のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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アニメ3話後半です


10話 2人の姉が家出した

「だーかーらーウチが割ったんじゃないって野良猫が割ったんだって!!」

 

「前もそんなこと言ってガラス割ったの誤魔化したでしょ!?」

 

「今回は本当なんだって!!」

 

「…なんだ?」

 

ある日、庭からナツ姉と母さんが口論しているのが聞こえた。庭へと向かうと母さんに何かを言ってるナツ姉と怯えたコマ姉、そしてナツ姉の前に母さんがいた。

 

「なんの騒ぎ?」

 

「おぉっ一輝ちょうど良いところに!!ちょっとこれを見てよ!!」

 

「……?」

 

ナツ姉の指差した方向を見ると植木鉢の一つが倒れて割れていた。

 

「何これ?ナツ姉が割ったの?」

 

「だーかーら違うんだって、犯人は野良猫なんだって!!」

 

どうやら植木鉢が野良猫に破られたのだが母さんがナツ姉を疑ったのでナツ姉が反論しているようだ。ナツ姉が嘘をついているようではないみたいだし本当なのだろうが…とある童話の羊飼いみたいに日頃の行いが災いして疑われているのだろう…

 

「とにかく!!姉ちゃんと一緒にボール遊びしてたから間違いないって!!そうだよね姉ちゃん!!」

 

「そうなの小鞠?」

 

「ひうっ…!えと…その…」

 

母さんの言葉にコマ姉はビクッと怯えてしまった。

 

「小鞠!!」

 

なかなか答えないコマ姉に母さんが強めに名前を呼ぶと

 

「ひっ…ちが…」

 

「ほら、違うって」

 

「ちがうぅぅぅう!!」

 

「ちょっ…姉ちゃん!?」

 

ますますややこしくなってしまったようだ

 

「こ、コマ姉…少し落ち着いて、母さんは怒ってないから…ね?」

 

「うわーん一輝〜」

 

コマ姉は俺に抱きつきながらベソをかきはじめた。

 

「あ、そうだ!!その猫ちくわ咥えてた!!」

 

「ちくわ?確かに夕飯用にテーブルに置いてたのが一本無くなってたけど…あんたがつまみ食いしたかもしれないじゃない」

 

たしかにナツ姉ならやりそうである。

 

「なんで自分の子供を信じないの!?」

 

「あんたの日頃の行いが悪いからでしょうが!!この間も柱に落書きしたの一輝の所為にしたし」

 

そういえばあった…あの後ナツ姉の手についたクレヨンの跡が証拠となって俺の疑いが晴れたんだっけ…

 

「それから0点のテスト、一輝の枕の中にかくしたでしょ!?」

 

それもあった…その日から枕の中のテストに気付くまで大量の0点のテストに押しつぶされる悪夢にうなされただけ…

 

「おまけに部屋も片付けない、出したら出しっぱなし!!」

 

それもあった…確かその中のスーパーボールを俺が思いっきり踏んづけて途轍もなく痛かったっけ…ていうか母さん、なんか隠し事関係なくなってるような…

 

「大体ねぇ…あんたはもっと、人の言うことを聞かないと…」

 

すると、ナツ姉の体が震えているのに俺は気づいた。

 

「なんだよ…そっちこそ全然人の言うこと聞かないじゃん!!もういいし!!姉ちゃん行くぞ!!」

 

怒ったナツ姉はコマ姉の手を掴むと走り出した。

 

「ちょっと、待ちなさい!!」

 

「アホオカン!!!」

 

「親に向かって何を!?」

 

「家出じゃ家出!!こんな家でてくもんね!!」

 

そう言うとナツ姉はコマ姉を連れて去って行った。

 

「…母さん、俺ちょっと2人を追いかけてくる」

 

さすがにこのままじゃナツ姉が不憫だ。

 

「……おねがい」

 

母さんも溜息を吐きながら俺に頼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたいた、ナツ姉〜コマ姉〜」

 

2人はすぐに見つけられた。水路の近くの道を歩いていた。

 

「ナツ姉、コマ姉も、さすがに家出はマズイって」

 

「私は家出なんてしたくなかった」

 

「だって腹立つじゃん、今回はマジでウチらの所為じゃないし……」

 

どうやらナツ姉はかなりご立腹のようだ…

 

「わかった。じゃあこれからどうする?しばらく俺も付き合うよ?」

 

「とりあえず昔使ってた秘密基地に向かおうと思う」

 

「秘密基地?それってこの辺に秘密通路があるやつ?」

 

「そうそうソレ」

 

こうして俺たちは秘密基地へと向かうことにした。水路を下に降り、大きな排水口を通り抜けると監視場のあるもう使われていない大きな水門にたどり着いた。

 

「おぉ〜結構昔のまま残ってるじゃん」

 

そこには小さなテーブルにバトミントンのラケットなどがあり、いかにも秘密基地といった感じであった。

 

「それで?これからどうするの?」

 

「まぁ心配しなくても食べ物とかはウチが採りに行ってくるからしばらくここで住めるよ」

 

「なんで私たちが夏海に養われなきゃいけないの?」

 

ごもっともである。

 

「あ〜暇だな〜しりとりするか〜りんご」

 

「え〜しりとりなんて幼稚だよ〜ゴリラ」

 

「なんて言いながらコマ姉もやってるじゃん〜ラッコ」

 

「え〜と〜小石」

 

「し?え〜と〜新幹線!!」

 

「コマ姉んがついたからアウト〜」

 

「あう…」

 

しりとり第二回戦

 

「り〜リール」コマ姉

 

「る〜ルッコラ」一輝

 

「ら〜ラッパ」ナツ姉

 

「ぱ…えっと〜パイン!!」コマ姉

 

コマ姉はしりとりが弱すぎであった。

 

「まさか姉ちゃんがこんなにしりとり弱いなんてね〜」

 

「うるさい!!」

 

その後、しりとりも飽きてきて、さらにお腹も空きはじめた頃、ナツ姉が壁に描かれた落書きを見つけた。

 

「これって確か…」

 

それは昔、俺がここでの生活に慣れはじめた頃、ナツ姉が今日みたいに母さんと喧嘩して俺たちを巻き込んで家出した時の落書きであった。

 

「確かこの時お腹が空いてその辺の草を食べた夏海がお腹を壊したんだったよね〜」

 

「あったあった…ってアレ?あの時どうなったんだっけ?」

 

「あの時私が夏海をおぶって家まで帰ったんだよ?まあ途中で一輝がお母さんを連れてきたんだけど、そういえば後から聞いたんだけどその時一輝、『ナツ姉が死んじゃう〜』って大泣きしながらお母さんのところに向かったんだって?」

 

「ちょっ!?なんでそのこと知ってるの!?」

 

「へぇ〜そんなことあったんだ〜」

 

「べ、別にいいだろ?そんだけ心配だったんだから…」

 

あの時の俺はまだ実の両親を亡くした哀しみが強く、ナツ姉が苦しむところを見てまた家族を失ってしまうんじゃないかって気持ちになっちゃったんだよな…

 

「ってアレ?あの猫…」

 

ふと外を見たときに目に映った猫…ちくわを咥えてる…

 

「ちょっナツ姉!!あの猫ってもしかして…」

 

「…?ってあぁーー!!」

 

やっぱり例の鉢植え割った猫か…すると、ナツ姉は急ぎながら猫を追いかけた

 

「ちょっ…ナツ姉!!猫追いかけてどうするの!?」

 

「母ちゃんの前に連行する!!」

 

なるほど、証拠としては十分だろう…と思いながら追いかけると…

 

「子猫?」

 

そこには数匹の子猫がいた。

 

フシャーーー!!

 

母猫は子猫の前に立ち俺たちに威嚇した。

 

なるほど、子猫のためにちくわを…

 

「…帰るか」

 

すると、ナツ姉がそう呟いた。

 

「そうしよ」

 

歩いていると途中でスグ兄が迎えにきた。兄に連れられ家に着いた。

 

「ナツ姉…母さんいる?」

 

追いかけておいて今まで帰ってこなかったんだから相当怒られるだろう…

 

「わからない、とにかくゆっくり部屋に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あんた達、今までどこほっつき歩いてたの!?」

 

すると、後ろから母さんの怒りの声が聞こえた。

 

「あ…あはは…家出したけどやっぱり門限は…」

 

ナツ姉は苦笑いしながら言い訳をするが…

 

「何が門限よこっちは一日中探し回ったんだから!!それに一輝!!ミイラ取りがミイラになってどうすんの!?」

 

そう言いながら母さんは俺たちにどんどん近付いてきた。

 

「わわっストップ!!」

 

「ご…ごめんなさい!?」

「た…タンマ!!」

 

拳骨が来る…そう思って俺たちは身構えた。しかし、

 

 

 

ギュッ…

 

母さんは優しく俺たちを抱きしめ頭を撫ぜた。

 

 

 

 

「おいしー♪スイカみたいな匂いがする〜」

 

「母さんこんなに鮎どうしたの?」

 

食卓にはたくさんの鮎の塩焼きがあった。

 

「親戚のおばちゃんが持ってきてくれたのよ」

 

「取られたのが鮎じゃなくてちくわでよかったね♪」

 

ごもっともである

 

「そーだ母さん、ちくわを咥えてる猫確かにいたよ」

 

「そうそう!!っていうか姉ちゃんしりとり弱すぎ〜」

 

「コラ一輝、口に物入れたまま喋らない、夏海も、箸で人を刺さないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

越谷家は今日も平和であった。

 

 

 




今日は少し長くなりました。

感想よろしくお願いします。

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