ピンポーン
「郵便でーす!」
ガタッ
「来た!今いきます!」
やっと来た!私がβテスターになったVRMMORPGの製品版!
「判子をお願いs「はい!」…あ、ありがとうございます……。」
私は機嫌良く箱を受け取りリビングで開封する。
中には«Free choice online»と書かれたソフトが二つ・・と新型のヘルメットタイプのVRマシンが一つ。私はVRマシンとソフトを持って愛する弟の部屋に行く。
コン コン
「藍夜くん?生きてる?」
「…………ん。待ってて…。」
ト、ト、ト、ガチャ
「…何、姉さん…。」
部屋から出て来たのは身長150センチ位の色白な男の子。正真正銘、私の弟だ。小さいけど小学生ではない、16歳の高校生である。別に成績がよろしく無い訳でわないが、定時制ではあるけど有名な進学校に通っている。
その体格と容姿が災いして、イジメになっていたのだ。
何故、あの時、気付いてあげられなかったのか。あの頃の自分を絞めたくなる。
「さっきね、私がβテスターになったゲームの製品版が、届いたの。藍夜くんの分もあるからさ、ね?一緒にゲームやらない?」
「え……ゲーム?」
「ダメ、かな。」
私は少し悲しげに表情を作る。卑怯だとは思わない、何故ならこれは、藍夜くんの人間不信、並びに対人恐怖症を治すためだから。
「う、ううん、嫌じゃ無いよ。ありがとう、姉さん。」
「そう?良かった~!じゃあ、はいこれ!VRマシンとソフトだよ!明日から春休みでしょ?今日の内にキャラメイクとかスキル選びとかやっといてね!」
「え!ちょ、待ってよ、姉さん!」
ふふふ、MMORPGだと分かったらビックリするんだろうなあ。
―――藍夜―――
「あ、嵐の様な姉さんだった……。」
何だか何時も以上に積極的だったし。
ゲームのお金も返さなきゃ。
と言うか、テスターだったなんて知らなかった。
さて、何のゲームなのか…な……。
「オ、オ、オンラインゲームじゃないか…。」
パッケージには大きく«Free choice online»と、書かれていた。
人と顔を合わせるなんて…僕には無理だよ…。
でも、姉さんが折角くれたゲームだし…。
そうだ!別に直接顔を合わせる訳じゃ無いから大丈夫かな?
コミュニケーションの練習も兼ねてこのゲームをやると思えば、心はほんの少し軽くなった。
意を決してゲームをやることにした僕は、VRマシンを被った。
目標は、友達百人……は無理でも、十人位は作ろう。
頑張ろう!
「ロ、ログイン!」
猫の子と申します。
パスワードを解くためのパスワードを忘れるとは、大失態ですなぁ。
一年以上放置してたけど、この作品はもっと続けたいと思って投稿させて頂きました。
知らない人が多いでしょうが、今後ともよろしくお願いします!