のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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19話 ウサギの世話をした

現在俺たちはウサギ小屋に向かっている。

始業式が終わりあとは帰るだけだったのだが今日は俺がウサギに餌をやる日だったのを思い出したからだ。その際、蛍がウサギ小屋に行ってみたいと言うので一緒に来ることになった。蛍と一緒にウサギ小屋に行けるのはとても嬉しかった………しかし………

 

「ウ〜サギ小屋〜うっさぎ小屋〜♪」

 

れんげも一緒だが………

 

「おっ世話しっましょ小鳥さんっ♪お〜世話しましょっうっさぎさんっ♪きれいに毛づくろいいったしましょ〜♪そ〜してまっとめてダイナマ〜イッ!!」

 

ズサーッ

 

そう言ってものすごいジャンプをしながら地面に飛び込んだ………大丈夫か?腹からいってたけど………

静かにれんげは起き上がるとこっちを見つめ…

 

「膝………やっちまいました………」

 

そりゃやっちまうだろ………

 

「大丈夫かれんげ?血は出てないみたいだが………」

 

「ウサギ小屋に行くと思ったらついテンションがあげあげしちゃいました…」

 

「思いっきりジャンプするから…れんちゃんそんなにウサギ好きなの?」

 

蛍は優しくれんげについた砂を落としながら聞いて来た。

 

「当然ですが!?」

 

「れんげは週末にウサギ小屋に行くのが趣味だもんな」

 

「そうなん!だから今日うちもついてきたん!!」

 

しまった……そういや今日は2学期初日だけど週末だった……

 

「へぇ〜いいなぁ〜私は前の学校だとインコしか世話したこと無いけどやっぱり一番世話したいのは……」

 

蛍がウサギ小屋の鍵を開けようとしたが、ふと何かを見て固まった。俺もそっちを見つめると……

 

 

1羽のウサギが外に出ていた。

 

「ウサギが逃げてる!?」

 

「あらほんと!!」

 

「あ……また穴掘って逃げたな……」

 

よく見るとウサギ小屋の中から外に穴が掘られていた。

ウサギはそのまま何処かへ逃げてしまった。

 

「ど……どうしましょう!!」

 

蛍は逃げたウサギを見て慌てていた。

 

「まずいな……ウサギって普通に追いかけてもキリがないんだよな……」

 

「心配ないのんカズにぃ!!ウチにいい考えがあるのん!!」

 

れんげにいいアイデアが浮かんだようだ。

 

「どんな作戦だ?」

 

俺の質問にれんげは得意げにバケツから取り出したのは…

 

「ザ・もろこし釣り!!」

 

とうもろこしであった。どうやら餌でおびき寄せる作戦らしい。ベタな作戦だが、他に思い付かないのでれんげに任せよう。

あらかじめ抜け穴をふさいでおき、道端数ヶ所から小屋にかけて餌を並べ、小屋の中で待ち伏せすることに。

すると、ウサギがトコトコとこちらへ来た。

 

しかし、なかなか入って来ず、れんげたちも誘導しようとするがなかなか来ない。

 

「…………?」

 

一瞬、ウサギが笑ったような気がした。

 

しばらくするとそいつは、小屋の扉に向かっていった。その瞬間、

 

 

 

 

ガシャンッ!

 

なんとそいつは勢いよく扉を押して閉めた。そのままウサギは去っていった。

 

ガタガタガタガタ

 

開けようとしたが、開かない。閉まる衝撃で金具がかかってしまったみたいだ。

 

 

 

 

「ふむ……れんげ……これは……あれか?ウサギにいっぱい人参食わせるどころか……ウサギに一杯食わされたってことか?」

 

「そういうことなのん」

 

「あっ…上手い」

 

「いや〜それほどでも〜」

 

 

「「「………………。」」」

 

静寂が3人を包み込む……

 

 

 

 

 

「そんなぁぁー!!?」

 

蛍の絶叫が周囲に響いた。

 

ガタガタっ

 

「えぇ〜なんで?なんで開かないの!?」

 

慌てて蛍が扉を開けようとしたが開かなかった。

 

「外から鍵がかかっちゃったんだな……」

 

「ただのお間抜けウサギかと思っていたら最初からこのつもりだったとは……なかなかやりおる……」

 

確かに……あのウサギの笑みには悪意を感じたな…

 

「感心してる場合じゃないですよ2人ともぉ!?そうだ!3人で大声出したら学校まで聞こえるんじゃ……」

 

「うーん……難しいな……」

 

ここから学校まで200メートルくらいいある。俺たちが声をあげても気付かない可能性が高い。

 

「でも大丈夫!!最悪でも飼育当番の人が来てくれれば見つけてくれるのん!!」

 

れんげが蛍を励まそうとした。

……しかし……

 

「れんげ、次の飼育当番はいつ来るんだ?」

 

「今日は2学期初日だけど週末だから……土日挟んでの月曜……3日後……」

 

その言葉に蛍は目に涙を浮かべた。

 

「いやだーっ!!3日もこのままなんていやだー!!おウチに帰りたいー!!せっかく今日はママがシチューをつくってくれるって言ってたのにーっ!!シチュー!シチュー!!シチュー!!!」

 

そうか……蛍の家は今日はシチューなのか……そういや俺は今日は母さんがトンカツだって言ってたっけな……

 

「お、落ち着くのーん。3日くらいなら大丈夫。幸いエサに持って来た野菜があるのん……しなびてるけど……」

 

ほぉ……れんげ……俺たちにそのしなびた野菜を食べてお腹を壊せと……

 

「それにいざとなったら……ほら、鶏の卵だってあるのん……時々フィフティフィフティの確率でひよこっぽいの出てくるけど……」

 

やめろれんげ、それ俺のトラウマだから……あの恐ろしさはとんでもねーぞ……子供の頃飼育小屋で見つけた卵で卵かけご飯をしようとして割ったら……半分ひよこの塊がご飯に入って大泣きしたっけ……

 

すると、

 

「誰かー!!助けてー!!誰かー!!」

 

れんげの提案に蛍の恐怖が限界になったようで泣きながら助けを求め出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして……

 

「本当に……誰も来ないね……」

 

「……来ないな……」

 

しばらく経ったが誰も来ず、ひよこがかえって飼育小屋で鳴いてるだけだった。

 

「申し訳ないのん、ウチがウサギをエサで釣るとかって作戦たてなければ……」

 

「こっちこそごめんね……年上なのに取り乱しちゃって……」

 

「…………。」

 

そうだ、いくら大人びてるって言ったって蛍はまだ小学5年生なんだ……こんなところに閉じ込められたら誰だって怖い……大体ここは一番年上の俺が守らなければ……

 

ぽんっ

 

「ふぇ?」

 

「大丈夫だよ蛍……」

 

そう言って俺は蛍の頭を優しく撫でた。

 

「3日もここにいるってことはまず無いから、必ず蛍の両親や母さん、先生が心配して探しに来てくれるって。だから大丈夫、みんなを信じてここで待ってよう」

 

「一輝先輩……」

 

俺の言葉に安心したのか蛍は落ち着きを取り戻したのようだ

 

「心配すんな、必ず助けが来る……だから、蛍も俺のことを信じてくれ。俺が蛍にウソをつくことは無いから」

 

「……はい。ありがとうございます……なんだか少し落ち着きました……」

 

「そりゃ良かった」

 

蛍も安心したようだ。良かった良かった。

 

 

 

「おぉ〜ここにもモロコシはっけーん。焼却炉で焼いて焼きモロコシ〜♪」

 

すると、呑気な聞き覚えのある声が聞こえて来た。

そこを見てみると……

 

「ん?な〜にお前も食べたいのん?いいぞぅたらふくお食〜べ。ん?3人とも食べます?モロコシ。ってかなんでウサギみたいに真っ赤な目してるのん?」

 

「「「………………」」」

 

見事にエサで釣れました……一穂先生が……

 

その後、飼育小屋の穴はしっかりと塞がれました。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、蛍の部屋では

 

「…………一輝先輩……やっぱり頼もしいな……」

 

蛍は自分を励ましてくれた越谷 一輝のことを思い出していた。

 

「一輝先輩っていつも面白いところあるけどやっぱり頼りになる人だよな……」

 

いつもみんなと遊んでいて、でも真面目なところもあり何より困っていると何か相談してくれる……

 

「あれ……?私……そういえば……ここのところ先輩のことばかり……」

 

そう、気づいたら自分はここのところ一輝先輩のことを思い浮かべることが多くなっていた……蛍はふと一輝のことを考えてみる……

 

自分に桜のことを教えてくれた一輝……転びそうになった時助けてくれた一輝……肝だめしの時、怖がっていた自分の手を握ってくれた一輝……

 

「……///////っ!私……もしかして先輩のこと……」

 

瞬間、胸が苦しくなった……そして……顔が熱くなっていた……

 

「先輩……」

 

おそらく気づいてしまった……自分に秘めた彼への気持ちを…

 

 

 

 

 

 




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