のんのんびより久々に書きます!!
「そっか……それじゃあしょうがないな……」
『すいません先輩…せっかく誘ってくれたのに…』
俺は現在蛍と電話をしている。ちょうど今度の休日は予定もなかったので蛍と一緒にデートでも行こうかと思い誘ったのだがその日はちょうど両親と街に買い物に行くことになっていたので無理とのことだ。
「良いよ良いよ、せっかく両親と買い物なんだから楽しんでかなよ」
『はい…また今度一緒に…』
「うん、楽しみにしてるよ」
こうして俺は電話を切るが…
「……………はぁ〜〜〜……」
大きなため息を吐いた。
「せっかく蛍が好きそうなスポットとか探したんだけどな……しゃあない、休日はテキトーに映画でも見に行こう」
蛍とデートを楽しみにしていたので途轍もなくガッカリしてしまった。
そして休日、
ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜
「ふむ……今回観た映画は悪くなかったな……ナツ姉が好きそうな映画だ。コマ姉には少し内容が難しそうだけど……」
映画を観終えた俺は特にすることもないのでそのまま電車で帰ることにした。
今回観た映画は冒険家が謎の秘宝を巡って悪の組織と闘うと言うアクション映画だったがなかなか面白かった。
「……ああいう映画は蛍観るのかな……今度誘ってみよ……」
今後の予定を改めて考えてた。
「ふぁ〜まだ駅までかなり時間あるし少し寝るか……」
こうして俺は電車に揺られながら少し寝ることにした。
しばらくして、
「ん……?いけないいけないもうあと数駅なのか……」
どうやら思っていたよりぐっすり寝ていたらしい。
慌てて降りる準備をしようとしたとき、
「はー買い物楽しかったー」
後ろの方から声が聞こえた。
「車故障しちゃって電車でお出かけになっちゃったけど疲れなかった?」
「ううん、大丈夫。電車も久しぶりだったし」
どうやら自分が寝ている間に他の乗客がこの車両に乗っていたようだ。しかし……この声どこかで聞いたような……まさか……!!
そう思って後ろを振り向くと……
家族と楽しそうに話している一輝の彼女、蛍がいた。
(んなっ!!ほ……蛍……なんでここに!?)
会話から察するに本当は車で買い物に行くはずだったのだが急遽電車で行くことになったようだ。
すると、蛍はカバンから板チョコを取り出すと
「ねーねーパパ、家帰ったらこのお菓子食べていい?」
と眼鏡をかけた父親に聞いていた。しかし、夕飯が食べられなくなるからやめなさいと言われると、
「ええー!やだやだー食べてもいいでしょー?」
と、そういいながら父親の膝にゴロンと寝転がったのだ。
「ねぇパパ……ダメ?」
そういいながら見つめる蛍に折れたのか蛍の父親は
「……仕方ないなぁ、ちゃんと夕飯も食べるんだよ」
と、優しく答えた。
「本当!?わーい!パパ大好きー!」
そう言って蛍はさらに父親に甘えた。
俺は普段と違う蛍の姿に驚いた。いつも見ている蛍とは違う姿にどこか愛くるしさを感じた。
そうしているうちにどうやら駅に着いたようだ。
俺はそのまま電車を降りると
「早く行こ!早く!」
両親と手を組みながら笑顔で蛍も電車を降りてきた。
「こら蛍、あんまり慌てない」
「大丈夫大丈夫……」
すると、ふと俺と蛍の目があった。
「//////////////〜〜っ!!!!」
瞬間、蛍の顔が信じられないくらい真っ赤になった。
「き…奇遇だな蛍」
「か……一輝先輩!?」
俺がいたことに気づいた蛍は顔を赤く染めて慌てふためいた。
「あら一輝くん?」
「お久しぶりです。」
「誰も乗ってないと思ってたからうるさかったでしょ?ごめんなさいね」
「いえいえ、自分はちょっと気晴らしに映画に行ってたんですけど向こうでもやることあまりなかったので……」
「そ……そうなんですか……」
蛍は未だに顔を赤く染めていた。
「せっかくだし一輝くんと一緒に遊んでくる?」
「えっ?」
そんな様子を見ていた蛍の母は優しく微笑みながら蛍に聞いた。
「う…うん」
「じゃあ蛍ちゃん、お夕飯までには帰ってくるのよ」
そう言うと蛍の両親はそのまま歩いて去って行った。
「わりぃ、なんか邪魔だったか?」
「あ、いえいえ!私も用事があったわけしゃないですし……」
「そっか……」
しばらく周囲に沈黙が続く
「あのさ……蛍」
「は……はい」
「蛍って普段あんな感じなの?」
ドッキーン!!
俺の言葉に蛍は大慌てした。
「ち、ちちちち違うんです!!ち、違わないですけど!!その……っで、電車の中誰もいないと思ってて……えっと……お父さんとお母さんの前だと……あんな感じになっちゃって……」
うん、やっぱりかわいい。考えて見たら普段はどこか大人びている蛍だがまだ小学5年生なのだ。
「やっぱり……変でした?」
蛍は恥ずかしそうにこちらを見つめてそう聞いてきた。
「そんなことはないさ、蛍だってまだ小学生なんだからさ、親に甘えたくなるのは普通だって」
実際俺だって時々母さんに甘えたくなってしまう時がある……まぁナツ姉たちがいる手前公にはしてないが……
「ただ……あえて言うとするなら……」
「……先輩?」
うん、恥ずかしい……でも……
「俺にもさ……たまには甘えてほしいな……なんて……」
(うわぁぁぁぁぁ!!スッゲェ恥ずかしい!!)
途轍もなく恥ずかしいことを今俺は言った。
だけどこれは本心だ。いつもしっかり者で責任感の強い蛍を知っているからこそ、時には甘えて俺を頼ってほしい。
「先輩……」
俺の言葉に蛍は顔を真っ赤に染め、少し考えると
「じゃ……じゃあ先輩、1つ……良いですか?」
「ん?」
「迷子にならないように……手を握ってくれませんか?」
恥ずかしそうに蛍はこちらを見ながらそう言った。
「わ…わかった…それじゃあ…」
ギュッ
「ふぁ」
あたたかい、蛍の手の温もりを感じてしまう。
「せ…先輩…」
「………………///////」
お互いに沈黙が続く
「………行こうか///////」
「……はい///////」
こうして俺たちは歩き始めた。
以前手を繋いだ時以上に意識してしまう。心臓の音が耳に聞こえてきている。
「あ……先輩、見てください。桜が……」
ふと近くにある桜並木を見ると桜の蕾が少し開いていた。
「……もうすぐ桜の季節か……今度みんなでお花見でも行くか?」
「はいっ!今から楽しみです!!」
俺の提案に蛍はとても嬉しそうにそう言った。
その時、
ビュウッ
突然突風が吹いた。いわゆる春一番というやつだ。
「きゃあっ!!」
突然の突風に蛍はバランスを崩し転びそうになってしまった。
「あぶない!!ってうお!?」
俺はとっさに蛍を支えようとするが足を滑らせてしまい一緒に坂を転がってしまう。
「いてて…大丈夫か蛍…」
ふと抱きしめている蛍を見ると蛍の顔は3センチと満たないところにあった。
「あ…先輩…」
蛍は顔を赤くしこちらを見つめていた。
「わ…悪かった…」
慌てて俺は蛍を離し立たせた。
「大丈夫だったか?」
「は…はい…先輩がかばってくれたおかげで…」
「「…………///////」」
再び2人に沈黙が続く
「そ…………それじゃあ戻るか…」
そう言って歩き出そうとした時、
ギュッ
突然蛍が俺の腕に抱きついてきた。
「ほ…………蛍…?」
「こ…こうしたほうが…また風が吹いても安心なので……」
「わ…………わかった」
顔を真っ赤に染めそう言う蛍とそのまま歩いた。
先ほどよりもはるかに心臓の音が大きく聞こえた。ふと蛍を見ると互いの目が合った。その時、2人は自然と言葉を述べた。
「…先輩、大好きです」
「俺もだよ蛍」
互いの言葉に2人が嬉しそうに微笑んでいると、ふと視線を感じた。そこを見ると…………
「…………」
ポカンとした顔でこちらを見つめるこのみさんがいた。
「「…………っ///////」」
瞬間、2人の顔は灼熱の炎のように燃え上がった。
ふうっ…………ついやり過ぎてしまった…………でも後悔はしていない!!