のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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正月スタートです


30話 恋人と初詣に行った

「〜♪〜〜♪〜〜〜♪」

 

新しい年になって俺は初詣に行くために駅前にいた。

現在俺はグレーの着物に袴を履いている。

普段、俺たちは初詣には近くの神社で済ませるが、今年は特別である。それは・・・

 

「すいませーん、お待たせしましたー」

 

俺が声のする方向を見ると、そこにはクリスマスに晴れて恋人同士になった蛍がいた。蛍は綺麗な着物姿でとても魅力的だった。

 

「すいません、着物の着付けに少し時間がかかって・・・」

 

「いや、俺もついさっき来たからだから」

 

そう、これから俺と蛍は2人で初詣に行くのだ。

2人での初詣デートということでとてもドキドキしている。

しかし、それ以上にとても幸せであった。

 

「あ・・・あの・・・先輩、わたしの着物似合ってますか?」

 

突然、蛍が恥ずかしそうに聞いて来た。

 

「ああ、すごく綺麗だよ」

 

「あ///////・・・ありがとうございます・・・」

 

俺の素直な感想に蛍はとても嬉しそうだった。

俺も、こんなに素敵な彼女が出来てとても嬉しかった。

 

ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜

 

「あ、電車来たみたいですよ」

 

しばらくすると、一両しかない電車がやって来た。俺と蛍は電車に入るが、

 

「あ、蛍整理券取り忘れてるよ」

 

整理券を取る電車には慣れてないのかそのまま席に座った蛍に俺は整理券を渡した。

 

「あ、す、すみません・・・私慣れてなくて・・・」

 

「気にしなくていいよ、こういう電車ってなかなかないみたいだしね」

 

こうしている内に電車が発進し、俺たちは目的地に着くまで車内でおしゃべりしていた。

 

しばらくすると、電車は目的地の駅に着いた。

 

俺は電車が止まると立ち上がり、蛍へ手を差し伸べた。

 

「あ・・・ありがとうございます先輩・・・」

 

おずおずと手を乗せ、蛍も立ち上がる。が、話はそこで終わらなかった。

 

「あの・・・先輩、このままでも・・・良いですか?」

 

「このまま?」

 

「先輩と・・・手をつないでいたくて・・・」

 

蛍は顔を赤く染めてそう聞いて来た。その言葉に俺は優しく笑い、

 

「良いに決まってるだろ?俺たちは付き合ってるんだからさ」

 

「はいっ」

 

蛍は嬉しそうにはにかみつつも、きゅっと繋いだ手を少しばかり強く握ってくる。俺もそれがとても嬉しかった。

 

 

 

 

駅を出ると、そこは俺がたまに行く商店街よりも大きな建物が並んでいる街だった。何よりここにはコンビニがある。後から聞いたが、ここもかなりの郊外だったようだけど・・・

 

「向こうの通りの先に神社があるんだ」

 

「あ、あの出店出ているところですね?」

 

そこにはいくつもの屋台がありとても賑わっていた。

 

「どこか行きたいところとかある?」

 

「あ・・・それじゃああそこ行ってみませんか?」

 

そう言って蛍が指差したのはわたあめの屋台であった。

 

「いいね、じゃあ行こうか」

 

俺もわたあめは大好きである。よく祭りとかみんなで行くときもよく買っていた。

こうして俺たちはわたあめの屋台へ向かおうとすると、

 

「あれ?一輝と蛍来てたんだ」

 

ふと聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると

 

「コマ姉、このみさん?」

 

そこには着物を着たコマ姉とこのみさんがいた。

そういえば2人も初詣に行くとか言ってたのを思い出した。

 

「あ、一輝くんヤッホー」

 

「2人も来てたんですね」

 

「なんだ、一輝と蛍もこっちの神社に来るなら一緒に行くのに」

 

コマ姉・・・俺たちは今日はデートで来てんだよ・・・コマ姉たちが一緒だと意味ないじゃん・・・

 

「まぁまぁ小鞠ちゃん、2人にも事情があるんだからさ・・・ね?」

 

このみさんはそういうと俺たちにわかるようにウィンクした。あ・・・この人わかってるな

 

「まぁ・・・そうですね」

 

「はい・・・」

 

まぁバレたところで隠すことじゃない、俺と蛍は互いにそう思った。

 

「すいませーん、わたあめを2つください」

 

俺がわたあめを注文するとメガネのおじいさんが

 

「お、お兄さん袴似合ってるねーお連れのお姉さんも美人だし、2人にはおまけしちゃおうか」

 

「「え?」」

 

俺たちは慌てて遠慮しようとしたが

 

「いいからいいから、30円おまけな」

 

わたあめを少し大きめに作ってくれたばかりか30円おまけしてくれた。

 

「2人とも・・・大人扱いされてる・・・私も・・・」

 

それを見てコマ姉が羨ましそうに見ていた。

 

「んで、そっちの子は・・・」

 

おじいさんがコマ姉に視線を向けるとコマ姉はビシィッとなんか大人っぽい?ポーズをしているようだ・・・しかし俺には・・・

 

「お嬢ちゃんはスーパーマンごっこかい?お姉さんたちに連れて来てもらえてよかったねぇ」

 

「・・・ぷっ」

 

笑いながらそういうおじいさんに俺は思わず吹き出してしまいコマ姉は表情が固まっていた。

 

 

 

フッヌー・・・

 

お嬢ちゃん扱いされたコマ姉はとても機嫌を損ねていた。

 

「コマ姉、せっかくの初詣なんだから機嫌なおせって・・・」

 

「だって私のほうがお姉さんなのにお嬢ちゃん扱いするんだもん、一輝ちょっと笑ってたし」

 

「いやだから悪かったって・・・なんども謝ってるじゃん、それになんだかんだでおまけしてくれてたし・・・子供にはみんなもおまけって言ってたしさ」

 

「それがダメなの!!」

 

フォローのつもりがさらに機嫌を損ねてしまったようだ・・・まぁそのうち機嫌も直るだろう

 

すると、コマ姉は石段をしばらく見つめると一段飛ばしで登り始めた。

 

「コマ姉、段飛ばしは危ないって・・・」

 

「願掛けしてんの、一段飛ばしで階段上がりきったら願いが叶うように」

 

多分無理だと思う・・・しばらく一段飛ばしで上がってると踊り場が出て来た。さて・・・コマ姉はどうする?

 

「ここの踊り場は2歩で歩けたらOK、良いよね?」

 

「まぁ・・・良いじゃない?」

 

俺は呆れながらそう言った。

しかし、コマ姉の足では2歩はおろか4歩くらい必要だった。

 

「・・・着物じゃなかったらいけてたはずだからセーフ」

 

ごまかした・・・コマ姉今ごまかした!!

 

境内に着くとやはり待ちの方に来たということもありかなり混んでいた。俺たちは列に並び順番を待っていた。

 

「よしっ、並んでる間に今年こそ大きくなれるように念をこめておこう、2人ともお願い」

 

なんで俺たちまでコマ姉の身長お願いしなきゃいけないんだよ

 

「てかコマ姉・・・確かお願い事って口に出しちゃダメじゃなかったっけ?」

確かそんなことを聞いたことがある。お願い事をした後も言っちゃダメとかとよくいうし俺もあまり詳しくはないけど・・・

 

「なんでこのみちゃんも電車乗る前に言ってくれないのー!?」

 

「んなこと言われても電車乗る前から速攻で言ってたもん、あの時点できっともうダメだったんだよ」

 

なるほど、どうやら俺たちに会う前にもう言っちゃってたようだ・・・

 

「え・・・え・・・?じゃあ私今日何しに来たの?せっかく遠出までして来たのに・・・」

 

なんか・・・さすがに可哀想になって来た・・・何か教えてやらんと・・・

 

「じゃあコマ姉、間接的に背が大きくなるようにお願いしたら良いんじゃないか?」

 

「そ・・・それって明日になったら私以外の人の身長が半分になってるとか・・・!?」

 

ちょっとスケールが飛躍しすぎなのとネガティブだがまぁそんなところだ

 

「もうすぐ順番だから早めに考えておきな」

 

コマ姉は慌てて何が良いかと考えていた。

 

そしていよいよ俺たちの番になった。俺たちは賽銭箱に5円玉を入れると早速お願いした。

 

((どうか今年も・・・))

 

((蛍/一輝先輩と一緒にいられますように・・・))

 

2人の願いは全く同じものだったのはいうまでもなかった・・・ちなみにコマ姉はあれからなかなか思いつかず後ろが使えていたこともあって慌ててしまい・・・結局、

 

「カルシウム!!」

 

と叫んだ・・・だから声に出しちゃダメだってば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、コマ姉たちと別れた俺たちは周囲を散策していた。

 

「あっ・・・蛍、おみくじやってるよ」

 

俺の指差す場所にはおみくじを売っていた。

 

「良かったらやっていかない?」

 

「あ、はいっ!私もやりたいです!!」

 

蛍も嬉しそうに答えたので早速おみくじ売り場へ向かった。俺たちは五角形の筒を振り、出て来た竹を巫女さんに渡すとおみくじを渡された。

 

「あっ、私大吉です!!」

 

蛍が嬉しそうに見せたおみくじは紛れもなく大吉だった。

 

「ええっと・・・俺は・・・あっ大吉だ・・・」

 

よく見ると俺のおみくじも大吉だった。さらに詳しく見て見ると・・・

 

恋愛・・・これからさらに向上するでしょう

 

の一文が書かれていた。

 

「先輩・・・」

 

「ははっ・・・」

 

俺たちは見つめ会うと嬉しそうに笑いあった。

 

 

 

 

 

ガタンゴトン〜ガタンゴトン〜

 

初詣から帰りの電車の中・・・俺と蛍は隣同士の席で座っていた。遠出ということもあってかお互い少し疲れていた。

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

ふと気づくと、蛍が俺の肩で気持ちよさそうに眠っており、手は俺の手を握っていた。

 

「・・・やっぱり可愛いな・・・」

 

そう思いながら俺も蛍の手を握り返した。

 

今年はとても素晴らしい年になりそうだ・・・

 




どうですか・・・甘く・・・できたでしょうか?







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