「クソ!この!一体どうやって出て来た!」
「も、モンスターのき、共生です。」
共生、モンスターとモンスターが互いにwin-winな状態で一緒に行動することです。 鑑定スキルなどを持っていれば『共生』と言う状態が付きます。 今回の場合ゾンビさんの体内に入ることで、自分の足の遅さを克服し、ゾンビさんはぷにを吐くことで防御が出来ます。
[成る程…その手があったか…!]
[そんなシステムがあるんですか! 鑑定持ちの皆さん、アイテムばかりでなく偶にはモンスターにも目を向けるといいですよ!]
「講釈を垂れている場合か…!?」
「あ、いえ、そう言うつもりじゃ…。」
「問答無用だ!スライム程度、さっさと剥がしてくれる!」
ニュル
「剥がして…くれる!」
ムニューーー
「剥がして…!」
ムニィ ムニィ
「剥がれないではないか!!ムニムニとして!剥がれないではないか!!」
「ご、ごめんなさい…!」
「いつの間にか膝上まで包まれている……! たかがスライムと侮っていたがやむを得ん!」
そう言うとベルさんは何枚か葉っぱを取り出し両手ですり潰し始めた。
すると、プニ達は蜘蛛の子を散らすように…ゼリーがいきなり液体化したかのように逃げ出した! スライム避けのアイテム!?
「ククク…初めてか? ご自慢のスライム達がただすり潰しただけの葉っぱに臆して逃げる姿は。」
「………!」
「確かに、貴様のスライムには少しヒヤリとした。 実際、下の防具の耐久値もさっきのでかなり持っていかれた。」
「貴様は他の西のエリア以外のエリアに行ったことがあるかい? ああ、答えなくてもいい、これは恐らく我以外で知るものは居ない…と思うが、西のエリア以外に生えている植物の中にはスライムに対してのみ毒になる成分を持った植物があるのを発見した。」
「そ、そんな…!」
[なんと言うことでしょう!! 私、初耳です! 実際そうなんですか?]
[………………確かに、そんな植物作った気がすr…します。]
[ちょっと忘れてましたね?]
会場がざわつき始めた。
なんでこんなことを知っているんだろう? そしてそれを惜しみなく披露しているのはなんでなんだろう。
「な、なんでそんなに、詳しいのでしょうか…?」
「おや、知りたいのか? まあそれこそ…」
「我に勝ったら教えてやろう!」
ベルさんが突っ込んでくる、僕は意を決して接近戦をする事にした。
大丈夫、しょーぐんの時みたいに頑張って逸らして、毒魔法を撃ち続けるんだ。 大丈夫だ、出来るはずだ。
ベルさんがポイズンの射程に入った、今!
「ポイz」 ガキン!
う、腕が…。
「ふむ、やはりと言うか、なんだ、本体は弱いんだな。」
剣で杖を吹き飛ばされたようだ、剣が見えなかった。魔法を撃とうにも杖は遙か彼方、ゾンビさんは聖水の麻痺からまだ動けない、頼みの綱だったプニ達も近づけない。 もう、ここまでの様だ。
「まあ、それなりだったぞ、 あとで控え室で会おう。 貴様の分まで勝ち進んでやろう。」
「………。」
このまま剣が振り下ろされるのだろう。 残念、僕のトーナメントはここで終わってしまい
いや
待って
僕は、変わるんだ
姉さんがくれた機会なんだ
まだ、まだまだいっぱい居るじゃないか、僕には。
「ゾンビさん…。」
『グルオオオオオオオオオオォォォォォォォオォオオオオオオ!!!!』