Free Choice Online   作:猫の子

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1st 1-11 装備は大事だぞお前 byジャック

 どうしても勝てる気がしない。

 武器のレベルが違いすぎる!これじゃあ勝負にならないよ!

 

「……お前、その武器どうした。」

「い、言わないで……。」

 

 レベル上げに夢中で武器を買わなかったなんて、基本的にゾンビの皆が戦ってくれて、僕は指示を出してただけなんて、言えない……!

 

 ちょっとは戦って来たけど、直接殴ったりしたのはしょーぐんだけで、後はゾンビウルフやゾンビゴブリン、ゾンビスパイダーに戦わせてて自分は必死にクリティカル狙い撃ちで足止めと目眩ましだもんな…普通そう言うのってゾンビ達にやらせるのかな?

 

「しょうがねぇな…中止だ中止!ちょっと装備整えるぞ!」

「へ?」

 

 ジャックさんは自分の武器で自分をぶち抜いた。

 一瞬の内に白い空間が無くなり、元のベンチの前に。

 装備を整えるって……?NPCノンプレイヤーキャラクターの店にでも行くのかな?お金は足りるかなぁ?錬金術の部屋にしか使ってないなぁ…乾燥させたりしてやっとのことNPCの店と同じになって嬉しいけど、まだまだ機材は買わない、買った後に余裕が欲しいし…そういえばいくらだっけあの機材?

 いやそうじゃなくて。

 

「アイツはまだログインしてるはずだ。連絡取れるか?」

「ああ、ちょっと待ってね。……ああ、もしもし?俺だよ、え?その手には乗らない?別にオレオレ詐欺じゃないからね?ギルギルだよ。」

「ギルギル詐欺ですか分かります~。」

「違うって!」

「……あの」

「……気にすんな、ちゃんと連絡取れるはずだ。」

 

 あの、ジャックさん?目が完全にまたかって言ってますよ?あと撫でないで下さい。あ、でもちょっと気持ちいいかも…。包まれるような………お兄さんって感じがする………。

 少しジャックさんに撫でられている内に、連絡取れたらしい。相手はプレイヤーだったようだ。プレイヤーメイドの物って高いんじゃない?

 

「ああ、ジャック君!藍君を撫でてる!」

「ん?おお、すまん、無意識だ。うっかり弟と同じようにしちまった。」

「弟さん…ですか?」

 

 無意識に頭を撫でる程仲が良いんですね、良いですね。僕も姉さんに甘えて見るかな……?いやいやいやいや、この年になって恥ずかしい!

 

「ああ、そして今から行くのが俺の弟の所だ。因みにアイツはランキングが……七位だったか?生産職だと唯一のランクインだな。」

「またですか……。」

 

 凄い人ばっかりだよ…精神すり減っちゃうよ。

 

「まあ、ランクイン中三番目位に変わってるがな。」

 

「……またですか。」

 

   ***

 

「はあーい、ジオの雑貨屋にようこそー、適当に見てって。と、いつもなら言うんだけどね。」

「忙しかったか?」

「いやいや、全然だよー、暇すぎた位だったんだ。んで、杖の注文だね。誰の?クリスさんには昨日渡したけど、あ、ブラックさん?」

「いや、こいつだ。」

「あの……こ、ここ、こんにちは……。」

「うん、こんにちはー!」

 

 ジャックさん達に案内されたのは、南のフィールドの近くにある露店でした。そこには、ジャックさんの弟さんらしき人がいた。身長は170位、真っ赤な髪をオールバックにした人。ジャックさんは190は有りそうです。160どころか150も怪しい僕とは大違いですね。

 

「……世の中は理不尽だ……。」

「何か言ったかい?」

「いえ、何でも、無いです。」

 

 そんなことより杖です!本来の目的を忘れちゃ駄目だよ!

 さてどんな杖でしょうか?今の物でも十分戦えてるから別に……僕は直接戦って無いんだった!

 

「はいどうぞー、ご注文の杖ですよー。」

 

   ***

人面樹の杖  作成者:ジオ

STR+10 INT+32 耐久300/300

効果:魔法威力増加(微)

エントの枝を加工して作られた、魔法使いに人気の杖。若干魔力が宿っている。

カスタム:芯にエントの若枝を使い、耐久を上げた。

   ***

 

 強い……かな?分かんない!ずっと初心者の杖だったんだから!

 

「良い出来だね。改造なりなんなりしたくなったらおいで、おすすめはボスのエルダーエントだよ。」

「あ、ありがとうございます!」

 

 構えてみると、適度に重く、なかなか扱い易そうです。でも、やっぱり長い。只の杖では僕には長すぎるよ!

 

「んー、やっぱり長いかな?一応短杖も有るけど?」

「だ、大丈夫です、問題無いです!」

「そう?なら良いや。それよりさ、そのローブ!」

「は、はい?」

「このローブに何かあんのか?」

「そのローブ!メイジゴブリンのレアドロップでしょ!」

「そ、そうですが?」

「お願いします!改造させて下さい!イベントの闘技大会出るんなら闘技大会には間に合わせるし、今よりもっと良いものにするから!この通り!」

 

 そう言いながら、ジオさんは正座を一瞬にして作ると、おもいっきり頭を地面に打ち付けた。それは綺麗な土下座であり、最上級のお願いの形であり、僕を混乱させるスイッチであった。

 

「え、へ、ちょっと…え?」

「お願い!」

「ふぁあ?!ええ!うああ!?お、お、おち、落ち着いてください!」

「お前ら落ち着け。」

 

 パシン

 

「あて!」

「はう!?」

 


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