ぐらんどおーだー 人理の天地 カルデア脇役録   作:七⭐

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年末戦線個人営業終了。



燃え尽きたぜ…真っ白にな…


相手がいなきゃ告れない

前回までのあらすじ。

 

黄金聖闘士との戦いを終えた工藤。

しかし、現世に舞い戻った彼を待っていたのは磔にされた自身の体だった。

奪われた自由。

迫り来る炎。

もはやここまでと覚悟完了した彼を救ったのは、愛するぐだ子の叫びだった。

 

「ランサー!工藤くんを助けて!」←令呪

 

「えぇ、オレェ⁉」と頼もしい叫びと共に現れる青タイツ。

シャキン!と鳴り響くSE。

スパスパ切れる縄。

華麗な顔面着地を極める(誤字だが正しい)工藤。

それに背を向けて、三英傑に立ち塞がる槍男。

鼻血を滴ながら工藤はもう見ることはかなわないだろうその姿を見る…

 

「ら、ランサーニキ…」

 

産まれたての小鹿のように震える足は武者震いか、赤い槍も穂先がその(主に敵側の)神秘(殺し)の為か無数に震えて見える。

何より、その背中が言っていた。

 

"…行け"と、"後、出来れば援軍プリーズ、マジで"と…。

 

すべてを悟った工藤はぐだ子の手をとって、近くにいたマシュとアイコンタクトを交わす。

 

"行こう…" "でも…!" "行くんだ‼"

 

走り出す工藤達。

残された修羅と槍兵。

若者は旅立ち、老兵は消え行く。

 

今ここにランサー・クーフーリン最期の戦いが幕をあげる!

 

次回、人理の天地

「ランサーが死んだ‼この人でなし!」

に続く。

 

…君は時の涙を見る。

 

 

 

 

 

等と言っている場合ではない。

既に背後から聞こえる"あーー!"という叫び声に背筋が凍る。

扉の前で固まって覗いてたバカ共(ショタと髭)を押し退けて通路を爆走する。

本日二度目の鬼ごっこ。

追いかけてくるのが鬼殺しなのが大きな矛盾だが、先程と違うところが一つだけある。

 

「工藤先輩!次を右です!このまま直線だと清姫さんの嫉妬ファイヤーの射程に入ります!」

 

言わずもがなマシュの存在である。

カンカン音をたてながらダークを弾く彼女は言わば防御のスペシャリスト。

背後から這い寄るルルリエ達との間に彼女がいるだけで、安心感が雲泥の差である。

 

「く、工藤くん。あのね…」

 

「ぐだ子先輩…。今は逃げましょう(ッキリ!)」

 

言いたいことはある。互いに。

まぁ、真っ赤な顔見れば分かるけどな!

いやっふー!まさかこの世の春が雪山にあるたぁーセイヴァー様でも以下略!

これで"あんた青春無かったねー"と言いやがったバイト先のおばちゃんズを見返せるってーもんだー!

 

ッヒュカ!(目の前にダークと矢と嫉妬が刺さる音)

 

 

…何故カルデアは地雷原なのか(真理)。

ごめんなさい。ひとりは調子のりました。

わざとではないのです。ただ、ただ、嬉しかっただけなのです。

青春を謳歌したかったのです。

嘘です。ひとりは嘘をつきました。

本当はR18な事も考えました。

でも、それは仕方ないのです!

だって男の子だから!

ぐだ子先輩のやーらかい手とか触れていたらそっちに思考が誘導されるのも仕方ないのです!

むしろ、四六時中ピンクな事を考えているオレなら仕方なくはなかろうか、いや、仕方ない。(反語)

 

ーーーひゅん!

 

くっ、現実逃避すら許されないこのイカれた時代にようこそ!君はtough boy!

マシュのガードも流石に手数の多さにはいかんともしがたいようだ。

このままでは全身真っ黒にバイザー装備の工藤オルタになってしまう。そして本編では報われず、クロスオーバー作品でしか救済されなくなるのだ!Vではどうなるのかな!

駄菓子菓子、そのようなバットエンドオレは認めない!タイトル的なのにvガ○もコンバ○ラーvもいなくても掟破りのヤ○トがいればなんとかなりそうな感じがあるように!

そう、この逃げ道は、既に計算済みだぁ‼

 

「…2、…1,今!」

 

合図と共に、"石畳"に飛び込むマシュ。

それと同時に盛り上がる土壁、更には次の瞬間左前姿の壁画の人物達が手にしたツルハシでただの土塊を魔術的な障壁に補強する。

 

「うむ、着工完了。…見事なものじゃな坊」

 

「おじいちゃん…出来れば磔にされる前に助けて欲しかったんだぜ」

 

「いや、無理じゃろ。あやつらヒッタイトの連中より恐かったぞ」

 

マジで?カデシュの戦いより恐いって何?

一騎当千?やだ呂布将軍と孔明先生がTSしちゃう。

個人的には馬超派です。

 

「各廊下に設置したマミー達も作動させた。小一時間もあれば熱も冷めるじゃろ」

 

ああ、止めることはできないのね。

うん。知ってた。

ともあれ、 礼を言わなくては。

ラムセスと麦酒片手にサムズアップと、ハイタッチで喜びを露にして盛り上がっている彼等(壁画)に頭を下げる。

 

「助けてくれてありがとう。………………でも、元を辿ればお前がマイルームを消したからじゃね?」

 

「〜〜〜〜♪」

 

口笛へた!

 

と、

 

 

 

しゃらん

 

 

謎のひらがな擬音と共に煌めく剣閃。

あ、壁画の乾杯がドイツ式に。

 

どっしゃん。がらがら…プロージット!

 

「………あらあら、こんなもので我が子と切り離そうだなんて…万死に値します」

 

えぇい!レアリティ☆5は化け物か!

化け物だった‼(丑御前)

 

「ひいいいぃぃぃぃぃ!ら、ラムセス!」

 

っていない!

いつぞやのように遠くへ⁉

違う!倒れてきた土砂に生き埋めになってる!

 

「ぼ、坊。逃げるのじゃー…」

 

あ、本格的にダメっぽい。

 

「よそ見とは、随分余裕ですね?」

 

ヒヤリと感じる首筋への吐息。

甘く蕩けるような声…の下に融かすような怒りを携えて、ヤンデレ筆頭きよひー背後にぬるりと登場である。

蛇属性バッチリ生かす職人芸。

ストーカーサーヴァントの名に違わぬ仕事ぶり。

しかしヒヤリなのにチリチリ髪の焦げる音が聞こえるのは何故なのか?

 

「く、工藤くぅん…」

 

なんでしょう、ぐだ子さん。

うん。わかってる。わかってるからそんなドングリみたいなつぶらな瞳でこっちを見ないで。

瞳の中で刻一刻と癖毛が螺髪へと変わる様をオレに見せつけないでぇ!(涙目)

 

分かる分かるぞぉ、少しでも動けば頭皮が焼ける。

だが、動かなくては逃げれない。

しかし動けばラムセスを踏みつけてる頼光ママの剣閃が飛んでくる。

だが、動かなくては逃げれない。

そして早く動かなくては、いつの間にか廊下の空調前(風上)で踊っている静謐ちゃんに毒殺されてしまう!

正に真綿で締め殺すかのような陰湿コンボ!ヤンデレ過ぎるだろ!!

 

く、不味い。既に四割の髪が犠牲に…!

そして、きよひー少しあきてきてる!

人の髪をなんだと…これが人のやることかよぉ…!

 

ひょこ↗

 

ん?何か瓦礫の向こうに視線を…っは!

あれに見えるはノートンのとこのブマー!

頭にフォウくんを乗せて、何だ?

何かを伝えようとしている!(と信じたい)

 

(フォウ、フォウフ、ウホォフウ)←小声

※特別意訳: 待て、合図するから、そこ動くな

 

…そこまでだ、…この俺が、…ここでお前を殺す

 

がーん!っく!とうとう小動物にすら!

熱‼ショックで動いて、頭皮が少し焼けた。

 

(ふふぉう!フォウフウホォフ!フォウフウホォフウ!)←少し小声

※特別意訳: 違う!動くんじゃない!助けてやるから動くな!

 

…う、うぅ(傷心)ん?ち、違う?違う![正解]…動くんじゃない![正解]…狙いが外れる…から動くな?[不正解]

 

…狙撃で⁉

うぁちゃ!!思わず横にスライド。耳が炙られる。

 

「フォウ、アホウ…」

※特別意訳: あ、アホや…

 

あ、飽きられた。それは分かった。

 

「今です!マスター!"皇帝勅令・大逆罪(ジ・オーダー)"!」

 

「フォ⁉」

 

あ、予想外っぽい。

でも、何がしたいのは分かった!

ナイス!ノートン!ナイス‼

三度風になるオレ達。

当然立ち上がりを狙われるものの全ては瓦礫の向こうで宝具を解放したノートンへと向かって行った。

とは言え、ノートンの宝具は一時的な物。

タゲ取りに壁役とブースターをも兼任する功労者(にくいやつ)に報いるためにも、今は走る!

背後で、"あー、ダメです!そこはダメェ、踵はやめて…過ぎた!過ぎたから!1ターン終わったから!あ、あー‼……っあ♪"と何かに目覚めたような、少し媚びるような声が聞こえた気がするが、今は気にしない。

気にしないって、言ったら気にしない。

オレが知っているノートンはビーバー帽子の似合うナイスミドルである。

蝋燭と鞭の似合う霊基再臨等オレは認めない!

 

「工藤先輩!ノートン先生のお陰で時間と距離は稼ぎましたが、体力はいかんともしがたいかと!特に先輩が不味そうです!何処かシェルターになりそうな場所はないのですか⁉」

 

「と、言われてもなぁ…」

 

ぐだ子先輩が限界近いのは手を繋いでいるオレにも分かるが、頼光ママがなぁ。

魔術的堅牢を誇るラムセスのピラミッド障壁をああも簡単に通り抜けられては…ん?魔術的?

 

「、あ」

 

その手があった!

 

「マシュ後輩!次右でその次も右、さらに右だぁ!」

 

「それ、意味あるんですかぁ⁉」

 

有るともさ!ハンターの視界から外れるのだ‼

 

 

以下ダイジェスト

 

曲がり角で正面衝突→倒れる工藤→あのちらりと見えた虎パンツは…!→茨木「ぷぎゃー,何その髪。リスペクト?鬼リスペクト⁉ぷぎゃーwww」→工藤「ケーキワンホール」茨木「桶」→げぇぇぇ、ライコー‼→偶然部屋から出てきた赤王→奏者よ!なんか禍々しいが、呼符(黒)見つけたぞ!さぁ、薔薇と交換だ!→呼符(黒)を奪う→工藤おおおぉぉぉぉぉぉ‼→すまないがこれも正義の為だ!→光の速さで歩け

 

長かった…。長い旅路だった。

トイレに身を隠し、クローゼットの中で震え、段ボールの中でやり過ごし、シャッキン、シャッキン鳴る金属音(刀)から逃げ続けた。

なんというクロックタ○ー。

シザーマン×3というバグゲーをクリアーし遂に俺達はたどり着いたのだ!

 

「なるほど、召喚ルーム!ここなら…」

 

「あぁ、どんなサーヴァントが来ても大丈夫なように、魔術的かつ"物理的"に硬く作られているここなら、余程の事がなければ大丈夫なはず!」

 

しかもここはサーヴァント達を呼ぶ為に要になっている場所でもある。

戦局を左右する以上、いきなり斬りつけるほど頼光ママも愚かではあるまい。

 

…愚かでは、ないよね?…大丈夫だよね?(弱気)

 

「く、工藤くん…アレ!…アレ‼」

 

ぎゃーす!曲がり角から足並み揃えて登場するお三方。

BMGにゴ○ラとかエ○ァとかター○ネーターとか似合いそうなのは女性として如何なものか…!

 

「く、二人とも早く入って!鍵を閉めるんだ!」

 

「はい!(ガチャ」

 

「違う!オレも入れて‼」

 

危うく閉め出されるとこでした。

 

「な、なんとか助かりました」

 

「バンバン扉叩かれてるけどね。…ふぅ生きた心地がしなかった…」

 

走りながら走馬灯が見えたのはこれがはじめてである。川の向こうで所長とランサーニキが手を振っていた。

そっちにはまだ行けないよ…

 

「あの、あのね。工藤くん…その…」

 

「?何ですか?」

 

「……………………て」

 

?て?て…手?

 

「………………………………すいません」

 

つかんだ手を離す。

いきなりのラブコメに反応出来なかった。

 

「むーーーーー」

 

すまんマシュ。

言いたいことも、その怒りも今は分かるが、反応したくありません。

 

「……………………まぁ、認めてしまいましたし。良いですけど。癪ですが、嫌々ですが」

 

「マシュ…」

 

「…ありがと」

 

ふふふ、と笑い会う三人。

逃げ込んだ先ではあるが、やっと落ち着いてきた。

 

ん、だから、やっと言える。

 

「ぐだ子先…いえ、"マリア"さん…」

 

「………………………はい」

 

あ、まず震えてきた。

オレ立ってるよね?

膝笑ってない?

ヤバイなぁ、変な汗出てきた。

 

「すぅ…オレは……………」

 

 

 

 

 

「先輩!工藤先輩!不味いです!みるみるうちに扉が真っ赤に…‼」

 

ああもう。

でも本当だ。しかもなんか熱い。

さてはきよひー最終手段(ドラゴンブレス)に手を出した模様。

汗はこのせいか…!

ぐだ子先輩と目配せ。ほぼ同時にため息を吐く。

そう、ここはカルデア。

ブラック企業も真っ青、個人の自由が消えた地。タフでいて損はない雪原の末世。

弱者は運命に流され、強者はそれを飲み干す。

あー、コーヒー飲みてー。

 

まぁ、何はともあれ、

 

「「…助けを呼ぼう」」

 

まさか使うことになるとは…呼符(黒)。

今となってはありがとうネロ皇帝。ありがとう、それしか言葉が見つからない。

 

「では、宜しくお願いします。"ぐだ子先輩"」

 

「…………」

 

「?"ぐだ子先輩"?」

 

「……工藤くん。自分ですれば」

 

え"?

 

何言っちゃってますか?

貴女しかサーヴァント呼べませんからね?

私、礼装専門ですからね?

マシュもその"あー何やってんのこのバカップル。モゲロ。"みたいな目はやめなさい。

 

「いや、うん。ちょっとは嫌がらせだったけど、さ」

 

「え、えーと、ごめんなさい?」

 

「………次のレイシフト。一緒に……行ける、よね?」

 

………………………バビロニアデート、だと?

 

 

何も言わず呼符(黒)を持ち召喚陣の前にたつ。

感じろ。

フォースを感じるんだ!

 

「…っちょ!工藤先輩!そんな低い確率論信じないでください!…先輩も!頬染めて大通りを腕組んで歩く二人を想像しない!ってあぁ!扉がチョコレートみたいにとろけ始めました!清姫さんお願いですから空気読んでください!」

 

うおおおおおおおおお!

今こそ回せ!虹とかいいな!金でもいいよ!

輪ッか一個は勘弁してね!

 

「今こそ好機!そして男を魅せるとき!いい加減来てね!天秤の守り手よーーー!」

 

びかーーーーー‼

 

「あぁ、本気の時のピカ○ュウみたいな叫び声と共に召喚陣が廻りだしましたーーーー!」

 

回る石の色は残念ながら白!

だが、まだだ!まだ終わらんよ!

収束し拡散する光の輪数は……………3つ!

やった!オレはやったんだ!

 

びっびがちゅーーーーー!!

 

「やっちまいましたーーーー!アウトです!たぶんアウトですーー!」

 

 

 

 

 

吹きすさぶエーテル。

残留する濃い魔力。

霧の彼方、召喚陣の中心に…それはいた。

抑止の守り手、霊長の守護者。

人類を守る善性と悪性の権現。

歴史の紡ぎ人。

 

その姿は

 

「神サイコーーーーーー‼」

 

割と変態だった。

 




やっと書きたい奴がかけるね!


extraシリーズやってないから(ニコニコ的)想像だがな…。

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