「おお〜3人だと速く進む進む、3倍速〜」
「そういえば去年の夏もこうだったような…」
ナツ姉は現在、コマ姉とスグ兄に夏休みの残った宿題を手伝ってもらっていた。さすがに俺はまだ中学生の問題は荷が重いとのことでせめてもと麦茶とスイカを3人に切っていた。ちなみに俺も食べるが、
「最初から手伝ってもらっていれば…」
「ナツ姉、それじゃあ宿題の意味ないからね?」
「ハイハイわかってんよ、この調子なら夜までには終わるな〜〜」
「うん、そうだね」
「………(うん、うん)」
「もうアルマゲドンが襲撃してくることは無さそうだな、良かった良かった」
さすがに第三次アルマゲドン襲撃は対処しきれない…今日は疲れることが多かった…
「…………///////っ!!」
とっさに俺は蛍の家での出来事を思い出してしまった。
(今度蛍になんて言おう……良い匂いだったな……って何考えてんだ俺!?これじゃあ変態じゃねえか!?)
「な〜〜に考えてんのかな〜〜一輝くんは〜〜♪」
俺の顔を見て何を考えてるのか察したのかナツ姉がニヤニヤしながら冷やかしてきた。ちなみに俺の蛍への気持ちに気づいているのは現在はナツ姉だけのようである。ただ1つ気がかりなのは……とある隣人にまで知られることだ……あの人にまでバレたら俺はもうおしまいだ……
「う……うるさい!!いいから手を進める!!」
「(ふっふーん、それじゃあ計画通りやるかな〜〜)ねえねえ、『アレ』やろうか」
「『アレ』?」
その時、一輝は気づいた。ナツ姉の顔に
「アルマゲドンより……恐ろしいやつ」
それは何かを企んでる時の顔であった。
「えーそれではー肝だめしやっちゃうぜー」
少し時間が経ってここは神社、そこにはれんげ、俺、蛍、一穂先生、スグ兄、コマ姉、そしてナツ姉がいた。ナツ姉の手には何か箱が入っていた。
「夜に呼ばれたから花火でもするのかと思ってましたので持ってきたんですけど…肝だめしですか?」
「肝だめしでぇす。本当はお墓でしようと思ったんだけどねー暗くて危ないから明かりがある神社でやれってことになりましたー」
「肝だめし許可しただけでもいいじゃないか」
確かに暗すぎると転んだ時危ない、それにイノシシや野犬が出ないとも限らない。一穂先生の判断は正しいと思う。
それより俺が気がかりなのはナツ姉が何か企んでないかと言うことだ。
「で、ルールは神社の賽銭箱のフチに5円玉置いて帰ってくることーあと脅かし用の道具あるから脅かし役を誰かが……」
「ばっ…………かじゃないの?」
突然さっきまで黙っていたコマ姉がそう言った。
「どうしたコマ姉、藪から棒に?」
「まあ最初からこういうことかと思ってたけど…とにかくそんなつまらないことする気ないから」
「はー?ノリ悪いなー」
コマ姉……多分怖いんだな。まぁ確かにホラー映像観て1人で眠れないもんな……
「コマ姉、怖いからってせっかくみんな集まったんだからさ…ね?」
「べ…別に怖くなんてないもん…ただ…もしお化け出たらびっくりするじゃん…」
「いや出ないから脅かし役がいるんだよ」
「じゃあ脅かし役やる。っていうかなんで私が驚かされなくちゃなんないの」
コマ姉はどうしても驚かされたくないらしい……
「ダメだよコマ姉、脅かし役はジャンケンだから」
「よーしそれじゃあ出っさなきゃ負っけよー」
「あっちょっと待って!!」
慌ててコマ姉はタサ両手を捻って他の隙間を覗く。
ジャンケンのおまじないで確かあんなのあった。
「じゃーんけーんほい!!」
結果は……
俺、ナツ姉、蛍、スグ兄、れんげがパー
コマ姉がチョキであった。
「勝った!!これ私が脅かし役だよね!?」
「うへ…負けた……」
コマ姉は勝てたことがとても嬉しいようだ。
「ま、アタシは日ごろの行いが良いしねっ」
「じゃあコマ姉、先に神社で準備しておいて。俺たちは20分後くらいに来るからそれまでにね」
「はいはい、あんまり脅かしすぎて泣かれても困るし手加減してあげるからね〜」
コマ姉は得意げに神社へ向かって行った。
……脅かし役1人だけなの知ってんのかな?
「さーてそれで考えたんだけどさ〜〜ほたるん神社あんまり詳しくないでしょ?くらいから石段踏み外すと危ないしさ……一輝いっしょに行ってあげてくんない?」
「……っ!?」
突然ナツ姉がニヤニヤしながらそう言った。
まさか……ナツ姉これを狙って……
「ちょ……俺が!?女の子同士なんだしナツ姉のほうが…」
「いやいや、こういうのは逆に男の仕事でしょ〜〜それなら歳の近い一輝が適任でしょ〜〜(名付けて……『肝だめしで2人の距離を近づけよう大作戦』〜〜)」
してやったという顔でナツ姉はこっちを見ていた。
そのまま何も言えず俺は蛍といっしょに行くことになった。
「おっ、スグ兄帰ってきた。」
肝だめしが始まってしばらくすると、最初にスタートしたスグ兄が戻ってきた。
「スグ兄、コマ姉脅かし役ちゃんとやってた?」
「……(うん)」
スグ兄が頷くが少し心配である。
「そんじゃあ一輝とほたるん行ってみよー」
そして次は俺と蛍の番である。ナツ姉は俺の耳元に近づくと
「(ボソッ…)頑張れ一輝♪」
小さな声でニヤつきながらそう言った。
全くナツ姉は……
俺はそのまま蛍と石段を登りだした。
「「……………」」
(気まずい!!蛍の家での出来事からまだ間もないからメッチャ気まずい!!)
俺は顔が赤くなります蛍の方を見れずにいた。
「あの……一輝先輩……」
「っ!!な…なに蛍?」
突然蛍が話しかけてきた。
「転びそうになった時……助けてくださってありがとうございました。」
「え…あぁいや俺の方こそゴメン、なんて言うか…その…抱きしめ…ちゃって…(うう〜自分で言っても恥ずかしい…)」
俺の言葉に蛍は顔を赤く染めた。
「い…いえ、私は特に…気にして…ないですから…」
その後は2人を静寂が包み込んだ。
その時
ガランガランガランッ
「____っ!?」
「ふぇっ!?」
突然大きな音が神社の方から聞こえてきた。
(コマ姉?いやでもコマ姉がこんなイタズラをする勇気があるとは……)
「……先輩…」
ふと蛍を見ると突然の音に蛍は怯えており目には少し涙が見えた。
それをみた瞬間、俺はとっさに蛍の手を握った。
「え…一輝先輩?」
「大丈夫だ蛍、俺が守るから……」
そう言うと俺は蛍の手を握ったまま歩きだした。
蛍も落ち着いたのか少し震えが落ち着き歩きだした。
そして石段も終わりになり境内についた。
(誰がイタズラしてんのか知らんけど……幾ら何でもやりすぎだ!!)
怒りを覚えながら俺は音の方向を見た……すると、
「悪霊退散ーー!!あっくりょうー退散ーー!!!あっくりょーーたいさーーーーんーーーー!!!」
白いシーツにマジックで黒く目を書いただけのお化けの格好のコマ姉が泣きじゃくりながら神社の鈴を鳴らしていた。それを見た俺が言えたのは
「お化けが何してんだ」
それだけだった。
ひゅ〜〜どどーん
「あーるまーげどーんっ」
「母さんが聞いたら怒るよナツ姉」
肝だめしも終わり俺たちは花火を楽しんでいた。
蛍が持ってきた花火のおかげでみんなも盛り上がっているようだ。今は俺は手に持つ花火を楽しんでいた。
「あの…一輝先輩」
すると、蛍が俺の元へと近づいてきた。
「…?どうした蛍?」
「その…さっきはありがとうございました…手を…繋いでくださって」
「え…?」
突然のお礼に俺は驚いた。蛍は顔を赤くすると
「あの時…なんだかとても安心出来ました…本当にありがとうございました」
そう言うと蛍はそのままれんげたちの方へと戻っていった。
「蛍…」
「やーったね一輝♪」
すると、ナツ姉が笑いながら俺の肩を叩いてきた。
「ナツ姉…」
「いやーこんなにうまくいくとは思わなかったよ。これで一気に進展したね♪」
ニヤニヤしながらナツ姉は笑った。
だから今回は言っておこう
「ナツ姉…その…ありがとう」
蛍との距離が縮まったのが俺も嬉しかったのだから
フラグ立ちました!!
ちょっと長くなってしまいましたが…でも後悔はありません!!
それと、俺のページで現在アンケートやってるので良かったらどうぞ宜しくお願いします。
あとできたら感想も