1話 転校生が来た
ここはとある田舎の集落。
アスファルトの道もあるが農道や砂利道が多く、当たり前のようにおじいさんが牛を連れて歩いている。
そんな集落の一軒家の一室
ppppppp……
「ふわぁ〜……もう朝か…」
目覚まし時計のアラーム音が鳴り、布団から黒いツンツン頭の少年が現れた。
少年の名は
12月1日生まれ、射手座、『一番星のように輝く子供に育って欲しい』という願いが込められている。
この家に引き取られたから数年が経ち、現在小学六年生になった。身長も166センチと普通の小学六年生よりも大きくなり筋肉や体力もそれなりについてきた。
「あら一輝、おはよう」
「一輝おはよ〜」
「おはよう母さん、コマ姉、夏姉は?」
「まだ寝てる、よかったら起こしてきてくれる?私じゃ全然起きなくて…」
そう言うのは身長130センチほどしか無い茶髪の少女、越谷 小鞠が一輝にそう頼んだ。
「あいよ」
そう言うと、一輝はもう1人の姉の寝室へと向かっていった。
「zzz…」
赤い髪の少女が気持ちよさそうに眠っていた。
「はぁ〜ったく…」
そう言うと一輝は落ちていたクッションを拾うと空中に投げると、
「アターーーックナ○バー○ーーーン!!!」
「ぶへぇっ!?」
そう言ってクッションを少女、越谷 夏海へと叩きつけた。
「なにすんじゃ一輝〜っ!!」
「おはよナツ姉。コマ姉に起こせって言われたから」
「だからってクッションぶつけるなーー!!!」
後ろでギャーギャー騒ぐ姉を無視して一輝は食卓へと向かって行った。兄の卓ことスグ兄はいつの間にか食卓におり、手伝いをしていた。我が家の長男は無駄にハイスペックなのである。
「母さん、ナツ姉起こしてきたよ」
「ありがとね一輝、朝食並べるの手伝ってくれる?」
「あいよ」
そう言うと一輝はテーブルにおかずを並べていった。
「ん?おぉ!!今日の味噌汁はプチトマト入りか〜♪」
「そーよ、あんたは本当にこの味噌汁が好きね」
「はじめはビックリしたけど食べてみたらスゲー美味いからね♪」
そう言いながら一輝は席に着き、寝ぼけながら夏海も席に着き、みんなが食卓について朝食を始めた。
「ごちそーさま!!」
朝食を終えて食器を片付けると皿を洗いはじめた。
「ありがとね一輝、まったく夏海もあんたを少しは見習ってほしいんだけどね…」
そう言いながら母さんはため息を吐いた。
「ははは、まぁあの元気の良さがナツ姉の良いところなんだけどね」
「もうちょっとしっかりして欲しいんだけどねぇ…ってそれよりあんたもそろそろ準備しないと、あとは母さんがやっておくから」
「っていけね、ありがと母さん、そんじゃあ行ってくる」
そう言うと一輝は部屋に戻りランドセルの中身を確認すると支度を整え
「行ってきまーす」
そう言いながら学校に向かった。
この村に来てからもう6年近く経ち、最初は戸惑うこともあったが母さんや兄さん、コマ姉にナツ姉、クラスの仲間のおかげで今ではすっかりここの空気に順応していた。
一輝はそのままバス停に向かい、着いてみると、すでにコマ姉が来ていた。
「コマ姉、もう来てたんだ」
「まあね、それより夏海は?」
「もうすぐ来ると思う」
「おーい姉ちゃ〜ん、一輝〜」
「カズにぃ〜」
「ほらね」
声の方を向くと、ナツ姉と薄い色の紫髪の一年生、宮内 れんげが駆け寄って来た。
「やっと来たのかナツ姉、れんげもおはよ」
「にゃんぱすー」
この「にゃんぱすー」の意味は今だに分かんない、
そんな風に全員揃うとバスに乗り我らが学校、旭丘分校に向かった。
旭丘分校は全校生徒がれんげ、一輝、ナツ姉、コマ姉、スグ兄の5人でクラスもみんな同じである。
「…今日の教室は、昨日となんか違うのん」
れんげの言う通り、確かに何か違和感を感じた。すると、
ガララッ
「は〜いみんな〜席について〜」
そう言って入って来た眠そうな顔の白衣の女性は我らが担任であり、れんげの姉でもある宮内 一穂先生であった。
しかし、その後ろから会ったこともない少女が入って来た。
「……?」
一輝はその少女を見ていると先生は
「自己紹介してくれる?」
「あっ…ハイ」
先生の言葉に従い少女は黒板に名前を書き始めた。
そして、
「一条 蛍って言います。よろしくお願いします。」
この少女との出会いが一輝の人生に大きな影響を与えるのであった。
続けて書いて見ました。
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