Fate/Grand Order 特異点α 天神煩殺聖都立川   作:十三番目の弟子(帰ってきた)

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Fateの人気、しゅごい。
※今回の話は宗教の独自解釈が強いです。



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茨木童子が不動明王に連れ去れ、ペットボトルが床に落ちる音が響き、沈黙に場が包まれる。カルデア一行は呆気に取られて、聖人ズは何を言えばいいのかわからなくて。

 

「せん、ぱい……アレ…」

 

震える指でペットボトルを指すマシュ。彼女に力を授けたガラハット(れいき)が、全力で叫んでいる。

 

「先輩!アレ、聖杯です!」

 

「「「えっ?」」」

 

葡萄酒(神の子の血)が満たされた杯(ペットボトル)。それは、確かに最高位の聖遺物だろう。この町には、結構あるが。

 

「聖杯ねぇ…イエスが何でも聖遺物に変えちゃうから大変なんだよ」

 

ブッダが台所へと歩いてゆき、コンロ下の棚を開ける。そこには大量の器があり、どれもが膨大な魔力を孕んでいた。もはや棚は棚ではなく、異界と化していた。

 

「それをパンに変えるからパンが増える一方で……器を聖杯に変えられる度に新しく買わないといけなくなるし、出費が嵩むんだよね」

 

隣の棚を開ける。そこには、ふっくらもっちもちのパンが一斤一斤丁寧に並べられていた。

 

「す、すごい…の…かな?」

 

数々の特異点を修復したぐだ子も、流石に言葉を失った。というか、あれだけ貴重な聖杯がパンになって毎日食卓に並んでいるということが理解できない。というかしたくない。

 

だって先程から、『ブッダやイエスの食卓=特異点一つ攻略』という式がぐだ子の頭を流れているのだ。彼女の経験した特異点が脳裏を流れる。

 

様々な経験をした。出会いがあり、別れがあった。共に笑い、共に飯を食べ、共に泣き、共に戦い、共に喜びを分かち合った。死を身近に感じ、危険を乗り越え、特異点を修復し、仲間と共に成長を感じていた。

 

──ああ……これが…走馬灯ね……あら…空から天国と極楽が…どっちにしようかしら……

 

柔らかな笑みを浮かべるぐだ子。

 

後にぐだ子は、天に召される様な穏やかな気持ちであったと語る。

 

「おかあさん…」

 

クイクイとぐだ子の袖を引き、何か半透明のナニかが出ていたぐだ子を正気に戻したのは、先程からずっとぺトロと見つめあっているジャックだった。そして、微動だにしないぺトロ。

 

「えっと、ぺトロ……?」

 

心配したイエスが声をかけると、突如ぺトロが頭を抱える。

 

「わかってるんスよ…この子の魂《れいき》があのクソ野郎に似ていたとしても、別人…というか、むしろ被害者だってことは……でも…でも!」

 

テーブルに拳を叩き付け、魂から叫ぶ。

 

「アイツ、最近パズ○ラとかモ○ストでフレンド申請してくるんだよ!部屋つくって待ってたら直ぐに入ってくるし!この前ポケモンG○でジム挑もうと思って入ったら、ジムリーダーがジャック@らんたんだったし!なんなんだよアイツはっ!」

 

「ちょっ、兄さん!そのセリフ聖人的に完全アウト!」

 

やんややんや騒いでいる聖人兄弟…人を取る漁師を余所に、イエスとブッダはジャックをみる。二人は、ジャックの本質を見切った。

 

「そっか…ジャックちゃんは産まれてくることが出来なかった子の群霊なんだね」

 

ブッダの言葉に、二人の雰囲気が休日のゆるふわモードから若干仕事モードに変わる。

 

「君たちの親は、淫売という罪を犯していたかもしれません。しかし、あなた達はそれすら出来なかった子供です。神の国は、君たちの様な者のためにある場所。怨念を祓えば神の国へと行くことができるでしょう」

 

後光が射しだしたイエスが、一度言葉を切る。

 

「しかし、あなたが赤子として新たなる生を受け、母の腹から産まれることを望むのであれば……その時は、我が友たるブッダに教えを請えば良いでしょう」

 

後光を放ち気付かない間に袈裟へと服装が変わっているブッダが、うっすらと目を開く。

 

「あなた達の魂は怨念により世界と結び付いてしまっているが故に、輪廻の輪に入る事が出来ません。その怨念を払う事は、あなたたち自身にしか為せません。それを為した後に、あなたたちが人への転生を望むのなら口利きはしましょう」

 

いとも簡単に、ジャックの願いが叶うことが確定した。イエスとブッダは今すぐは無理だけど、怨念を祓ったら人間に転生させることが可能だといっているのだ。

 

後光を纏ったイエスとブッダを、ジャンヌとアルジュナが拝んでいる。

 

そんな神聖、克つ荘厳な空気の中、声を上げるものが一人いた。ぐだ子である。

 

「あの〜私たちソロモン王を倒さないといけないので、それからにしてもらえると……」

 

ひゅるん、そんな音が響いてイエスとブッダの後光が消えた。

 

「そうだねぇ。そっちのソロモンさんを倒してからじゃないとぐだ子ちゃんも困るだろうから、ソロモンさんを倒してからブッダに会いに来なよ。父さんには言っておくから」

 

「祈りを捧げたら、多分届くしね。ラーフラに対応するよう言っておくよ。あと、梵天さんと帝釈天さんがプロデュースしないように言っとかないと……」

 

痛む頭を抑えるブッダ。アルジュナが、申し訳なさそうに肩をすぼめる。

 

「申し訳ありません、ブッダ様。我が父上が迷惑をかけているようで…」

 

「いや、好い人だっていうのはわかってるんだけど……押しがね、強すぎるんだ、あの辺の神仏全体的に」

 

一気にゆるふわモードになる聖人二人。切り替えの早さに一部が唖然とする。

 

「まあ、夜も遅いし今日は寝ようか」

 

布団を女性に譲り、イエスやブッダ、アルジュナは雑魚寝することになった。

 

 

 

 




さて、夜といったらヤツらの時間だ。
賢い☆おにいさんなら、次話の予想がつくだろうな…

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