のんのんびより 輝く星   作:クロバット一世

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早めに投稿です


9話 怖がる姉をからかった

田植えを終えたその日の夜、俺は体の泥をお風呂でしっかりと落とした。帰ってきたら服から髪まで泥まみれになった俺たちは母さんにたっぷりと怒られた。自分まで怒られたのは少し納得がいかなかったが…今俺はコマ姉と映画を見ている。返却日間近なのでまとめて見ているのだ。

 

「うへぇ〜やっと泥落ちた〜」

 

すると、ナツ姉がお風呂からあがってきた。

 

「姉ちゃんズリーよ、さっさと先に入っちゃってさ〜一輝も私に黙って次の風呂先に入るし」

 

「うっさい、姉の特権だ」

 

「巻き添えの被害者の特権だ」

 

今回は俺は完全に巻き添えだし、

 

「なに観てんの?」

 

「レンタル屋で借りてきた癒し系感動恋愛映画だって、明日返却日だから今日中に見るんだって、10駅向こうだから返しに行くの大変だし」

 

癒し系感動恋愛映画だというがなんか途中から変な流れが出てきてるが…大丈夫かこの映画…

 

 

 

 

 

 

「まさか…ウイルス感染で登場人物全員死亡とは…」

 

想像の5割り増しでメチャクチャな映画だった。

 

「なんか微妙だった、おかしいな、評判は良かったのに」

 

コマ姉は少し残念そうだった。

 

「ウチもう寝るね、なんか今日は疲れたし」

 

「私は残りの全部見てから寝る」

 

コマ姉ってほんと貧乏性だよな…って次の映画『都市伝説恐怖映像100選』って…コマ姉大丈夫か?

 

「俺もコマ姉と一緒に観るよ。コマ姉が心配だ」

 

「なんかなめられてるみたいなんだけど…私だってもう14歳だよ」

 

「んじゃおやすみ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜中

 

「コマ姉、無理しなくて良いんだよ?」

 

「ち、違うし!たまにはこっちで寝たいな…って」

 

ホラーが怖かったようでにしがみついたままのコマ姉をナツ姉の寝室へと連れてった。ナツ姉に頼めば良いだろう

 

「ナツ姉、ナツ姉」

 

「んあ?どうしたの一輝?」

 

「ほら、コマ姉自分で言いなさい」

 

俺に促され、コマ姉はナツ姉の布団に潜りながら

 

「えっ…と…私のところ虫の音がうるさくて…」

 

素直に言えんのかコマ姉は…

 

「しゃーない、それじゃあウチが向こうの部屋に行くよ」

 

そう言って去ろうとするナツ姉の手をコマ姉が掴んだ。

 

「さっきのホラーが怖かったみたいで…」

 

「こ、怖いわけないじゃん!!私はもう14だし!!」

 

俺が説明するとコマ姉は全力で否定したが

 

「あー!!姉ちゃんの後ろに白いものが…」

 

「ぎゃーーーーー!!」

 

コマ姉は悲鳴をあげながら布団に潜った

 

「なーんて、ただの障子でした〜」

 

ナツ姉、やって良いことと悪いことがあるぞ

 

「ハハハッやっぱり怖いんだ、偉そうなこと言ってやっぱり怖いんだ、大丈夫でちゅか〜?オバケちゃん映像観て怖くなっちゃったでちゅか〜?大丈夫でちゅよ〜夏海ちゃんがいっちょでちゅからね〜」

 

ここぞとばかりにナツ姉はコマ姉をからかった。その瞬間

 

「ふん!!」

 

コマ姉が枕でナツ姉を殴りチャックがナツ姉の目に当たった。あれって痛いんだよね

 

「一輝、電気夕方にして!!」

 

夕方とは豆電球のことである。俺は真っ暗の方が良いのだが可哀想なのでいう通りにしよう

 

「この宝箱兼ゴミ箱にたしかアイマスクが…あ、そうだ姉ちゃん、怖いならライトと昔姉ちゃんが大事にしてたぬいぐるみのしょうきちさんあるけど…」

 

「怖くないって言ってるじゃん…でもライトとしょうきちさん持ってきて」

 

「はいはい……一輝、ちょっと来て」

 

「…あいよ」

 

俺たちはちょっといたずらを開始した。

 

「「はい…お待たせぇぇ!!」」

 

そこにはピエロのお面をしたナツ姉と馬のマスクを被った俺がいた。

 

「ぎゃーーーーー!!」

 

「コマ姉どうしたぁあぁ?ライトとしょうきちさん持ってきたぞぉおぉ?」

 

「ぎゃーーーーー!!」

 

「ハハハッやっぱり怖いんだ姉ちゃん」

 

「ここまでくると傑作だわー」

 

そう言いながら俺たちはマスクを外した

 

「うるさいバカ!!んなわけあるか!!」

 

涙目でコマ姉が叫んだ

 

「ほら姉ちゃん、しょうきちさんこんななってるけど…」

 

ナツ姉の手には半分首が千切れかかったしょうきちさんがあった。

 

「しょうきちさんがー!!なんでお前の宝箱にしょうきちさんが入ってんだー!!」

 

「だから宝箱兼ゴミ箱って言ってたじゃん」

 

「勝手にゴミに分類するなー!!」

 

「そう言えば夜な夜な宝箱から『暗いよ〜』『呪ってやる〜』って声が聞こえてたけど…これってしょうきちさんの祟り…」

 

するとコマ姉が布団にくるまりながらぐずり始めた。

そろそろやめてあげよう

 

「うそうそ、コマ姉冗…」

 

「ほら、しょうきちさんですよ〜」

 

そう言うとナツ姉はコマ姉の布団にしょうきちさんを放りながら布団を抑えた

 

「ウギャーーー!出れない、暗いよ助けて〜!!」

 

「ちょ…ナツ姉、さすがにこれ以上は…」

 

これ以上はコマ姉が大泣きしそうであったがナツ姉のコマ姉弄りはしばらく続いた。

 

 

 

 

 

 

 

「もうやだ…お化けなんて嫌…お化けなんて嫌…」

 

「幽霊なんて存在しないんだからそんな怖がらなくて良いって」

 

ぐずりながら布団に入ったコマ姉と遊び終えたナツ姉、そして俺もついでに同じ部屋で寝ることになった。

 

「そんじゃあおやすみ…」

 

 

 

 

 

眠り始めてしばらくすると、

 

「ねえ一輝、一輝」

 

「…何ナツ姉?」

 

突然ナツ姉が俺を起こした。

 

「幽霊なんていないって言ったけど…じゃあ死んだらどうなるの?もしかして…真っ暗なの?」

 

どうやら自分で言ってた怖くなったようだ…そうだ、この際に…

 

「コマ姉知ってる?怪談ってでっち上げで作った怪談も時々本当に起こるんだけど…そう言うのって大体怪談を作った人が不幸な目に合うんだって」

 

「不幸な目…?」

 

「例えば…ここじゃない世界に連れて行かされるとか…まぁ気にしないで早く寝なよ」

 

そう言うと俺は眠りについた

 

 

 

 

 

 

次の日

 

「あれ?なっつん遅刻?」

 

「なんでも昨日寝付けなかったんだって」

 

ナツ姉、覚えておくと良い…標的をからかっていたらいつの間にか自分が標的になることもあるのだよ…

 

 

 

 

 

 




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