のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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夏休み編スタート!!


12話 みんなで朝食を食べた

夏休みも残りひと月を切った8月上旬、海水浴に行く日がとうとうやって来た。暑さはジリジリと暑いが風が涼しいので心地よい。

俺たちはそれぞれ準備を済ませて、後は出発するだけとなっている。

でもその前にやらなければいけないことがある、夏休みのお約束であるラジオ体操をこなさなければならない。

早朝の神社に集まった俺たちは、ラジオから流れてくる曲に合わせてお馴染みの体操をする。

しかしそんな中で…

 

 

「とう! もっちょろけ~ダンシンッ!」

 

 

1人だけ高速回転しながらアグレッシヴなダンスをプレイしている幼女ことれんげがいるが、遊び盛りの彼女は常日頃から体操しているようなものなので問題ない。

曲の終了とともに踊りを終えると、サタデーナイトなポーズを決めつつ得意げな顔で俺たちに視線を送る。

 

「フフ、どうですか? うちのダンスは?」

 

「これダンスじゃなくて体操だけどね」

 

れんげの言葉にナツ姉がツッコミを入れた。

 

夏休みのラジオ体操では監督役として母さんがいた。母さんはラジオ体操が終わるとみんなの出席カードにハンコを押していた。

普通は俺たちの担任である一穂先生がやるべきなのだが……

 

「こういうのはカズちゃんの役目だと思うんだけどね…」

 

母さんも俺と同じ考えをしていた。

 

「ねえねえは今日も寝てるのん」

 

「今度ビシっと言ってやらなイカンね」

 

「言ってやって欲しいのん」

 

一穂先生へのオシオキが実行されそうな雰囲気が出来上がってしまった。

 

完全に自業自得なのだが、テレビから気になる情報を得ていた俺たちは、未だに気持ちよく寝ているだろう一穂先生の身を案じずにはいられなかった。

 

「コマ姉、朝の占い、たしか『知人に災難が』だったんだよね……」

 

「海行く前に、保護者がKOされないかな……」

 

一穂先生のことよりも俺たちにとっては海水浴が頓挫することの方が問題ではある…まぁ先生のことも一応心配ではあるけど

 

「そういえば、れんげちゃんとこ、ご両親朝から畑仕事だったけ? カズちゃん寝てるなら、家でご飯食べてく?」

 

「食べるん!」

 

「蛍ちゃんも食べてく?」

 

「いいんですか?」

 

「いいよ、人多いほうが楽しいしねぇ」

 

そういえば俺は前に蛍を家まで送ったことがあったけど蛍は俺の家に行ったことなかっただけな…

 

(蛍と一緒に朝ごはん…)

 

俺は密かにウキウキしていた。

 

 

 

 

「ごめんな蛍、朝ごはんの買い物につき合わせちゃって…」

俺と蛍は一緒に朝ごはんに使う野菜を買いに行っていた。俺だけでも大丈夫だったのだがせっかくだからと蛍も一緒に行くことになったのだ。

 

「いえ、でもこの辺りにお店とかありましたっけ?」

 

「ん?すぐそこだよ?ほらあそこ」

 

そう言って俺は指をさした。蛍はその先を見てポカンとしていた。

 

「そういえば蛍っていつも買い物はどこでしているの?」

 

「ウチは週末に町の方に行ってるんですけど…」

 

町にか〜俺たちが町に行くのなんて月に一度あるかないかだもんな…

 

「ってもう着いた。ほら、ここだよ」

 

そこにあったのは『全て100円』と書かれ野菜が並べられた。所謂無人販売所があった。再び蛍がポカンとしていた。

 

「…店?」

「まぁ無人だけど24時間営業だからコンビニみてーなもんだよ。都会にはこういうのは無いの?」

 

「あんまり見ないですね…」

 

(ふむ…やっぱ変わってるな…)

 

そう思いながら俺は100円を入れると買う野菜を持ってそこを去った。

 

 

 

 

「母さん、トマト洗っておいたよ。ここ置いとくね。」

 

「ありがと一輝」

 

そして蛍と家に帰ると俺は朝食の手伝いをした。

俺たちは食器を並べたり料理を作るのを手伝ったりした。

れんげは茶碗にみんなのご飯をよそっていた。

 

「ごはん持ってきたーん。」

 

俺が箸を並べているとれんげの手にはこれでもかと白米が盛られた茶碗があった。

 

「ほたるん大きいからいっぱいよそったん。」

 

「うわーよそったねー。」

 

「カズにいはもっとよそったん。」

 

「これはこれは…」

 

俺の前には山盛りの白米の塔があった。

 

「もりもり食べてもりもりになって下さい!」

 

れんげは二人にいっぱい食べて欲しいという優しさでご飯を持ってきたのだ。それが分からないほど二人は鈍感では無かった。自然と笑みを浮かべていた。

 

「お待たせ〜遅くなってごめんね」

 

そう言って母さんが味噌汁を持ってきた。

 

「いえ、私こそお手伝いしなくてすいません…」

 

「一応蛍、お客様なんだし気にしなくていいよ」

 

 

「では、」

 

「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」

 

そしてみんなで朝食を始めた。

 

「どう?こっちの夏休みは?」

 

母さんが蛍にそう聞いてきた。

 

「神社でラジオ体操とか野菜の置き売りとかみんなで朝ごはんとか初めてのことがいっぱいです。」

 

「ふうん、そういうもんなんだな?」

 

「はい!!」

 

「あっ………////」

 

その時の蛍の笑顔はとても可愛らしかった。

 

「蛍ちゃんは夏海と違って素直でいい子だね〜」

 

そう言いながら母さんは微笑みながらナツ姉の頭を撫でた。

 

「もー!!わざわざ引き合いに出さなくてもいいじゃん!!それより早く食べて海に行こ!!」

 

「本当に行くの〜?」

 

「当たり前じゃん!!」

ナツ姉にコマ姉はきだるそうにそう返した。

ちなみに海には一穂先生が付き添いで行くことになっている。

 

「あれ?この味噌汁プチトマト入ってる…」

 

蛍がふと味噌汁を見てそう叫んだ。

 

「ん?うちではよく入れてるけど…蛍のとこでは入れないの?」

 

「ウチのところでは普通に入れるけど…一輝の好物だし」

 

「蛍のとこでは入れないの?」

 

「は…はい、ウチでは豆腐とかは入れるんですが…」

 

「食べて見なよ、すっぱいけど美味しいよ」

 

俺の言葉に蛍は恐る恐る口に運んだ。すると、

 

「〜〜〜〜〜っ」

 

どうやらすっぱかったようだ。梅干しを食べたような口の蛍はとても可愛らしく思わず微笑んだ。

 

「か〜〜ず〜〜きくぅ〜〜ん(ニヤニヤ)」

ふと俺の隣でナツ姉が俺を見てニヤニヤしていた。…しまった…

 

「な…なんだよナツ姉…」

 

「一輝はいつほたるんに告白すんの?」

 

「〜〜〜〜っゴホッゴホッ」

 

突然の質問に味噌汁が気管に入りそうになった。

 

「ナツ姉っ何言って…」

 

「いや〜〜だって一輝なかなか告白しないんだもん。やっぱ姉として放っておかないな〜〜」

 

ナツ姉は俺を見ながらニヤニヤしていた。本当にこの人にだけはばれたくなかったのに…

 

「ほらっ早く食べて海行くよ!!」

 

俺は慌てて話を逸らそうとしたがその後もナツ姉にからかわれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はみんなお待ちかね海水浴です!!

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