「ただいま。」
「ただいまですよ~。」
お父さん達が帰って来た!
私は料理の手を止めお母さん達を出迎える。
「お帰りなさい。今日はシチューだよー!」
身長が190cmはありそうな爽やかイケメンの大男。
これ、私達の親なんだぜ?ビックリでしょ?
ぱっと見30代後半のこの人、今年で45歳だったはず。
一方、身長が140cm程の小さな少女。
これ、私達の親なんだぜ?ビックリでしょ?(2回目)
顔は、見ていてほっこり和む愛らしい少女。
年齢は乙女の秘密らしい。なぜか語尾に「です」を付けるのが特徴。理由は敬語が苦手だからだそうですよ?
私こと紅陽あかひは父親似。
愛する弟藍夜あいや君は母親似。
ここんとこ逆だったら良かったのに…。
だって藍夜君の方が可愛いもん。
「今日は紅陽が料理当番か?悪いな。」
「いやいやそんなこと。」
お父さん達は、Fres choice onlineの製作者で、かれこれ5年間の内は何週間も帰ってくることが無かったりしたので、私達姉弟はお隣さんから料理を教わった。
「楽しみです。
私は藍夜君を呼んでくるです。」
「俺は食器でも出してるよ。」
「おねがーい。」
***
「「「いただきます」」」
「い、いただきます。」
今日の晩ごはんはシチューだった。姉さんの作った料理は全部美味しい。
「藍夜君、ゲームはどんな感じだった?」
「ま、まだキャラメイクだけだから、なんとも……。」
「なんだ?ゲーム始めたのか?!」
「私達が色々と押しても引いても微動だにしなかったあの藍夜が!?です!」
「精神科の医者に「このままだと動く植物人間になる可能性があります。」と言わせた、あの藍夜がか!?」
何か酷い。
そんなこと言われてたのか…。
「そうなんだよ!そんな藍夜君の為に、私がゲーム会社に特効仕掛けて特注したんだから!」
「え…えぇ!」
「ああ、あれ、紅陽だったんだ。良かったな、専用機だぞ?」
な、なにやってんの!
「良かったです。現実でも、ゲームでも、友達増やそう、です。」
「う、うん………。」
「どうしました?」
「い、いや、なんでも…ない…です。」
友達増やそうなんて勢いづいてみたけど、僕みたいなのに友達なんて出来るのだろうか…?
根暗だし
ちっこいし
おまけに人見知りだし
「………大丈夫ですよ、藍夜君。」
「お母さん………?」
「最悪NPCとも親交は深めれますから」
「………そう…」
それあんまり大丈夫とは言えないよね。仮にもオンラインゲームなんだから、そこはコミュ障や対人恐怖症にも優しい友達作り設計にしておいて欲しかったよ…………。
タイトル修正しました