ある日の晩。
「おなかすいた」
「待つんだマリーちゃん。少しだけ ぼくの話を聞いて欲しい」
我が家の
おっと今日は額から囓ろうってのかい。少し待とうか
彼女の食事を邪魔するとその後の反動が怖いが、今回はぼくの用事も大事だ。と言うか、それもマリーちゃんに関する事である。
「マリーちゃん、偶にはぼくの作った料理を食べないかい?味の心配はしなくていい。一人暮らしが長いから料理は得意なんだ」
炊事、洗濯、裁縫、掃除。全てが一流。
・・・ぼっち吸血鬼の闇は深い。
「・・・いますぐ、たべたい」
「そう言うと思って、既に作ってあるんだ」
夕刻から一人忙しなく厨房で動いていた甲斐もあり、マリーちゃんが食べる分の夕食は作り終えています。
「むぅ、わかった」
「ほっ、良かった。では食卓へどうぞ」
聞き分けが良くて助かるけれど、それでも不機嫌そうだなぁ。
正直ここでマリーちゃんが暴走すれば全てが水の泡でした。
「まだ?」
「はいはい、分かってますよ」
席に着いたマリーちゃんが急かして来るので料理を取りに行きます。
最初はフルコース風にしようかと考えていましたが、食事を待たせた上に
料理を取りに厨房に戻るが、そこにある料理は到底一回の食事では食べ切れないだろうと言う程の量が有った。ぼくが1日に食べる量よりは確実に多い。
しかし、これを食べるのは我が家の腹ペコモンスター、マリーちゃんだ。
今まで彼女の食事を(超至近距離で)見てきたぼくの見立てでは、この量ならマリーちゃんはギリギリ食べ切れるだろう。
今回のぼくの狙いはそこにある。
マリーちゃんを料理で満足させる事が出来れば、ぼくが
「もぐもぐ」
「まだまだ沢山あるよ。いっぱいお食べ」
マリーちゃんの恐ろしさは、食べるペースが落ちない所だ。
こちらの大陸の
作った夕食が緩やかに吸い込まれていく様子に、そのままの流れでぼくが食べられる事さえ想像出来てしまった。
「む、ぐ・・ん」
「あれ、もう良いのかい?」
「・・・うん」
最後の一皿を食べ終え、ぼくが
食べ物を飲み込んだ辺りから、極端に動きが緩慢になったのだ。
端的に言うと、眠そうである。
次第に瞼も落ちて、マリーちゃんは寝息を立て始めた。
なるほど、完全に満腹になると眠るのか。
食費こそ掛かるが、マリーちゃんの
さて、彼女を寝室へ運ぼうか。
ふわぁ。
すやすやと寝ているマリーちゃんを見ているとぼくも眠くなってきた。
今日は久しぶりに良く眠れそうだ。
「あれ、マリーちゃん?こんな深夜にどうしたの?」
「おなかすいた」
なんだ、
うわー。
何を食べても満腹にはなる。
燃費は極悪な模様。