のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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のんのんびより更新です。


26話 布団を姉と取り合った

日が沈みあたりが真っ暗になった夜、現在俺たちは旭丘分校にいる。なぜ夜遅くに学校にいるのか、いや違う、いるのではなく家に帰れなくなったのだ。その理由は・・・

 

「いやー、まさか学校に泊まることになるなんてねー」

 

そう、一穂先生の言うとおり、俺たちは急遽学校に泊まることになったのだ。突然バスが走れなくなってしまうほどの大雪が降りだし、俺たちは家に帰れなくなったため学校で一夜を過ごすことになったのだ。これだけの大雪が降ったのはここ最近では久し振りであろう。

 

「まぁいいじゃん、こういうのもおもしろいしー」

 

ナツ姉の言うとおりである。こういうのはやはりいつもと違う感じでワクワクする。しかし・・・ひとつだけ問題がある。

 

「まぁカップ麺の取り置きとか暖房器具があったのは大助かりだけどさ、ただ問題が1つ・・・布団が足りない」

 

そう、布団が足りなくなってしまったのだ。

 

「宿直室の押入れにあった布団と非常用の寝袋、それと保健室に2つあるベットの布団を1つ、さらに予備にあった小さい1人用の布団が1つ、合計で布団3つと寝袋1つなんだけど・・・布団を2人づつと1人で寝て誰か1人寝袋でなればいいんだけど・・・寝袋寒いんだよな・・・でもこれたぶん布団の取り合いになるよな・・・」

 

ちなみにスグ兄はすでに保健室のベッドで就寝している。

それと俺は何故かこっちでみんなと寝ることになった。

 

「まぁこの大雪の中いくら暖房器具あるからって寝袋はな・・・」

 

これは間違いなく布団の争奪戦になるだろう・・・

 

「いやー・・・本当にまいったよ・・・」

 

一穂先生も溜息を吐いながら布団に入った・・・ん?

 

「えっ?・・・一穂先生?冗談でしょ?」

 

まさか・・・うそだろ・・・?

 

すると、ナツ姉が恐る恐る近づいて一穂先生の様子を確かめた。

 

「だめだ・・・寝てる・・・」

 

うそだろおい・・・・・・

 

「ちょ・・・マジかよナツ姉!!まさか取り合いになるって自分で言っといて自分は何のためらいもなく布団に入ったのか!?」

 

「ウチもまさかと思ったけど・・・この人マジで寝てるって!!」

 

信じられない・・・何の悪びれもなく自分は布団を選ぶとは・・・

 

「え?えーと・・・どうなるんですか?誰が寝袋に・・・」

 

「ど、どうなるって言われても・・・」

あまりのことに蛍とコマ姉も動揺していた。

 

「じゃあウチねぇねぇと一緒に布団に寝るん。それでいいんな〜?」

 

すると、れんげがそう言った。確かに2人で布団を使うなら大きい人と小さい人が入るのが得策だろう。1人用の布団は俺がギリギリ入れるくらいだし・・・

 

「ってことは・・・もう1つの布団には・・・コマ姉と蛍が入りなよ」

 

蛍を寝袋には正直したくないし・・・コマ姉は言うまでもない。

 

「むー、背が小さい扱いされるのは気に食わないけど・・・まぁいいや、布団で寝れるし」

 

「それではお言葉に甘えます」

 

よし、これで残る1人用の布団は俺かナツ姉ってわけだ。

 

「ナツ姉は布団と寝袋どっちが良い?」

 

「そりゃ布団一択だってー、絶対寝袋寒いもん」

 

「俺だって寝袋やだよ」

 

蛍には譲ったがナツ姉なら話は別だ。

 

「んーじゃあ何で決める?ジャンケンじゃ面白みないし・・・じゃあいまだにランドセル背負ってる方が寝袋ってのはどう?」

 

「ふざけんなっ!!それ俺一択じゃねーか!!」

 

そんな条件のるバカどの世界にいるんだ!!

 

「うそうそ、じゃあ腕相撲で決めよっか」

 

うわナツ姉きたねえ・・・ナツ姉ば腕相撲バカ強い、今まで駄菓子屋やスグ兄にも負けたことがない。勝てる見込みは少ないだろう・・・・・・しかし、

 

「良いぜ、受けてたってやる」

 

ここで拒んだらなんか負けた気がする。だからあえて挑むことにした。

 

「そんじゃあはじめっか一輝」

 

「上等だ・・・」

 

負けられない・・・この戦いは負けたくない・・・好きな子が見ているところでかっこ悪いところは見せたくない・・・

 

「じゃあやるよ〜・・・レディ・・・・・・ファイッ!」

 

「一輝先輩頑張って!!」

 

「だらぁ!!!!」

 

パニィッ!!

 

蛍の応援が聞こえた瞬間、なんかすげー力が出た。その結果、ナツ姉の手は床に思いっきりついていた・・・変な音とともに・・・

 

「ぎゃあああああ!!?腕か腕が!!ぱにぃって!!ぱにぃって鳴った!!パニィッて鳴った!!」

 

ナツ姉は腕を抑えながら悶え苦しんでいた。

 

「悪りぃナツ姉!!なんか知らんけどすげー力が入って・・・マジで大丈夫!?」

 

「一輝ヤバイよ・・・絶対腕のスジ変なことになってるよ・・・火事場の馬鹿力半端ないよ・・・」

 

「悪りぃナツ姉、今のは無しってことで良いよ」

 

「うう・・・姉ちゃん代わりに一輝と戦って・・・」

 

「無理無理、ぱにぃってなるんでしょ?無理無理」

 

コマ姉の腕じゃナツ姉よりも重傷になりかねない。

 

「うー・・・一輝・・・もう体使う勝負はやめー、違う勝負にしようよ」

 

「別に良いけど・・・何の勝負にすんの?」

 

というかさっさと決めて早く寝たい。布団に入って

 

「うーん・・・そうだなぁ・・・よし!じゃあダジャレ勝負にしよう、より面白かった方の方で」

 

「なんか長引きそうだなぁ・・・どんな感じにすんの?」

 

「例えば・・・んー・・・『アメリカンなペリカン』!!なんてー」

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

うん、言葉にできない・・・周りのみんなも何も言えなくなっている・・・そりゃそうだ

 

「よし!じゃあモノマネ対決にしよう!」

 

ダジャレはやめるのか・・・賢明な判断だと思う。

 

「んじゃまずはモノマネ師匠ことれんちょんからお手本をやってもらいますっ」

 

「ウチがモノマネのお手本するん?仕方ないのんなぁ」

 

れんげは溜息を吐きながら立ち上がった。れんげは何気にこう言うのも得意そうである。

 

「じゃあウチのモノマネ十八番ちゃんと見てるのん」

 

「「よろしくお願いします!!!」」

 

すると、れんげは体をひねると・・・

 

「のす!!」

 

・・・わかんねーよ

 

「こんな感じで2人とも頑張ってくださいん!!」

 

「よしっ、じゃあ一輝いってみよー!!」

 

ヤバイ・・・なんのモノマネをすれば良いんだ・・・思いつかない・・・

 

「一輝〜はやくしてよ〜」

 

隣でナツ姉が急かしてきた・・・仕方がない・・・密かに温めていた『あの』モノマネをやることにしよう

 

「確かここに・・・お、あったあった」

 

俺は戸棚の引き出しを探すと『それ』を手にして装着して、みんなに見せた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そこには眼鏡をかけて髪型を若干変えてただじっと立っている越谷 一輝がいた。

 

「一輝・・・まさかと思うけど・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それって兄ちゃんのモノマネ?」

 

「・・・・・・・・・・・・はい」

 

そう、俺がやったモノマネはスグ兄のモノマネだったのだけど・・・結果は見ての通りである。

 

「まぁじっとしてたのとかは確かに似てはいたけどモノマネって考えるとちょっとな・・・」

 

「よしっこれならウチの勝ち決定だね!!」

 

さっきから自信ありげだけど大丈夫なのだろうか・・・

 

「こいつは一輝のと違って完成度高いよー、あまりに似ているから見た人はびっくりして目ん玉飛び出るよ」

 

良いのかナツ姉、それ自分でハードルあげてるぞ

 

「それじゃあ2番手夏海ちゃんいっきまーす!!」

 

そう言うと、ナツ姉は体を大の字にすると少し体を傾けて・・・

 

「大文字焼き」

 

「こりゃ引き分けだ」

 

よかった!!ナツ姉が馬鹿でよかった!!てかそれモノマネじゃなくね?

 

「えっなんで!!?悪くなかったでしょー似てたでしょー!!?」

 

「なんでって言われてもなーそれモノマネじゃなくない?」

 

コマ姉も俺と同感のようだ、

 

「れんちょんなんか言ってやってよ!!さっきの絶対ウチのかちだよねー!!?」

 

ナツ姉はれんげに抗議するが

 

「んーやっはりウチやカズにぃみたいに人じゃないとモノマネって言いにくいのん・・・」

 

さっきの「のすっ」は誰だったんだ・・・

 

「えー・・・人じゃないとダメとか聞いてないんだけど・・・人か・・・」

 

しばらくナツ姉がそこに立ってたかと思うと・・・

 

「ちなみにそれは赤信号の人のモノマネなんだけど・・・」

 

「だからそう言うのが・・・」

 

俺のツッコミにナツ姉の限界がきた。

 

「あーもーっ!!これじゃ全然まとまんないし!!一輝男なんだから布団譲ってよ!!」

 

「やだよ!!俺だって布団が良いし!!ってかナツ姉風邪引かないんだし良いじゃん!!」

 

俺もナツ姉も一歩も引かない・・・このまま膠着状態が続くのではと思ったころ・・・

 

「う・・・ん・・・うわー・・・良いんすかー?こんなフルコース料理良いんすかー・・・ちょーうめー」

 

一穂先生が寝言を言った・・・

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

そのとき、2人の考えは一致した・・・そもそもこうなったのはこの人が原因だと・・・2人は顔を合わせ頷くと・・・

 

一穂先生を布団から出し、頭から寝袋に押し込んだ。

 

「「・・・・・・・・・(ガシィッ)」」

 

こうして2人の姉弟喧嘩は平和に解決した。

 




更新しました。







感想・・・いっぱい出して良いんすよ・・・

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