.1 サプライズLv.1 HP上昇(微) 器用値上昇(微) HP回復速度上昇(微) 根性Lv.1
β版引き継ぎ
身体異常耐性Lv.1 精神異常耐性Lv.1
***
装備は見れなかった。
僕には強いのかどうかは分からないけど。
なぜにマジシャン?
「…なぜにマジシャン?」
「フフン、そのうち、ね!」
?分からないけど、何か在るのかね?
***
「さて、藍君。」
「なに?姉さん。」
「今日は狩に行かずに街を見て回ろうか。」
「……良いの?」
「もちろん。何が在るのか分かってれば、困る事は無いでしょ?」
「姉さん……。あ、ありがとう。」
「フフ、じゃあ、行こうか?」
その日は街を見て回った。
久し振りに姉さんと出掛けた。
結構姉さんは有名らしく、いろんな人に声を掛けられてた。
姉さん、よく「死神」って聞くんだけど、何したの?